ざっくり要約!
- マンションの売却でかかる可能性のある税金は、印紙税・登録免許税・消費税・譲渡所得税の4つ
- 中古マンションの売却に関係する税金を支払うタイミングについて、印紙税や登録免許税は売却手続きの途中、譲渡所得にかかる所得税や住民税等は売却後
中古マンションを売却すると、売買契約書の印紙税や登記に伴う登録免許税、仲介手数料などにかかる消費税、譲渡所得にかかる所得税・住民税など、複数の税金が関係します。
「想定以上の税金がかかり、手元に残るお金が減ってしまった」という事態を防ぐためには、事前の資金計画が欠かせません。
なかでも譲渡所得の税額は、所有期間や取得費、3,000万円特別控除などの適用可否によって大きく変わります。
本記事では、税金の種類や計算方法、利用できる特例、支払うタイミングなど、中古マンション売却時に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
記事サマリー
マンションの売却にかかる税金とは?

マンションを売却する際にかかる主な税金は、以下の4種類です。
| 税金の名称 | 課される主なケース | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 紙の不動産売買契約書を作成するとき | 契約金額によって異なる。1,000万円超5,000万円以下の売買契約では、軽減措置適用後1万円 |
| 登録免許税 | 売却に伴い抵当権を抹消するとき | 不動産1個につき1,000円。建物1個・土地1個なら2,000円 |
| 消費税 | 仲介手数料や司法書士報酬などを支払うとき。課税事業者が事業用建物を売却する場合など | 課税対象となる金額に原則10% |
| 譲渡所得税 | マンションの売却で課税対象となる利益が生じたとき | 長期譲渡所得は20.315%、短期譲渡所得は39.63%など |
印紙税や登録免許税は売却手続きの途中で発生する一方、譲渡所得に対する税金は売却後に計算・申告します。
また、自宅として所有していたマンションの売却代金そのものには、原則として消費税はかかりません。
それぞれ課税される場面や税額の決まり方が異なるため、順番に確認していきましょう。
印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書、領収書などの課税文書に課される国税です。
中古マンションを売却するときは、買主と取り交わす売買契約書に税額分の収入印紙を貼り、印鑑や署名で消印をして印紙税を納めます。
税額は、契約書に記載された契約金額によって決まります。
| 契約書に記載される金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
| 50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
| 100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
| 1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
| 5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
| 10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
| 50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
不動産売買契約書が2027年(令和9年)3月31日までに作成されている場合、軽減税率が適用されます。たとえば、マンションの売却金額が4,000万円の場合、通常の税額は2万円ですが、軽減措置が適用されると1万円に減額されます。
紙の売買契約書に必要な収入印紙を貼らなかったり、貼った印紙に消印をしなかったりすると、過怠税の対象になります。印紙を貼らずに課税文書を作成した場合は、原則として本来納める印紙税額の3倍に相当する過怠税が課されます。
また、貼った印紙を所定の方法で消印しなかった場合は、その印紙の額面に相当する過怠税が課されます。契約書を取り交わす際は、収入印紙の貼付だけでなく、消印まで済んでいるか確認しておきましょう。
なお、印紙税は「課税文書」に対して課される税金のため、売買契約書を文書として作成しない電子契約の場合、印紙税は非課税となります。
・「印紙税」に関する記事はこちら
不動産売買の印紙代(印紙税)の金額は?軽減税率も解説
登録免許税
登録免許税は、法務局で登記をする際に課される税金です。
マンションの売却時に行う主な登記には、所有者を買主に変更する「所有権移転登記」と物件に設定されていた抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」があります。
抵当権は、ローンの返済ができなくなったときに、担保になっている物件を差し押さえて、強制的に売却して貸付金を回収できる権利です。マンションの売主が負担するのは、主に抵当権抹消登記の登録免許税です。所有権移転登記にかかる登録免許税は、一般的に買主側が負担します。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。マンションの場合、建物と土地のそれぞれに抵当権が設定されます。建物1つと土地(敷地権)1つに抵当権が設定されているのであれば、登録免許税の税額は計2,000円です。
なお、登記手続きを司法書士に依頼する場合は、1万〜2万円ほどの報酬が別途かかります。
・「登録免許税」に関する記事はこちら
登録免許税の計算方法と支払時期を解説!軽減措置や事例もあわせて紹介
・「抵当権抹消」に関する記事はこちら
抵当権抹消とは?抹消が必要になるケースや費用、手続きの方法を解説
消費税
消費税は、商品の購入やサービスの提供などの取り引きに対して課せられる税金です。
たとえば、不動産会社に売却活動の成功報酬として支払う「仲介手数料」や、登記手続きを司法書士に依頼した際の報酬などは消費税の課税対象です。
マンションの売却価格に消費税が課税されるかどうかは、状況により異なります。売主が自宅として使用していたマンションを売却する場合、売却代金は原則として消費税の課税対象になりません。
一方で、投資用のマンションや事業用の店舗などを売却したときは、建物部分にのみ消費税がかかります。ただし、売主が免税事業者である場合など、消費税の納税義務を負わないケースもあります。土地部分の売却価格については、売主や売却する不動産などにかかわらず消費税は非課税とされています。
マンション売却に関係する消費税の扱いを整理すると、以下のようになります。
| ケース | 消費税 |
|---|---|
| 個人が自宅として使っていたマンションを売却 | 売却代金には原則として課税されない |
| 土地部分の売却 | 非課税 |
| 投資用・事業用マンションなどを事業として売却 | 建物部分が課税対象※ |
| 不動産会社へ支払う仲介手数料 | 課税対象 |
| 司法書士などへ支払う報酬 | 課税対象 |
譲渡所得税
税法上、「譲渡所得税」という独立した税金があるわけではありません。
不動産を売却して生じた利益(譲渡所得)に対して課される所得税・復興特別所得税・住民税を、本記事ではまとめて「譲渡所得税」と呼びます。
2026年分の譲渡所得にかかる所得税には、基準となる所得税額の2.1%に相当する復興特別所得税が加算されます。
なお、2027年分以後は防衛特別所得税が新設され、基準となる所得税額の1%が課される一方、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に引き下げられます。両者を合わせた上乗せ割合は2.1%で変わりません。復興特別所得税の課税期間は2047年分まで延長されます。
不動産の譲渡所得は「分離課税」の対象です。給与所得や事業所得などとは合算せず、譲渡所得について個別に税額を計算します。
マンションの売却で課税対象となる譲渡所得が生じた場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。また、3,000万円特別控除などの特例を利用して税額が0円になる場合でも、特例の適用を受けるために確定申告が必要となるケースがあります。

中古マンションの譲渡所得の計算方法

続いて、譲渡所得や譲渡所得税の計算方法を解説します。
譲渡所得の計算式
譲渡所得(売却益)の計算方法は、以下の通りです。
- 課税譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)-特別控除
それぞれの項目に該当するものは以下の通りです。
| 内訳 | |
|---|---|
| 譲渡価額 | ・マンションの売却金額 ・固定資産税・都市計画税の精算金 |
| 取得費 | ・マンションの購入金額(建物部分は減価償却費相当額を差し引く) ・購入時の諸費用(仲介手数料・印紙税・登録免許税・司法書士報酬・不動産取得税など) |
| 譲渡費用 | ・売却時の諸費用(仲介手数料・売買契約書の印紙税・売却のために行った測量費など) |
| 特別控除 | ・マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例(3,000万円特別控除) ・公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例 など |
減価償却の計算
マンションの譲渡所得を計算するときは、購入時の建物価格をそのまま取得費として計上することはできません。
建物部分については、購入時の建物価格などから「減価償却費相当額」を差し引き、売却時点の取得費を求めます。
減価償却費相当額が大きいほど取得費は小さくなり、その分だけ譲渡所得が大きくなる可能性があります。購入価格と売却価格だけを比較して税額を判断しないことが重要です。
減価償却費とは
一般に建物は、築年数が経過するにつれて価値が減少していくと考えられています。この減少分を金額として表したものが減価償却費です。
土地は使用や時間の経過によって価値が減少する資産とは扱われないため、減価償却の対象になりません。
中古マンションを売却する際も、土地と建物を分け、建物部分について減価償却費相当額を計算します。
計算方法
自宅として使用していた建物の減価償却費相当額は、以下の計算式で求めます。
・減価償却費相当額=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数
※経過年数の1年未満の端数は、6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てます。
※減価償却費相当額は、建物の取得価額の95%が上限です。
償却率は建物の構造によって異なります。鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の非業務用建物では、償却率は0.015です。
たとえば、RC造の居住用マンションで、建物の取得価額が3,000万円、取得から売却までの経過年数が10年だったとします。
3,000万円×0.9×0.015×10年=405万円
この場合、建物部分の取得費は「3,000万円-405万円=2,595万円」となります。
なお、経過年数は実際に住んでいた期間ではなく、建物を取得してから売却するまでの期間で計算します。また、償却率は建物の構造によって異なるため、登記事項証明書などで確認しておきましょう。
・「減価償却」に関する記事はこちら
不動産の減価償却とは?耐用年数や定額法での計算方法をわかりやすく紹介
譲渡所得税の税率は所有期間により変動
譲渡所得税は、以下の計算式で求めます。
・譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率
税率は不動産の所有期間によって変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超なら長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得として、以下の税率が適用されます。
| 所有期間 | 税率(2026年分) |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(住民税9%・所得税30%・復興特別所得税0.63%) |
| 5年超(長期譲渡所得) | 20.315%(住民税5%・所得税15%・復興特別所得税0.315%) |
課税譲渡所得金額が同じでも、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば、短期譲渡所得に比べて税率が低く、譲渡所得税の負担も軽くなります。
・「短期譲渡所得・長期譲渡所得」に関する記事はこちら
短期譲渡所得・長期譲渡所得の基礎知識!不動産売却で気をつけるべき点も
中古マンションの売却で利益が出たときに利用できる控除特例

中古マンションを売却して利益が出たときは、特例を適用することで税負担を減らしたり課税を先送りにしたりできます。
ここでは、中古マンションの売却時に利用できる主な控除特例を解説します。
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除は、住んでいたマイホーム(居住用財産)を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
この特例を適用すると、譲渡所得が3,000万円を超えない限り譲渡所得税の納税は不要となります。
3,000万円特別控除を受けるためには「自身が住んでいる(または住んでいた)家を売却する」「住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却する」などの要件を満たす必要があります。また、買い換え特例とは併用できず、新居の住宅ローン控除とも一定期間併用できません。
・「3,000万円特別控除」に関する記事はこちら
マンション売却で活用可能! 3,000万円特別控除とは?
軽減税率の特例
軽減税率の特例は、所有期間が10年を超えるマイホームを売った場合に、譲渡所得税の税率が通常よりも低くなる制度です。
この特例を適用できると、課税譲渡所得6,000万円までの部分の税率が以下の通りに軽減されます。
| 課税長期譲渡所得金額 | 税率(2026年分) |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21%(住民税4%・所得税10%・復興特別所得税0.21%) |
| 6,000万円超の部分 | 20.315%(住民税5%・所得税15%・復興特別所得税0.315%) |
軽減税率の特例は、3,000万円特別控除との併用が可能です。中古マンションを売却するとき、2つの制度をを併用できれば、譲渡所得税の負担を大きく軽減できる可能性があります。
買い換え特例
買い換え特例は、マイホームを売却して新たに別のマイホームを購入する場合に適用できる特例です。
所定の要件を満たすと、売却したときの売却益が生じても、譲渡所得税の課税を新居の売却時まで先送りにすることができます。
たとえば、マンションを売却して注文住宅に住み替えるとしましょう。マンションは購入時よりも高く売れたため、1,000万円の譲渡所得が発生しました。買い換え特例を適用すると、この1,000万円の譲渡所得に対する譲渡所得税は、住み替え先の注文住宅を売るときに課税されるようになります。
特例の要件は「売却代金が1億円以下」「居住期間が10年以上かつ売却した年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間が10年超」などです。また、3,000万円特別控除とは併用ができないため、両方を適用できる場合はどちらか一方を選ぶ必要があります。
取得費加算の特例
取得費加算の特例は、相続または遺贈(遺言によって財産を移転すること)で取得した不動産を一定期間内に売却したときの特例です。
この特例を受けると、取得した不動産の譲渡所得税を計算する際、納めた相続税の一部を取得費に加算できるため、譲渡所得税が軽減されます。
特例を受けるためには、相続や遺贈で財産を取得した人に相続税が課税されていなければなりません。また、取得した財産を相続開始から3年10か月以内に売却する必要があります。
・「相続したマンションで利用できる控除特例」に関する記事はこちら
相続したマンションの売却で利用できる控除特例一覧!控除額・適用要件を解説

控除特例の併用可否
マンション売却時に利用できる特例は、自由に重ねて適用できるわけではありません。併用できるかどうかは、制度の組み合わせによって異なります。
| 特例の組み合わせ | 併用 |
|---|---|
| 3,000万円特別控除+軽減税率の特例 | 可能 |
| 3,000万円特別控除+買い換え特例 | 不可 |
| 軽減税率の特例+買い換え特例 | 不可 |
| 取得費加算の特例+ほかの特例 | 組み合わせによって異なるため個別確認が必要 |
3,000万円特別控除と軽減税率の特例は、それぞれの適用要件を満たしていれば併用できます。一方、買い換え特例を選択した場合は、3,000万円特別控除や軽減税率の特例を同じ譲渡について重ねて使うことはできません。
複数の物件を同じ年に売却した場合は、それぞれの譲渡について特例の要件を判定します。
ただし、3,000万円特別控除については、同一年中に複数の居住用財産を売却して双方が対象になったとしても、控除額は合計3,000万円が上限です。
「物件ごとに3,000万円ずつ控除できる」という意味ではありません。
また、3,000万円特別控除や軽減税率の特例、買い換え特例は、新居の住宅ローン控除と一定期間併用できません。
住み替えでは、売却時の特例だけで判断せず、住宅ローン控除を含めた税負担全体を比較しておきましょう。
中古マンションの売却で損失が出たときに利用できる控除特例

マンションを売却した結果、譲渡所得の計算上マイナスとなった金額を「譲渡損失」といいます。
売却価格が購入時の価格を下回っていても、建物の減価償却や取得費、譲渡費用を反映して計算するため、単純な購入価格と売却価格の差だけで譲渡損失になるとは限りません。
土地や建物の譲渡損失は、原則として給与所得や事業所得などとは損益通算できません。
ただし、一定の要件を満たすマイホームの売却では、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」といった特例を利用できる場合があります。
特例が適用されれば、対象となる譲渡損失をその年の給与所得や事業所得などと損益通算できます。損益通算しても控除しきれない金額は、翌年以後3年間にわたって繰り越して控除できます。
なお、2026年度税制改正により、これらの特例は適用期限が2年間延長され、2027年12月31日までとなりました。 特例ごとに所有期間や住宅ローン、買い換えなどの要件が定められているため、売却前に適用可否を確認しておくことが大切です。
中古マンション売却後の税金を抑える方法と注意点

マンション売却時の税額は、売却代金だけで決まるものではありません。取得費や譲渡費用を正しく計上できているか、所有期間が何年になるか、利用できる特例があるかによっても大きく変わります。
税負担を抑えるためには、それぞれの仕組みを理解し、売却前から必要な情報を整理しておくことがポイントです。
譲渡費用に含められるものは漏れなく計上
譲渡所得は、売却代金などの収入から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
売却のためにかかった費用のうち、譲渡費用として認められる支出を漏れなく計上することで、課税対象となる譲渡所得を適正に抑えることにつながります。
譲渡費用に含まれる代表的なものは、売却時の仲介手数料や売買契約書の印紙税、土地などを売るために建物を取り壊した場合の取壊し費用などです。
一方、固定資産税や修繕費といった維持管理費、住宅ローンに伴う抵当権抹消登記費用などは、原則として譲渡費用には含まれません。
売却に関連して支払った費用の領収書や請求書は、確定申告に備えて保管しておきましょう。
譲渡費用に該当するか判断しにくい支出については、まず不動産会社に支出内容を確認し、税務上の扱いについては税務署や税理士に確認するとよいでしょう。
取得費が分からないときの落とし穴と注意点
マンションを購入したときの金額が分からない場合、税額が想定以上に大きくなることがあります。
取得費を確認できないときは、売却価格の5%を「概算取得費」として計算することが可能です。たとえば3,000万円で売却したマンションなら、概算取得費は150万円にとどまります。
実際にはより高い金額で購入していても、取得費が150万円として計算されれば譲渡所得が大きくなり、税負担が増える可能性があります。
売買契約書が見当たらないからといって、すぐに取得費を5%として計算する必要はありません。購入当時の価格表やパンフレット、住宅ローンの契約書、購入代金を振り込んだ通帳の履歴など、取得時の金額を確認する手がかりとなる資料が残っていないか調べてみましょう。
どの資料で実際の取得費を立証できるかは個別の事情によって異なるため、判断が難しい場合は税務署や税理士への確認が必要です。
所有期間「5年」「10年」の数え方に注意
譲渡所得にかかる税率を判断するときは、マンションを実際に「何年何か月」所有したのかだけではなく、売却した年の1月1日時点での所有期間を確認する必要があります。
この時点で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。また、マイホームの軽減税率の特例では、所有期間が10年を超えていることが要件の一つとなります。
たとえば、2021年4月に購入したマンションを2026年5月に売却した場合、実際の所有期間は5年を超えています。しかし、2026年1月1日時点では5年を超えていないため、税務上は短期譲渡所得となり、39.63%の税率が適用されます。
このように、年をまたいで売却時期が変わると、適用税率や利用できる特例が変わる場合があります。
【シミュレーション】マンションを売却したときの税金はいくら?

ここからは、中古マンションを売却した場合を例に、譲渡所得と税額をシミュレーションします。
まず、居住用マンションの例で譲渡所得の計算過程を確認します。そのうえで、3,000万円特別控除の適用可否や所有期間など、条件の異なる3つのケースを比較し、税額がどの程度変わるのか見ていきます。
譲渡所得の計算
ここまで解説した内容を踏まえ、居住用の中古マンションを売却した場合の譲渡所得を計算してみましょう。条件は以下の通りです。
- 所有期間:10年
- マンションの購入価格:4,500万円(建物3,000万円・土地1,500万円)
- 購入時の諸費用:300万円
- マンションの売却価格:6,000万円
- 固定資産税・都市計画税の精算金:20万円
- 売却時の諸費用:300万円
まず、建物部分の減価償却費相当額を計算します。RC造またはSRC造の非業務用建物の償却率は0.015です。前述の計算式に当てはめると、減価償却費相当額は405万円となります。
3,000万円×0.9×0.015×10年=405万円
したがって、建物部分の取得費は次の通りです。
3,000万円-405万円=2,595万円
なお、ここでは計算をわかりやすくするため、購入時の諸費用300万円は全額を取得費に含めるものとして簡略化します。
実際には、購入時の諸費用のうち建物部分に対応する費用についても、減価償却費相当額の調整が必要になる場合があります。建物は取得価額から減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費となります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 譲渡価額(売却価格+固定資産税等精算金) | 6,020万円 |
| 建物の取得費 | 2,595万円 |
| 土地の取得費 | 1,500万円 |
| 購入時の諸費用 | 300万円 |
| 取得費合計 | 4,395万円 |
| 売却時の諸費用 | 300万円 |
| 特別控除前の譲渡所得 | 1,325万円 |
固定資産税・都市計画税の精算金として買主から受け取った金額は、譲渡所得を計算する際の収入金額に含めます。
したがって、特別控除前の譲渡所得は、
6,020万円-4,395万円-300万円=1,325万円
となります。
このマンションが3,000万円特別控除の適用要件を満たすマイホームであれば、特別控除前の譲渡所得1,325万円の全額を控除できるため、課税譲渡所得金額は0円となります。
3,000万円特別控除は、一定の要件を満たすマイホームの譲渡所得から最高3,000万円まで控除でき、譲渡所得が3,000万円未満の場合はその譲渡所得額が控除限度となります。
税金を3つのケースで比較
マンション売却時の税額は、譲渡所得の大きさだけでなく、3,000万円特別控除の適用可否や所有期間によって大きく異なります。
2026年分の税率を使って比較すると、以下の通りです。
| ケース | 譲渡所得(控除前) | 所有期間 | 3,000万円特別控除 | 適用税率 | 税額 |
|---|---|---|---|---|---|
| ケース1:一般的なマイホーム売却 | 2,000万円 | 8年 | 適用あり | 長期 20.315% | 0円 |
| ケース2:値上がり幅が大きいマイホーム | 5,000万円 | 7年 | 適用あり | 長期 20.315% | 約406万3,000円 |
| ケース3:投資用マンションを短期売却 | 500万円 | 3年 | 適用なし | 短期 39.63% | 約198万1,500円 |
居住用財産で3,000万円特別控除の要件を満たす場合、譲渡所得が3,000万円以下であれば、税額が0円になるケースがあります。
3,000万円特別控除を利用できる場合でも、譲渡所得が3,000万円を超えると、超過分が課税対象になります。また、所有期間が10年を超えるマイホームでは、一定の要件を満たせば軽減税率の特例を利用できる可能性があります。
短期譲渡所得は長期譲渡所得より税率が高いため、譲渡所得がそれほど大きくなくても税額が大きくなりやすい点に注意が必要です。
中古マンション売却後に税金を支払うタイミングと方法

中古マンションの売却に関係する税金は、すべてを同じタイミングで納めるわけではありません。
印紙税や登録免許税は売却手続きの途中で、譲渡所得にかかる所得税等や住民税は売却後に納めます。
<売買契約時>印紙税
紙の売買契約書に収入印紙を貼り、消印して納めます。
<登記申請時>登録免許税
抵当権抹消などの登記申請時に納付します。司法書士へ依頼する場合は、必要な費用とあわせて預けるのが一般的です。
<仲介手数料などの支払時>消費税
仲介手数料や司法書士報酬などにかかる消費税は、各料金とあわせて支払います。課税事業者が事業用建物を売却した場合は、別途申告・納付が必要です。
<売却した翌年の確定申告期限まで>所得税等
譲渡所得にかかる所得税等は、原則として売却した翌年の確定申告期限までに納付します。確定申告書を提出しただけでは納付したことにはなりません。納付方法には、振替納税、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリなどがあります。
<売却した翌年6月以降>住民税
住民税は前年の所得をもとに計算され、売却した翌年6月以降に納めます。
譲渡所得にかかる住民税は、確定申告時に給与からの特別徴収または自分で納付する方法を選択できます。自分で納付する場合は、自治体から届く納税通知書に従って納めます。
・「マンション売却の税金」に関する記事はこちら
マンション売却の税金はいつ払うの?譲渡所得税の計算・支払い・節税の方法を伝授
マンション売却後の確定申告

譲渡所得が生じたときは、中古マンションを売却した翌年の2月16日〜3月15日のあいだに確定申告をします。※土日祝によって前後します。
3,000万円特別控除や軽減税率の特例なども確定申告で申請手続きをします。
特例を適用したことで税額が0円になる場合でも、確定申告は必要です。
確定申告をする際は、以下のような書類を作成・準備します。
| 書類の内訳 | |
|---|---|
| 申告書類 | 確定申告書第一表・二表 確定申告書第三表(分離課税用) 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) |
| 売却時の書類 | マンション売却時の売買契約書 譲渡費用(仲介手数料や売買契約書の印紙税など)が確認できる領収書 |
| 購入時の書類 | マンション購入時の売買契約書 購入時の仲介手数料や登記費用などが確認できる領収書 |
| 本人確認書類 | 以下A.Bのいずれか A.マイナンバーカードの裏面と表面のコピー B.番号確認書類(例:通知カード)+身元確認書類(例:運転免許証など) |
| その他 | 給与所得者の場合は源泉徴収票 |
申告書類を作成するときは国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用するのがおすすめです。画面の指示にしたがって金額や氏名などを入力すると、譲渡所得や税額などが自動で計算され、それらが反映された申告書類を作成できます。
申告書類の準備ができたら所轄の税務署に以下の方法で提出します。
- 窓口に持参する
- 郵送する
- e-Taxで電子申告をする
e-Taxは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムです。マイナンバーカードとそれを読み取れるスマートフォンがあると、e-Taxを用いて申告書類の電子データをインターネットで送信できます。
・「確定申告」に関する記事はこちら
不動産売却後の確定申告は自分でできる? 計算方法・流れ・必要書類などを解説
不動産売却の確定申告はいつまでにする? 年をまたぐ場合も解説
中古マンション売却の税金でよくある質問

中古マンションの売却では、「いつ税金を払うのか」「利益が3,000万円以下なら税金はかからないのか」など、税金に関する疑問が生じやすいものです。
ここでは、マンション売却時の税金についてよくある質問を3つ取り上げます。
Q. マンション売却の税金はいつ・どのように支払う?
印紙税は紙の売買契約書を作成するとき、登録免許税は抵当権抹消などの登記を申請するときに納めます。仲介手数料などにかかる消費税は、原則として各料金を支払う際にあわせて負担します。
譲渡所得にかかる所得税等は、原則として売却した翌年の確定申告期限までに納付します。住民税は、売却した翌年6月以降に、給与からの特別徴収や納税通知書による普通徴収などで納めます。
Q. 売却益が3,000万円以下なら税金はかからない?
売却益が3,000万円以下だからといって、自動的に税金がかからなくなるわけではありません。
自身が住んでいたマイホームで、3,000万円特別控除の要件を満たしていれば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けるため、結果として課税譲渡所得が0円になるケースがあります。
特例を利用するには確定申告が必要です。
また、住み替え先で住宅ローン控除を利用する場合、3,000万円特別控除とは一定期間併用できません。どちらを利用するほうが有利か、売却前に比較しておく必要があります。
Q. マンション売却で損失が出た場合に税金は戻ってくる?
マンションの売却で損失が出ただけで、必ず税金が戻ってくるわけではありません。土地や建物の譲渡損失は、原則として給与所得などとの損益通算ができないためです。
ただし、一定の要件を満たすマイホームの譲渡損失であれば、対象となる損失を給与所得や事業所得などと損益通算できる特例があります。
損益通算によって所得税額が減り、すでに源泉徴収された所得税がある場合は、確定申告によって還付を受けられることがあります。
損益通算しても控除しきれなかった損失については、翌年以後3年間にわたって繰越控除できる場合があります。
まとめ
中古マンションの売却では、印紙税や登録免許税、消費税が関係するほか、課税対象となる譲渡所得が生じた場合には、所得税・復興特別所得税・住民税などがかかります。なかでも譲渡所得にかかる税額は、取得費や減価償却費相当額、譲渡費用、所有期間によって大きく変わります。
マイホームであれば3,000万円特別控除や軽減税率などを利用できる場合があり、売却損が生じたケースにも一定の特例が設けられています。ただし、特例にはそれぞれ適用要件や併用制限があるため、「利益が3,000万円以下」「所有期間が10年超」といった一部の条件だけで判断しないことが大切です。
中古マンションの売却を検討するときは、査定価格だけでなく、税金や諸費用を差し引いた手取り額まで確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。
この記事のポイント
- マンションの売却でかかる税金は?
かかる可能性のある税金は、印紙税・登録免許税・消費税・譲渡所得税の4つです。
詳しくは「マンションの売却にかかる税金とは?」をご覧ください。
- マンション売却時の税負担を軽減できる特例は?
適用要件を満たせば「3,000万円控除」や「軽減税率の特例」などが利用できます。
詳しくは「中古マンションの売却で利益が出たときに利用できる控除特例」をご覧ください。
- マンション売却後の確定申告は必要?
譲渡所得が発生した場合・控除特例を適用する場合は確定申告が必要です。
詳しくは「マンション売却後の確定申告」をご覧ください。
- マンション売却の税金はいつ・どのように支払いますか?
印紙税は紙の売買契約書を作成するとき、登録免許税は抵当権抹消などの登記を申請するときに納めます。仲介手数料などにかかる消費税は、原則として各料金を支払う際にあわせて負担します。
譲渡所得にかかる所得税等は、原則として売却した翌年の確定申告期限までに納付します。住民税は、売却した翌年6月以降に、給与からの特別徴収や納税通知書による普通徴収などで納めます。
詳しくは「マンションの売却にかかる税金とは?」をご覧ください。
- 売却益が3000万円以下なら税金はかからないのですか?
3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得(売却益)が3,000万円を超えない限り譲渡所得税の納税は不要となります。
3,000万円特別控除を受けるためには「自身が住んでいる(または住んでいた)家を売却する」「住12月31日までに売却する」などの要件を満たす必要があります。また、買い換え特例とは併用できず、新居の住宅ローン控除とも一定期間併用できません。
詳しくは「中古マンションの売却で利益が出たときに利用できる控除特例」をご覧ください。
- マンション売却で損失が出た場合に税金は戻ってきますか?
マンションの売却で損失が出ただけで、必ず税金が戻ってくるわけではありません。土地や建物の譲渡損失は、原則として給与所得などとの損益通算ができないためです。
ただし、一定の要件を満たすマイホームの譲渡損失であれば、対象となる損失を給与所得や事業所得などと損益通算できる特例があります。
詳しくは「中古マンションの売却で損失が出たときに利用できる控除特例」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンション売却で利益が出るかどうかは、査定価格と購入価格を比べるだけでは判断できません。減価償却費相当額や購入時・売却時の費用、固定資産税等の精算金まで反映して譲渡所得を概算し、利用できる特例もあわせて確認することがポイントです。
住み替えでは、3,000万円特別控除と新居の住宅ローン控除のどちらが有利かも事前に比較しておく必要があります。税金は売却後に考えるのではなく、売却条件を固める前に概算しておくことが、納得できる売却につながります。

売りたい物件・時期がお決まりの方はこちら
60秒で入力完了!売却査定を承ります。
不動産の売却可能額を査定する

東急リバブルが買主となり、
ご所有不動産を直接購入いたします
周囲に知られずに売却・早急に現金化!
リバブル不動産買取はこちら

