不動産投資に自己資金はいくら必要?自己資金別の購入できる物件価格と種別を紹介
ざっくり要約!
- 不動産投資の自己資金は、頭金と諸経費の合計金額を目標とするのが一般的です。
- 自己資金ゼロでも不動産投資を始められますが、借入金額が少なくなったり物件の選択肢が狭まったりする可能性があります。
不動産投資における自己資金は、借入金以外で準備する物件購入資金のことをいい、物件価格の20%前後を目安とするのが一般的です。不動産投資の効率を高めるためには、投資方針や物件にあった自己資金を準備することが大切です。
本記事では、不動産投資に必要な自己資金の目安や、自己資金別に購入できる物件価格を紹介します。自己資金ゼロで不動産投資を始める際の注意点も紹介しているので、これから不動産投資を始めたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産投資に必要な自己資金は「頭金+諸費用」
不動産投資における自己資金とは、物件購入をするために借入金以外で準備する資金のことをいいます。不動産投資で目標とされる自己資金の金額は、頭金と諸経費の合計とされるのが一般的です。
まずは頭金の役割と、物件購入にどのような諸経費がかかるのかを見ていきましょう。
頭金の役割
頭金とは、不動産の売買価格から借入額を差し引いた金額のことをいいます。頭金が多くなるほどローンの適用金利が下がったり、利息が少なくなったりする効果があるので、ローンの総支払額を抑えることができます。
ここでは、以下の条件で不動産投資をした際の総返済額を頭金の金額別に見ていきましょう。
物件購入費:4,000万円
金利:2%(全期間固定・元利均等方式)
返済期間:20年
ボーナス返済:なし
| 頭金 | 月々の返済額 | 総返済額 + 頭金 |
|---|---|---|
| 0円 | 202,353円 | 48,564,671円 |
| 600万円 | 172,000円 | 47,279,951円 |
| 1,000万円 | 151,765円 | 46,423,456円 |
このように頭金の金額が大きくなるほど、投資額を低く抑えられます。
物件購入の諸費用
物件購入をする際は、以下のような諸経費が発生します。
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 印紙税
- 不動産登記費用
- 不動産ローンの事務手数料・保証料
- 火災保険料
これらの諸経費は、物件価格の10%前後が目安とされています。ただし、諸経費の金額は物件種別やローン借入額によって異なるので、購入前にどれほどの費用がかかるのかを確認しておくことが大切です。
自己資金割合の目安はどれくらい?
不動産投資をする際の自己資金割合は20%前後といわれています。
ここでは、自己資金が必要とされている理由と、自己資金別の購入可能な物件価格を紹介します。
目安は物件価格の20%前後
前述のとおり、不動産投資における自己資金割合は20%前後とされています。
自己資金の多くを占める頭金は、ローンの総支払額を抑える効果だけでなく、金融機関からの融資をスムーズにする効果が見込めます。2019年に金融庁が実施した投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果では、銀行の94%が「顧客に対して物件購入費用の一部を自己資金でまかなわせる」と回答していることを公表しています。
このデータから不動産投資において頭金は欠かせないものであることがわかります。不動産投資の頭金は10〜20%が目安とされており、ここに諸経費の10%を加えると20〜30%となります。
自己資金別!購入できる物件価格と物件例
不動産投資に必要とされる自己資金割合を20%と仮定すると、準備した自己資金の金額から購入できる物件価格や種別を判断することができます。不動産投資に活用できる自己資金が決まっている場合は、以下のようなシミュレーションをしてみるのがおすすめです。
| 自己資金の金額 | 購入可能な物件価格 | 購入できる物件例 |
|---|---|---|
| 100万円 | 500万円 | 築古戸建て 築古区分マンション |
| 300万円 | 1,500万円 | 区分マンション 築古一棟アパート |
| 500万円 | 2,500万円 | 区分マンション 築古一棟アパート |
| 1,000万円 | 5,000万円 | 区分マンション(都心部) 一棟アパート 新築戸建て |
| 2,000万円 | 1億円 | 築古一棟マンション 一棟アパート |
| 3,000万円 | 1億5,000万円 | 一棟マンション 一棟ビル |
| 5,000万円 | 2億5,000万円 | 一棟マンション 一棟ビル |
投資したい物件種別がある場合は、購入金額から必要な自己資金を計算するのも有効的な手段です。
自己資金なしで不動産投資を始めることはできる?

物件購入にかかる費用のすべてをローンでまかなえる場合は、自己資金ゼロで不動産投資を始めることができます。
ただし、自己資金なしで不動産投資をする際は、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 自己資金ゼロで購入できる物件は限られる
- 頭金ゼロの融資審査は厳しくなっている
- オーバーローンに注意する
自己資金なしで購入できる物件は限られる
自己資金なしで不動産投資をする際は、物件の選択肢が狭まってしまう場合があります。
物件の売買契約を結ぶときには、売主に対して契約が成立したことを証明するための「手付金」を支払うのが一般的です。手付金の金額は物件価格の5〜10%が目安とされているため、自己資金なしの状態で支払うのは難しいでしょう。
手付金は、不動産取引が完了後に売買代金として充当されるのが一般的とされていますが、買主都合で売買契約を解約するときの「違約金」としても活用されます。そのため、手付金が支払われていなければ、違約金を受け取れずに契約破棄されるリスクが高まるため、そのような条件で取引ができる物件が少なくなっているのです。
頭金ゼロの融資審査は厳しくなっている
前述したように、銀行の94%が「顧客に対して物件購入費用の一部を自己資金でまかなわせる」と回答しています(投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果)。このデータから頭金ゼロの投資家が融資を受けることが難しいことがわかります。
加えて、頭金ゼロでの借り入れは、月々の返済額が増加することになるため、キャッシュフローが悪化する原因になります。そのため、収益性が低い物件であれば融資審査が厳しくなることが予想されるでしょう。
オーバーローンに注意する
自己資金ゼロでの物件購入は、借入総額が物件価値を上回る「オーバーローン」という状態になりやすいです。自己資金がない場合は、物件購入における諸経費もローン借入額に含めることになるため、必然的に物件価値より多くの資金を借りることになります。
不動産は、基本的にローンを完済しなければ売却できません。売却した金額でローンを完済できないようであれば、自己資金を充当して完済する必要があります。売買金額よりも多く借り入れるオーバーローンでは特に注意が必要です。
自己資金ゼロでの不動産投資には、手元現金を残せたり物件購入までの時間を短縮できたりするメリットがありますが、これらのデメリットがあることを認識しておきましょう。
自己資金は多ければ多いほど良いのか?
自己資金が多くなるほどローンの総返済額が少なくなるため、自己資金を増やせばいいと考えている人もいるでしょう。ただ、不動産投資において自己資金を増やすことが利益の最大化に必ずしもつながるとは限りません。
ここでは、自己資金を設定するときの基本的な考え方を紹介します。
不動産投資のメリットの一つは「レバレッジ効果」
不動産投資の代表的なメリットとしては、借り入れを活用することでより高い投資効率を得られる「レバレッジ効果」が挙げられます。レバレッジを活用すると、自己資金では購入できない物件を所有できたり、投資資金の回収期間を短縮したりすることが可能です。
また、不動産投資の借り入れをするときは、年収や職業などから総合的に審査されることになるため、会社員や公務員といった安定した職業であるほどレバレッジ効果を高められる可能性があります。
レバレッジを活用すれば、資金が少ない状態であっても不動産投資にチャレンジしやすくなるでしょう。
「不動産投資 レバレッジ」に関する記事はこちら
不動産投資の「レバレッジ効果」とは?
自己資金が多いほど利益率は高まる
レバレッジ効果が得られる点は不動産投資のメリットではありますが「利益率」を意識することも大切です。レバレッジを効かせることだけを考えると、期待した利益があげられない恐れがあります。
利益率は「ROI(Return On Investment)」や「CCR(Cash on Cash Return)」が指標となります。ROIとは、投資利益率を表す指標で、以下のように計算します。
ROI=年間キャッシュフロー÷投資金額×100
CCRは、自己資金収益率を表す指標です。
CCR=年間キャッシフロー÷投資金額のうちの自己資金額×100
たとえば、自己資金だけで1,000万円の不動産を購入し、年間キャッシュフローが100万円になるとすれば、ROIもCCRも10%です。一方、うち500万円を自己資金で購入した場合のCCRは20%となるため、融資を受けたほうが効率が良いということになります。しかし、融資を受ければ受けるほど利息および返済額が大きくなるため、キャッシュフローが悪化するということを忘れてはいけません。
たとえば、自己資金比率20%と50%では、物件価格1,000万円・年間賃料100万円の不動産投資のキャッシュフローは次のように変わってきます。なお、金利は3.0%、借入期間は10年と想定し、計算をわかりやすくするため、ここでは諸費用や空室率は考慮しません。
自己資金比率20%(自己資金200万円・ローン800万円)の場合
| 家賃収入(年額) | 1,000,000 |
| 返済額(年額) | 926,988円 |
| 手残り(年間) | 73,012円 |
| 表面利回り | 10.0% |
| 返済後利回り | 0.8% |
自己資金比率50%(自己資金500万円・ローン500万円)の場合
| 家賃収入(年額) | 1,000,000 |
| 返済額(年額) | 579,372円 |
| 手残り(年間) | 420,628円 |
| 表面利回り | 10.0% |
| 返済後利回り | 4.3% |
上記のシミュレーションから、ローン返済中の手残りに大きな違いがあることがわかります。レバレッジを活用することで「自己資金だけでは買えない物件が購入できる」「少ない自己資金で大きな利益を出せる」というメリットは得られるものの、自己資金比率が高いほど利益率は高く、金利上昇や資産価値下落などリスクも低減します。
不動産投資の目的は、投資家によって異なります。また、与信枠も年収やその他の借り入れなどによって変わってくるため、レバレッジ効果を高めることだけを追い求めるのではなく、自分の目的や状況に即した自己資金比率を検討することが大切です。
「不動産投資 利回り」に関する記事はこちら
不動産投資の理想的な利回りは?計算方法と物件選びのポイントを紹介
キャッシュフロー・金利・利回りなどを総体的に見ることが大切
不動産投資をする際は、キャッシュフローや金利、利回りなどから総体的に判断することが大切です。
不動産投資の収益は、物件から得られる賃料収入から金利や修繕費などの経費を差し引いた金額となります。表面利回りだけでなく、年間経費や物件取得費、利息を含めて計算する実質利回りも考慮しなければなりません。実態に近い収益額を算出できる実質利回りは金利によって大きく変動するため、それぞれの数値を見ながら投資判断をするようにしましょう。
また、固定資産税や修繕費などのランニングコストの支払いには現金が必要です。このタイミングに現金がなければ、不動産投資を続けられない状況に陥ってしまうことも考えられます。
そのような状況にならないためにも、収入と支出の流れを示したキャッシュフローを作成しておきましょう。
このように不動産投資をする際は、金利や利回りといった一つの情報だけを見るのではなく、総体的な視点をもつことが大切です。わからない情報があるときは、放置せずに一つずつ理解を深めていきましょう。い傾向があります。
まとめ
不動産投資における自己資金は、借入金以外で準備する物件購入資金のことをいい、頭金と諸経費の合計金額を目標とするのが一般的です。自己資金ゼロで不動産投資をすることもできますが、物件の選択肢が狭まったり、融資審査が厳しくなったりするリスクがあります。
自己資金が多ければ多いほどいいというわけではないため、自身の投資方針にあわせた資金計画をするようにしましょう。

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ワンポイントアドバイス
高いレバレッジ効果が期待できる不動産投資では、自己資金を極力抑えたいと考える人が多いです。しかし、物件売却後にローンだけが残ったり、キャッシュフローがマイナスになったりするリスクが高まるので、物件価格の20%を目安に自己資金を準備しておくことをおすすめします。不動産投資をする際は、金利や利回り、キャッシュフローなどを確認しながら総体的に判断するようにしましょう。
この記事のポイント
Q. 不動産投資の自己資金はいくらくらいですか?
A. 不動産投資における自己資金とは、物件購入をするために借入金以外で準備する資金のことをいいます。不動産投資で目標とされる自己資金の金額は、頭金と諸経費の合計とされるのが一般的です。
詳しくは「不動産投資に必要な自己資金は「頭金+諸費用」」をご覧ください。
Q. 自己資金の割合の目安はどのくらいですか?
A. 不動産投資をする際の自己資金割合は20%前後といわれています。詳しくは「自己資金割合の目安はどれくらい?」をご覧ください。
Q. 自己資金が0でも不動産投資をすることは可能でしょうか?
A. 物件購入にかかる費用のすべてをローンでまかなえる場合は、自己資金ゼロで不動産投資を始めることができます。詳しくは「自己資金ゼロで不動産投資を始めることはできる?」をご覧ください。