ざっくり要約!
- 頭金なしで住宅ローンを組むことは可能だが、当然同じ物件価格でも住宅ローンの借入額が大きくなる
- 住宅ローンを組む際には審査上の借入可能額だけで判断せず、購入後も安心して返し続けられる金額を見極めることが大切
頭金を用意しないまま住宅ローンを組むと聞くと、「返済で後悔しないか」「審査に通るのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
住宅価格や金利の動向を考えると、頭金を貯めてから購入することが必ずしも有利とは限らず、購入のタイミングと返済計画をあわせて考えることが大切です。
この記事では、頭金なしで住宅ローンを組むメリット・デメリット、無理のない借入額の目安、後悔を避けるための対策を解説します。
記事サマリー
頭金なしで住宅ローンを組むことはできるのか

頭金なしで住宅ローンを組むことは可能です。近年は住宅価格の上昇もあり、頭金が貯まるまで待つのではなく、頭金なし、または少額の頭金で住宅を購入する人も一定数います。
ただし、頭金なしで購入すると、同じ物件価格でも住宅ローンの借入額は大きくなります。返済計画を誤ると、毎月の返済が家計を圧迫したり、将来家を売りたいときに売却代金だけでは住宅ローンを完済できなかったりするおそれがあります。
ここからは、頭金・自己資金・諸費用の違いに加え、フルローン・オーバーローンとの違いについて解説します。
頭金・自己資金・諸費用の違い
頭金とは、物件価格のうち現金で支払う部分のことです。戸建て住宅やマンションなどの価格から住宅ローンの借入額を差し引いた部分が頭金となります。
たとえば、5,000万円の住宅を4,500万円の住宅ローンで購入する場合、差額の500万円が頭金です。頭金は手元にある預貯金や、両親・祖父母などから援助を受けた資金で支払うケースがあります。
頭金とあわせて整理しておきたい言葉に、自己資金と諸費用があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 頭金 | 住宅価格の一部として支払うお金 |
| 自己資金 | 頭金や諸費用に使うため、購入者が用意する資金 |
| 諸費用 | 税金、登記費用、仲介手数料、住宅ローンの事務手数料など |
「頭金なし」といっても、自己資金がまったく不要になるとは限りません。
住宅を購入する際は物件価格とは別に、税金や各種手数料、引っ越し費用、家具・家電の購入費用などがかかります。
住宅ローンでどこまで借りられるかは金融機関や商品によって異なるため、頭金だけでなく、諸費用も含めて資金計画を立てることが大切です。
・「頭金」に関する記事はこちら
不動産購入の頭金とは?頭金なしで購入する方法とメリット・デメリットを解説
頭金なしで住宅を購入する人の割合
三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査によると、マイホーム購入時の頭金が「ゼロ(頭金なし)」だった人の割合は、全年代で28.7%でした。
年代別では、20代が21.9%、30代が42.8%、40代が33.2%となっています。とくに30代は、頭金ゼロが42.8%、頭金1割が24.2%で、あわせて67.0%が「頭金ゼロまたは1割」で住宅を購入しています。
出典:令和の“住まい”と住宅ローン事情|三井住友トラスト・資産のミライ研究所
この調査から、頭金なしや1割程度の頭金で住宅を購入する人は一定数いることがわかります。ただし、頭金を入れない場合は借入額が大きくなりやすく、同じ住宅価格でも返済負担は変わります。
次に、頭金なしとあわせて使われることの多いフルローン・オーバーローンとの違いを確認します。
頭金なし・フルローン・オーバーローンの違い
頭金を入れずに物件価格の全額を住宅ローンで借り入れる方法は、一般的に「フルローン」と呼ばれます。
たとえば、4,000万円の物件を購入する際に、4,000万円を住宅ローンで借り入れるケースです。
これに対し、物件価格だけでなく、仲介手数料や登記費用、住宅ローンの事務手数料などの諸費用まで含めて借り入れ、物件価格を超える金額の融資を受けることを「オーバーローン」と呼ぶ場合があります。物件価格4,000万円に対し、諸費用を含めて4,200万円を借り入れるようなケースです。
また、オーバーローンという言葉は、住宅を売却するときにも使われます。この場合は、売却価格より住宅ローン残債のほうが多い状態を指します。たとえば、売却価格が3,500万円でも住宅ローン残債が3,800万円ある場合、売却代金だけではローンを完済できません。
なお、フルローンやオーバーローンを利用する場合でも、売買契約時の手付金は現金で支払うのが一般的です。
手付金の目安は物件価格の5〜10%程度とされることが多く、後日、売買代金の一部に充当されます。住宅ローンで最終的に全額を借りられるとしても、契約時点で一定の現金が必要になる点には注意が必要です。
頭金なしで住宅ローンを組むメリット

頭金なしで住宅ローンを組むことには、下記4点のメリットがあります。
- すぐに住まいを購入できる
- 住宅ローン減税の減税額が上がることがある
- 手元に資金を残せる
- 金利上昇前に住宅を購入できる可能性がある
メリットを1つずつみていきましょう。
すぐに住まいを購入できる
頭金なしで住宅ローンを組むと、頭金が貯まるのを待たずにマイホームを購入できます。
頭金を準備するには、目標額が貯まるまで購入時期を先延ばしにする必要があります。たとえば、500万円の頭金を準備するために毎月10万円ずつ貯蓄しても、4年以上かかる計算です。
賃貸物件に住んでいる場合、購入時期が早まれば、賃貸住宅に住み続ける期間を短くできます。仮に、頭金を貯めるのに5年かかり、毎月の家賃が10万円であれば、その間に支払う家賃は600万円です。
もちろん、家賃を払っているから必ず損というわけではありませんが、購入時期を遅らせる間にかかる家賃負担も含めて、マイホームの購入計画を考える必要があります。
フルローンを利用できれば、立地や間取り、価格などが希望に合う物件を見つけたタイミングで購入しやすくなります。「子どもが小学校に進学する前に引っ越したい」「気に入った物件を逃したくない」など、購入時期を重視する人にとっては大きなメリットです。
住宅ローン減税の控除額が上がることも
住宅ローン減税は、住宅ローンを組む人の税金を優遇する制度です。
所定の要件を満たすと「年末時点のローン残高×0.7%」で計算される金額を所得税と控除対象の住民税から差し引くことができます。
たとえば、年末時点のローン残高が2,000万円の場合、減税される金額は最大で「2,000万円×0.7%=14万円」です。
フルローンを組む場合、頭金を入れるときよりも借入総額が増えます。その結果、年末時点のローン残高が高くなり、減税額が増えて節税効果を高められる可能性があります。
ただし、控除の対象となる借入額には住宅の性能に応じた上限(例:3,000万円や4,500万円など)があるほか、自身が納める所得税等の額以上の控除は受けられない点には注意が必要です。
・「住宅ローン減税」に関する記事はこちら
【2024年度版】住宅ローンの控除の条件は?申請方法や注意点まとめ
手元に資金を残せる
頭金を入れずに住宅ローンを組むと、まとまった資金が手元に残り、マイホーム購入時の引っ越し費用や家具・家電の購入費用などを準備しやすくなります。
また「重い病気で医療費の支払いが必要になった」「家電の故障で買い替えが必要になった」「失業で収入が一時的に途絶えた」などの事態にも対処しやすくなるでしょう。
子どもの進学や自動車の購入・買い換え、老後生活など、まとまった資金が必要になることの多いライフイベントにも備えやすくなります。
最近では、低金利で住宅ローンを借りる一方で、手元に残した資金をNISAなどで長期間運用し、資産形成を並行して進めるという選択をする方も増えています。
金利上昇前に住宅を購入できる可能性がある
2026年6月現在、住宅ローン金利は上昇を意識したい局面にあります。変動金利型は短期金利、固定金利型は長期金利の影響を受けるため、今後大きく下がることを前提に資金計画を立てるのは避けたいところです。
住宅取得を取り巻く価格環境も上昇傾向にあります。国土交通省の令和8年地価公示では、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続で上昇しています。
頭金を貯めている数年の間に、金利や物件価格が上がれば、せっかく頭金を用意しても総返済額が増えることがあります。もちろん、急いで購入すればよいという話ではありません。頭金を貯める期間の家賃、金利上昇リスク、物件価格の変化をあわせて比較する視点が必要です。

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後悔する? 頭金なしで住宅ローンを組むデメリット

頭金なしでフルローンを組むことには、下記4点のデメリットがあります。借入額が高くリスクがあるため、返済計画を慎重に立てることが大切です。
- 審査に通りにくくなる
- 返済額が多くなる
- オーバーローンで売れなくなるリスクがある
- 金利上昇で返済額が増加する恐れがある
具体的なデメリットをみていきましょう。
審査に通りにくくなる
住宅ローンを借りるときは、金融機関の審査に通過する必要があります。審査では、申し込んだ人の年収や勤続年数、他の借入状況、物件の担保価値などが確認されます。
また、申し込んだ人の年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)も重要な審査項目の1つです。
頭金がゼロであると、住宅ローンの借入額が増えることで、返済負担率が金融機関の定める基準を超えやすくなります。
その結果、審査に通過できなくなる場合や金融機関から提示される借入金額が希望に満たなくなる場合があります。
・「住宅ローンの審査」に関する記事はこちら
住宅ローンの審査が通らない人の特徴は?通らない場合の対策も紹介
返済額が多くなる
頭金を入れないと借入総額が増えるため、毎月の返済額が高くなって家計が圧迫されやすくなります。
住宅ローンの返済期間は、20年や30年など長期にわたるのが一般的であるため、返済の途中でライフイベントが起こり家計の収支が変化することがあります。
借入当初は返済負担に問題がなかったとしても「子どもが成長して毎月の支出が増えた」「転職して収入が減った」などが起こることで、返済が苦しくなるかもしれません。
金融機関によっては、フルローンを組む場合、頭金を2割ほど入れたときに比べて借入金利が高くなり返済額が増えることがあります。
全期間固定金利型の住宅ローンである「フラット35」では、融資金額が物件価格の9割を超えると借入金利が高くなります。
オーバーローンで売れなくなるリスクがある
オーバーローンとは、売却価格よりも住宅ローン残債のほうが多い状態のことです。
住宅を売却するときは、原則として住宅ローンを一括返済する必要があります。
頭金なしで住宅ローンを組むと、借入額が大きくなります。購入後に不動産価格が下がったり、返済開始から日が浅くローン残債があまり減っていなかったりすると、売却代金だけでローンを完済できない可能性があります。
特に建物部分の価値は、築年数の経過とともに下がる傾向があります。国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」に掲載されている「中古戸建住宅の価格査定の例」では、木造戸建住宅の建物価値が築後20年程度でほぼゼロになる例が示されています。

「急に転勤が決まった」「親の介護を手伝うことになった」などの事情で家を売るとき、オーバーローンの状態だと、売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。差額を手元資金で補填できない場合、家を売りたくても売れず、住み替えの選択肢が狭まるおそれがあります。
・「オーバーローン」に関する記事はこちら
オーバーローンとは?住宅ローンと財産分与のトラブル解決方法を解説
・「マンションの築年数と価格推移」に関する記事はこちら
マンションの築年数と価格推移の基礎知識|下落率の目安と計算方法
金利上昇で返済額が増加する恐れがある
変動金利型で住宅ローンを借りている場合、金利が上がると、見直しのタイミングで返済額が増える可能性があります。借入額が大きいほど、金利上昇による影響も大きくなります。
以下は、借入金額3,000万円、返済期間35年、変動金利1.0%、元利均等返済、ボーナス払いなしで試算した例です。
実際の変動金利型では、金利や返済額の見直しルールが金融機関によって異なりますが、金利上昇の影響をつかむ目安になります。
| 金利 | 毎月返済額 | 総返済額 | 金利が1%上がった場合の差額 |
| 年1.0% | 約84,686円 | 約3,557万円 | - |
| 年2.0% | 約99,379円 | 約4,174万円 | 毎月約14,693円増/総額約617万円増 |
金利が1%上がるだけでも、毎月の返済額と総返済額には大きな差が出ます。
頭金なしで借入額が大きくなる場合は、「今の金利なら払える」だけでなく、「金利が上がっても払えるか」まで確認しておく必要があります。
住宅ローンの頭金あり・なしの返済シミュレーション比較

頭金の有無によって、毎月返済額と総返済額は大きく変わります。ここでは、物件価格3,000万円・4,000万円・5,000万円のそれぞれにおける、頭金を入れた場合と入れない場合を比較します。
試算条件は以下のとおりです。
・返済方法:元利均等返済
・返済期間:35年
・ボーナス払い:なし
・変動金利の試算:年1.0%
・固定金利の試算:年3.2%
・諸費用、住宅ローン減税、団信、手数料などは考慮しない
実際の適用金利や諸費用は、金融機関や物件、借入条件によって異なります。以下の試算は、あくまで比較用のシミュレーションとしてご確認ください。
物件価格3,000万円の場合
物件価格3,000万円の場合の試算は以下のとおりです。
| 頭金 | 借入額 | 毎月返済額(年1.0%) | ローン総返済額(年1.0%) | 毎月返済額(年3.2%) | ローン総返済額(年3.2%) |
| 0円 | 3,000万円 | 約84,686円 | 約3,557万円 | 約118,830円 | 約4,991万円 |
| 300万円 | 2,700万円 | 約76,217円 | 約3,201万円 | 約106,947円 | 約4,492万円 |
| 600万円 | 2,400万円 | 約67,749円 | 約2,845万円 | 約95,064円 | 約3,993万円 |
年1.0%の試算では、頭金600万円を入れると、頭金なしの場合と比べて毎月返済額は約1.7万円下がり、ローン総返済額は約712万円少なくなります。
物件価格4,000万円の場合
物件価格4,000万円の場合の試算は以下のとおりです。
| 頭金 | 借入額 | 毎月返済額(年1.0%) | ローン総返済額(年1.0%) | 毎月返済額(年3.2%) | ローン総返済額(年3.2%) |
| 0円 | 4,000万円 | 約112,914円 | 約4,742万円 | 約158,439円 | 約6,654万円 |
| 400万円 | 3,600万円 | 約101,623円 | 約4,268万円 | 約142,595円 | 約5,989万円 |
| 800万円 | 3,200万円 | 約90,331円 | 約3,794万円 | 約126,751円 | 約5,324万円 |
年1.0%の試算では、頭金800万円を入れると、頭金なしの場合と比べて毎月返済額は約2.3万円下がり、ローン総返済額は約948万円少なくなります。
物件価格5,000万円の場合
物件価格5,000万円の場合の試算は以下のとおりです。
| 頭金 | 借入額 | 毎月返済額(年1.0%) | ローン総返済額(年1.0%) | 毎月返済額(年3.2%) | ローン総返済額(年3.2%) |
| 0円 | 5,000万円 | 約141,143円 | 約5,928万円 | 約198,049円 | 約8,318万円 |
| 500万円 | 4,500万円 | 約127,029円 | 約5,335万円 | 約178,244円 | 約7,486万円 |
| 1,000万円 | 4,000万円 | 約112,914円 | 約4,742万円 | 約158,439円 | 約6,654万円 |
年1.0%の試算では、頭金1,000万円を入れると、頭金なしの場合と比べて毎月返済額は約2.8万円下がり、ローン総返済額は約1,186万円少なくなります。
物件価格が高くなるほど、頭金の有無による毎月返済額・ローン総返済額の差も大きくなります。
【年収別】頭金なしで住宅ローンを組む場合の無理のない借入額の目安

住宅ローンでは、「いくら借りられるか」よりも「無理なく返せるか」が重要です。
近年は住宅価格の上昇により、年収の8〜9倍程度の住宅ローンを組むケースもみられます。しかし、借入額が大きくなるほど返済負担は重くなるため、実際の家計では、毎月返済額を手取り収入の20〜25%以内に抑えると余裕を持ちやすくなります。
頭金なしで住宅ローンを組む場合、借入額が大きくなりやすいため、返済負担率を意識しながら無理のない金額を検討することが大切です。
以下では、手取り額を額面年収の8割、住宅ローン返済額を手取りの25%、金利年1.0%、返済期間35年として、無理のない借入額の目安を試算します。
| 額面年収 | 手取り年収の目安 | 年間返済額の目安 (手取り25%) | 毎月返済額 | 借入額の目安 |
| 300万円 | 約240万円 | 約60万円 | 約5.0万円 | 約1,770万円 |
| 400万円 | 約320万円 | 約80万円 | 約6.7万円 | 約2,360万円 |
| 500万円 | 約400万円 | 約100万円 | 約8.3万円 | 約2,950万円 |
| 600万円 | 約480万円 | 約120万円 | 約10.0万円 | 約3,540万円 |
| 700万円 | 約560万円 | 約140万円 | 約11.7万円 | 約4,130万円 |
同じ年収でも、家族構成、車の有無、教育費、親への仕送り、将来の働き方によって無理のない返済額は変わります。頭金なしで購入する場合は、金融機関の審査で借りられる金額ではなく、家計に残る余裕を基準に借入額を決めることが後悔を避けるポイントです。
【年代別】頭金なしで住宅ローンを組む際の注意点

頭金なしで住宅ローンを組む際の注意点は、年代によって異なります。ここでは、20代・30代・40代・50代に分けて、特に確認しておきたいポイントを解説します。
20代
20代は働き始めてからの期間が短く、住宅購入資金を十分に貯めるのが難しい年代です。そのため、頭金なしで住宅ローンを組むことは現実的な選択肢になります。
返済期間を長く設定しやすく、定年までの時間も長いため、毎月返済額を抑えやすい点もメリットです。
ただし、20代は今後のライフイベントが大きく変わりやすい時期でもあります。転職、結婚、出産、育休、共働きから片働きへの変更などで、収入や支出が変わる可能性があります。
今の家計だけで判断せず、数年後の生活を想定して借入額を決めることが重要です。将来子どもを持つ予定がある場合や、転職を考えている場合は、毎月返済額に余裕を持たせておくと安心です。
30代
30代は住宅購入を検討する人が多い年代です。収入が安定し始める一方で、結婚、出産、子育て、教育費などの支出も増えやすくなります。
頭金なしで住宅ローンを組む場合は、定年までに完済できる返済期間を意識することが大切です。
たとえば、35歳で35年ローンを組むと、完済時は70歳です。退職後も住宅ローン返済が続く可能性があるため、繰り上げ返済や退職金の使い方も含めて計画を立てる必要があります。
また、30代で頭金をまったく準備できていない場合は、家計の見直しも欠かせません。貯蓄ができない状態のまま住宅ローンを組むと、固定資産税や修繕費、教育費の増加に対応しにくくなります。購入前に、毎月いくら貯蓄できる家計なのかを確認しておくと安心です。
40代
40代で住宅ローンを組む場合、完済年齢が大きなポイントになります。たとえば40歳で35年ローンを組むと完済時は75歳、45歳であれば80歳です。金融機関の完済時年齢の上限に近づくため、場合によっては希望する返済期間で借りられないこともあります。
返済期間を短くすると、毎月返済額は高くなります。頭金なしでは借入額が大きくなるため、希望する物件価格まで借りられないケースも考えられます。
また、40代は子どもの教育費が重くなりやすい年代です。親の介護費用が発生する可能性もあります。
住宅ローンだけを優先すると、教育費や老後資金にしわ寄せが出ることがあるため、ライフイベントを含めて慎重に返済計画を立てる必要があります。
50代
50代は定年までの期間が短いため、住宅ローン審査が特に厳しくなりやすい年代です。完済時年齢や退職後の収入見通しも確認されるため、希望する金額や返済期間で借りられないこともあるでしょう。
返済期間を短く設定せざるを得ないことも多く、同じ借入額でも毎月返済額は高くなります。頭金なしで大きな住宅ローンを組むと、退職後の生活費や医療費、老後資金に影響する可能性があります。
退職金で一括返済する計画を立てる人もいますが、退職金は老後生活を支える大切な資金でもあります。
住宅ローン返済に使いすぎると、老後の家計が不安定になりかねません。
50代で住宅を購入する場合は、借入額を抑え、無理のない返済期間を設定することが欠かせません。
後悔せずに住宅ローンを組むにはどうすればいい?

頭金なしで住宅ローンを組むこと自体が、すぐに後悔につながるわけではありません。借入額を家計に合う範囲に抑え、金利上昇や収入減少、教育費・老後資金などの将来リスクに備えておけば、頭金なしでも無理のない返済計画を立てることは可能です。
重要なのは、審査上の借入可能額だけで判断せず、購入後も安心して返し続けられる金額を見極めることです。ここでは、頭金なしで住宅ローンを組んでも後悔しないように、とるべき対策を紹介します。
ライフプランを想定して借入額・期間・金利を決める
住宅ローンの借入額や返済期間、金利を決めるときは、家の購入後に起こりうるライフイベントも考慮することが大切です。
たとえば、マイホームの購入後に子どもを産んで育てたいと考えている場合は、教育費や生活費が増えることを見越して借入額を決めるのが良いといえます。
子育てが終わるまで返済負担が上昇するリスクを負いたくない場合は、借り入れから5年や10年などの一定期間は金利が固定される固定期間選択型を選ぶのも1つの方法です。
返済期間を決めるときは、老後生活が1つの基準となります。
セカンドライフが住宅ローンの返済で苦しくなる事態を避けたい場合は「老後生活が始まる年齢-現在の年齢」を基準に返済期間を決めると良いでしょう。
住宅ローンの返済は長期にわたりやすいため、マイホームを購入したあとのライフプランを考えて無理のない返済計画を立てることが重要です。
購入時の諸費用やランニングコストも考慮する
住宅を購入する際は、仲介手数料や登記費用、住宅ローンの融資事務手数料などの諸費用がかかります。また、引っ越し費用や家具・家電の購入費用などもかかるでしょう。
マイホームに住み始めたあとは、固定資産税の他、エリアによっては都市計画税も納める必要があります。
マンションの場合は、管理費や修繕積立金、駐車場代、戸建てであれば建物や設備などの修繕・メンテナンス費用がかかります。
頭金なしで住宅ローンを組む場合でも、諸費用やランニングコストも考慮して現実的な資金計画を立てることが大切です。
・「住宅購入の諸費用」に関する記事はこちら
住宅購入にかかる諸費用ってどのぐらい?
繰り上げ返済を計画的に活用する
住宅ローンの返済中に余裕資金で繰り上げ返済をすると、元金が減り、支払う利息の総額を抑えやすくなります。
頭金を入れずに購入した場合でも、まとまった資金ができたタイミングで活用すれば、将来の返済負担を軽くできます。
繰り上げ返済には、主に「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。期間短縮型は毎月返済額を変えずに返済期間を短くする方法で、利息軽減効果が大きくなりやすい点が特徴です。返済額軽減型は返済期間を変えずに毎月返済額を下げる方法で、家計の月々の負担を抑えたい場合に向いています。
ただし、繰り上げ返済に資金を回しすぎると、手元資金が不足することがあります。病気や失業、教育費の増加などに備え、生活費の数か月分は手元に残したうえで活用しましょう。
住宅ローンの頭金を準備する方法

頭金を準備する方法としては、家計を見直してコツコツ貯める方法と、親や祖父母などから資金援助を受ける方法があります。
まず取り組みたいのは、毎月の収支の見直しです。通信費、保険料、サブスクリプション、外食費などを整理し、毎月一定額を先取り貯蓄に回すと、頭金を計画的に準備しやすくなります。勤務先に制度がある場合は、財形住宅貯蓄制度を利用する方法もあります。
親や祖父母から資金援助を受ける場合は、贈与税に注意が必要です。
・「住宅購入の親からの支援の非課税措置」に関する記事はこちら
住宅購入で親からの支援を受けたときの非課税措置は?各制度や注意点について解説
ただし、一定の要件を満たす場合、住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用できます。これは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得のための資金贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度です。
2026年6月現在、住宅取得等資金贈与の非課税限度額は、省エネ等住宅が1,000万円、その他の住宅が500万円です。適用期限は令和8年12月31日までとされていますが、非課税制度を使うには、住宅の要件や申告手続きなどを満たす必要があります。
親や祖父母からの資金援助は、家計にとって大きな助けになります。ただし、贈与税や相続時の扱い、きょうだい間の公平性なども関係します。援助を受ける前に、制度の要件や手続き、家族間の取り決めを確認しておきましょう。
頭金なしで住宅ローンを組むことに関するよくある質問

頭金なしで住宅ローンを組むことに不安を感じる人は少なくありません。ここでは、頭金の目安や購入タイミング、審査に通りやすくするためのポイントについて、よくある質問に回答します。
Q.頭金はどれくらい入れるべき?
一般的には、物件価格の10〜20%程度が頭金の目安とされます。
3,000万円の物件であれば300万〜600万円、5,000万円の物件であれば500万〜1,000万円です。
ただし、頭金を入れることだけにこだわる必要はありません。生活防衛資金として、生活費の3〜6か月分は手元に残しておきたいところです。また、住宅購入時には、頭金とは別に諸費用もかかります。
頭金を多く入れて借入額を減らす効果と、手元資金を残す安心感のどちらも考えながら決めましょう。
Q.頭金なしですぐ購入するのと数年後に頭金ありで買うならどちらが得?
一概にどちらが得とはいえません。頭金を貯めている間の家賃負担も考慮する必要があります。
さらに、頭金を貯めている間に住宅ローン金利や物件価格が上がれば、結果的に購入時の負担が増える可能性もあります。焦って購入し、借入額が過大になることは避けましょう。返済負担が重くなると、購入後の家計が苦しくなるおそれがあります。
判断するときは、家賃、頭金、金利、物件価格、家族のライフプランをまとめて比較することが大切です。
不動産会社や住宅ローンに詳しい専門家に相談し、複数のシミュレーションを確認するのも有効です。
Q.頭金なしで住宅ローンの審査に通りやすくするコツは?
頭金なしで住宅ローン審査に通りやすくするには、返済負担率を抑えることが基本です。
目安として、毎月返済額が手取り収入の25%以内に収まるかを確認しましょう。25%を超えるようなら、物件価格や借入額の見直し、返済期間の調整などを検討します。
また、勤続年数を重ねる、審査中に転職しない、マイカーローンやカードローンなど他の借り入れがあればできるだけ完済しておくことも重要です。クレジットカードの支払い遅れや携帯端末代金の延滞も審査に影響する可能性があるため、日頃の支払い管理も注意したいポイントです。
借入希望額が大きいときは、物件価格を見直す、返済期間を調整する、ペアローンや収入合算を検討する方法もあります。ただし、借入額を増やせる方法を選ぶと、その分だけ返済責任も大きくなります。審査に通ることだけでなく、購入後に返し続けられるかを基準に判断しましょう。
まとめ
頭金なしで住宅ローンを組むことは可能であり、実際に頭金なしでマイホームを購入する人も一定数います。頭金を貯めるまで待たずに住まいを購入できることや、手元資金を残せることは大きなメリットです。
一方で、借入額が増えることで毎月返済額や総返済額が大きくなり、審査に通りにくくなる場合があります。金利上昇や将来の売却時にオーバーローンとなるリスクも考えておく必要があります。
頭金なしで後悔しないためには、審査上の借入可能額ではなく、無理なく返し続けられる金額を基準にすることが大切です。購入時の諸費用やランニングコスト、教育費、老後資金まで含めてシミュレーションし、自分の家計に合った借入額・返済期間・金利タイプを選びましょう。
物件選びや住宅ローンの組み方に迷ったときは、不動産会社や金融機関に相談しながら、複数の資金計画を比較して判断することをおすすめします。
この記事のポイント
- 頭金なしで住宅ローンを組むことはできる?
頭金なしで住宅ローンを組むことは可能です。近年は住宅価格の上昇もあり、頭金が貯まるまで待つのではなく、頭金なし、または少額の頭金で住宅を購入する人も一定数います。
ただし、頭金なしで購入すると、同じ物件価格でも住宅ローンの借入額は大きくなります。返済計画を誤ると、毎月の返済が家計を圧迫したり、将来家を売りたいときに売却代金だけでは住宅ローンを完済できなかったりするおそれがあります。
詳しくは「頭金なしで住宅ローンを組むことはできるのか」をご覧ください。
- 頭金なしで住宅ローンを組むメリットは?
頭金なしで住宅ローンを組むことには、下記4点のメリットがあります。
- すぐに住まいを購入できる
- 住宅ローン減税の減税額が上がることがある
- 手元に資金を残せる
- 金利上昇前に住宅を購入できる可能性がある
詳しくは「頭金なしで住宅ローンを組むメリット」をご覧ください。
- 頭金なしで住宅ローンを組むデメリットは?
頭金なしでフルローンを組むことには、下記4点のデメリットがあります。借入額が大きくなりやすいため、返済計画を慎重に立てることが大切です。
- 審査に通りにくくなる
- 返済額が多くなる
- オーバーローンで売れなくなるリスクがある
- 金利上昇で返済額が増加する恐れがある
詳しくは「後悔する? 頭金なしで住宅ローンを組むデメリット」をご覧ください。
- 住宅ローンの頭金はどれくらい入れるべき?
一般的には、物件価格の10〜20%程度が頭金の目安とされます。
3,000万円の物件であれば300万〜600万円、5,000万円の物件であれば500万〜1,000万円です。
詳しくは「Q.頭金はどれくらい入れるべき?」をご覧ください。
- 頭金なしで住宅ローンの審査に通りやすくするコツは?
頭金なしで住宅ローン審査に通りやすくするには、返済負担率を抑えることが基本です。
目安として、毎月返済額が手取り収入の25%以内に収まるかを確認しましょう。25%を超えるようなら、物件価格や借入額の見直し、返済期間の調整などを検討します。
詳しくは「Q.頭金なしで住宅ローンの審査に通りやすくするコツは?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
頭金なしの住宅購入では、頭金をいくら入れるかよりも、「いくら借りられるのか」「その金額を返し続けられるのか」に不安を感じる方が多い印象です。
最近は、現金をできるだけ頭金に入れず、手元資金として残す、またはNISAで運用することを優先したいという相談も増えています。
借入額を増やせば希望に近い物件を選びやすくなりますが、金利上昇や支出の増加で返済余力が低下することもあります。購入前に、借入可能額だけでなく、手元資金と将来の返済余力まで確認しておきましょう。

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