ローン 残っている マンション 売却
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ローンが残っているマンションは売却できるのか? 売却の流れや方法を伝授

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 住宅ローンの返済が残っているマンションを売却するためには、引き渡しまでに残債をすべて返済し、金融機関が設定した抵当権を抹消しなければならない
  • 売却価格がローン残高を下回る場合は、不足分を自己資金で補填するか住み替えローンを利用するなどの対策が必要

転勤や子どもの成長、親の介護などの事情により、ローン残債のあるマンションを売却し、住み替えをする人は少なくありません。

住宅ローンが残るマンションを売却するためには、引き渡しまでに全額を返済して、金融機関が設定した「抵当権」を抹消する必要があります。

この記事では、ローンが残っているマンションを売却する条件や手順、かかる税金などについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ローンが残っているマンションでも売却できる!

住宅ローンの残債がある場合、原則として抵当権を抹消しなければマンションを売却することはできません。抵当権を抹消するためには、住宅ローンの一括返済が必要です。以下で詳しく解説します。

マンション売却の条件は原則「抵当権抹消」

抵当権とは、万が一ローンの返済が滞った際に金融機関が物件を競売にかけて資金を回収するために設定する権利のことです。

抵当権が付いたままのマンションでも売買自体はできますが、実務上は「抵当権抹消登記」をしないと売買契約が成立しないケースがほとんどです。

抵当権が残ったままの物件を購入すると、元の持ち主(売主)が返済を怠った場合にその物件が競売にかけられ、新しい持ち主(買主)が所有権を失うリスクがあるためです。

そのようなリスクのある物件を購入しようとする人はまずいないため、売却するためにはマンションの引き渡しまでに抵当権を抹消することが条件となります。

住宅ローンを完済すれば抵当権が抹消できる

住宅ローンを全額返済すれば、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が発行されます。

この発行された書類をもとに、法務局で「抵当権抹消登記」の手続きをするとマンションに設定された抵当権を抹消できます。

住宅ローンを完済しても、抵当権は自動的に抹消されるわけではないため、法務局での登記手続きが必要です。

一般的には、マンションの決済日・引き渡し日に買主から受け取った売却代金を用いてローンを完済し、その後すぐに司法書士が法務局に向かい抵当権抹消登記をします。

ローンが残っているマンションの売却の流れ

ローンが残っているマンションを売却するときの手順は以下のとおりです。

  1. 住宅ローン残債を把握する
  2. マンションを査定する
  3. 媒介契約を締結する
  4. 販売活動・内覧対応
  5. 売買契約
  6. 残代金決済・ローン完済・抵当権抹消
  7. 引き渡し

1.住宅ローン残債を把握する

まずは住宅ローンの残債が具体的にいくらあるのかを調べましょう。

ローン残債は、借入先の金融機関から定期的に送られる「返済予定明細書」に記載されている他、インターネットバンキングや店舗の窓口などでも確認できます。

契約時に発行される返済予定表や毎年9〜10月ごろに郵送される「残高証明書」にもローン残高が記載されていますが、売却時点の金額を把握できるとは限りません。

返済予定明細書や金融機関への問い合わせなどでマンションの売却時点における住宅ローン残高を確認しましょう。

2.マンションを査定する

住宅ローン残債を確認した後は、不動産会社にマンションの査定を依頼していくらで売れそうかを確認しましょう。マンションの適正な価格を知るためにも、複数の不動産会社に査定を依頼して査定結果を比較することをおすすめします。

マンションの査定額を把握できたら、住宅ローンの残債と比較して「アンダーローン」と「オーバーローン」のどちらであるか確認しましょう。

  • アンダーローン:売却価格がローン残債を上回っている状態
  • オーバーローン:売却価格がローン残債を下回っている状態

アンダーローンの場合、売却代金でローンを完済できます。一方、オーバーローンの場合、売却代金だけではローンを完済できないため、不足分を自己資金(預貯金)で補填しなければなりません。

また、売却時には仲介手数料や印紙税などの諸費用がかかります。売却価格がローン残債を上回っていても、諸費用を差し引くと持ち出しが必要になるケースがあります。

マンションの場合、諸費用の目安は売却価格の43〜6%程度です。売却時の資金計画を立てる際は、不動産会社とも相談して売却代金でローン残債と諸費用を賄えるか確認しましょう。

3.媒介契約を締結する

売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

どの契約形態にすべきか判断に迷う場合は「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を選ぶと良いでしょう。

複数の不動産会社と契約できる一般媒介契約に対し、専任媒介や専属専任媒介契約は1社としか契約を結ぶことができません。

他社に成約を奪われて労力が無駄になるリスクがないため、担当者は広告費や時間をかけて熱心に売却活動をしてくれる可能性があります。

4.販売活動・内覧対応

不動産会社と売買契約を締結したら、査定額や市場の状況などをもとに売り出し価格を設定し、インターネットやチラシに掲載する広告を作成してもらって売却活動を開始します。

マンションの居住中に売却活動をする場合は、売主自身が不動産会社の担当者とともに内覧対応をすることもあります。

一方、売り主がいると購入希望者が遠慮してマンション内をじっくりと内覧できない場合もあるため、初回の対応時は席を外し、不動産会社の担当者に任せるのも1つの方法です。

また、購入希望者の印象を良くするために、部屋の片付けや清掃を入念に行いましょう。汚れが目立つ水回りや家の顔である玄関はとくにきれいにすることをおすすめします。

5.売買契約

買主と売却価格や引き渡し日などの条件を話し合い、双方が合意したら不動産会社の立ち会いのもとで売買契約を締結します。その際、手付金(売買代金の5〜10%程度)を受領するのが一般的です。

売買契約を締結し、マンションの引き渡し日が決まったら、速やかに借入先の銀行へ連絡して住宅ローンの全額繰り上げ返済の申し出をします。銀行によっては、手続きが数週間かかるケースもあるため注意しましょう。

6.残代金決済・ローン完済・抵当権抹消

引き渡し当日は、売買代金から手付金を差し引いた残代金の決済と登記を同時に行います。

一般的には、売主、買主、仲介業者、司法書士といった関係者が金融機関の一室に集まり、以下の流れで手続きを進めます。

  1. 買主から売主の口座へ残代金が振り込まれる
  2. 着金した資金を用いて売主のローンを一括返済する
  3. 金融機関の担当者が入金と完済を確認して「抵当権抹消書類」を発行する
  4. 司法書士が法務局へ行き「抵当権抹消登記」を申請する

手続きを行う場所や手順が異なる場合もあるため、事前に不動産会社の担当者や銀行担当者、司法書士に確認しておきましょう。

7.引き渡し

残代金の決済が終わると、マンションの鍵や必要書類などを買主に引き渡すことで売却手続きは完了です。

原則として決済日までに引っ越しを済ませ、マンションの室内を空の状態にする必要があります。

売買契約時に買主が承認していない家具や衣類などの残置物がないよう、計画的に退去作業を進めましょう。

マンションを売ってもローンを完済できない場合の対処法

売却代金のみでローンを完済できない場合は、以下の方法で対処できます。

  • 自己資金などを充当して完済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却する
  • ローン残債が減るまで待つ

自己資金などを充当して完済する

自己資金を用いて完済する場合、金融機関からの特別な承認は不要であり、通常のマンション売却と同様の手順で手続きを進められます。

個人の信用情報に傷が付き、クレジットカードの作成や新たなローンの利用などに支障が出ることもありません。

ただし、マンションを売却した後の生活に必要な資金まで使わないようにしましょう。

新居の初期費用や当面の生活費、近い将来に支払うまとまった支出などを支払える資金は手元に残し、無理のない範囲で自己資金を返済に充てることが大切です。

住み替えローンを利用する

住み替えローン(買い替えローン)とは、現在のマンションを売却しても返しきれなかった住宅ローンの残債を、新居の購入資金に上乗せして借り入れるローンのことです。

住み替えローンを活用することで、自己資金を用意できない場合でも、住宅ローンが残る家の売却と新居の購入を進められます。

住み替えローンを利用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • マンションの売却と新居の購入の決済日を同じ日に設定するのが原則
  • 借入額が新居の担保価値を超えるため、返済負担が重くなりやすく金融機関の審査も厳しい傾向にある
  • 通常の住宅ローンよりも金利が高く設定されることがある
  • 利用できる金融機関が限られている

住み替えローンを利用する際は、将来のライフプランを考慮し、返済負担が家計を圧迫しないか慎重に検討しましょう。

また、不動産会社や旧居の買主、新居の売主などの関係者と綿密にスケジュール調整をする必要もあります。

任意売却する

任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった場合に金融機関の合意を得て一定の条件のもとでマンションを売却する方法です。

ローンの返済を滞納し続けたことで金融機関にマンションを差し押さえられて競売にかけられる場合、売却代金は市場価格の5〜7割程度となるのが一般的です。

一方、任意売却であれば市場価格に近い金額で売ることも可能です。

ただし、任意売却をするとその後一定期間(通常は5年程度)はクレジットカードの作成や新たなローンの利用などができなくなる可能性があります。

返済を長期にわたり滞納した履歴や、期限の利益(住宅ローンを分割で返済できる権利)を喪失して保証会社が代位弁済をした情報が信用情報機関に登録されることが多いためです。

また、任意売却をしても残債がなくなるとは限りません。売却後も残るローンについては、無理のない範囲で返済できるよう債権者である金融機関と交渉する必要があります。

ローン残債が減るまで待つ

急いでマンションを売却する必要がない場合は、住宅ローンの残債が売却価格を下回る「アンダーローン」の状態になるまで待つのも1つの方法です。

マンションの資産価値は築年数の経過とともに低下していきますが、それを上回る早さでローン残高が減るといずれアンダーローンの状態になります。

ただし、ローン残債よりも早くマンションの資産価値が下がる場合、時間が経過してもアンダーローンの状態にはなりません。

不動産市況の動向や築年数ごとの価格推移、ローン残高の推移を確認し、アンダーローンになるまで売却を待つべきか慎重に検討する必要があります。

ローン残債がある家の売却コストや住み替えの負担を下げるコツ

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住宅ローン残債があるマンションを売却する際のコストや住み替えの負担を下げたい場合は、以下の方法を行うのがよいでしょう。

  • 控除特例を適用する
  • 売り先行で住み替える
  • つなぎ融資を活用する

控除特例を適用する

マンションを売却して利益や損失が出た場合、確定申告で控除特例を適用すると税金の負担を軽減することが可能です。
譲渡所得が出た場合
マンションを売却して得られた利益(譲渡所得)は、所得税や住民税の課税対象です。これら売却益に課される税金は「譲渡所得税」といわれています。

譲渡所得が生じる場合は、以下の控除特例を適用することで譲渡所得税の負担を軽減したり、納税を先送りにしたりできます。

制度概要
居住用財産の3,000万円特別控除マイホーム(居住用財産)の売却時、所有期間に関係なく譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度
所有期間10年超の軽減税率の特例売却した年の1月1日時点での所有期間が10年超の場合、課税対象となる譲渡所得のうち6,000万円以下の税率が通常の20.315%から14.21%に軽減される特例
特定の居住用財産の買換えの特例マイホームを買い替える場合、譲渡所得税の課税を新居の売却時にまで先送りにできる制度

譲渡損失が出た場合

マンションを売却して損失(譲渡損失)が出た場合は、一定の要件を満たすと「損益通算及び繰越控除の特例」を適用することが可能です。

損益通算は、売却による損失を給与所得などの他の所得から差し引いて相殺する制度のことです。損益通算により、その年の所得金額が減ると所得税や住民税の負担が軽減されます。

繰越控除は、その年に控除しきれなかった損失を、翌年以降の3年間にわたって繰り越して各年の所得と相殺できる制度です。

売却する中古マンションが居住用財産(マイホーム)である場合、適用できる損益通算及び繰越控除の特例には、主に以下の2種類があります。

制度概要
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例住宅ローン残高が売却価格よりも大きい状態でマイホームを売却した際の特例
居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例マイホーム売却で損失が発生し、新たに住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合の特例

譲渡損失が生じた場合、本来であれば確定申告は不要ですが、上記の特例を適用するときは必要書類を準備のうえ申告手続きが必要です。

売り先行で住み替える

マンションの買い替えを進める手順には、住んでいる家を先に売って新居を買う「売り先行」と、先に新居を買ってから今の家を売る「買い先行」があります。

住宅ローンが残っている場合は「売り先行」を選ぶのがよいでしょう。

売り先行では、住んでいるマンションの売却金額が先に決まるため、新居の予算や新たに組むローンの返済計画が立てやすくなります。

また、納得できる価格でマンションを売却できるまで、じっくりと買主探しを進められる点もメリットです。

ただし、住んでいるマンションを引き渡してから新居に入居するまでの期間が空く場合は、仮住まいが必要です。その場合、仮住まいの家賃や共益費などがかかる他、引越し費用も2回分支払うことになるため、コストがかかる可能性がある点には注意が必要です。

つなぎ融資を活用する

買い先行で住み替えたいものの、住んでいるマンションが売れるまで新居の購入資金を準備できない場合は「つなぎ融資」を活用するのも1つの方法です。

つなぎ融資を利用すれば、現在のマンションを売却する前に新居を購入・建築するための資金を確保できます。

マンションの売却が完了した時点で、売却代金を使ってつなぎ融資を一括返済するため、気に入った物件を逃さずに購入したい場合に有効な手段といえます。

ただし、つなぎ融資は一般的な住宅ローンよりも金利が高く、借入期間は半年から1年程度と短く設定されることが多い点には注意が必要です。

まとめ

住宅ローンを返済中も、マンションの引き渡しまでに残債をすべて返し、抵当権抹消登記をすれば売却は可能です。

売却代金だけで完済できない場合は「自己資金を充てる」「住み替えローンを活用する」「任意売却をする」といった方法を用いることで売却できます。

まずは現在のローン残高とマンションの査定額を把握し、信頼できる不動産会社にサポートを依頼し、無理のない計画を立てたうえで売却活動を進めましょう。

この記事のポイント

ローンが残っているマンションでも売却できますか?

住宅ローンの残債がある場合、原則として抵当権を抹消しなければマンションを売却することはできません。抵当権を抹消するためには、住宅ローンの一括返済が必要です。

詳しくは「ローンが残っているマンションでも売却できる!」をご覧ください。

もしマンションを売却してもローンが完済できない場合はどうしたら良いですか?

売却代金のみでローンを完済できない場合は、以下の方法で対処できます。

  • 自己資金などを充当して完済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却する
  • ローン残債が減るまで待つ

詳しくは「マンションを売ってもローンを完済できない場合の対処法」をご覧ください。

住宅ローンの残債があるマンションの売却コストや住み替え時の負担を下げたい場合、どんな対策がありますか?

住宅ローン残債があるマンションを売却する際のコストや住み替えの負担を下げたい場合は、以下の方法を行うのがよいでしょう。

  • 控除特例を適用する
  • 売り先行で住み替える
  • つなぎ融資を活用する

詳しくは「ローン残債がある家の売却コストや住み替えの負担を下げるコツ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

品木 彰

住宅ローンが残っている状態でマンションを売却する場合、失敗を防ぐためには「少しでも高く売ること」がもっとも重要となります。そのためには、信頼できる不動産会社にサポートを依頼する必要があります。不動産会社は、査定額の高さだけで選ばないようにしましょう。「なぜその価格なのか」という算出の根拠やマンションの売却戦略も聞き比べることで、より高値での売却が期待できる不動産会社を選べます。また、不明点や疑問点などに対して迅速かつ誠実に答えてくれるかどうかも不動産会社選びの重要なポイントです。

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