ざっくり要約!
- マンション売却から賃貸への住み替えは「スケジュール管理」と「資金計画」が成否を分ける
- 賃貸物件の申し込みは売買契約締結後が基本。タイミングを誤るとローンと家賃の二重払いや仮住まい期間が必要になることも
「終の住処」として購入した分譲マンションでも、ライフスタイルの変化や住居費の見直しなどを理由に、賃貸住宅へ住み替えるケースは珍しくありません。とくに近年は、マンション価格の高騰によって「今なら高く売れるかもしれない」と考え、売却を検討する方も増えています。
一方で、マンションを売却して賃貸へ引っ越す住み替えは、「売却」と「賃貸探し」を同時並行で進める必要があるため、スケジュール管理が難しい住み替えでもあります。タイミングを誤ると、住宅ローンと家賃の二重払いが発生したり、仮住まいが必要になったりするケースもあります。
そこで本記事では、マンションを売却して賃貸へ引っ越す手順やメリット・デメリット、失敗しないための注意点について詳しく解説します。
記事サマリー
マンションを売却して賃貸へ引っ越す8つの手順
マンションを売却して賃貸住宅へ引っ越すには「売却」と「賃貸物件探し」を並行して進める必要があります。まずは全体の流れを把握しておきましょう。
1.売却相場と家賃相場の情報収集
まずは、自分のマンションがいくらで売れそうか、そして引っ越し先の家賃相場がどのくらいかを把握することから始めましょう。
売却相場は、不動産ポータルサイトでエリア・築年数・広さ・間取りが近い物件の売出価格をリサーチすることである程度把握できます。また、不動産会社が提供する「AI査定」も気軽に利用できるため便利です。家賃相場についても、不動産ポータルサイトで引っ越し先として検討しているエリアの物件情報を見ることで把握できます。
また、この時点で住宅ローン残債額も調べておきましょう。住宅ローン残債額は、以下の方法で確認できます。
- 返済予定表(ローン契約時に金融機関から交付されるもの)を確認する
- 金融機関のウェブサイトやアプリで残高を照会する
- 金融機関に残高証明書の発行を依頼する
繰上返済などをしている場合は、契約時の返済予定表と実際の残債額が異なる場合があるため、ウェブサイトやアプリでの照会、または残高証明書で最新の残債額を確認することをおすすめします。
・「売却相場」に関する記事はこちら
マンション売却相場の調べ方は?地域別・築年数別の目安売却相場も紹介
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2.不動産会社への査定依頼
続いて、不動産会社にマンションの査定を依頼しましょう。複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な相場を把握できるとともに、各社の販売戦略や担当者の対応を比較することができます。
査定には「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の2種類があります。机上査定はオンラインや電話で気軽に依頼できますが、より精度の高い査定額を知りたい場合は、担当者が実際に物件を確認する訪問査定がおすすめです。
・「査定」に関する記事はこちら
マンション査定はどこを見る?注意点と売却に向けた手順を解説
マンション査定での注意点とは?査定前と後に分けて徹底解説!

3.媒介契約の締結
| 契約の種類 | 複数業者との契約 | 自分が発見した相手との取引 | レインズへの登録義務 | 報告義務 |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | ◯ | ◯ | 義務なし | 義務なし |
| 専任媒介契約 | × | ◯ | 7営業日以内 | 1回以上/2週間 |
| 専属専任媒介契約 | × | × | 5営業日以内 | 1回以上/1週間 |
不動産会社と締結する媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類です。一見すると、唯一、複数の不動産会社と契約できる一般媒介契約が有利なようにも思えますが、専任・専属専任媒介契約と比べて各社の注力度が下がりやすいという面もあります。
一概にどれが優れているとはいえないため、自分の状況や優先事項に合わせて選ぶことが大切です。
・「媒介契約」に関する記事はこちら
一般媒介契約とは?メリットと知っておくべき注意点をわかりやすく解説
専属専任媒介契約とは?専任媒介・一般媒介との違いやメリットを解説
4.売却活動開始
媒介契約を締結したら、いよいよ販売活動が始まります。販売活動とは、具体的にポータルサイトや不動産会社のホームページへの掲載、チラシ配布、オープンハウスの開催などを指します。
売主としてとくに意識したいのが「内覧対応」です。内覧は購入意欲を高める重要な場面であり、印象を高めるための清掃や整頓は基本的に売主にしかできません。
室内の清掃や整理整頓はもちろん、水回りや玄関など、とくに目につきやすい箇所は念入りに掃除しておきましょう。また、ペットやタバコのにおいが気になる場合は、内覧前に十分な換気や消臭対策を行うことも大切です。
・「内覧対応」に関する記事はこちら
家を売るときに内覧希望者を迎えるポイント!早期売却への道を徹底ガイド
5.売買契約の締結
購入申込みが入り、売主・買主双方が条件面に合意したら売買契約を締結します。
売買契約では手付金のみを受領し、1〜2ヶ月後の引き渡し時に残代金を決済するのが一般的な流れです。引き渡しまでに買主はローンの本審査を通し、売主はローンの完済や引き渡しの準備をします。
・「売買契約」に関する記事はこちら
不動産の売買契約とは?簡単にわかりやすく解説!
6.【重要】賃貸物件探しと入居申し込み
賃貸物件探しを始めるベストなタイミングは、売買契約を締結した後です。売買契約を締結すれば引き渡し日が確定するため、賃貸の入居希望日も明確になり、スムーズに申し込みができます。
マンションの売買契約前に賃貸物件への入居を申し込んでしまうと、売却が遅れた場合にローンと家賃の二重払いが発生するリスクがあります。もちろん、気になる物件をピックアップしておく分には問題ありません。
申し込みから入居可能になるまでの期間は物件によって異なりますが、2週間〜1ヶ月程度が一般的です。
7.賃貸住宅への引っ越し
マンションの引き渡し日までに引っ越しを完了させておく必要があるため、基本的に賃貸物件への引っ越しはマンションの決済・引き渡しよりも前に行うことになります。
引っ越し業者の選定や手配は、賃貸物件の入居日が確定したタイミングで早めに進めておきましょう。
8.マンションの決済・引き渡し
残代金の決済や鍵の引き渡し、所有権移転登記手続きなどを行います。売主と買主が合意すれば、当初の予定より引き渡し日が早まることもあります。
決済後に住宅ローンを一括返済し、抵当権を抹消する手続きも同時に進めます。 引き渡し当日は、買主や司法書士、不動産会社の担当者が同席のもと、金融機関で手続きを行うのが一般的です。
・「引き渡し」に関する記事はこちら
マンション売却から引き渡しまでの流れとは?必要な書類も紹介
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分譲マンションから賃貸へ引っ越すメリット・デメリット
分譲マンションを売却して賃貸へ住み替えることで、住居費や暮らし方は大きく変わります。メリット・デメリットの両方を把握しておきましょう。
メリット
- 固定資産税や管理費・修繕積立金などの維持費がなくなる
- ライフステージに合わせて気軽に住み替えができる
- まとまった現金が手に入る
マンションを売却して賃貸に移ることで、固定資産税や管理費・修繕積立金といった維持費の負担がなくなります。また、ライフステージの変化などに合わせて、住まいのエリアや広さを柔軟に変えられるのも賃貸ならではの強みです。
さらに、売却によってまとまった現金が手に入るため、老後の生活資金や他の用途に活用できるという点も大きなメリットといえます。
デメリット
- 家賃を払い続ける必要がある
- 資産(不動産)が手元に残らない
- 高齢になると賃貸契約が結びにくくなるリスクがある
住宅ローンは、基本的に返済期間が終われば支払いが完了しますが、賃貸住宅は住み続ける限り家賃を支払い続けなければなりません。また、分譲マンションのように不動産という資産が手元に残らないため、相続などの面では不利になることもあります。
高齢になると、収入の減少や保証人の不在などを理由に賃貸契約の審査が通りにくくなるリスクがある点も、あらかじめ念頭に置いておく必要があります。
・「賃貸のメリット・デメリット」に関する記事はこちら
持ち家と賃貸どちらを選ぶ?それぞれのメリット・デメリットや向いている人を解説
マンション売却から賃貸への引っ越しで失敗しないための5つの注意点

マンション売却から賃貸への住み替えでは、住宅ローン残債や引っ越し時期など、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。
1.住宅ローン残債
住宅ローンが残っているマンションを売却するには、原則的にローンを完済する必要があります。住宅ローン残債以上でマンションが売れるのであれば完済もしやすいですが、住宅ローン残債を下回る金額でしか売れないようであれば、自己資金などを充当してローンを完済しなければなりません。
住宅ローンを完済できないとしても、例外的に「任意売却」によってマンションを売却できる可能性があります。任意売却とは、金融機関に住宅ローンが完済できないことを了承してもらって行う不動産売却です。市場価格に近い金額での成約も見込めるものの、信用情報にいわゆる「傷」がつくことで、賃貸住宅の入居審査で不利に働く可能性もあるため注意が必要です。
・「任意売却」に関する記事はこちら
任意売却とは?競売や通常売却との違いやメリットとデメリットを解説
2.二重払いのリスク
マンションの売却が完了する前に賃貸物件へ引っ越してしまうと、住宅ローンの返済と賃料の支払いが重複する「二重払い」の期間が生じます。売却活動が長引けば長引くほど、家計への負担は大きくなってしまうでしょう。
二重払いを避けるためには「売買契約が締結されてから賃貸を申し込む」という順序を守ることが基本です。やむを得ず先に引っ越す必要がある場合は、二重払い期間を想定した資金計画を立てておきましょう。
3.スケジュールのズレ
マンションの売買契約後、引き渡し前に賃貸住宅に引っ越すのが理想ですが、マンションの売却は買主があってのことですので、思い通りのスケジュールで進まないこともあります。
売却が長引いて賃貸の入居日が先に来てしまった場合は、ローンと家賃の二重払いの期間が生じますが、逆にマンションの引き渡し日が賃貸の入居日より早くなってしまった場合は、仮住まいが必要になることもあります。いずれのケースも起こりうることを想定し、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。
4.初期費用の準備
賃貸住宅への入居には、一般的に家賃の4〜6ヶ月分程度の初期費用が必要です。初期費用の内訳と費用の目安は、以下のとおりです。
- 敷金:家賃0〜2ヶ月分程度
- 礼金:家賃0〜2ヶ月分程度
- 前払い賃料:家賃1ヶ月分程度
- 仲介手数料:家賃1ヶ月分程度
- 火災保険料:家賃1.5〜2万円程度
- 保証料:家賃0.5〜1ヶ月分
- 鍵交換費用:1〜2万円程度
賃料によるものの、初期費用の総額は数十万円程度になるのが一般的です。売却代金が入金される前に初期費用の支払いが発生するケースが多いため、手元に十分な現金を用意しておくか、売却のスケジュールに合わせた資金計画を立てておくことが大切です。
また、マンションの売却の諸費用のうち、仲介手数料の半金と印紙税については、売買契約締結のタイミングで支払いが発生します。仲介手数料はマンションの売却金額の約3%が一般的なため、半分の1.5%程度、印紙税は1〜3万円程度になるのが一般的です。
・「賃貸住宅の初期費用」に関する記事はこちら
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5.老後対策
マンションを売却して賃貸住宅に引っ越すことで、その後も柔軟に住み替えやすくなる一方で、老後は容易に住み替えられるとは限りません。先のとおり、高齢になると、収入の減少や保証人の不在を理由に賃貸契約の審査が通りにくくなるケースがあるためです。
目先の住まいだけでなく、マンション売却によって得た資金を老後の住居費として計画的に確保したり、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など将来の選択肢についての情報収集をしておいたりすることで、長期的な安心につながります。
・「老後の住まい」に関する記事はこちら
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マンションの売却と賃貸探しをスムーズに進めるコツ
最後に、マンションの売却と賃貸物件探しをスムーズに進める2つのコツを紹介します。
売却と賃貸の窓口を一本化する
マンションの売却と賃貸物件探しを別の不動産会社に依頼すると、スケジュール調整が煩雑になりがちです。いずれの契約も自身だけでなく、買主やオーナーがいてこそ成り立つものですので、思い通りのスケジュールで進まないことも少なくありません。
一方、売却と賃貸の窓口を同じ不動産会社に一本化することで、担当者間でスケジュールを連携しながら進められるため、二重払いや仮住まいが必要になるリスクを最小限に抑えやすくなります。
売買仲介と賃貸仲介の両方を手がけている不動産会社ばかりではありませんが、大手不動産会社は売買・賃貸の両部門を持っているケースも多く、住み替え全体をワンストップで相談しやすい点が強みです。東急リバブルでは、マンション売却から賃貸物件の紹介、仲介まで一貫してサポートしています。
リースバックを検討する
引っ越しの手間や環境の変化を避けたい場合は、売却後も賃貸住宅として今の家に住み続けられる「リースバック」も有効な選択肢のひとつです。リースバックとは、マンションを売却した後に買主と賃貸借契約を結ぶことで、引っ越しをせずにそのまま住み続けられるサービスです。売却によってまとまった資金を得ながら、引っ越しや生活環境の変化を最小限に抑えられるのが特徴です。
ただし、リースバックは不動産会社の仲介による通常の売却と比べると売却価格が低くなりやすく、毎月支払う賃料は周辺相場より高めに設定される傾向があります。引っ越しせずに住み続けられる点は大きなメリットですが、長期間住み続けるほど家計を圧迫しやすい点には注意が必要です。また、契約内容によっては契約更新ができなかったり、将来的に退去を求められたりするケースもあります。
・「リースバック」に関する記事はこちら
リースバックの仕組みとは?メリットやデメリット、実際の取引の流れもわかりやすく解説

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まとめ
マンション売却から賃貸への引っ越しは、タイミングとスケジュール管理が成否を分けます。住宅ローンと家賃の二重払いや仮住まいへの転居を避けるためには、「売却」と「賃貸物件探し」を別々に考えるのではなく、一連の流れとして計画的に進めることが大切です。
売却と賃貸の窓口を一本化できる不動産会社にサポートしてもらうことで、スケジュールの連携がスムーズになり、余計なコストや手間を抑えた住み替えが実現しやすくなります。自分のマンションがいくらで売れそうか、そして引っ越し先の家賃相場がどのくらいかを把握すること
この記事のポイント
- マンションを売却して賃貸へ引っ越す手順は?
「売却相場の情報収集」「査定依頼」「媒介契約の締結」など8つのステップで進めます。
詳しくは「マンションを売却して賃貸へ引っ越す8つの手順」をご覧ください。
- 住宅ローンが残っていてもマンションを売却できますか?
基本的に、売却代金でローンを完済できれば売却可能です。完済できない場合も、任意売却という選択肢があります。
詳しくは「マンション売却から賃貸への引っ越しで失敗しないための5つの注意点」をご覧ください。
- 売却と賃貸物件探しをスムーズに進めるコツは?
売却と賃貸の窓口を同じ不動産会社に一本化することで、スケジュールを連携しながら進められ、二重払いや仮住まいのリスクを抑えやすくなります。
詳しくは「マンションの売却と賃貸探しをスムーズに進めるコツ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションの売却も賃貸物件探しも「事前準備」が成否を分けることは共通しています。マンションの売却をスタートしたら、基本的にいつ売れるかわかりません。いつマンションが売れてもいいように、賃貸物件に求めることを整理しておいたり、気になるエリアの家賃相場を把握しておいたりと、動ける準備を早めに整えておくことが大切です。

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