路線価 2025
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2025年路線価上昇率ランキング! 上昇率が高い路線の特徴は?

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

国税庁は7月1日、2025(令和7)年分の路線価を公開しました。路線価とは路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額を指し、相続税や贈与税の算定基準となります。毎年1月1日時点を評価時点としており、地価公示価格などを基にした価格の80%程度を目途に評価されています。

2025年路線価の全国平均は、前年比2.7%上昇。上昇は4年連続で、上昇率は2010年以降で最大となりました。とりわけ東京都の上昇率は8.1%と、他のエリアを凌駕しています。ほか、インバウンド需要の高い観光地の上昇も目立ちます。

【全国】2025年路線価上昇率ランキング

1長野県白馬村+32.4%
2北海道富良野市北の峰町   +30.2%   
3東京都台東区浅草+29.0%
4岐阜県高山市+28.3%
5東京都足立区千住+26.0%

全国の標準宅地のうち最も上昇率が高かったのは白馬(長野県)で、前年比上昇率は32.4%でした。2位の富良野も上昇率は30%を超えており、3位の浅草、4位の高山を含め外国人観光客が多く訪れるエリアです。

訪日外客数 推移
出典:日本政府観光局「訪日外客数(2025年6月推計値)

日本政府観光局によれば、2024年の訪日外客数は3,600万人を突破し、過去最多を記録しました。2025年は6月までに過去最速となる年間2,000万人を突破しており、2025年路線価の評価時点以降もインバウンド需要が高まっているエリアでは、実態が路線価の上昇率を上回っている可能性があります。

【東京都】2025年路線価上昇率ランキング

路線価 2025 浅草
1台東区浅草1丁目(雷門通り)+29.0%
2足立区千住3丁目(北千住駅西口駅前広場通り)+26.0%
3中野区中野5丁目(中野駅北口駅前広場前)+24.7%
4杉並区上荻1丁目(青梅街道)+21.6%
5杉並区高円寺北3丁目(高円寺駅北口商店街通り)+20.1%

標準宅地平均が前年比8.1%上昇した東京都で最も上昇率が高かったのは、全国ランキングでも3位に入った浅草です。2位の北千住は、高い利便性を有する一方で、地価は都心部と比べて安価なことから、都心部を中心に不動産価格が上昇し続けている昨今、とくに注目を集めています。

3位の中野では「100年に一度」とも言われる規模の再開発が進んでおり、4位の上荻1丁目や5位の高円寺は中野へのアクセスが良いエリアです。中野駅周辺の再開発は、建築費の高騰により中野サンプラザの再開発計画が白紙撤回されるなど懸念点はあるものの、同施設の建て替えは駅周辺で進行している再開発計画のひとつに過ぎません。すでに区役所の新庁舎の新築などが完了しており、大規模な分譲マンションの開発なども進んでいることから、今後さらに地価が上昇する余地があります。

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日本各地で進む再開発。東京・大阪の注目エリア
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【神奈川県】2025年路線価上昇率ランキング

1鎌倉市小町1丁目(鎌倉駅東口駅前通り)+19.0%
2相模原市南区相模大野3丁目(相模大野駅北口駅前広場通り)+16.3%
3横浜市旭区二俣川2丁目(二俣川駅南口駅前通り)+15.1%

神奈川県の標準宅地の前年比上昇率は、平均4.4%でした。上昇率ランキング1位は、こちらもインバウンド需要が拡大している鎌倉駅周辺となっています。

2位の相模大野駅周辺は再開発が進むエリアで、2025年11月には北口駅前に超高層複合施設が誕生する予定です。中野駅周辺同様、再開発への期待感が地価を押し上げているものと推測されます。

3位の二俣川駅周辺は、2023年3月の相鉄・東急直通線の開業によって利便性が飛躍的に高まったエリアです。2024年には県内トップの上昇率となりました。利便性が高い一方で、横浜駅や桜木町駅、みなとみらい駅よりも落ち着いた雰囲気があり、駅前の商業施設のリニューアルなども相まって人気が高まっています。

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【埼玉県】2025年路線価上昇率ランキング

1さいたま市大宮区桜木町2丁目(大宮駅西口駅前ロータリー)+11.9%
2さいたま市浦和区高砂1丁目(浦和駅西口駅前ロータリー)+10.8%
3川口市栄町3丁目(駅前産業道路)+8.8%
4川口市川口1丁目(川口駅東口駅前ロータリー)+8.8%

埼玉県も4年連続で路線価が上昇していますが、前年比上昇率は2.1%と全国平均を下回っています。ランキングトップとなった大宮駅は県内最大のターミナル駅で、東京へのアクセスも良く、商業施設なども充実しています。現在、浦和にある市役所本庁舎は2031年を目途に大宮に移転することが決定しています。

2位の浦和駅周辺は東京へのアクセスの良さに加え、文教地区としてのブランド力から、子育て世帯にも人気のあるエリアです。3位の川口駅は、隣接する赤羽駅と比べると地価が安く、近年はとくに東京の不動産価格や賃料が顕著に上昇していることもあって注目されています。川口市栄町3丁目の銀座地区は、2023年に再開発が完了しています。

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【千葉県】2025年路線価上昇率ランキング

1習志野市津田沼1丁目(ぶらり東通り)+18.3%
2千葉市中央区南町2丁目(蘇我駅東口ロータリー)+11.4%
3市川市八幡2丁目(本八幡駅前通り)+11.3%

千葉県の平均上昇率は4.3%と、埼玉県を上回りました。ランキングトップの津田沼駅周辺では再開発計画が進んでおり、その期待感から3年連続トップとなっています。しかし、駅南口の再開発計画については2025年5月、事業者の野村不動産が計画の中断を発表。建築費高騰の波は、各地の再開発計画に大きく影響しているようです。

津田沼駅に加え、2位の蘇我駅、3位の八幡駅といった県内北西部に位置するエリアの上昇が目立つ一方で、銚子市などでは下落が継続しています。

・「津田沼」駅周辺の物件一覧はこちら
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【主要都市】2025年路線価上昇率ランキングトップ

都道府県平均前年比変動率上昇率トップ(かっこ内は前年比上昇率)
北海道+2.4%富良野市北の峰町(+30.2%)
宮城県+4.4%多賀城市中央2丁目(+9.5%)
愛知県+2.8%名古屋市千種区今池1丁目(+14.3%)
大阪府+4.4%大阪市淀川区宮原3丁目(+18.5%)
兵庫県+2.0%豊岡市城崎町湯島(+24.2%)
福岡県+6.0%福岡市東区(+22.4%)
沖縄県+6.3%宮古島市平良字西里(+18.5%)

主要都市の上昇率トップのエリアも、宮古島や城崎温泉など国内外の観光需要が高いエリアが目立ちます。また、新大阪駅や箱崎駅周辺など再開発やマンション開発が進むエリアの上昇率の高さも顕著です。名古屋や仙台などの地方都市圏では、中心部の上昇が鈍化する一方で、都心近郊エリアが躍進しています。

まとめ

2025年路線価は、全国的にインバウンド需要の高まりや大規模再開発が進むエリアの上昇が鮮明になりました。とくに白馬村や富良野市、浅草など外国人観光客が多い観光地の上昇率は30%前後と顕著です。また、北千住や中野、大宮、津田沼など、都心近郊エリアや再開発が進むエリアの躍進も目立ちます。建築費高騰による再開発計画の一部中断といった課題もあるものの、需要が集中するエリアの地価は今後さらに上昇する可能性があります。

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