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土地相場を路線価や地価から調べる方法と注意点

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 土地の評価額は「公示地価」や「基準地価」「路線価」など複数ある
  • 土地の価格は立地や形状、接道の影響を大きく受ける

土地の相場価格は、路線価や地価などの評価額からある程度、推測できます。しかし、それぞれの評価額がどのように定められているかを知らなければ、正確に算出することはできません。

本記事では、土地の評価額の詳細や相場価格の具体的な調べ方を解説します。

土地の相場の目安となる評価額

土地相場の目安となる値は以下のように複数あり、それぞれ調査主体や定め方が異なります。

  • 実勢価格
  • 公示地価
  • 基準地価
  • 路線価
  • 固定資産税評価額

実勢価格

実勢価格とは、土地が実際に取引された金額を指します。「売り出し価格」とは似て非なるものです。というのも、不動産は売り出した価格のまま成約にいたるとは限りません。

たとえば、3,000万円で売り出している土地でも、買主から値引き交渉が入り売主が承諾すれば、2,800万円や2,900万円など売り出し価格以下の金額で取引されることもあります。一方、数は多くありませんが、人気の物件などでは、逆に売り出し価格より高く取引されるケースも見られます。

公示地価

公示地価は、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年1回、1月1日時点の標準値の正常な価格を公示し、土地の取引価格に対する指標とするため定められます。1地点につき、2名以上の不動産鑑定士による鑑定評価を基に公示地価が決定します。

基準地価

基準地価は、都道府県主体のもと、7月1日時点における基準値の1㎡あたりの価格を判定した価格です。調査方法は公示地価と同様ですが、都市計画区域外も含まれる点が公示地価とは異なります。また、公示地価は2名以上の不動産鑑定士による鑑定評価が基になりますが、基準地価は1人以上の不動産鑑定士によって鑑定されます。

路線価

路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格を指します。路線価を定めるのは、国税庁。相続や贈与税の財産を評価する際にも適用される価格です。路線価は、公示地価の8割を目安に定められます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる価格です。他にも、都市計画税や不動産取得税、登録免許税も固定資産税評価額を基に算出されます。公示地価の7割を目安に定められ、3年に一度見直されます。

売却前に土地の相場を知る方法

土地がいくらで売れるかは、売却の可否にもかかわってくるものです。土地を売る前には、売却金額のある程度の目安を把握しておきましょう。

調べ方1.不動産会社のHPをチェック

最も簡単に土地の相場を知る方法は、不動産会社のサイトをチェックすることです。自分が所有している土地と類似している条件の土地が坪単価あるいは平米単価いくらで売り出されているか確認し、土地の広さに応じて乗じてみましょう。

ただし、前述のとおり、売り出し価格と実勢価格は異なります。市況や需要などにもよりますが、売り出し価格より低い金額で成約にいたるのが一般的ですので、この点は加味してください。

調べ方2.公示地価から推測

実勢価格は、公示地価の1.1〜1.2倍になることが多いものです。つまり、公示地価を調べれば、ある程度の相場を知ることができます。

(出典:国土交通省

公示地価は、国土交通省が運営する「土地総合システム」から確認できます。上記の画像は、令和5年1月1日時点の標準値番号「渋谷-1(初台2丁目)」の公示地価。1㎡あたりの地価は、98万6,000円です。

98.6万円/㎡✖️1.1=約108万円/㎡

この1.1倍が実勢価格になるとすれば、約108円/㎡となりますので、60㎡の土地なら実勢価格は約6,480万円ほどと推測できます。

調べ方3.路線価から推測

路線価は、先のとおり公示地価の8割を目安に定められます。つまり、公示地価から実勢価格を推測する計算式を活用すれば、路線価からもある程度の土地相場がわかります。

(出典:国税庁

路線価は、国税庁のサイトから確認できます。上記マップの道路上の数字は、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価格(千円単位)を表しています。たとえば、A町2丁目12(一番右の赤丸の地点)の路線価は、25.5万円/㎡です。ここからまず、公示地価の目安を計算します。

25.5万円/㎡➗0.8=約32万円/㎡

続いて、推計した公示地価から実勢価格を計算します。

約32万円/㎡✖️1.1=約35万円/㎡

公示地価は35万円/㎡ほどと推計できましたので、60㎡の土地なら2,100万円ほどが相場と考えられます。

調べ方4.不動産会社に査定依頼する

ここまで紹介した土地の相場価格の調べ方は、おおよその目安を知るためのものです。より正確に相場を知るためには、不動産会社に査定を依頼するのが堅実です。

査定方法は、次の2つに大別されます。精度の高い査定額を望む場合は、後者の訪問査定を依頼しましょう。

机上査定

机上査定は、机上でわかる物件情報や市場動向を基に算出する査定方法です。現地に行って物件を見ることはないため、大まかな相場価格を把握するために適した査定方法といえます。

訪問査定

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を調査したうえで算出する査定方法です。机上ではわからない日当たりや周辺環境、隣地の状況、建物・設備の経年状況などを踏まえて査定するため、精度の高さに期待できます。

土地の相場を知るうえでの注意点!価格を決める三大要素とは

地価や路線価から土地の相場を推測する場合は、注意点があります。それは、土地の価格には次のような個別要素が大きく影響すること。地価や路線価だけでは、相場を推測するには限界があります。

1.立地

地価や路線価を見ていただくとわかりますが、土地の価格は立地によって大きく変わります。基本的には駅に近いほど価格は上がりますが、電車の利用頻度が低い郊外エリアでは、幹線道路に近いほど価格が高くなります。相対的にいえば、利便性の高い立地ほど価値は高いということです。

2.形状

土地は、整形地であるほど価値が高くなります。整形地とは、簡単にいえば四角い土地。旗竿地や三角地、台形地などは建物が建てにくく、汎用性も低いことから価値が下がります。一方、四角い形状であっても、奥行きが長すぎたり、高低差があったりすると使い勝手が悪くなることから価値が下がります。

3.接道

土地の価格に大きく影響するのが、接道です。土地と接する道路の間口や道幅が狭いと、価値は下がります。基本的に、道路と土地が接している間口は2m以上、接している道路は4m以上なければ接道義務を満たさない土地となります。この場合、再建築不可となり、価値は大きく下がります。

正確な土地相場価格を知るには不動産会社に査定依頼を

土地の相場は路線価や地価からも推測できますが、土地の価格は形状や接道状況などの影響も受けるため、あくまで目安と捉えておきましょう。正確な相場を知るには、不動産会社による査定が不可欠です。査定は基本的に無料のため、おおよその目安がわかったら査定依頼することをおすすめします。

この記事のポイント

土地の評価額にはどんなものがある?

公示地価や基準地価、路線価などがあります。

詳しくは「土地の相場の目安となる評価額 」をご覧ください。

土地の相場価格はどうやって調べるの?

不動産会社に査定してもらう方法が最も正確です。

詳しくは「売却前に土地の相場を知る方法 」をご覧ください。

土地の価格を決める要素とは?

立地や形状、接道です。

詳しくは「土地の相場を知るうえでの注意点!価格を決める三大要素とは 」をご覧ください。

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