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相続したマンションの売却の流れは?必要な手続き・税金・注意点を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。
https://x.com/sakuragirie

ざっくり要約!

  • 相続したマンションは相続人全員で遺産分割協議を行い、相続登記をしたうえで売却する
  • 相続したマンションのトラブルを避けたいときは、弁護士や司法書士、税理士、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめ

相続したマンションを売却する場合、売却前に遺産分割協議や相続登記を行い、その後売却に進むという流れになります。

そのまま売ることはできませんので、きちんと手順を踏むようにしましょう。

この記事では、相続したマンションを売却する際の流れを、時系列で紹介します。また遺産分割方法や相続から売却までにかかる税金のシミュレーション、税金の特例、注意すべきポイントまでわかりやすく解説します。

相続したマンションは「売却した方が良いのか」、それとも「賃貸や居住をして所有し続ける方が良いのか」という疑問にもお答えしていますので、ぜひ最後までお読みください。

相続したマンションの売却の流れを時系列で解説

相続したマンションの売却の流れ

相続したマンションは相続人全員で遺産分割協議を行い、相続登記をしたうえで売却しなければなりません。期限が決まっている手続きも多いため、全体の流れを把握し、スムーズに進めましょう。

ここでは、相続登記発生から確定申告までの流れを、時系列に沿って解説します。

相続から売却までのスケジュールと期限

はじめに、相続から売却、確定申告までの流れを5つのステップで紹介します。期限が決まっている手続きも多いため、スケジュール管理にお役立てください。

1. 相続発生直後
  • ・遺言書の有無を確認
  • ・相続人の確定
  • ・相続財産を把握
  • ・相続人全員で遺産分割協議書を作成
2. 相続発生から3か月以内
  • ・相続の承認または放棄、限定承認を決定
3. 相続発生から10か月以内
  • ・相続税の申告と納付
4. 相続発生から3年以内
  • ・相続登記
  • ・相続不動産売却を検討
5. 相続マンション売却の翌年
  • ・確定申告

相続が発生したら、まず遺言書の有無を確認します。

遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割について協議を行い、遺産分割協議書を作成しましょう。

ちなみに相続には、財産と借金の両方を相続する「単純承認」と、すべてを放棄する「相続放棄」のほかに「限定承認」があります。

限定承認とは、相続財産(プラス)の範囲内で借金(マイナス)を返済し、残りがあれば相続する制度です。どの方法を選択するかについては、3か月以内に決める必要があります。

相続税の申告と納付の期限は10か月以内、相続登記の期限は3年以内です。

どちらも期限を過ぎてしまうとペナルティ(過料や延滞税など)があるため、余裕をもって手続きをしましょう。

なお相続不動産を売却するのに期限はありませんが、相続が発生した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡すると、納付した相続税から一定額を譲渡資産の取得費に加算できます。

この取得費加算の特例を利用できる期限(3年10か月)を、売却の期限と考えておくと良いでしょう。

・「相続手続きの流れ」に関する記事はこちら
相続手続きの流れを徹底解説!手続き期限や必要書類なども紹介

1.遺言書の有無を確認する

まず、故人の遺言書があるのか確認しましょう。

遺言書があれば、基本的にはその内容にしたがって相続の手続きを進めることになります。
遺言書がない場合は、法定相続分(相続割合)を基準にして遺産を分割するのが一般的です。

ただし法定相続分は相続人全員の同意が得られなかったときの基準であり、かならずしも法定相続分で分割する必要はありません。
また遺言書があったとしても、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です。

故人の財産である不動産は法定相続人の共有財産になるため、誰かが単独で売却することはできません。法定相続人で遺産分割協議をおこない、相続登記をしてから売却する必要があります。

法定相続人とは、被相続人の財産を相続できる人のことで、民法によって定められています。被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、相続分はその他の相続人の順位に応じて変動します。

第1順位の者がいなければ、第2順位の者が配偶者とともに相続人になり、第2順位の者がいなければ、第3順位の者が配偶者とともに相続人になります。

法定相続人配偶者の法定相続分配偶者以外の法定相続分
配偶者・子ども1/21/2(子どもで均等に分割)
配偶者・父母(直系尊属)2/31/3(直系尊属で均等に分割)
配偶者・兄弟3/41/4(兄弟で均等に分割)

第1順位:被相続人の子ども(子どもが死亡している場合は、その子供)
第2順位:被相続人の父母(父母が死亡しているときは祖父母)
第3順位:被相続人の兄弟

たとえば配偶者と子どもが2人の家族の場合、配偶者は1/2、子どもはそれぞれ1/4が法定相続分です。

遺産分割する場合は、「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれかの方法を採用することになります。

マンションは売却して現金化したのち、法定相続分などの割合に応じて分割するケースが多いです。

2.法定相続人全員で遺産分割協議を行う

法定相続人全員で、誰がマンションを相続するのか協議し、遺産分割協議書を作成します。インターネット上に遺産分割協議書のひな型や記載例が掲載されていることも多く、個人でも作成は可能です。

ただし不備やトラブルを避けたいときは、弁護士や司法書士、税理士、行政書士などの専門家に依頼しましょう。

・「マンション相続を兄弟で分割する方法」に関する記事はこちら
マンション相続を兄弟で分割する方法とは?注意点やよくあるトラブル

3.相続登記する

遺産分割協議によりマンションを相続することが決まったら、次は相続登記をします。


相続登記とは、不動産の登記簿上の所有者を故人から相続人に変更する登記のことです。
故人が所有者のままではマンションを売却できないため、なるべく早く相続登記の手続きを始めましょう。

ちなみに2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。所有権を知ったとき、もしくは遺産分割協議が成立したときから3年以内に相続登記をしなければなりません。

正当な理由がなく相続登記を怠ると、10万円以下の過料が課せられる可能性があるので注意しましょう。

期限内(3年以内)に相続登記することが難しい場合は、簡易的に相続登記の申請義務を履行できる「相続人申告登記」という制度があります。ただし、あくまでも期限内に遺産分割や相続登記ができない人への救済措置であり、売却する際はかならず相続登記が必要になります。

相続登記は個人でもできますが、法定相続人の特定や戸籍の証明書の取得、遺産分割協議書の作成などをする必要があります。難しい場合は司法書士へ依頼しましょう。

出典:登記申請手続きのご案内(相続登記①遺産分割協議編)|法務省民事局

・「相続登記にかかる費用」に関する記事はこちら
相続登記にかかる費用や相場、書類作成についてわかりやすく解説

4.相続税を申告・納付する

相続財産が基礎控除額を超える場合は、相続税が発生します。

相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、税務署に相続税について申告し、納税することになります。

5.仲介か買取か決める

相続したマンションを売却する場合、不動産会社に依頼して買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく検討したうえで売却方法を決定しましょう。

仲介買取
メリット
  • ・相場価格で売却できる可能性が高い
  • ・売却価格について納得しやすい
  • ・現金化までが早く、手間がかからない
  • ・仲介手数料がかからない
デメリット  
  • ・売却までに時間がかかる可能性がある
  • ・仲介手数料がかかる
  • ・仲介よりも安くなる可能性が高い
  • ・買取価格が適正なのか、相場価格を自分で調べる必要がある

仲介による売却は、一般の市場で売却するため、相場価格で売却できる可能性が高いのがメリットです。

また希望する価格で売り出すことができるため、結果的に値下げすることになったとしても、売却価格について納得しやすいでしょう。

しかし売却までに時間がかかる可能性があり、一般的には3か月程度といわれていますが、タイミングや条件によっては長引くこともあります。また不動産会社へ仲介手数料を支払う必要があります。

買取による売却は、早ければ1週間程度で売買契約を締結できる可能性があり、現金化まで早いのがメリットです。

不動産会社が直接買い取る場合は、仲介手数料がかかりません。さらに内覧対応も不要なため、売却までに手間がかからないのが特徴です。

ただし買取の場合は、不動産会社は再販することを目的として買い取るため、相場価格よりも安くなることが多いです。納得できる価格なのか判断するためにも、相場価格を把握しておくと良いでしょう。

6.不動産会社に査定を依頼する

マンションの売却価格を設定するために、不動産会社へ査定を依頼します。

仲介・買取にかかわらず、適正な価格であるのか判断するためにも、自分でも周辺で売り出されているマンションの価格や成約事例を調べておくと良いでしょう。

また不動産会社によって査定価格や買取価格は異なるため、少なくとも2~3社には査定依頼することをおすすめします。

仲介による売却の場合「査定額=売却予想価格」であり、査定額をもとに売り出し価格を決めるのは、売主である自分です。マンション売却の実績が豊富で、信頼できると感じた不動産会社へ依頼しましょう。

買取による売却の場合、不動産会社が提示するのは「買取価格」です。複数社に相談し、1番高いところへ買取を依頼しましょう。

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7.不動産会社と媒介契約を締結する

不動産会社へ仲介を依頼する場合は、媒介契約を締結します。

媒介契約は3種類あり、複数の不動産会社へ依頼する場合は「一般媒介契約」、不動産会社を1社に絞る場合は「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」になります。

友人や親戚が購入する可能性があれば、自己発見取引ができる「専任媒介契約」を選んでおきましょう。

買取によって売却する場合は、不動産会社と直接取引するため媒介契約は不要です。売却価格や引き渡し条件に納得できれば、売買契約を締結し、残代金決済後にマンションを引き渡します。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
売却依頼先複数社に依頼可能1社に限定1社に限定
レインズへの登録任意7営業日以内に登録5営業日以内に登録
不動産会社の業務報告任意2週間に1回以上1週間に1回以上
自己発見取引可能可能不可

・「専属専任媒介契約」に関する記事はこちら
専属専任媒介契約とは?専任媒介・一般媒介との違いやメリットを解説

8.売買契約・引き渡しを行う

仲介の場合は、媒介契約締結後に不動産会社は売却活動をおこないます。マンションの引渡し時までに残置物を片付ける必要があるため、不要物はなるべく早めに処分しておきましょう。

残置物の撤去やハウスクリーニングを専門業者へ依頼する場合は、一定の費用が発生します。複数社へ見積もりを依頼し、どのくらいかかるのか把握しておきましょう。

買い手が見つかり、価格や引き渡し条件に折り合いがついたら、不動産会社のサポートのもとで売買契約を締結し、一定期間後に残代金決済・引き渡しをおこないます。

買主へ所有権移転登記をする前に、抵当権を抹消する必要がありますが、住宅ローンを完済していてもまれに抵当権が設定されたままのケースもあります。抵当権の抹消は自分でもできるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

9.換価分割の場合は売却代金を分配する

マンションを複数人で相続した場合は、買主から受け取った売却代金を、持分の割合に応じて分配します。

相続財産の分配方法については、後ほど詳しく解説します。

10.確定申告を行う

マンションを売却して譲渡益が生じたら、翌年の2月16日~3月15日までに確定申告をし、納税します。譲渡益とは、売却代金から購入時に支払った代金を差し引いたあとに残った「利益」のことです。

なお譲渡益がない場合でも、税金の特例や控除を利用する場合は、確定申告が必要です。

確定申告は自分でできますが、税理士に依頼する方法もあります。

マンション相続で知っておきたい4つの遺産分割方法

マンション相続で知っておきたい4つの遺産分割方法

マンション相続で遺産分割する方法は、主に4つあります。

遺産を適切かつスムーズに分割するためにも、どのような分割方法があるのか、事前に知っておくようにしましょう。

現物分割

現物分割とは、相続財産を現物のまま遺産分割する方法です。

たとえば配偶者がマンションを相続し、長男は別荘、長女は株式を受け継ぐような方法です。ちなみにマンションを持分で相続する場合も、現物分割になります。

不動産を売却する必要がないため比較的シンプルな分割方法ともいえますが、均等に分割できないと、不公平感からトラブルに発展することもあります。

換価分割

遺産である不動産などを売却し、現金化してから法定相続人で分割する方法です。

マンションに住む人がいない場合などは、換価分割が向いているでしょう。

また実際に売却して手元に残った資産を分割できるため、法定相続人の全員が納得しやすいのがメリットです。

代償分割

代償分割とは、相続人の1人が相続し、他の相続人へ法定相続分に応じた現金を代償として支払う方法です。

たとえば配偶者が評価3,000万円のマンションを相続するのであれば、2人の子どもへ750万円ずつ支払うことで分割します。

不動産を共有名義にしないで済むため、将来のトラブルを回避できる方法ともいえます。

しかし遺産の評価額が適正なのか判断しにくい上に、多額の現金を用意する必要があるため、難しいケースが多いかもしれません。

共有分割

共有分割とは、1つの不動産を複数の相続人で「共有する」分割方法です。

売却をともなう換価分割とは異なり、売らずとも公平に遺産分割できるのがメリットです。ただし複数人でマンションを共有するため、さらに相続が発生したときは、共有する人が増えることになります。
将来的に権利関係が複雑化するため、分割方法で折り合いがつかないときの最終手段であると心得ましょう。
出典:相続人の範囲と法定相続分|国税庁

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マンション相続から売却までの流れで発生する税金や費用

マンション相続から売却までの流れで発生する税金や費用

マンションを相続し、売却するまでには税金や費用が発生します。相続財産を売却する場合は、どの程度かかるのか試算しておきましょう。

登録免許税
相続登記時にかかる税金です。

・登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%

印紙税
不動産売買契約書に貼る印紙代です。売買価格に応じて税額が異なります。

仲介手数料(不動産会社へ売却を依頼する場合)
成功報酬として不動産会社へ支払う手数料です。

売却価格が400万円超の場合は「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限額となります。

司法書士への報酬(相続登記を依頼する場合)
司法書士へ相続登記を依頼する場合の報酬で、10万円前後が目安です。

戸籍等の取得費
相続登記には戸籍や住民票、印鑑証明書などが必要になり、実費としてかかります。
数千円程度かかることを想定しておきましょう。

参照:
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
短期譲渡所得の税額の計算|国税庁

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マンション相続後の売却でかかる税金の計算方法とシミュレーション

マンション相続後の売却でかかる税金の計算方法とシミュレーション

相続財産の金額や法定相続人の人数によっては、相続税が発生します。また相続したマンションを売却して譲渡益が発生すると、譲渡所得税がかかるケースもあります。

ここでは、相続税や譲渡所得税がどのくらいかかるのか把握するために、計算方法を解説しながら、それぞれシミュレーションをします。

相続税

相続財産が基礎控除額を超える場合は、相続税が発生します。

相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、税務署に相続税について申告し、納税することになります。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

遺産に係る基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

たとえば配偶者と子どもが2人の場合は、基礎控除額は4,800万円となります。つまり相続財産が4,800万円以下であれば相続税は発生せず、相続税について申告は不要です。

ちなみに配偶者については、「配偶者の税額の軽減」という特例があります。

1憶6,000万円まで、もしくは配偶者の法定相続分の相当額までは相続税がかかりません。なお、この制度を利用する場合は、税務署へ相続税について申告する必要があります。

また未成年が相続人になる場合は「未成年者の税額控除」を利用でき、一定の条件を満たす場合は、未成年者が18歳になるまでの年数1年につき10万円が控除できます。

相続税が発生する場合は利用できる軽減措置や控除がないか確認し、必要に応じて税務署や自治体の税務相談会、不動産会社の担当者などに相談してみましょう。

出典:相続税のあらまし|税務署
配偶者の税額軽減|国税庁
未成年者の税額控除|国税庁

 シミュレーション

相続税がいくらかかるのか想定しておくために、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
マンションの売却価格:5,000万円
マンションの固定資産税評価額:3,500万円
マンションの相続税評価額:4,000万円(ここでは固定資産税評価額÷70%×80%とします)
マンション以外の相続財産:預貯金の1,000万円

法定相続人:子ども2人

子ども2人が相続するのは、マンション(相続税評価額4,000万円)と預貯金(1,000万円)です。

4,000万円+1,000万円=5,000万円

法定相続人が2人の場合、基礎控除額は3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円

つまり相続税の課税対象となるのは、5,000万円−4,200万円=800万円です。

800万円を子ども2人で均等に分けると、1人あたりの課税価格は400万円となります。

国税庁の相続税の速算表を見ると、1,000万円以下の税率は10%であるため、1人当たりの相続税は400万円×10%=40万円です。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却して利益が発生したときにかかる税金で、以下のとおり所有期間に応じて税率が異なります。

・譲渡所得税={売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除}×税率
・長期譲渡所得(被相続人の所有期間5年超):39.63%(所得税・住民税)
・短期譲渡所得(被相続人の所有期間5年以下):20.315%(所得税・住民税)

譲渡所得金額からマンションの取得にかかった費用や譲渡費用を差し引くことができ、相続などで取得費がわからないときは、売却価格の5%を取得費としてみなすことができます。

シミュレーション

譲渡所得がどのくらいかかるのかイメージするために、以下の条件をもとにシミュレーションしてみましょう。

マンションの売却価格:5,000万円
マンションの取得費(購入代金と経費):4,000万円
マンションの譲渡費用(仲介手数料や印紙代等):180万円
マンションの所有期間:15年
マンション以外の相続財産:預貯金の1,000万円

譲渡所得は、5,000万円−(4,000万円+180万円)=820万円

マンションの所有期間は15年のため、長期譲渡所得の税率(20.315%)がかかります。

譲渡所得税は、820万円×20.315%=1,665,830円となります。

ただし3,000万円の特別控除を適用できれば、そもそも譲渡所得はゼロになり、譲渡所得税はかかりません。

相続空き家の3,000万円特別控除の特例は、この後の章で解説します。

相続したマンションの売却で活用可能な特例

相続したマンションの売却で活用可能な特例

相続したマンションの売却で、活用できる代表的な4つの特例を紹介します。
なお特例を適用するためには、一定の書類を添えて確定申告する必要があります。

相続財産の取得費加算の特例
相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却することで、課税譲渡所得額を計算する際に、相続税の一定額を取得費として加算できます。

相続空き家の3,000万円特別控除の特例
被相続人の居住用財産を2027年12月31日までに売却し、一定の条件を満たす場合は、課税譲渡所得から3,000万円まで控除できます。

小規模宅地等の特例
被相続人の居住用財産(もしくは事業用)について、土地の評価を一定割合まで減額して相続税を算出できる特例です。たとえば居住用のマンションであれば、330㎡までを80%に減額できます。

居住用財産の3,000万円特別控除
マイホームを売却して譲渡益が発生したとき、一定の条件を満たす場合に譲渡所得から最大で3,000万円まで控除できる特例です。

出典:
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁
相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
マイホームを売ったときの特例|国税庁

相続したマンションを売却するにあたっての注意点

相続したマンションを売却,注意点

相続したマンションを売却する際は、いくつか注意点があります。そもそもマンションは劣化や資産価値の低下リスクがあり、売却が長引くほど売りにくくなります。

ここでは、特に注意すべきポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

空き家のまま放置しない

マンションを相続したら、空き家のまま放置しないようにしましょう。住んでいなくても、固定資産税や管理費、修繕積立金がかかります。

売却するのであれば、なるべく早く行動に移しましょう。

不動産会社は複数に相談し信頼できるところを選ぶ

マンションの査定は複数社に依頼するようにし、査定額の高さだけでなく、信頼できると感じたところへ売却を依頼しましょう。

マンションを高く、かつスムーズに売却できるかどうかは、担当者のスキルや経験によって大きな差が出ることがあるため、担当者を見極めることが大切です。

とくに相続の場合は、自分自身がマンションの長所や相場を把握していない可能性もあるため、不動産会社は慎重に選ぶようにしてください。

・「実家のマンションを売却するタイミング」に関する記事はこちら
実家を売却するタイミングは相続後?相続前? 税金や売却の流れを解説

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相続税申告期限の翌日から3年以内の売却を検討する

相続が発生した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡すると、納付した相続税から一定額を譲渡資産の取得費に加算できます。

この取得費加算の特例を利用すると負担軽減のメリットが大きいため、早めに売却を検討し、相続税申告期限から3年以内の売却を目指しましょう。

取得費が不明な場合は資料を探す

取得費が不明な場合、物件価格×5%の概算取得費を使って譲渡所得を計算できますが、たとえば実際に3000万円で購入した物件は、概算取得費で150万円になってしまいます。

取得費の根拠となる売買契約書や建築確認通知書、ローン契約書などを探すようにしてください。

ただし被相続人の購入時期が古い場合、取得費が5%を下回る場合もあります。実際にかかった取得費と概算取得費のどちらか有利な方を選択できるため、試算したうえで決めましょう。

・「取得費が不明な土地の売却」に関する記事はこちら
取得費が不明な土地を売却するときの税金はどうなる?

相続マンションの売却で必要な相続登記・確定申告の流れと必要な書類

相続マンションの売却で必要な相続登記・確定申告の流れと必要な書類

相続マンションを売却する際は、相続登記が必要です。そしてマンションを売却して譲渡益が出たときや、税金の特例を利用する際は、確定申告をする必要があります。

ここでは、相続登記と確定申告のおおまかな流れと、必要書類を紹介します。

相続登記

2024年4月1日から相続登記が義務化されたため、マンションを売却するか否かに限らず、相続登記が必要です。

相続登記の申請は個人でも可能で、おおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 被相続人および相続人の戸籍謄本などを用意する
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 登記申請書を作成する
  4. 法務局へ相続登記を申請する

必要書類

  • 被相続人の戸籍謄本(戸籍事項証明書)・除籍謄本・改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 法定相続人の戸籍謄本(抄本・戸籍事項証明書)
  • 法定相続人の印鑑証明書・固定資産税課税明細書
  • 相続する人の住民票
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 委任状(相続登記を司法書士などへ依頼する場合)

必要書類を集めるのに苦労するケースも多いため、基本的には司法書士へ依頼することをおすすめします。

確定申告

譲渡益が発生したら、売却した翌年(2月16日~3月15日)に確定申告をします。

おおまかな流れと必要書類は、以下のとおりです。

  1. 売買契約書や領収書など、必要書類を準備する
  2. 譲渡所得を計算する
  3. 確定申告書を作成する
  4. 税務署へ提出する(税務署の窓口へ持参・郵送・e-Tax)

必要書類

  • 売買契約書のコピー(マンション購入時と売却時)
  • 取得と譲渡にかかった経費の領収書
  • 登記事項証明書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 確定申告書

国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用すれば、案内に従って入力することで譲渡所得の内訳書と確定申告書を作成でき、そのまま電子申告(e-Tax)できて便利です。

または税務署や国税庁のホームページから、確定申告に必要な書類を入手することもできます。必要事項を記入できたら、税務署の窓口へ持参するか郵送で提出しましょう。

相続したマンションは売却・賃貸・居住のどれが良い?

相続したマンション,売却・賃貸・居住,どれが良い

相続マンションはかならずしも「売却」する必要はなく、「賃貸」や「居住」の選択肢もあります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、マンションの立地やライフスタイル、かかる維持費によっても判断は変わるため、どの選択肢が向いているのかよく検討するようにしましょう。

売却賃貸居住
メリット
  • ・まとまった現金が手に入る
  • ・維持費がかからなくなる
  • ・毎月家賃収入を得られる
  • ・将来売却することも可能
  • ・マンションを手放さずに済む
  • ・家賃が浮く
デメリット
  • ・売却に諸費用がかかる
  • ・マンションを手放すことになる
  • ・空室リスクがある
  • ・維持管理に費用と手間がかかる
  • ・空室でも固定資産税や管理費がかかる
  • ・立地によっては通勤が不便になる
  • ・固定資産税や管理費がかかる
向いている人
  • ・維持や管理に費用や手間をかけたくない人
  • ・家賃収入を得たい人
  • ・将来住む可能性がある人
  • ・賃貸物件に住んでいる人
  • ・現在の住まいより相続マンションのほうがメリットの多い人

まとめ

マンションの相続が発生するとさまざまな手続きが必要になり、多くの場合は期限が決まっています。そして相続したマンションに住まなくても、固定資産税や管理費はかかります。

マンションの相続が決まったら、なるべく早く手続きを進めるようにし、取得費加算の特例や特別控除の特例が利用できるタイミングでの売却を検討しましょう。

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この記事のポイント

相続したマンションの売却の流れは?

相続したマンションの売却の流れは下記の通りです。

時期 内容
1.相続発生直後
  • 遺言書の有無を確認
  • 相続人の確定
  • 相続財産を把握
  • 相続人全員で遺産分割協議書を作成
2.相続発生から3か月以内
  • 相続の承認または放棄、限定承認を決定
3.相続発生から10か月以内
  • 相続税の申告と納付
4.相続発生から3年以内
  • 相続登記
  • 相続不動産売却を検討
5.相続マンション売却の翌年
  • 確定申告

詳しくは「相続したマンションの売却の流れを時系列で解説」をご覧ください。

マンション相続の遺産分割方法は?

マンション相続で遺産分割する方法としては、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割があります。

詳しくは「マンション相続で知っておきたい4つの遺産分割方法」をご覧ください。

マンション相続から売却までの流れで発生する税金や費用は?

マンションを相続し、売却するまでには下記のような税金や費用が発生します。相続財産を売却する場合は、どの程度かかるのか試算しておきましょう。

登録免許税
相続登記時にかかる税金です。

・登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%

印紙税
不動産売買契約書に貼る印紙代です。売買価格に応じて税額が異なります。

仲介手数料(不動産会社へ売却を依頼する場合)
成功報酬として不動産会社へ支払う手数料です。

売却価格が400万円超の場合は「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限額となります。

司法書士への報酬(相続登記を依頼する場合)
司法書士へ相続登記を依頼する場合の報酬で、10万円前後が目安です。

戸籍等の取得費
相続登記には戸籍や住民票、印鑑証明書などが必要になり、実費としてかかります。
数千円程度かかることを想定しておきましょう。

詳しくは「マンション相続から売却までの流れで発生する税金や費用」をご覧ください。

マンション相続後の売却でかかる税金は?

相続財産の金額や法定相続人の人数によっては、相続税が発生します。
また相続したマンションを売却して譲渡益が発生すると、譲渡所得税がかかるケースもあります。

詳しくは「マンション相続後の売却でかかる税金の計算方法とシミュレーション」をご覧ください。

相続したマンションの売却で活用可能な特例は?

相続したマンションの売却で、活用できる代表的な4つの特例は下記です。

なお特例を適用するためには、一定の書類を添えて確定申告する必要があります。

  • 相続財産の取得費加算の特例
  • 相続空き家の3,000万円特別控除の特例
  • 小規模宅地等の特例
  • 居住用財産の3,000万円特別控除

詳しくは「相続したマンションの売却で活用可能な特例」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

相続したマンションは、すべての法定相続人と遺産分割について協議する必要があり、相続登記をしなければ、売却することはできません。今後も不動産価格の上昇傾向は続くと思われますが、更なる価格高騰や金利の上昇によっては、マンション需要が減る可能性があります。売却のタイミングを逃さないためにも、いつでも売却できるように準備しておくことをおすすめします。

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