不動産投資初心者が知っておきたい基本知識と始め方のポイント
ざっくり要約!
- 不動産投資には、一棟投資・区分マンション投資・戸建て投資・土地活用などの種類がある。
- 投資物件の管理方法には、自主管理・管理委託・サブリースがあり、副業として不動産投資を行う場合は管理委託を選択するのが一般的。
- 不動産投資を始めるには、まずは目的や目標を明確にし、不動産投資についての知識も身に着けることが重要。
不動産投資は、家賃収入によって長期的に安定した収入を得られるのに加え、老後資金や年金対策としても有効であることから、近年若い方からも注目されているというのをご存じでしょうか。
しかし、初心者にとっては何から始めたらいいのか分からず、どんなリスクがあるかも気になるところです。
本記事では、不動産投資の種類や管理方法、少額でも投資を始められる物件の種類、投資を始める際の具体的な流れまで、順を追って詳しく説明します。
不動産投資に興味はあるけれど、まだ一歩踏み出せないでいる方は、ぜひ本記事を参考にして、自分に合った不動産投資の方法を見つけてください。
目次
不動産投資の代表的な種類と特徴
これから不動産投資を始めようとしている方の中には、不動産投資にどんな種類があるのか、イメージしづらい方もいるかもしれません。
まずは不動産投資の代表的な種類と、それぞれの特徴を知りましょう。
一棟投資
不動産投資の中でも代表的な種類の1つが、一棟投資です。一棟投資とは、アパートやマンション一棟全体を購入し、賃貸経営を行う投資手法のことを指します。
一棟投資の最大のメリットは、複数の部屋があるため、家賃収入が突然ゼロになるリスクが比較的低いことです。また民泊不可などの管理規則を自身で決められる点も魅力として挙げられます。
一方で、物件の取得には多額の資金が必要な点や、区分マンション投資に比べて管理が複雑になる点には注意が必要です。加えて、物件の老朽化などにより集客力が低下すると、空室率が上昇するリスクもあります。
区分マンション投資
不動産投資の中でも、最もポピュラーな手法の1つが区分マンション投資です。購入した区分マンションの1室を賃貸に出し、家賃収入を得るというシンプルな投資手法です。
区分マンション投資の最大の利点は、1室単位で物件を購入できるため、比較的少額で投資を始められる点にあります。いきなり一棟物件を購入するのは不安という初心者の方にも、取り組みやすい方法と言えるでしょう。
ただし、運用するのが1室のみの場合、その部屋が空室になると収益がゼロになってしまう可能性があります。また、マンション全体で決められた管理費や修繕積立金などの支払いも発生する点は押さえておきましょう。
戸建て投資
不動産投資の手法には、戸建て住宅を購入して賃貸することで家賃収入を得る方法もあります。
戸建て投資の利点は、建築制限によりアパートを建てられない土地でも活用できる点や、土地と建物を所有するため、資産価値を維持しやすい点が挙げられます。主にファミリー層をターゲットとすることが多く、長期的に入居してもらえるのも魅力です。
一方で、マンションやアパートと比較して需要が低いため、一度空室になると入居者が決まりにくい点はデメリットです。また、建物の維持管理や、給排水や給湯器、エアコンなどの設備の修理はオーナーの負担となるため、まとまった出費が発生するということも覚えておきましょう。
土地活用
所有する土地をそのまま活用して収益を得る方法もあります。その代表的な土地活用法が、駐車場経営です。
駐車場経営には、コインパーキングと月極駐車場の2種類があり、立地によって適した方法が異なります。需要に応じて敷地の一部を、コインパーキングと月極部分に振り分けることも可能です。
駐車場経営による土地活用の主なメリットは、建物を建てる場合に比べて初期投資が圧倒的に少ないことです。
一方、デメリットとしては、建物を建てる活用方法ほど高収益が得られない点が挙げられます。また、コインパーキングは、専門企業による一括借り上げ方式を採用することが多く、収入には増減があるのも注意点です。
失敗を避けるために知っておきたい不動産投資の6大リスク

不動産投資には、以下に挙げる6つのリスクが伴います。不動産投資で成功するには、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
| リスク | リスクの内容 |
|---|---|
| 空室リスク | 空室期間中は家賃収入を得られません。空室期間が長引くと収支が悪化し、経営が成り立たなくなる可能性もあります。 |
| 滞納リスク | 入居者がいても、滞納が発生すると家賃収入を得られません。家賃回収のための入居者対応にストレスを感じるオーナーも少なくありません。 |
| 老朽化リスク | 築年数が経つと、建物の各部分や設備の修繕が必要となります。修繕費用は高額になることがあり、オーナーの負担は大きなものになります。 |
| 資産価値下落リスク | 築年数の経過や建物の劣化は、不動産の資産価値下落につながります。資産価値が下がると、思うような金額で売却できない可能性があります。 |
| 金利上昇リスク | 変動金利の不動産投資ローンを利用している場合、金利上昇に伴いローン返済額が増加する可能性があります。 |
| 自然災害リスク | 地震、洪水、火災などの災害により、建物が損傷・倒壊するリスクがあります。修繕費用が高額になるほか、修繕期間中は家賃収入が入らない可能性があります。 |
不動産投資を安定的に継続するためにも、これらのリスクに備え、対処法を知っておきましょう。
「不動産投資 リスク」に関する記事はこちら
不動産投資の6大リスク一覧!未然に防ぐ方法とは?
不動産投資物件3つの管理方法
不動産投資を始める際、所有する不動産をどのように管理するのかを決めなければなりません。
不動産投資物件の管理方法には、主に自主管理、一部委託管理、全部委託管理の3つがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自身の状況に合った管理方法を選択しましょう。
自主管理
自主管理とは、入居者対応や賃貸契約の締結、家賃の入金管理、業者手配など、賃貸物件の管理全てをオーナー自らが行う方法です。
自主管理の最大のメリットは、管理手数料を支払う必要がないため、費用を抑えられる点にあります。物件や不具合や老朽化の程度、空室状況などを直接目にすることになるため、賃貸経営のノウハウが身につくでしょう。
一方で、安定して収益を得続けるためには、時間や手間がかかる点はデメリットです。設備の破損や騒音トラブルなど、入居者からのクレーム対応も自分で行う必要があります。
管理委託
管理委託とは、物件オーナーが管理会社に管理業務を委託し、入居者募集から管理運営まで賃貸経営の業務全般を請け負ってもらう方法です。
管理委託は、賃貸管理に関する経験やノウハウを持つ専門家が、全ての業務を代行してくれる点が大きなメリットです。入居者からのクレーム対応や緊急時の対応なども、管理会社が処理してくれます。
一方で、管理会社の対応や評判によっては、入居者の満足度が低下して空室が増えたり、なかなか入居者が決まらないといったリスクも伴います。また、管理委託料が発生するため、自主管理と比べると利益率が低くなる点も押さえておきましょう。
サブリース
管理会社がオーナーから物件を一括して借り上げ、それを入居者に転貸する方法をサブリースと呼びます。管理会社がオーナーに対して一定の賃料を保証し、入居者から得た賃料との差額を収益として得るという仕組みです。
サブリースの最大のメリットは、空室の有無に関わらず、オーナーが安定した家賃収入を得られることです。毎月の収入が変わらないため、確定申告時の金額計算の手間も減らせます。
デメリットとしては、オーナーが得られる家賃収入が、市場価格よりも低く設定される可能性がある点が挙げられます。また、契約開始時の賃料が長期間保証されるわけではなく、数年後に金額が変わる可能性があります。さらに、サブリースの解約をしたくても管理会社が応じてくれないこともあります。
初心者必見!不動産投資の始め方
不動産投資に関心があるものの、何から手を付けたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここからは実際に不動産投資を始めるときの、大まかな流れをご紹介します。
1.不動産投資の目的を明確化する
不動産投資を始める前に、まずは投資の目的や目標を明確にすることが重要です。目的や目標が明確でなければ、取得すべき物件の種類や投資金額を決められないためです。
不動産投資の目的や目標を明確にするために、以下の項目を考えてみましょう
- どうして不動産投資を始めたいのか
- 毎月どれらくらいの収益が欲しいのか
- 何年後(何歳)までにいくらの収益が欲しいのか
不動産投資では、短期間で大きな収益を得るのは難しいため、5~10年程度の長期的な計画を立てるようにしましょう。
2.情報収集
不動産投資を始める前に、不動産投資セミナーに参加したり本を読んだりして、不動産投資に関する基礎的な知識を身につけることも大切です。
今はインターネットを使えば、不動産投資初心者でも理解しやすいさまざまな情報が手に入ります。ただ、ネット上では誰でも情報発信できるので、信頼できる情報を選ぶ必要があります。
- 信頼できる情報源を選ぶ
- 複数の情報源から学ぶ
- 自分の目的や目標に合った情報を集める
情報収集の際は、上記を意識すると有益な情報を選びやすくなります。
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3.不動産会社に相談する
初心者の方が、いきなりWebサイトで優良物件を見つけ出すのは、なかなか難しいもの。最初のうちは、収益不動産を扱っている不動産会社に直接相談しましょう。
不動産会社の中には、物件選びだけでなく、ローンの相談、物件購入後の賃貸管理や確定申告まで、トータルでサポートしてくれる会社もあります。
不動産会社を選ぶ際は、取扱物件数やインターネット上の口コミなどをチェックしておくと良いでしょう。できれば複数の不動産会社から話を聞いて、自分に合ったところを見つけるのがおすすめです。
「不動産投資 相談」に関する記事はこちら
不動産投資の相談はどこにすべき? 適切な相談窓口の見極め方
4.収支シミュレーション
気になる物件が見つかったら、次は収益性を計算して投資するかどうかを判断します。
不動産投資では、利回りとキャッシュフロー(ローン返済後に手元に残るお金)を把握しておくことが大切です。利回りには、主に「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
物件情報では、表面利回りが掲載されているのが一般的ですが、表面利回りは諸費用や維持費を考慮していないため、収益性を正確に把握できません。自分で実質利回りを計算して、利益を確保できる物件かを判断しましょう。
また、キャッシュフローを計算することで、ローン返済後の手取り収入を予測することができます。物件価格や家賃収入、ローンの金利や返済期間、維持費などを考慮して、キャッシュフローをシミュレーションしてみましょう。
5.現地視察
投資物件を選ぶ際は、実際に現地に足を運び、物件の状況を直接確認する必要があります。インターネット上の情報や不動産会社から提供される資料だけでは、物件の実態を十分に把握することは難しいためです。
現地でチェックするポイントは、最寄駅からの実際の距離や周辺環境、エントランスやポスト、駐輪場といった共有部分の状態などです。
可能であれば、朝と夜の異なる時間帯に現地を訪れることをおすすめします。周辺の人通りや治安状況は時間帯によって変化することがあるためです。
6.ローン審査
不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合は、物件購入と並行して、融資を受けるための準備をします。
不動産投資ローンで融資を受けるには、事前審査と本審査の2段階をクリアしなければなりません。事前審査は売買契約締結前、本審査は締結後に審査を受けます。
事前審査では、申込者の収入や信用情報などから、おおよその借入可能額がわかります。自分がどの程度までローンを組めるか把握するためにも、金融機関には早めに相談に行きましょう。
売買契約締結後に行う本審査では、担保となる購入物件の資産価値や収益性も評価対象となり、本審査を通過して初めて借入金額が確定するという流れです。
7.購入申し込み
購入したい物件が決まったら、買付証明書という申込書に署名・押印し、不動産会社経由で売主に提出します。この際、「ローン特約」の有無を確認することが重要です。
ローン特約とは、金融機関からの融資を前提に売買契約を締結し、万が一審査に通らなかった場合は無条件で契約解除ができるという取り決めです。
事前に金融機関から融資可能と言われていても、本審査に通っていない以上、正式に承認されたとは言えません。融資審査に落ちた場合のリスクを軽減するためにも、必ず確認しましょう。
8.売買契約・決済・引き渡し
売主と買主の間で契約条件が合意に至ったら、宅建士から重要事項の説明を受け、売買契約を締結し、手付金を支払います。手付金の額に明確な規定はありませんが、売買代金の10%程度が一般的です。
売買契約後は、不動産投資ローンの本審査ののち、無事に通れば物件の引渡しを行います。
引渡当日には、融資実行と残金決済、司法書士による所有権の登記が行われます。
9.管理会社を探す
不動産投資を行う場合は、物件や入居者の管理を管理会社に任せるのが一般的です。
管理会社の業務は、入居者募集・契約・入居中のトラブル対応・家賃回収・建物の清掃や維持管理・退去時の業者手配など、非常に多岐にわたります。管理会社にこれらの業務を委託することで、賃貸経営にかかる手間や労力を大幅に削減できます。
ただし、管理会社への委託には毎月の手数料が発生するため、手数料の金額や業務内容をよく比較したうえで、管理会社を選ぶことが大切です。
不動産投資に必要な手元資金は?少額から始められる不動産投資物件
不動産投資を始めるには、物件価格の最低2割程度の手元資金が必要とされています。3,000万円の物件を購入して投資を行う場合は、最低でも600万円が必要ということです。
「不動産投資 自己資金」に関する記事はこちら
不動産投資に自己資金はいくら必要?自己資金別の購入できる物件価格と種別を紹介
しかし、もっと少額から始められる不動産投資物件もあります。ここでは、少額から始められる不動産投資物件を3つご紹介します
コンパクトマンション
コンパクトマンションとは、専有面積が30〜50平方メートル前後の、ワンルームとファミリータイプの中間に位置するタイプの不動産です。
コンパクトマンションに投資するメリットは、初期費用を抑えられる、単身者・2人家族やシニア層からのニーズが高い、などが挙げられます。こうした特徴から、比較的リスクを抑えて不動産投資を始められるため、不動産投資初心者でも取り組みやすいと言えます。
一方、デメリットとしては、広さに対して価格が割高な物件が多い傾向がある点が挙げられます。また、面積が限られているため、将来的にファミリー向けの物件に転用することは難しいでしょう。
地方の物件
地方の物件は、都心と比較すると販売価格が安く、フルローンで購入した場合でも安定した収入を確保できることから、不動産投資初心者でも参入しやすいという特徴があります。
一方、デメリットとしては、人口減少や空き家の増加といった問題と無縁ではないという点が挙げられます。空室リスクが都市部よりも高く、遠方の物件を所有する場合は管理が難しくなるということも押さえておく必要があるでしょう。
築古物件
物件価格の安い築古物件での不動産投資で成功するには、賃貸需要が見込める立地条件を選ぶことが重要です。需要の低いエリアの物件を購入してしまうと、いつまでも入居者が決まらず、出費ばかりが増えることになりかねないためです。
一方で、築古物件はリフォームすることで、魅力的な物件に生まれ変わる可能性があります。その場合も、賃貸需要に合わせたリフォームをできるかが重要なため、リフォームすべきかどうかも含めて慎重に検討しましょう。
まとめ
不動産投資は、初心者にとって手を出しにくい分野かもしれません。しかし、自分の目的や目標を明確にし、適切な知識を身につけることで、リスクを最小限に抑えながら安定した収入を得ることが可能になります。
不動産投資は長期的な視点が必要な投資手法ですが、自分に合った不動産を選び、適切なリスク管理をしながら、着実に進めていくことが成功への近道です。
「不動産投資とは」に関する記事はこちら
不動産投資とは?基礎知識とメリット・デメリットをわかりやすく解説

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ワンポイントアドバイス
投資用物件を取り扱っている不動産会社の中には、購入から管理、売却(出口戦略)までトータルでサポートしている会社もあります。物件購入と運用だけが不動産投資ではないので、その先も見据えて計画を立てたり、プロの手を借りたりすることをおすすめします。
この記事のポイント
Q. 不動産投資にはどのような種類があるのですか?
A. これから不動産投資を始めようとしている方の中には、不動産投資にどんな種類があるのか、イメージしづらい方もいるかもしれません。まずは不動産投資の代表的な種類と、それぞれの特徴を知りましょう。
詳しくは「不動産投資の代表的な種類と特徴」をご覧ください。
Q. 不動産投資にはどんなリスクがありますか?
A. 不動産投資には、6つのリスクが伴います。不動産投資で成功するには、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
詳しくは「失敗を避けるために知っておきたい不動産投資の6大リスク」をご覧ください。
Q. 結局、不動産投資は何から始めたら良いのですか?
不動産投資に関心があるものの、何から手を付けたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。実際に不動産投資を始めるときの、大まかな流れをご紹介します。「初心者必見!不動産投資の始め方」をご覧ください。