ざっくり要約!
- 住宅ローンが残っている中古マンションでも、売却代金や自己資金でローンを完済し、抵当権を抹消できれば売却可能です。
- マンション売却は、査定依頼から始まり、不動産会社との媒介契約、売却活動、買主との売買契約、売却益が出た場合の確定申告という流れで進みます。
- 売却代金だけではローンを完済できない場合でも、「任意売却」や「住み替えローン」といった方法で売却が可能です。
中古マンションの売却を考え始めたものの、住宅ローンが残っているという状況は珍しくありません。売却代金でローンを完済できるかどうかといった不安を抱えている方もいるでしょう。新しい住まいへの住み替えを同時に検討している場合、資金計画はさらに複雑になります。
この記事では、住宅ローン返済中のマンション売却に関する基礎から、具体的な売却の流れ、ローンを完済できない場合の売却方法まで、詳しく解説します。スムーズな住み替えを実現するために、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
ローンが残っていてもマンションも売却可能
住宅ローンの返済が途中であっても、マンションを売却すること自体は可能です。
ただし、売却と同時に住宅ローンを全額返済し、金融機関が設定している「抵当権」を抹消する必要があります。抵当権が残っている状態では、原則として所有権を買主へ移転させることができません。
そのため、売却代金や自己資金でローン残債を清算できるかどうかが、売却の可否を判断する重要なポイントとなります。ここでは、抵当権の基本的な意味合いと、その抹消手続きについて見ていきましょう。
抵当権とは
抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りる際に、万が一返済が滞った場合に備えて、金融機関が担保となる不動産に対して設定する権利のことです。
この権利により、返済不能となった場合には、金融機関がその不動産を差し押さえて競売にかけ、資金を回収することができます。住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、そのマンションに抵当権が設定されるケースがほとんどです。
買主にとっては、抵当権が付いている不動産を購入することは大きなリスクとなるため、売却時にはこの抵当権を抹消することが不可欠です。
・「抵当権」に関する記事はこちら
抵当権をわかりやすく解説!設定・抹消手続きの流れと不動産の売却方法
抵当権を抹消するには
抵当権を抹消するには、住宅ローンを全額返済する必要があります。マンションの売却代金がローン残債を上回る場合は、売却代金で完済し、同時に抵当権抹消の手続きを行います。
完済後、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取り、法務局で抹消登記の手続きを行います。抵当権抹消登記はご自身で行うことも可能ですが、法的な手続きが必要で煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
手続きには、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。マンションの場合、通常は土地と建物を1個ずつ計上し、計2,000円となります。司法書士に依頼する場合はその報酬などの費用も必要なため、事前に確認しましょう。。
・「抵当権 抹消」に関する記事はこちら
抵当権抹消とは?抹消が必要になるケースや費用、手続きの方法を解説
ローンが残っているマンションの売却の流れ

ローンが残っているマンションを売却する場合も、基本的な流れは残債がない場合と大きく変わりません。ただし、前述のとおり、決済時にローンを完済し抵当権を抹消する必要があります。
売却活動をスムーズに進めるために、以下でマンション売却の流れを把握しておきましょう。
- 査定依頼
- 媒介契約
- 販売活動
- 売買契約
- 決済・引渡し
- 確定申告
1.査定依頼
最初に行うのは、不動産会社への査定依頼です。査定とは、所有するマンションがいくらで売れそうか、市場価値を算出してもらうことです。
査定には、物件情報をもとに簡易的に算出する「机上査定」と、実際に物件を訪問して詳細を確認する「訪問査定」があります。より正確な査定額を知るためには、訪問査定を受けることをおすすめします。
査定額は売出価格を決める重要な指標となるため、慎重に進めましょう。
・「マンションの査定」に関する記事はこちら
マンション査定はどこを見る?注意点と売却に向けた手順を解説
マンションの査定シミュレーションとは? 仕組みや注意点を解説
2.媒介契約
売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社にマンションの売却活動を正式に依頼するための契約です。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社の不動産会社にのみ仲介を依頼する契約で、不動産会社からの売却活動状況の報告義務があるなど、手厚いサポートが期待できます。
一方、一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に依頼できますが、報告義務はありません。それぞれの契約形態の特徴を理解し、ご自身の状況や希望に合ったものを選びましょう。
・「媒介契約」に関する記事はこちら
専属専任媒介契約とは?専任媒介・一般媒介との違いやメリットを解説
一般媒介契約とは?メリットと知っておくべき注意点をわかりやすく解説
3.販売活動
媒介契約を結んだ不動産会社は、広告作成、不動産ポータルサイトへの掲載、チラシ配布といった販売活動を開始します。
購入希望者が見つかると、物件の内覧(内見)が行われます。内覧は、購入希望者が実際に物件を見て購入を判断する重要な機会です。良い印象を与えるために、事前に室内を清掃・整理整頓しておくことが大切です。
また、内覧時には購入希望者からの質問に誠実に答えることも、スムーズな売却につながります。売主としてできる準備を行い、不動産会社と協力して売却活動を進めましょう。
・「内覧対応」に関する記事はこちら
マンション売却時の内覧を成功させるポイントは?高く売るコツを解説
家を売るときに内覧希望者を迎えるポイント!早期売却への道を徹底ガイド
4.売買契約
購入希望者が見つかり、価格や引き渡し条件などの交渉がまとまると、売買契約を締結します。売買契約時には、宅地建物取引士から物件に関する重要事項説明を受け、契約書に署名・捺印します。
通常、契約時に買主から売主へ手付金が支払われ、手付金は売買代金の一部に充当されます。契約内容に不明な点があれば、必ず契約前に不動産会社や専門家に確認しましょう。
・「不動産売買契約」に関する記事はこちら
不動産の売買契約とは?簡単にわかりやすく解説!
・「手付金」に関する記事はこちら
不動産売買の手付金とは?相場や役割、支払い方法を解説
5.決済・引渡し
決済・引渡しは、売買契約から1〜2ヶ月後になるのが一般的です。手付金を除く残代金を受領し、ローンを完済します。所有権移転登記および抵当権抹消登記も行われます。
6.確定申告
マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、原則として売却した翌年に確定申告を行い、所得税・住民税を納付する必要があります。
譲渡所得は「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で計算されます。
ただし、マンションの売却には様々な特例があります。譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「3,000万円特別控除」や、所有期間が10年を超えている場合に低い税率が適用される「10年超所有軽減税率の特例」などがそのひとつです。特例を適用できれば、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
特例の適用には細かい条件があるため、ご自身の状況が該当するかどうか、事前に税務署や税理士に相談することをおすすめします。確定申告の期間は通常、売却した翌年の2月16日から3月15日までです。
・「確定申告」に関する記事はこちら
マンション売却後の確定申告を税理士に依頼する際の費用相場や流れ
不動産売却後の確定申告は自分でできる? 計算方法・流れ・必要書類などを解説
ローンが完済できないマンションの売却方法
マンションの売却価格が住宅ローンの残債を下回る、いわゆる「オーバーローン」の状態では、自己資金で不足分を補填しない限り、抵当権を抹消できず、通常の売却は困難です。
しかし、そのような状況でも売却を進めることは可能です。ここでは、ローンを完済できない場合に検討できる主な方法を2つ紹介します。
- 任意売却
- 住み替えローンを利用する
任意売却
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、ローンを借りている金融機関(債権者)の合意を得てマンションを売却する方法です。
競売に比べて、所有者の意思で売却を進められる点や、プライバシーが守られやすい点、引越し時期などについて交渉の余地がある点がメリットといえます。
任意売却を行うこと自体は金融事故に該当しないため、信用情報機関にも登録されません。ただし、ローンの返済を延滞している場合は、登録される可能性もあります。
また、任意売却を行うには金融機関の同意が不可欠であり、売却後もローンが残る場合は返済方法について協議する必要があります。任意売却は専門的な知識が必要となるため、早めに不動産会社や専門家へ相談することが重要です。
・「任意売却」に関する記事はこちら
任意売却とは?競売や通常売却との違いやメリットとデメリットを解説
住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、現在の住まいの売却代金だけでは住宅ローンを完済できない場合に、その不足分(ローン残債)を、新たに購入する住まいの住宅ローンに上乗せして借り入れできるローンです。
住み替えローンを利用すれば、自己資金が不足していても、売却と新居の購入を同時に進めることが可能になります。ただし、借入額が大きくなるため、通常の住宅ローンよりも審査が厳しくなる傾向があります。
また、将来の返済負担が増えることも考慮しなければなりません。利用する場合は、金融機関の申込条件や金利などを確認し、無理のない資金計画を立てることが大切です。
まとめ
住宅ローンが残っている中古マンションであっても、売却代金や自己資金でローンを完済し、抵当権を抹消できれば問題なく売却を進められます。
また、売却代金でローンを完済できないオーバーローンの状況でも、任意売却や住み替えローンといった選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、ご自身の状況に合わせた方法を選ぶことが重要です。
残債のあるマンションの売却は、資金計画や手続きが複雑になることも少なくありません。不安な点があれば、専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。
東急リバブルでは、お客様の状況に合わせた最適な売却プランをご提案し、スムーズな住み替えをサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
この記事のポイント
- ローンが残っていてもマンションの売却は可能でしょうか?
住宅ローンの返済が途中であっても、マンションを売却すること自体は可能です。
詳しくは「ローンが残っていてもマンションも売却可能」をご覧ください。
- ローンが残っているマンションはどう売却すれば良いのでしょうか?
ローンが残っているマンションを売却する場合も、基本的な流れは残債がない場合と大きく変わりません。
詳しくは「ローンが残っているマンションの売却の流れ」をご覧ください。
- ローンが完済できない場合は売却できないのでしょうか?
マンションの売却価格が住宅ローンの残債を下回る、いわゆる「オーバーローン」の状態では、自己資金で不足分を補填しない限り、抵当権を抹消できず、通常の売却は困難です。
詳しくは「ローンが完済できないマンションの売却方法」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
残債があるマンションの売却を進める際には、売却活動と並行して、ローン完済に向けた資金計画を立てることが重要です。まずは不動産会社に査定を依頼し、おおよその売却価格を把握しましょう。同時に、ご自身の住宅ローンの残高を正確に確認します。売却代金でローンを完済できるか、不足する場合はいくら必要になるかが見えてくるでしょう。売却と購入のタイミング調整も重要になるため、信頼できる不動産会社と密に連携を取りながら進めることをおすすめします。

売りたい物件・時期がお決まりの方はこちら
60秒で入力完了!売却査定を承ります。
不動産の売却可能額を査定する

東急リバブルが買主となり、
ご所有不動産を直接購入いたします
周囲に知られずに売却・早急に現金化!
リバブル不動産買取はこちら