ざっくり要約!
- 土地の実勢価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1(もしくは1.2)で計算できる
- 不動産会社の査定では、立地や形状、接道する土地の種類などあらゆる条件を踏まえた実勢価格を算出してもらえる
固定資産税評価額を使って計算できる実勢価格とは、不動産が実際に取引された価格のことで、時価と呼ばれることもあります。
もちろんあくまでも目安と考えるべきで、正確な価格とまではいえませんが、売却するかどうか検討する際には参考になるでしょう。
この記事では、固定資産税評価額から実勢価格を計算する方法や、土地の価値を示す5つの指標、
実勢価格をより正しく知る方法について解説します。
記事サマリー
固定資産税評価額から実勢価格を計算する方法

固定資産税評価額は、公示価格(地価公示)の70%程度に設定されています。
また公示価格の1.1~1.2倍が実勢価格だといわれており、この関係を利用すれば「土地の実勢価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1(もしくは1.2)」で計算できます。
ただしあくまでも理論上の計算であり、実際の成約価格よりも上回ることもあれば、下回ることもあります。売却価格の目安として参考にしてください。
・「公示価格とは」に関する記事はこちら
公示価格とは?評価方法や調べ方、基準地価との違いを解説
・「固定資産税評価額」に関する記事はこちら
固定資産税評価額とは?価格の決定方法や確認方法、土地の価格を詳しく解説
固定資産税評価額とは?

固定資産税評価額とは、固定資産税を算出するための基準となるものです。固定資産税は、次の計算式で算出します。
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 税率
固定資産税評価額とは、土地や建物の販売価格ではなく、自治体が算出した不動産の評価額を指します。
税率は「1.4%」とされているケースが多い傾向にありますが、自治体によっては適用税率が異なることもあるので注意しましょう。
・「固定資産税」に関する記事はこちら
固定資産税はいくら?マンションと一戸建ての違いは?
一物五価とは|公示価格・基準地価・路線価・実勢価格との関係
土地の価格を示す指標として、固定資産税評価額・公示価格・基準地価・相続税路線価・実勢価格の5つがあり、これを「一物五価」と呼びます。
概要や公表される時期、機関については以下のとおりです。
| 概要 | 公表時期/公表する機関 | |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額 | 固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの算定基準となる1㎡あたりの評価額 | 3年に1度の4月初旬 市区町村(東京23区は東京都)が公表 |
| 公示価格(地価公示) | 地価公示法に基づき算出するもので、標準値の1㎡あたりの評価額 | 毎年3月下旬 国土交通省の土地鑑定委員会 |
| 基準地価 | 国土利用計画法に基づき算出するもので、基準値の1㎡あたりの評価額 | 毎年9月20日ごろ 各都道府県 |
| 相続税路線価 | 相続税や贈与税を算出する際に用いる評価額で、土地が | 毎年7月1日 国税庁 |
| 実勢価格 | 実際に取引された土地の価格。時価と呼ばれることもある | 取引(成約)のタイミング |
・「一物五価」に関する記事はこちら
土地相場を路線価や地価から調べる方法と注意点 「一物五価」についても解説
固定資産税評価額
固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して課せられる地方税で、その税額を算定する際に根拠となるのが固定資産税評価額です。
総務大臣が定めた固定資産税評価基準に基づいて、3年に1度市町村が評価します。
固定資産税評価額は、毎年4~6月頃に届く固定資産税納税通知書で確認することができるほか、市区町村(東京23区は都税事務所)で固定資産税評価証明書を取得するか、課税台帳で確認できます。
・「固定資産税評価額」に関する記事はこちら
固定資産税評価額とは?価格の決定方法や確認方法、土地の価格を詳しく解説
実勢価格
実勢価格とは、不動産が実際に取引された価格を意味し、時価と呼ばれることもあります。売主の事情や買主の希望など、さまざまな要素で変動するため、一定の基準があるわけではありません。
また売り出し価格に対して買主が価格交渉することもあり、不動産ポータルサイトなどに記載されている価格よりも、低い金額で成約にいたっていることが多いです。
なお実際に取引された価格の調べ方については、後半で解説します。
公示価格
公示価格とは、不動産鑑定の基準や一般の土地取引の指標となる土地の価格です。国土交通省が毎年1月1日時点の標準値における土地の価格を評価し、3月下旬ごろに公表しています。
固定資産税の評価や相続評価の基準にもなる価格で、標準値の公示価格は、不動産情報ライブラリなどで確認できます。
基準地価
基準地価とは、毎年7月1日時点の基準地における土地の価格で、各都道府県が主体となって9月20日ごろに公表しています。評価の対象(基準値)は約2万地点で公示価格とほぼ変わりませんが、都市計画区域内だけでなく、都市計画区域外も対象となるのが特徴です。
ちなみに公示価格は1月1日時点の評価のため、基準地価を見比べることで、半年後の基準値の評価や動向を比較することができます。
相続税路線価
相続税路線価とは、相続税や贈与税を計算する際に指標となる価格のことで、国税庁が毎年1月1日時点の価格を算定し、7月1日に公表しています。
基準地は土地ごとではなく、道路ごとに1㎡あたりの価格が定められるのが特徴で、路線価に土地面積を乗じて評価額を計算します。
一物五価の関係
一物五価と呼ばれる5つの価格は、目的や算出の過程が異なりますが、実勢価格以外の4つの価格のうち一つでも分かれば、他の価格もある程度想定できます。
公示価格と基準地価はほぼ同等で、固定資産税評価額は公示価格の70%程度、相続税路線価は公示価格の80%程度です。
公示価格や基準地価は、ほぼ実勢価格ともいえますが、実勢価格は売主の事情や買主の希望、市場の需要などの影響を受けるため、必ずしも同等とはなりません。
固定資産税評価額が使われる税金の種類
固定資産税評価額は、固定資産税の計算のみならず、都市計画税や不動産取得税、登録免許税などを算出する際の基準にもなります。いずれも、固定資産税評価額に税率をかけて算出されます。
なお、それぞれの税金を算出する計算式は、以下のとおりです。
都市計画税=固定資産税評価額×税率(0.3%)
不動産取得税=固定資産税評価額×税率(4%)
※土地や住宅は軽減税率3%が適用
登録免許税(所有権移転登記)=固定資産税評価額×税率(2%)
※2027年3月31日までは1.5%の軽減税率が適用
土地と建物は個別に評価
固定資産税評価額は、土地と建物に分けて評価されます。よって、税額も土地と建物それぞれ計算する必要があります。
「評価替え」は3年に1回
不動産の固定資産税評価額は、3年に1度「評価替え」があります。評価替えとは、固定資産を適正に評価するために見直すことを指します。地価や建物の価値は変わっていくものであり、それを反映するために定期的に評価額を見直しているのです。
固定資産税の減税措置
一定要件を満たした固定資産を所有している場合は、自治体に申請することで以下の減税措置の適用が受けられます。
| 減税措置名 | 減税対象 | 減税割合 | 減税期間 |
|---|---|---|---|
| 新築住宅の軽減措置 | 建物 | 2分の1 | 戸建ては3年間 マンションは5年間 |
| 住宅用地の特例 | 土地 | 6分の1〜3分の1 | 基本的に建物を解体するまで |
| リフォーム減税 | 建物 | 3分の1〜3分の2 | 1年間 |
| マンション長寿命化促進税制 | 建物 | 6分の1〜2分の1 | 令和7年3月31日まで |
税額の目安を算出する場合は、これらの減税措置も考慮しましょう。
・「固定資産税の減税」に関する記事はこちら
固定資産税の減税措置とは?適用条件や申請方法を解説
土地の固定資産税評価額・実勢価格の計算方法

固定資産税評価額は、土地と建物で異なります。ここでは、土地の固定資産税評価額や実勢価格の計算方法を紹介します。
土地の固定資産税評価額の決まり方
土地の固定資産税評価額を計算する方法は、土地が所在する場所によって異なります。
路線価が設定されているような市街地は「路線価方式」、路線価が設定されていないエリアは「標準宅地比準方式」で算出します。
路線価方式で計算する場合は、固定資産税路線価に土地面積を乗じますが、土地の条件によって補正(評点)を加えます。
土地の固定資産税評価額=固定資産税路線価(1㎡あたりの評価額)×土地面積×評点
なお路線価が設定されていないエリアでは、標準宅地の単価を使い、土地の条件によって補正して以下のとおり計算します。
土地の固定資産税評価額=標準宅地の1㎡あたりの価格×土地面積×補正率
ただし正確な固定資産税評価額を知りたいときは、固定資産評価証明書などで確認したほうが良いでしょう。
土地の公示地価から固定資産税評価額を推測する
土地の固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安にするのが一般的です。
公示価格とは、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が都市計画区域などの標準的な地点の1月1日時点の1㎡あたりの価格を判定したものです。
公示価格と実勢価格の関連性
実勢価格とは、実際に土地が取引される価格を指します。
国が示す価格の目安があるとはいえ、土地の価格は当事者間の合意で決まるため、公示価格と実勢価格は必ずしもイコールにはなりません。
取引状況にもよりますが、実勢価格は公示価格の概ね1.1〜1.2倍になるのが一般的です。
・「公示価格」に関する記事はこちら
公示価格とは?評価方法や調べ方、基準地価との違いを解説
土地の実勢価格から評価額が推測できる
固定資産税評価額は、先のとおり公示価格の70%を目安に算出できます。また、実勢価格は公示価格の1.1〜1.2倍程度と仮定すれば、次の計算式で、実勢価格から固定資産税評価額が推測できます。
ここまでの内容をまとめると、土地の固定資産税評価額の目安を算出する計算式は、以下のようになります。
土地の固定資産税評価額の目安=公示価格×70%
=(実勢価格÷1.1〜1.2)×70%
建物の固定資産税評価額・実勢価格の計算方法

次に、建物の固定資産税評価額や実勢価格の計算方法を解説します。
建物の固定資産税評価額の決まり方
建物の固定資産税評価額は、「再建築価格方式」と呼ばれる計算方法で求めます。
再建築価格方式とは、建物を立て直す場合にかかる費用である「再建築価格」を基準として、固定資産税評価額を算出する計算方法です。
この「再建築価格」に、建築後の年数の経過に応じて生じる減価を基礎に定めた割合である「経年減点補正率」を乗じて、固定資産税評価額を算出します。
計算式にまとめると、以下のようになります。
建物の固定資産税評価額=再建築価格×経年減点補正率
建物の固定資産税評価額の目安
新築住宅の正確な固定資産税は、建物が建築された後に決定されます。その流れとしては、新築し入居した後、1〜3カ月以内に自治体による家屋調査が行われ、固定資産税評価額を算出しています。
新築時には、家屋の建築費の50〜70%程度が固定資産税評価額の目安となり、その後は経過年数に応じた経年減点補正率を乗じて固定資産税評価額の目安を推測します。
なお、経過年数ごとの経年減点補正率の詳細は、法務省のサイトでご確認ください。
建物の実勢価格から固定資産税評価額の目安を算出する方法
実勢価格から建物の固定資産税評価額の目安を算出することも可能です。
上記に比べ、ややおおまかな方法にはなりますが、新築住宅の場合は、新築価格の60%を目安とし、中古住宅の場合は、実勢価格に経年減点補正率を乗じて算出することも可能です。
固定資産税評価額と実勢価格が大きくずれるケース

固定資産税評価額と実勢価格は大きく乖離するケースもあり、所在するエリアの特徴によって実勢価格が高くなりやすいところもあれば、低くなりやすいところもあります。固定資産税評価額と実勢価格の関係性について、もう少し詳しく解説します。
固定資産税評価額と実勢価格の差が大きくなりやすいケースとは
希少性が高い、もしくは駅や大規模な商業施設が近くにあるような人気のエリアは、固定資産税評価額よりも実勢価格が高くなりやすいのが特徴です。
一方、不整形の土地やがけ地、老朽化した建物などは売却が難しい傾向があり、その分実勢価格のほうが低くなるケースが多いでしょう。
実勢価格は市場の動向や需要の有無が影響するため、必ずしも固定資産税評価額と実勢価格は一致しません。不動産の特徴も加味したうえで、実勢価格がどのくらいになるのか判断しましょう。
正確な売却相場を知るには不動産会社の査定が必須
固定資産税評価額を参考にして実勢価格を計算した場合、土地や建物の特徴や条件によって差が出るケースは少なくありません。
もし不動産の売却を検討している場合は、より適正な売却相場を知るためにも、不動産会社へ査定依頼することをおすすめします。
売り出し価格は高すぎると売却が長引く要因となり、安すぎると損をすることになります。販売実績が豊富な不動産会社に相談するようにし、ぜひ複数の査定価格を参考にしてください。
固定資産税評価額と実勢価格の調べ方

ここでは、固定資産税評価額と実勢価格を調べる方法を紹介します。
固定資産税評価額を調べる方法
固定資産税評価額は、実勢価格や公示地価などからその目安を推測できます。しかし、この方法でわかるのは、あくまで目安。正確な固定資産税評価額および税額を知る方法は、次の3つのいずれかです。
固定資産税納税通知書を確認

毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人には、4〜6月頃に各自治体から固定資産税納税通知書が送付されます。
通知書の中にある「課税明細書」には、固定資産税評価額が記されています。なお、固定資産税納税通知書および課税明細書は紛失しても再発行されないためご注意ください。
固定資産課税台帳を閲覧
「固定資産課税台帳」でも、固定資産税評価額を確認できます。固定資産課税台帳とは、課税される土地や家屋の所有者や所在、評価額が記載された帳簿です。市区町村の役所、あるいは東京23区の都税事務所で閲覧可能です。
固定資産税評価証明書を取得
「固定資産税評価証明書」は、固定資産課税台帳に記載された内容を証明する書類です。原則的に、土地や建物の所有者とその家族であれば、市区町村の役所あるいは東京23区の都税事務所で取得できます。1週間〜10日程度かかりますが、郵送で取り寄せることも可能です。マイナンバーカードを使ってコンビニで取得できる自治体もあります。
実勢価格を調べる方法
固定資産税評価額から計算する方法以外にも、実勢価格を調べる方法があります。ここでは、実勢価格を調べる主な方法を解説します。
不動産情報ライブラリを確認
不動産情報ライブラリにアクセスして、不動産取引価格を検索しましょう。不動産情報ライブラリとは、国土交通省が運営するWebサイトで、住所や路線・駅名を入力し、さらに詳細事項を入力することで類似物件の取引価格を検索できます。
会員登録や個人情報の入力も不要で、比較的簡単に実勢価格のほか、公示価格も調べることができます。
・「不動産情報ライブラリ」に関する記事はこちら
不動産情報ライブラリとは? 不動産売買で賢く活用する方法
レインズマーケットインフォメーションを利用
国土交通省の指定を受けた、不動産流通機構が運営しているレインズマーケットインフォメーションにも実際の取引価格が掲載されており、類似する物件の実勢価格や取引の時期を調べることができます。
不動産情報ライブラリと同様に、会員登録なども不要で、手軽に取引価格を検索できます。
不動産会社に査定を依頼
不動産会社へ査定を依頼すると、立地や形状、接道する土地の種類など、あらゆる条件を踏まえた価格を算出してもらえます。
なお不動産査定にはAI査定や簡易(机上)査定、訪問査定がありますが、なるべく精度の高い査定価格を知りたいときは、現地調査をしたうえで査定する訪問査定を推奨します。
ただし訪問査定であっても、不動産会社によって査定額が異なることがあります。少なくとも2~3社に依頼し、査定の根拠を解説してもらいましょう。

まとめ
土地や建物の実勢価格を、固定資産税評価額から計算して割り出す方法もありますが、あくまでも目安であり、上回ることもあれば下回ることもあります。
不動産情報ライブラリやレインズマーケットインフォメーションなどを検索し、ぜひ実際に流通している物件の成約事例も参考にするようにしてください。
ただし売却を検討している場合は、より正確な資金計画を立てるためにも、不動産会社への査定依頼することをおすすめします。
この記事のポイント
- 固定資産税から実勢価格を求めるには?
土地の実勢価格は、固定資産税評価額÷0.7×1.1(もしくは1.2)で計算できます。
ただしあくまでも理論上の計算であり、実際の成約価格よりも上回ることもあれば、下回ることもあります。売却価格の目安として参考にしてください。詳しくは「固定資産税評価額から実勢価格を計算する方法」をご覧ください。
- 土地の固定資産税評価額は何で決まるの?
土地の固定資産税評価額を計算する方法は、土地が所在する場所によって異なります。
路線価が設定されているような市街地は「路線価方式」、路線価が設定されていないエリアは「標準宅地比準方式」で算出します。
路線価方式で計算する場合は、固定資産税路線価に土地面積を乗じますが、土地の条件によって補正(評点)を加えます。
土地の固定資産税評価額=固定資産税路線価(1㎡あたりの評価額)×土地面積×評点
なお路線価が設定されていないエリアでは、標準宅地の単価を使い、土地の条件によって補正して以下のとおり計算します。
土地の固定資産税評価額=標準宅地の1㎡あたりの価格×土地面積×補正率詳しくは「土地の固定資産税評価額・実勢価格の計算方法」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
不動産の実勢価格を把握できれば、売却後に手元に残る金額や譲渡所得税が発生するか否かも分かるので、売却後の資金計画を立てやすくなります。固定資産税評価額や類似物件の取引価格などを参考にして、実勢価格を試算することも可能ですが、売却を予定している場合は、不動産会社へ査定を依頼しましょう。単に売却予想価格を提案してもらうだけでなく、不動産会社の販売力や担当者の対応力を見極める機会にもなるため、複数の不動産会社へ相談してみてください。

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