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2025.11.11

#不動産投資#節税対策#資産運用

不動産投資における土地と建物の資産価値の違いとは?「最適なバランス」の考え方

不動産投資における土地と建物の資産価値の違いとは?「最適なバランス」の考え方

ざっくり要約!

  • 建物は時間と共に価値が下がるが土地の価値は下がりにくい
  • 節税目的なら建物の価値を重視、長期的な資産防衛が目的なら土地の価値を重視
  • 最適な価値のバランスは投資目的によって変わる

不動産投資で物件を選ぶ際には、利回りのほかにも見るべきポイントは複数ありますが、「土地」と「建物」の価格比率も重要なポイントです。土地と建物は似た者同士に見えて異なる資産であり、それぞれ異なる資産価値を持っています。

「節税なら建物重視」「資産防衛なら土地重視」といった定説もありますが、その本質を理解せずに物件を選んだ結果、思わぬ失敗に繋がったケースも少なくありません。

この記事では、土地と建物の資産価値の根本的な違いから、具体的なシミュレーションまで交えて解説します。

土地と建物の資産価値とは?

不動産投資の利益を最大化するためには、物件全体の価値を「土地の価値」と「建物の価値」に分けてそれぞれを正しく把握することが大切です。このため、物件価格を土地の価格と建物の価格に分けたうえで、それぞれの価格が相場と比較して高いのか安いのかを確認しておきましょう。

不動産投資の収益は家賃収入(インカムゲイン)と物件の売却益(キャピタルゲイン)に分かれています。土地建物双方の価格を把握することは、物件の売却益(キャピタルゲイン)や売りやすさを想定するうえで特に重要です。

また、資産価値が高く売りやすい物件は、賃貸入居者の目線から見ても良い物件であることが多く、家賃収入も得やすくなります。

例えば、戸建てや一棟アパートが土地と建物で構成されているのは、イメージしやすいのではないでしょうか。これは区分マンションの一室を購入する場合も同じです。

マンションの一室を所有するということは、部屋という「建物の一部(専有部分)」と、マンションが建つ土地の権利の一部である「土地の所有権(敷地利用権)」を合わせて保有することを意味します。

つまり、どのような建物を保有するとしても、基本的に投資家は必ず土地と建物の両方の価値に資金を投じているのです。

土地と建物の資産価値の違い

土地と建物は、資産価値の性質が根本的に異なります。投資戦略を立てる上で最も重要な違いは、建物が時間と共に価値を減らす「減価償却資産」であるのに対し、土地は時間経過で価値が減らないという点です。

建物の資産価値は基本的に経年によって落ちていく

建物の資産価値は、会計上・税法上、時間と共に規則的に減少していく「減価償却資産」として扱われます。

建物は雨風や使用によって物理的に劣化していくため、その価値は年々目減りしていくという考え方が基本にあるからです。この価値の減少分を「減価償却費」として、確定申告で不動産所得から経費として差し引き可能です。

減価償却の仕組みを利用すれば、一定期間は経費計上できるため、課税所得を圧縮し、所得税や住民税を軽減する効果を期待できます。

一方で、この減価償却は売却時の税金(譲渡所得税)にも影響します。減価償却によって帳簿上の建物の価値は年々下がっていくため、もし物件購入時と同じ価格で売却できた場合は、帳簿上の利益(売却益)が大きくなるため要注意です。結果として売却時にかかる税金が増える可能性があります。

・「減価償却」に関する記事はこちら
不動産投資 減価償却 減価償却とは 計算方法

土地の資産価値も変動しないわけではない

土地の資産価値は建物とは異なり、経年劣化で価値がゼロになることはありませんが、様々な外部要因によって価値が変動します。

土地は物理的に消耗しない「非減価償却資産」であり、土地の価値は「利便性」や「将来性」「希少性」といった社会的な評価によって決まるからです。

例えば、近隣に新しい駅が開業したり、大規模な再開発が行われたりして街の人気が高まれば、土地の価値は大きく上昇する可能性があります。逆に、人口減少が著しいエリアでは価値が下落するリスクもあるものです。

土地の価値を測る公的な指標には、国が発表する「公示地価」や、相続税・贈与税の基準となる「路線価」など複数の評価額があります。

これらは土地の価値を客観的に見るための重要な目安となりますが、実際の不動産投資においては、市場の需要と供給で決まる「実勢価格」の動向を注視することが最も重要です。

資産価値が下がりにくい収益物件の見極め方

長期的に安定した収益を目指す不動産投資において、資産価値が下がりにくい物件を見極めることは最も重要な戦略の一つです。具体的には、「立地」「土地の条件」「建物の状態」という3つの要素を総合的に判断することが求められます。

・「物件選び」に関する記事はこちら
不動産投資で成功する物件の選び方|優良物件を見極めるポイントと現地調査のコツ

立地

物件の資産価値を維持する上で、最も重要な要素は「立地」です。建物は時間と共に劣化しますが、立地に由来する物件の価値は後から変更することができず、物件の賃貸需要を根本から支える本質的な価値であり続けるからです。

入居者が「ここに住みたい」と思う魅力的な立地であれば、築年数が経過しても空室リスクを低く抑え、安定した家賃収入を確保できます。

具体的には、「最寄り駅から徒歩10分以内か」「都心の主要駅まで30分以内でアクセスできるか」といった交通の利便性が重要です。そのほか、スーパーやコンビニ、病院といった生活関連施設が周辺に充実しているかも重要な判断基準になります。

さらに、自治体が公表している人口動態や再開発計画などを確認し、将来的にそのエリアの人口が増加する見込みがあるかどうかも見極めるべきポイントと言えるでしょう。

データに基づいて客観的に現在および将来の賃貸需要が見込める立地を選ぶことが、物件の資産価値を長期的に維持するための最優先事項となります。

・「立地」に関する記事はこちら
地方の不動産投資は儲かる? 都市部と比較と成功するポイント

土地の形状・接道・用途地域などの条件

立地の他に、「土地そのものが持つ法的な条件」も資産価値を左右する重要な要素です。法的な条件は、将来の建て替えや売却の可能性、つまり資産の柔軟性に直接影響を与えます。

特に築古の中古物件は、現在の法律の基準を満たしていないケースも少なくありません。法律関係のことを知らずに築古の物件を購入すると、物件売却などの際に大きな制約を受ける可能性があります。

特に注意すべきは、建築基準法で定められた接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していること)です。接道義務を満たしていない「再建築不可物件」は、一度建物を壊すと新しい建物を建てられないため、資産価値が著しく低くなります。

また、土地に対して建てられる建物の広さを決める容積率や建ぺい率に余裕があれば、将来増築できる可能性が残されています。さらに、どのような建物を建てられるかを定めた用途地域も、その土地の将来性や住環境を判断する上で欠かせない情報です。

・「築古物件投資」に関する記事はこちら
築古物件投資のメリット・デメリットは?出口戦略・リノベのポイントを解説

建物の構造・築年数・管理状態

建物の資産価値は、物理的なスペックと、それが金融機関や入居者からどう評価されるかによって決まります。建物の構造や築年数は金融機関の融資評価に大きく影響し、管理状態は入居者の満足度や将来の修繕コストに直結するからです。

これらを総合的に判断することで、その物件が将来にわたって安定した収益を生むかを予測できます。

具体的に、金融機関は融資期間を審査する際に、法定耐用年数(例:木造22年、鉄筋コンクリート造47年)を一つの基準とします。耐用年数が長く残っている建物ほど、長期の融資を受けやすいものです。

そして、もう一点重要なポイントは物件の管理状態です。「建物の資産価値は管理で決まる」と言われるほどで、特に一棟もの物件では、外壁の修繕履歴や共用部の清掃状況、長期修繕計画の有無などを必ず確認しましょう。

管理が行き届いた物件は入居者の満足度が高く、空室が出にくいだけでなく、将来の突発的な大規模修繕リスクも低減できます。

・「融資」に関する記事はこちら
不動産投資ローンの審査に落ちる理由とは?審査基準と対策を解説
不動産投資ローンの金利相場はどれくらい?金利タイプによる返済額を比較

建物重視・土地重視のメリット・デメリット

建物重視 土地重視 メリットデメリット

不動産投資において、建物の価値を重視すべきか、土地の価値を重視すべきかは、投資家自身の目的によって答えが変わります。建物と土地では資産価値の性質が全く異なり、それぞれがもたらすメリットが異なるからです。

ご自身の投資戦略を明確にするためにも、まずは建物重視・土地重視それぞれのメリットとデメリットを正しく理解することが重要になります。

建物の資産価値を重視するメリット・デメリット

建物の資産価値を重視する投資戦略は、特に「節税効果」と「初期のキャッシュフロー改善」に大きなメリットがあります。建物価格の割合が高い物件は、経費として計上できる減価償却費を多く取れるためです。

なお、新築や築浅の物件は資産価値を認められやすいため、金融機関の融資審査を受けるうえでは有利です。また、最新の設備が入っているため高い家賃を設定しやすく、入居者付けが容易である点もキャッシュフローの安定に寄与します。

節税効果を重視するのであれば、なるべく管理の行き届いた中古の木造物件がおすすめです。建物の資産価値が維持されていれば、減価償却の仕組みを利用するうえで有利に働きます。

一方で、築古の木造中古物件は、賃貸入居者から敬遠されがちな点がデメリットとなるため、入居者募集の戦略が特に重要です。

・「節税」に関する記事はこちら
不動産投資で節税ができる仕組みを解説! 住民税・所得税・相続税を節税したいときの注意点は?
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土地の資産価値を重視するメリット・デメリット

土地の資産価値を重視する投資戦略は、「長期的な資産防衛」と「将来のキャピタルゲイン(値上がり益)」に強みがあります。土地は建物と違って物理的に劣化せず、その価値がゼロになることはないため、資産の目減りリスクが低いからです。

特に都心の一等地や将来の再開発が期待されるエリアの物件は、地価の上昇によって購入時よりも高く売却できる可能性を秘めており、インフレ対策としても有効な資産となります。

一方で、デメリットとしては、建物の価値が低い分、減価償却による節税メリットはほとんど期待できない点が挙げられます。また、土地の評価額が高いと、毎年の固定資産税の負担が重くなる点にも要注意です。

建物が古い場合は、家賃収入(インカムゲイン)の利回りが低くなりがちで、修繕費がかさむ可能性も考慮しなくてはなりません。

土地重視の戦略は、目先のキャッシュフローや節税効果よりも、長期的な視点で資産価値を維持・向上させたいと考える投資家に適した手法と言えます。

・「キャッシュフロー」に関する記事はこちら
キャッシュフロー重視 vs. キャピタルゲイン重視|不動産投資戦略の違いと選び方

【シミュレーション】物件タイプ別に見る土地・建物のバランスと投資効果

土地と建物のバランスの違いが、実際の投資効果にどれほど具体的な影響を与えるのか、ここでシミュレーションを通じて見ていきましょう。

同じ価格の物件であっても、その資産価値の内訳が異なると、手元に残るお金(税引き後キャッシュフロー)や将来の資産価値に直接的な差が生まれます。

投資戦略が対照的な以下2つのモデルケースとします。

ケースA:建物重視型(新築木造アパート)
ケースB:土地重視型(都内・築古RCマンション)
※税率や経費率は簡略化しています。

比較項目建物重視型土地重視型
物件価格5,000万円5,000万円
資産価値の内訳建物:3,000万円 土地:2,000万円建物:1,500万円 土地:3,500万円
構造・築年数木造・新築RC造・築25年
年間家賃収入350万円300万円
年間経費 ※減価償却費・ローン返済元本・税金を除く100万円80万円
年間減価償却費約136万円 3,000万円 ÷ 22年約68万円 1,500万円 ÷ 22年 (残存耐用年数)
税引き後キャッシュフロー約216万円約197万円
5年後の売却価格想定4,360万円 ※建物価値の下落が大きい5,075万円 ※土地の値上がりを見込む
投資戦略短期的な節税効果 キャッシュフロー重視長期的な資産防衛 キャピタルゲイン狙い

建物重視のケースAは、大きな減価償却費によって課税所得を圧縮し、手元に残るキャッシュフローを増やしやすいという明確なメリットがあります。一方、土地重視のケースBは、キャッシュフローでは劣るものの、土地の価値が資産全体を支えることで、将来的な資産価値の安定性、ひいては値上がり益に優位性があります。

どちらの物件が絶対的に優れているというわけではありません。「短期的な節税とキャッシュフローを重視するのか」、それとも「長期的な資産価値の安定性を重視するのか」という、ご自身の投資目的によって最適な戦略を選ぶことが重要です。

・「シミュレーション」に関する記事はこちら
不動産投資シミュレーションの作り方と使い方|キャッシュフローと利回りを正確に把握する方法

土地と建物のバランスを検討するときのポイント

ここからは、ご自身の投資戦略に合った「最適なバランス」を見つけるための、具体的な3つの判断ポイントをご紹介します。不動産投資の成功は、単に良い物件を見つけることだけでなく、「自分の目的に合った物件」を選ぶことで達成されるからです。

節税効果

不動産投資に「高い節税効果」を期待するなら、建物価値の割合が高い物件が有利な選択肢となります。所得税や住民税の計算上、経費として計上できる減価償却費は建物価格をもとに算出されるためです。

建物価値が大きいほど減価償却費も大きくなり、課税所得を圧縮する効果が高まります。前項で示したシミュレーションのケースAのように、木造アパートは減価償却の期間が短い分、1年あたりの減価償却費が高くなるため、手元に残る現金が多くなる効果を期待できます。

ご自身の所得が高く、キャッシュフローの最大化のために節税を重視したい場合は、土地よりも建物の価値に重きを置いた物件選びが有効な戦略です。

融資への影響

金融機関からの融資審査を有利に進めたいと考えるなら、「土地の担保価値」と「建物の法定耐用年数」の両方をバランス良く満たしている物件が適しています。金融機関は融資審査の際、「万が一返済が滞った場合に、物件を売却して貸したお金を回収できるか」という視点を非常に重視するからです。

その際、価値が安定している土地の担保評価と、融資期間の目安となる建物の残存耐用年数が大きな判断材料となります。

例えば、法定耐用年数を大幅に超えた古い木造アパートなどは、担保価値が低いと判断されやすいものです。結果的に、融資期間が短くなったり、そもそも融資が下りなかったりする傾向があります。

逆に、都心部で土地の評価が高く、かつ建物の構造が頑丈なRC造で耐用年数も十分に残っている物件であれば、好条件で長期の融資を引き出せる可能性が高まります。

融資を最大限に活用したいなら、建物か土地かどちらか一方に偏るのではなく、金融機関の評価が高い資産価値のバランスが取れた物件を選ぶのが有利です。

出口戦略

将来どのようにして利益を確定させるか(=出口戦略)によっても、最適なバランスは変わります。短期的な売却益を狙うのか、長期的に保有して資産とするのかを明確にすることが重要です。

出口戦略によって、ターゲットとなる買い手や売却のタイミングが変わるため、評価される価値のポイントも異なるからです。

例えば、短期的な売却益(キャピタルゲイン)を狙うのであれば、将来の再開発計画があるエリアや、地価上昇が見込めるエリアの「土地価値が高い物件」がターゲットとなります。

一方で、長期保有で安定収入(インカムゲイン)を得て、最終的に売却する場合は、安定した賃貸需要が見込める立地で、かつ建物も一定の品質を保っている「バランス型の物件」が向いています。

・「出口戦略」に関する記事はこちら
不動産投資の出口戦略とは? 売却・相続・法人化、適切な出口を見極めるポイント

まとめ

建物の価値は短期的な節税やキャッシュフローに貢献し、土地の価値は長期的な資産防衛のポイントであるなど、両者の性質は全く異なるものです。

シミュレーションでご覧いただいた通り、同じ物件価格でもその価値の内訳によって、投資効果は大きく変わってきます。不動産投資に唯一絶対の正解はなく、不動産投資の目的によって適した資産価値のバランスは異なります。

物件情報を探す前に不動産投資の目的を固めることが重要です。また、物件価格の総額だけでなく、土地と建物の価格バランスにも目を向ける習慣をつけましょう。

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ワンポイントアドバイス

不動産投資の世界では「物件の資産価値」という言葉はよく使われるものです。しかし、初心者の方は特に「資産価値と言われても、何をどう判断すればいいのか分からない」と思われるかもしれません。
よくわからない場合は特に、物件現地を訪問して確認するのが有効です。外観・設備ともにきれいで好立地の物件は、資産価値が高いと評価されます。物件現地を訪れて管理状態を自分の目で確かめることが、資産価値が高い物件の見極めにつながります。

この記事のポイント

Q.土地と建物の資産価値とは?

A. どのような建物を保有するとしても、基本的に投資家は必ず土地と建物の両方の価値に資金を投じます。不動産投資の利益を最大化するためには、物件全体の価値を「土地の価値」と「建物の価値」に分けてそれぞれを正しく把握することが大切です。詳しくは「土地と建物の資産価値とは?」をご覧ください。


 Q. 資産価値が下がりにくい物件はどう見極めたら良いでしょうか?

A. 長期的に安定した収益を目指す不動産投資において、資産価値が下がりにくい物件を見極めることは最も重要な戦略の一つです。詳しくは「資産価値が下がりにくい収益物件の見極め方」をご覧ください。


 Q. 建物を重視すべきか、土地を重視すべきか、それぞれのメリット・デメリットはありますか?

A. 不動産投資において、建物の価値を重視すべきか、土地の価値を重視すべきかは、投資家自身の目的によって答えが変わります。詳しくは「建物重視・土地重視のメリット・デメリット」をご覧ください。

ライター:秦創平

海外も含めた不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門。

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