市況・マーケット

~東急リバブル不動産鑑定士が見る~「令和8年 地価公示」

2026年4月22日

「令和8年地価公示」(令和8年1月1日時点の土地価格)が国土交通省より3月17日に発表されました。

【まとめ】

 全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇し、全用途平均・商業地は上昇幅が拡大しましたが、住宅地は前年と同じ上昇幅となりました。
 三大都市圏平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも 5 年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。
 東京圏、大阪圏では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇幅が拡大しましたが、名古屋圏ではいずれも上昇幅が縮小しました。
 地方圏平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇し、全用途平均・住宅地は上昇幅が縮小しましたが、商業地は前年と同じ上昇幅となりました。
 地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇幅が縮小しました。
その他の地域では全用途平均・住宅地は前年と同じ上昇幅となりましたが、商業地は上昇幅が拡大しました。

※地価公示は1月1日時点の価格であり、直近の経済環境の変化などは反映されていません。

Ⅰ.令和8年地価公示の概要

令和8年 住宅地(前年) 商業地(前年)
全国 + 2.1%(+ 2.1%) + 4.3%(+ 3.9%)
三大都市圏 + 3.5%(+ 3.3%) + 7.8%(+ 7.1%)
東京圏 + 4.5%(+ 4.2%) + 9.3%(+ 8.2%)
大阪圏 + 2.5%(+ 2.1%) + 7.3%(+ 6.7%)
名古屋圏 + 1.9%(+ 2.3%) + 3.3%(+ 3.8%)
地方圏 + 0.9%(+ 1.0%) + 1.6%(+ 1.6%)
東京圏:
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県内の首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町村の区域
大阪圏:
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県内近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域
名古屋圏:
愛知県、三重県内の中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域
地方圏:
三大都市圏を除く地域

地価公示とは

地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和8年地価公示では、26,000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。

※令和8年の地点数には、隔年で調査を行う地点430地点、福島第一原子力発電所事故の影響により調査を休止した4地点及び令和6年能登半島地震の影響による1地点の計435地点が含まれています。

Ⅱ.トピックス

(1)住宅地の上昇率トップはスノーリゾート

 全国の住宅地で上昇率1位となったのは長野県・白馬村(標準地番号:白馬-1)で上昇率は前年比+33.0%となりました。
 2位は北海道・富良野市(標準地番号:富良野-4)で、上昇率は前年比+30.0%、3位は長野県・野沢温泉村(標準地番号:野沢温泉-1)で上昇率は前年比+22.3%となりました。
 背景には、円安を追い風とした海外富裕層による別荘や高級コンドミニアムへの投資需要があります。
 先行して高騰したニセコエリアから、より割安感のある白馬や富良野、さらには伝統的な景観が支持される野沢温泉へと投資の矛先が分散・波及しました。

(2)商業地の上昇率トップは半導体関連地域

 商業地の上昇率1位は北海道・千歳市(標準地番号:千歳5-3)で前年比+44.1%、2位も北海道・千歳市となりました。
 この地価高騰を牽引しているのは、次世代半導体の国産化を目指す大手半導体メーカーの工場建設です。
 2027年の量産開始を控え、関連企業の進出が相次いでおり、ビジネスホテルやオフィス、飲食店、さらには従業員向けのマンション需要が急増しています。

(3)主要都市における商業地の回復と上昇

 国内外の来街者数が増加し、旺盛な消費活動によって店舗の収益性が高まっていることから、主要都市の中心部で強い店舗需要が見られます。
 大阪では、インバウンド需要の回復などから「心斎橋駅周辺」を中心に地価が押し上げられ、大阪市中央区の商業地の平均変動率は+15.5%と高い上昇率を示しました。
 また、東京においても、東京都心部では大規模な再開発プロジェクトが相次いで進行しており、これらの地域では集客力の向上や新たなビジネス拠点の創出への期待から、商業地を中心に地価が大きく上昇しています。
 さらにオフィス街においても、空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上しており、インバウンドによる店舗・ホテル需要と相まって、主要都市全体の地価上昇を力強く牽引しています。

(4)住宅地・商業地の最高価格

 全国の住宅地の最高価格地点は東京都港区赤坂1丁目(標準地番号:港-4)で、価格は7,110,000円/㎡、上昇率は前年比+20.5%となりました。
 一方、商業地の最高価格地点は東京都中央区銀座4丁目(標準地番号:中央5-22)で、価格は67,100,000円/㎡、上昇率は前年比+10.9%となりました。