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2025.02.21

#リスク管理#不動産投資#家賃収入

家賃滞納する入居者は強制退去させられる? 発生した場合の適切な対処法とは

家賃滞納する入居者は強制退去させられる? 発生した場合の適切な対処法とは

ざっくり要約!

  • 家賃滞納発生時の督促は段階的に行う必要がある
  • 裁判所から認められないと強制退去などの手続きは取れない
  • 家賃滞納を防ぐためには入居者審査の厳格化などが有効

賃貸経営を行うオーナーにとって、家賃滞納は最も避けたいトラブルの一つです。滞納が発生すると、家賃収入が途絶えるだけでなく、督促や法的手続きなどによって時間や費用負担が増える可能性もあります。

また、対応を誤ると入居者の態度を硬くしてしまい、解決がさらに困難になることもあるでしょう。この記事では、家賃滞納が発生した際の具体的な対応方法や、入居者を強制退去させる条件、滞納リスクを未然に防ぐための対策などについて解説します。

家賃滞納が発生したらどうする?

家賃滞納が発生すると、オーナーは精神的にも経済的にも大きな負担を感じることでしょう。しかし、慌てずに適切な手順を踏むことで、早期解決やトラブルの最小化を期待できます。

初期段階では穏やかに入居者との話し合いを進め、とにかく状況を確認することが重要です。そして、状況に応じて書面督促や保証人への連絡、場合によっては法的手段へと進んでいきます。

電話・メールで督促

家賃滞納が判明したら、まずは電話やメールで入居者に連絡を取りましょう。初動対応は迅速であることが重要です。滞納の原因が単なる入金忘れや一時的な経済的困難であった場合は、この段階で解決するケースが多いためです。なお、滞納者へ連絡する際には、以下のポイントに留意しましょう。

穏やかな表現を心がける

「〇月分の家賃についてお支払いを確認できません。ご確認をお願いできますか?」といった柔らかな言葉遣いを意識しましょう。初回の連絡から強硬な態度を取ると、入居者が態度を硬くしてしまい、解決が難しくなることもあります。

支払予定日を確認する

また、滞納の原因や、支払いの見込みに関する確認も必要です。「いつまでに支払い可能か」を聞くことで、滞納者に支払いの意志があるかを確かめられます。

連絡内容を記録する

滞納者に対する対応の内容や入居者の反応などはメモに残しておきましょう。後のトラブル防止に役立ちます。

この段階で解決に至らなければ、次のステップに進みます。

書面で督促

電話やメールで連絡をしても支払いがない場合は、書面による督促を行います。書面による督促は、正式な通知であることを入居者に示し、滞納問題の解決を促すために必要なステップです。

なお、督促状には以下の項目を含める必要があります。

  • 滞納している家賃の金額と対象期間
  • 支払い期日(明確な日付を指定)
  • 振込先情報(銀行名、口座番号など)
  • 「期日までに支払いがない場合は連帯保証人へ連絡する」といった今後の対応方針

また、督促状は、記録が残る簡易書留や特定記録郵便で送付するのが望ましいです。記録が残る方法を取ることで、入居者が書面を受け取った証拠を確保できます。

内容証明で督促

簡易書留や特定記録郵便を送っても効果がなかった場合は、内容証明郵便での督促を行います。内容証明郵便は法的手段に進むための準備として非常に重要です。

内容証明郵便とは「誰が、誰に対して、どんな内容の文書を、いつ送ったか」を郵便局が証明する方法です。滞納者は「通知を受け取っていない」という言い逃れができなくなります。

内容証明は法的効力を持つため、送付する前に、弁護士や不動産管理の専門家に内容を確認してもらうと安心です。内容証明の送付は、入居者に対して「これ以上放置できない」というメッセージを伝える効果もあり、解決のきっかけになるケースも多くなっています。

訪問して督促

電話や書面で督促しても効果がない場合は、訪問による直接の督促を検討します。訪問による督促は、滞納者の状況を直接確認できるとともに、対話を通じた解決を目指すという点で有効です。なお、訪問する際には以下のポイントに注意を要します。

  • 事前に訪問する旨を連絡し、アポイントを取る。
  • 訪問は早朝や深夜を避け、社会通念上適切な時間に行う。
  • 訪問内容を記録し、後の証拠として活用できるようにする。

訪問督促は慎重に行わないとトラブルに発展するリスクもありますが、上手くいけば解決の糸口にもつながる方法です。

連帯保証人に督促

最後に、入居者本人が支払いに応じない場合は連帯保証人へ連絡します。連帯保証人は、入居者が滞納した家賃の支払いについて法的な義務を負っているためです。

まずは電話で連絡し、滞納状況やこれまでの経緯を丁寧に説明します。なお、電話してもつながらないなどの場合は督促状を送付します。

連帯保証人の協力を求めるにあたっては、滞納の背景を詳しく説明してから、法的手続きに進む可能性があることも伝えると良いでしょう。

連帯保証人が支払いに応じれば対応はこれで終了です。支払われなかった場合は、法的措置の準備を進める必要があります。

家賃滞納時の入居者対応で避けるべきこと

家賃滞納が発生した際は迅速かつ適切な対応が重要です。しかし、対応を間違えるとトラブルが深刻化したり、法的な問題に発展したりする可能性もあります。

オーナーとして感情的になりやすい場面だからこそ、冷静かつ慎重な行動が必要です。特に、法律で禁止されている行為や、入居者のプライバシー・権利を侵害するような対応は避けましょう。

深夜・早朝の連絡や訪問

家賃滞納が発生した場合でも、深夜早朝に連絡や訪問をするのはNGです。貸金業法では社会通念上不適切な時間帯の取り立て行為が禁止されており、家賃督促はこの基準に準じるべきとされています。

夜21時以降や朝8時前の連絡は「私生活の平穏」を乱す行為と見なされ、違法行為と判断される可能性があるため要注意です。

また、深夜早朝の訪問は入居者に不安やストレスを与えやすく、結果的に解決には至らないケースも少なくありません。入居者の態度を硬化させてしまい、トラブルになりやすいのが実態です。督促は必ず日中の時間帯に行い、入居者に配慮した対応を心がけましょう。

督促の張り紙

入居者が家賃を滞納している場合でも、玄関やポストに督促の張り紙を掲示する行為は絶対に避けるべきです。このような行為は、入居者のプライバシーを侵害するだけでなく、名誉毀損に該当する可能性もあります。

また、近隣住民に滞納の事実が知られることで、入居者との関係がさらに悪化し、法的トラブルに発展するリスクもあるでしょう。督促を行う際は、張り紙ではなく、電話や書面など直接本人に届く方法を選ぶのが賢明です。

会社・学校への連絡

家賃滞納の督促のために、入居者の会社や学校に直接連絡を取る行為も禁止されています。このような行為は、プライバシーの侵害や名誉毀損に該当し、逆にオーナー側が訴えられる可能性も否定できません。

また、職場や学校における入居者の信用を失わせる結果となり、入居者が精神的に追い詰められてしまうことも起こり得ます。結果的に仕事に支障をきたし、支払い能力そのものが低下する恐れもあるでしょう。

督促は必ず入居者本人または連帯保証人に対して行い、第三者を巻き込まないようにすることが重要です。法律の範囲内で冷静かつ適切な対応を心がけましょう。

無断で入室する

オーナーであっても、家賃滞納者の部屋に無断で入室することは違法行為に該当します。日本の法律には「自力救済の禁止」の原則があり、オーナーが入居者の権利を侵害して問題を解決する行為は禁止されています。

無断入室は住居侵入罪に該当し、訴訟を起こされるリスクも否定できません。例え滞納が長期間に及んだとしても、入室を希望する場合は必ず法的手続きが必要です。鍵を交換したり、荷物を勝手に動かしたりする行為も、同様に法律で禁止されています。

無断で物を撤去する

家賃滞納者が部屋を空けたまま滞納を続けている場合でも、無断で部屋の物を撤去するのは避けましょう。オーナーに所有権がある物件の中であっても、入居者の私物に手を加える行為は「自力救済」に該当し、器物損壊罪や窃盗罪に問われる可能性があります。

もし入居者と連絡がつかず、部屋に物を残したまま行方不明となった場合は、必ず裁判所の判断を仰ぎ、強制執行を通じた対処が必要です。

家賃滞納の入居者は強制退去させられる?

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家賃滞納が長期化した場合、最終的には強制退去の検討も必要です。しかし、強制退去は入居者の居住権に影響を及ぼす重大な措置であり、簡単には実行できません。法律では強制退去を認めるための条件や手続きが厳格に定められています。

強制退去までの流れ

強制退去に至るまでの一般的な流れは以下の通りです。

1.内容証明郵便で催告書を送付

家賃滞納の期間が一定以上になったら、まずは内容証明郵便で催告書を送付します。この書面には、未払い家賃の金額や支払期限に加え、支払いがない場合には契約解除に至る旨を明記します。

2.賃貸借契約の解除通知

支払期限を過ぎても家賃が支払われない場合は賃貸借契約の解除を通知します。この解除通知も内容証明郵便で送付するのが望ましいです。

3.建物明け渡し請求訴訟

入居者が退去に応じない場合は、裁判所に「建物明け渡し請求の訴訟」を提起します。裁判では、入居者が家賃滞納を続けている事実や、信頼関係が破綻していることの証明などが必要です。

4.判決確定後の強制執行申立て

裁判で勝訴し判決が確定した後も退去しない場合は、裁判所に強制執行を申立てます。申し立てが受理されると、執行官が物件を訪れて入居者の退去を強制的に実行します。

一連の手続きは数カ月から半年以上かかることもあり、その間の費用や精神的負担はオーナーにとって重いものです。そのため、事前の督促や交渉で解決を図るのが望ましいと言えるでしょう。

強制退去させるための条件

入居者を強制退去させるには、法律上いくつかの条件を満たす必要があります。まず、家賃滞納が3ヶ月以上続いていることの証明が必要です。過去の判例では、3ヶ月以上の滞納が強制退去の判断基準となったケースが多くなっています。

賃貸借契約はオーナーと入居者の信頼関係を基に成り立つとされています。このため、オーナーの連絡を無視し続けていることの証明が必要です。そのほか、強制退去を求める前に、電話や書面、内容証明郵便などを用いて督促を行った記録を残しておきましょう。

強制退去が認められないケース

家賃滞納期間が1〜2カ月程度だと信頼関係の破綻が認められにくく、強制退去は難しいと判断されることが多くなっています。また、入居者が支払いの意思を示している場合も同様です。

そのほか、入居者が失業や病気などの理由で一時的に支払いが困難になっている場合は、裁判所が退去を認めないケースがあります。なお、この場合は支払い計画の見直しや分割払いの提案が解決策となるケースも少なくありません。

また、賃貸物件の修繕不足が認められる場合や、入居者からの設備不良の申告を無視している場合などは、強制退去が認められない可能性が高くなります。

家賃滞納による収益悪化を未然に防ぐ方法

家賃滞納の対応は、郵送・弁護士相談などの費用や時間が大きな負担となるため要注意です。一方で、家賃滞納を未然に防ぐための事前対策も複数あります。

入居審査を厳しくする

家賃滞納を防ぐ最も効果的な方法は入居審査を厳しく行うことです。家賃は入居者の月収の3分の1以下であることが望ましいとされています。また、過去の滞納歴や借金の有無など、入居者の信用情報を確認することも重要です。これらの情報を調べるうえでは、信用調査サービスの活用が有効です。

連帯保証人を付ける

連帯保証人は、入居者が家賃を支払えない場合に代わりに支払う法的義務を負うため、連帯保証人を付けることで家賃滞納のリスクを軽減できます。

なお、連帯保証人の収入や資産状況を事前に確認し、十分な支払い能力があるか見極めることが重要です。入居者の状況に不安がある場合は、連帯保証人を複数人設定することで、さらなるリスク分散が可能です。

また、連帯保証人が果たす役割や責任範囲を契約書に明記しておくと、後々のトラブル防止につながります。

家賃保証会社を付ける

家賃保証会社は、入居者が滞納した家賃をオーナーに立て替える仕組みを提供しています。保証会社を選ぶ際は、対応の迅速さや信頼性、サポート内容などを確認しましょう。

なお、一部の保証会社は、滞納分だけでなく訴訟費用もカバーしてくれます。入居者と賃貸契約を締結する際に、家賃保証会社の利用を必須とすることで、未然にトラブルを防げるでしょう。

保証会社の利用料は入居者が負担するのが一般的です。しかし、一部をオーナーが負担することで入居者募集時のアピールポイントにすることもできます。

賃貸借契約書に家賃滞納に備えた条項を設ける

賃貸借契約書に家賃滞納に関する条項を明記することで、トラブル時の対応がスムーズになります。

代表的な記載内容の1つは、家賃支払いが遅れた場合に発生する遅延損害金についてです。遅延損害金の記載は入居者に期日内の支払いを促す効果もあります。

また、家賃の支払い期限を明記し、遅延時の対応手順を規定しておくことで、スムーズなトラブル対応が可能です。そのほか、家賃滞納が一定期間を超えた場合に契約解除が可能である旨を明記するのも有効です。

まとめ

家賃滞納は賃貸経営において避けて通れないリスクですが、適切な対応と事前対策を講じることで、収益への影響を最小限に抑えられます。実際に滞納が発生した場合は段階的に督促を進めることが必要です。また、法的手続きに進む場合も慎重かつ冷静な対応が求められます。

なお、入居審査を厳格化し、連帯保証人や家賃保証会社を活用すれば、あらかじめトラブルを防止可能です。さらに、賃貸借契約書に明確な条項を設けて、トラブル時の対応をやりやすくしておくことも重要なポイントになります。

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ワンポイントアドバイス

家賃滞納は発生時の対応よりも事前の対策が重要になります。入居の申し込みがあった際に審査を厳格にしておけば、家賃滞納発生の確率を大幅に下げられるからです。また、裁判を提起するのも費用が掛かり、回収できる滞納額と裁判費用が釣り合わないケースも少なくありません。訴訟提起の前段階で解決できるのが望ましいです。

なお、賃貸管理会社を入れている場合は、入居前の審査も滞納の督促も賃貸管理会社が行います。賃貸管理会社を選ぶ際には、どのように審査をするか、万一滞納が発生した場合はどのように督促するかを確認しておくと良いでしょう。

この記事のポイント

Q. 家賃を滞納された場合はどうすれば良いのでしょうか?

A. 精神的にも経済的にも大きな負担を感じることでしょう。しかし、慌てずに適切な手順を踏むことで、早期解決やトラブルの最小化が期待できます。詳しくは「家賃滞納が発生したらどうする?」をご覧ください。


 Q. 家賃滞納者への対応として、避けた方が良いことはありますか?

A. 家賃滞納が発生した際は、迅速かつ適切な対応が重要です。しかし、対応を誤るとトラブルが深刻化したり、法的問題に発展したりする可能性があります。詳しくは「家賃滞納時の入居者対応で避けるべきこと」をご覧ください。


 Q. 家賃を滞納した入居者を強制退去させることができますか?

A. 家賃滞納が長期化した場合、最終的には強制退去の検討も必要です。しかし、強制退去は入居者の居住権に影響を及ぼす重大な措置であり、簡単には実行できません。詳しくは「家賃滞納の入居者は強制退去させられる?」をご覧ください。

ライター:秦創平

海外も含めた不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門。

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