2025年11月の不動産ニュース

日々、移り変わる不動産市場。
私たちにとって“情報”を理解し、
精査することは何よりの財産です。
ここでは不動産業界のニュースをお届けします。
※記載されている内容は、全て掲載時点のものです。
最新の内容とは異なる場合がありますのでご了承ください。

2025年11月

  • 2025.11.28

    自民税調、住宅ローン減税の議論に着手

    ─既存住宅に省エネ性能考慮した優遇検討


    26年度税制改正における住宅ローン減税の議論がスタートした。自民党税制調査会は26日に小委員会を開き、主要項目のひとつとして住宅ローン減税を議題に取り上げた。これをキックオフとして、年内で期限が切れる住宅ローン減税の今後の制度設計の議論が本格化する。税優遇の内容で新築住宅と差を付けられている既存住宅の拡充が焦点となる。

    住宅ローン減税は年末ローン残高の0・7%を、一定期間所得税額から控除する制度。対象となる残高の上限額「借入限度額」は、住宅の省エネ性能によって高くなるよう段階がつけられている。新築は、長期優良住宅・低炭素住宅4500万円(子育て世帯等5000万円)、ZEH水準3500万円(同4500万円)、省エネ基準3000万円(同4000万円)。既存住宅は、長期優良~省エネ基準3000万円、省エネ基準に満たない「その他の住宅」2000万円。

    既存は性能の高低は考慮されずまとめられているうえ、限度額も新築と差がある。控除期間も新築13年、既存10年だ。床面積要件も、原則50㎡から40㎡に緩和する特例が新築だけに設けられている。政府内では、床面積要件を新築・既存とも原則40㎡に引き下げるとともに、既存も新築のように借入限度額に区分を設け、性能の高いものほど優遇することが検討されている。

    住宅ローン減税は重要な政治判断が必要となる「マル政」案件。自民税調は、マル政以外の項目に議論で決着をつけるマルバツ審議を12月2日ごろ、マル政審議を同4~5日ごろ、マル政処理案の提示を同8日ごろ行う方向で調整中。党税制改正大綱の決定は同10日ごろとみられる。その後、日本維新の会との調整を経て与党大綱が決定される見通し。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.28

    JR東系と東急不、船橋で大規模M着工

    ―社宅跡地に738戸、両社JVの第2弾


    ジェイアール東日本都市開発と東急不動産は、千葉県船橋市で開発計画を進めている分譲マンション「ブランズシティ船橋ビアレ」(総戸数738戸)のホームページを28日に開設する。開発地はJR東日本の社宅跡地で、物件はJR総武線と東武アーバンパークラインの船橋駅から徒歩9~11分、京成本線の京成船橋駅から11~13分の立地。両社の共同事業は、さいたま市北区で開発中の分譲マンション「ブランズ大宮日進ビアレ」(総戸数155戸)に続く、第2弾となる。

    「ブランズシティ船橋ビアレ」の所在地は船橋市市場1―6。船橋駅にはショッピングセンターが直結し、小学校が物件に隣接するなど、ファミリー層を中心に高い利便性が見込める。敷地面積は2万7060㎡。建物は14階建て2棟と8階建て2棟の4棟構成で、延床面積は約6万6468㎡。住戸の間取りは2LDK~4LDK、専有面積は54・79~123・08㎡。施工は長谷工コーポレーション、管理は東急コミュニティー。施工は2期に分け、第1期分は8月に着工しており、引き渡しは28年3月を予定。来年2月ごろにモデルルームの案内を始め、来年7月に販売を開始する。第2期は28年12月の引き渡しを予定する。同じ社宅跡地内の隣地ではジェイアール東都市が賃貸住宅と商業の開発を予定しており、約4・5万㎡に広がる街区の名称を決める投票を28日に始める。

    両社が開発する分譲マンションの初弾「大宮日進」は、28日に第1期の販売を開始する。供給28戸の間取りは3LDKと4LDKで、専有面積は66・33~80・49㎡。価格は4550万~6550万円。最多価格帯は4900万円台と5100万円台、5300万円台。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.28

    都が27年に宿泊税3%、税収120億増

    東京都は、宿泊税を定率3%に変更する。簡易宿所や民泊も課税対象とする。課税免除となる宿泊料金を一人1泊1万円から1万3000円へ引き上げる。税収は現行制度の69億円から190億円へ増える試算だ。27日から12月26日までパブリックコメントを実施、27年度の条例施行を目指す。

    観光の魅力向上や観光公害対策など持続的な観光の発展に向けた対策強化の財源に充てる。また、国籍や居住地による税負担の区別は行わないとした。宿泊施設による申告納入手続きの簡素化なども検討する。他都市の税率は、大阪府2%相当、京都府4%相当の試算。沖縄県2%、北海道倶知安町3%、ニューヨーク5・875%となっている。

    都は2002年に宿泊税を導入した。現行制度では納税義務者は都内のホテル・旅館の宿泊者で、税率は宿泊料金一人1泊1万円以上1万5000円未満の宿泊は100円、1万5000円以上の宿泊は200円。課税免除基準は宿泊料金一人1泊1万円未満。 

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.27

    都心オフィス需要強く、賃料ピーク更新も

    ―JLLが見通し、海外投資家比率4割に


    ジョーンズラングラサール(JLL)日本法人の河西利信社長や同社幹部らが26日に本社で会見し、市場見通しを報告した。リサーチ事業部の大東雄人シニアディレクターは東京都心のAグレードオフィスの空室率が9月末時点で0・9%まで下がり、賃料増額にも勢いがあることなどを説明。都心5区の平均賃料が07年の5万1995円を上回り最高額を更新する可能性もあるとの感触を示した。他方、海外投資家が日本の不動産を選好する動きが強く、日本の不動産投資総額に占める海外投資家の割合が同時点で39%と過去最大に高まったことも報告した。

    同社の調べでは日本の今年上期(1~6月)累計の不動産投資額は前年同期比22%増の約3・2兆円と拡大した。都市別では東京が首位に立った。低金利や円安、賃料上昇への期待などに加え、地政学リスクが比較的低いことも広く投資を呼び込む要素になったようだ。大東氏は25年通年の投資額も6兆円を超えそうな勢いで積み上がっていると指摘した。年内に成立する売買取引のボリュームによっても変わるが、前年実績の約5・5兆円は上回る公算が大きそうだ。

    日本への投資拡大をけん引するのは東京都心のオフィスだ。25年1~3Q時点で投資総額の49%をオフィスが占める。23、24年はオフィスの比率は通年で各33%、36%だったがシェアを大きく伸ばした。同社が足元のオフィス稼働率を調べた結果、調査対象全242棟のうち約77%の187棟が満室だった。前年同時期の調査では満室稼働の割合は57%だった。建築費高騰の弊害でオフィスの竣工時期が遅れたり計画規模が縮小されたりするなど供給制約が生じていることも需給が引き締まる遠因だという。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.26

    売買仲介25年度上期、取引大型化で活況

    ―リバブルが初の首位、三井リアルも好調


    25年度上半期(25年4~9月期)の不動産流通主要20社・グループによる売買仲介実績(表)が出揃った。手数料収入は1位の東急リバブルと2位の三井不動産リアルティが、調査で初めて手数料収入で500億円台に到達。前年から実績を伸ばした東急リバブルが、調査開始から初の首位を獲得した。

    リバブルによると、リテール市場は首都圏と地方圏の大都市で平均取引価格と成約件数が伸長。ホール取引でも「ファンド・不動産業者問わず活況」で、10億円以上の売買案件が拡大したことが好実績につながった。取扱高でも1兆2000億円に迫る規模で、第1位を堅持した。手数料収入で1億円未満というわずかな差で2位だった三井不リアルは、取扱高でも2位。成約件数は、唯一の1万7000件台と最多を維持した。上半期の実績は「取扱高と手数料収入が前年を上回り過去最高」としており、好調な市況がうかがえる。

    4月に商号を変更した住友不動産ステップは「ステップオークションの浸透などにより取扱単価が上昇」したため、手数料収入と取扱高を伸ばし、手数料収入と仲介件数は3位を確保。現時点での手応えを「事業部門の業績は期初計画通りに進捗」とする。野村不動産ソリューションズは、「取扱単価上昇により取扱高・手数料ともに大幅増加」として、手数料収入と仲介件数は4位で、取扱高では住友不ステップを上回った。取引量も堅調さを感じている。今後については、都心の一部での過熱感によるインバウンド需要の減退や、実需層の郊外シフト、買取再販業者の市場在庫増加といった要素が懸念となりうると捉えているが、ストック活用ニーズの増加から、仲介市場は当面、活況が続くことを見込んでいる。

    上位4社に続いて、信託銀行系列の三井住友トラスト不動産、みずほ不動産販売、三菱UFJ不動産販売という各社の間に三菱地所グループが食い込んだ。グループとして、法人取引を扱う三菱地所リアルエステートサービスは「東京に限らず、地方都市、特に関西、九州エリアの取引が好調」、三菱地所ハウスネットは「東京の都心・城南・城西エリアや京都が特に好調」とそれぞれ捉えており、マーケット全体で高止まり状態とみている。


    ◎都心と郊外では二極化、成約件数も堅調


    25年に入ってから、東日本レインズの調査による首都圏の不動産市況は、成約件数が大幅に増加している。一方で、当社の調査では半数近くが減少傾向で、東京都心などのエリアをはじめとした取引大型化が仲介市場の活況を支えているとみられる。東急リバブルは、金利政策などの影響から「今後の住宅ローン変動金利の引き上げによる買い顧客のマインド低下には注視が必要」と分析。加えて金利だけでなく、工事費や物価など多くの面でインフレ経済の進行を見込んでおり、注視が必要という見方が市場では強いようだ。一方で「需給バランスも変わらず推移しているため、下半期も好調を維持」と予測している。

    多くの会社から、法人取引での大型案件の増加などに言及があった。また、富裕層の不動産投資や相続、節税、資産整理といった需要の強さにも反響があった。また、リート指数が回復局面にあり、Jリートの需要増にも期待感がある模様だ。リテールでは、住友林業ホームサービスが「首都圏の都心部のブランドマンションは価格上昇が継続し、契約件数は減少傾向」と分析。東京建物不動産販売は「1億円以下の案件が減少し、1億~5億円の案件が増加」とした。マンション購入においては、富裕層が参加して過熱感さえささやかれる「都心」と、実需に手の届く「郊外」で市況が大きく異なるようだ。また、一部では大都市圏の購入反響が鈍ったという声もあるが、地方に割安感が出てきて、中古戸建て住宅の取引が活発という指摘もある。空き家の流通促進策として導入された仲介手数料の上限を低廉な住宅で引き上げた点も、仲介各社の取り組み強化につながったとの見解は多い。

    各社では、人材育成や営業生産性の向上に向けたSaaSサービスを取り入れたという事例も多くあるようだ。特にAI活用や研修制度の充実で、人手不足が見込まれる不動産業界で、持続的な収益拡大を模索する企業は今後も増加しそうだ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.26

    東急、個室シェアSに車輪付即席ハウス

    東急はライフルアーキテックと、車輪付きで災害時にも活用できるインスタントハウスの新型モデル「ローラー」を共同開発した。東急が展開する機能特化型の個室シェアサービス「ルービー」の新店舗「ルービーあざみ野ネクサス」(川崎市麻生区)で導入する。

    東急が24年に高架下の遊休スペースに開設した「不動前」では、ライフルアーキテックが開発した6分割のパーツを組み合わせ重機を使わずに分解・組み立て・移設ができるインスタントハウス・パージ型を採用。ローラーモデルはこれに車輪を付け、高さ調整と斜面や凹凸のある土地での設置を可能にした。土台は分解可能な構造を用い、従前モデルよりも柔軟に設置と移設ができる。「憧れの趣味の部屋」のシェアをコンセプトにした「ルービー」は、23年春の初弾からこれまでに東京23区と川崎、横浜の東急沿線で7店舗を開設してきた。「あざみ野ネクサス」は25日に開設。音楽スタジオ1室で、面積は約15㎡。利用料金は30分300円。東急がコミュニティづくりなどを重視した郊外の新たな街づくりに取り組む「ネクサスチャレンジパーク早野」内に位置する。同社は今後も、ローラーモデルの「ルービー」を沿線の未活用地に設置していく。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.25

    東急不、「ブランズ西小山」1期販売

    東急不動産は東京・品川区の新築分譲マンション「ブランズ西小山」(総戸数28戸、うち事業協力者住戸1戸)の1期販売を22日に始めた。1千年の歴史を持つ小山八幡神社の改修と合わせて一体的に開発。物件に約70年の定期転借地権を設定することで、神社の収入増加にも寄与するスキームだ。住戸の間取りは1LDK~3LDK、専有面積41・9~104・67㎡。販売予定価格は6千万円台~2・1億円台。3LDKは1・2億円台から。26年6月の竣工、同8月の入居開始を予定している。

    開発場所(地番)は品川区荏原7―523―3。標高約34mの高台にあり地盤が安定しているという。立地は東急目黒線・西小山駅と東急目黒線・洗足駅へ徒歩7分。施設規模はRC造地上3階地下1階建て、延床面積約2736㎡。施工者は松井建設。管理は東急コミュニティー。神社の整備では建物を保存・移築する曳家技術を活用することで、社殿を建て替えずにリニューアルする。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.25

    都、池袋駅東口地区を街並み再生地区に

    東京都はこのほど、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」の街区再編まちづくり制度に基づき、池袋駅東口地区を街並み再生地区に指定した。同制度は、地域の実情に即した規制緩和を行い共同建て替えやリノベーションなどによる再生まちづくりを推進する都独自の制度で、07年の新宿六丁目西北地区を皮切りに、港区や千代田区などにおいてこれまで13地区が街並み再生地区に指定されてきた。今回が14地区目となる。

    公開された池袋駅東口地区(約23ha)の街並み再生方針によると整備方針は、▽地区全体のにぎわいの創出に資する施設の導入▽東池袋一丁目地区、中池袋公園(Hareza池袋)および南池袋公園の周辺における地域の特性に配慮した文化・芸術等の育成・創造・発信・交流等に資する施設の誘導▽良好な都市環境形成のための用途の制限及び抑制▽歴史的な魅力ある街並みの保全(栄町通り・美久仁小路)となっている。また、アニメイト通り等を中心とした歩行者中心の回遊性の高いまちの形成も目指されている。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.21

    10月のマンション市場動向・首都圏、発売は28・2%減の1316戸

    ―価格9895万円で6カ月連続アップ


    不動産経済研究所は20日、10月の首都圏(1都3県)新築分譲マンション市場動向を発表した。供給戸数は1316戸で、前年同月の1833戸に比べ28・2%減と、4ヶ月ぶりの減少となった。また初月契約率は63・0%で前年同月比では20・3㌽ダウンしている。

    供給物件数は103物件と、前年同月の96物件を7物件上回り、100戸以上発売した物件は1物件だった(前年同月4物件)。また全103物件のうち、初回売り出し物件(単発物件を含む)は13物件・328戸で、前年同月の20物件・1160戸を物件数で7物件下回り、戸数でも832戸下回っている。供給は都下と埼玉県が2ケタ増、神奈川県も9・6%増と伸ばした一方、千葉県が7割減、都区部も3割減と大幅に落ち込んだ。都区部は34・4%減の535戸で、シェアは40・7%となっている。

    新規供給に対する契約戸数は829戸で、初月契約率は63・0%。前年同月の83・3%に比べ20・3㌽ダウンし、7カ月連続で70%を下回った。エリア別では都区部が唯一70%台となるも、都下と埼玉県が40%台、千葉県は30%台と低調だった。

    戸当たり平均価格は9895万円で前年同月(9239万円)比656万円(7・1%)の上昇、㎡単価は153・8万円で同(137・9万円)比15・9万円(11・5%)上昇している。平均価格、単価ともに6カ月連続の上昇。エリア別では、都区部と都下が平均価格、単価ともに上昇し、都区部はそれぞれ2ケタの上昇となった。

    平均専有面積は64・35㎡で、前年同月に比べて3・9%の縮小。即日完売は3物件・26戸(シェア2・0%)。フラット35登録物件戸数は1158戸(88・0%)。10月末時点の販売在庫は5495戸で、前月末の5879戸に比べ384戸減少した。

    11月の供給は3000戸前後を見込んでいる。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.21

    10月のマンション市場動向・近畿圏、発売は7・6%減の1069戸

    ―契約率は70・1%で3カ月連続70%超


    近畿圏(2府4県)の10月の新築分譲マンション供給戸数は前年同月比7・6%減の1069戸となり、3カ月ぶりに前年実績を下回った。

    供給戸数をエリア別にみると、大阪市部が17・8%減の370戸、大阪府下が102・6%増の310戸、神戸市部が86・4%減の49戸、兵庫県下が134・7%増の115戸、京都市部が63・6%増の198戸、京都府下が60・0%減の2戸、奈良県が200・0%増の3戸、滋賀県が29・4%増の22戸。

    初月契約率は前年同月比1・3㌽ダウンの70・1%と、3カ月連続で好調ラインの70%を上回った。

    平均価格は63・0%上昇の6175万円。㎡単価は16・2%上昇の103・1万円。平均価格、単価ともに2カ月ぶりの上昇。前年同月は狭面積の投資用が半数以上を占めていたため、価格は大幅上昇となった。単価も2ケタ上昇し、10月としては調査開始(1973年)以降の最高値を更新。10月末時点の販売在庫は2919戸で、前月末比12戸の増加、前年同月末比では499戸の増加となった。

    11月の供給は1300戸程度となる見通し。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.20

    SMTRI、海外不動産投資26・7兆円

    ―前年から2割増、今後も2ケタ成長へ


    三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は19日、海外不動産投資の実態調査の結果を公表した。海外不動産投資に携わる企業や年金基金などを対象に、9月1~24日の期間で、面会またはメールでの質問票送付で調査。有効回答を64社(回収率77・1%)から得た。実態調査の集計と各社の開示資料や公表情報に基づく、日本からの海外不動産投資残高は、25年時点で前年比19%増加の合計26・7兆円と推計した。

    投資残高内訳をみると、オフィス、賃貸住宅、分譲マンションの開発や既存不動産の取得・運営など「直接投資」は15・5兆円、不動産ファンドなどを通じた「間接投資」は11・2兆円だった。同社海外市場調査部研究参事の伊東尚憲氏は「日本企業が海外の成長性獲得を図って、戦略的に海外不動産に投資する動きは始まったばかり。今後も5年程度は2ケタ割合で増加が続くのではないか」と見通しを話す。

    調査では、直接投資の投資先の国を聞くと「米国」が74%。次いで「タイ」「豪州」「ベトナム」「英国」。また、海外不動産投資の目的は、事業ポートフォリオの収益性を高める戦略がうかがえる。課題の質問に、1位は「政治リスク・景気変動」で、2位が「人材不足」。今後の投資先の意向を尋ねたところ、「米国」「欧州」が約8割で多く、「英国」も3位に上昇した。今後、投資意向を持つ不動産タイプは「賃貸住宅」「物流・産業施設」が過半数だった。間接投資では「オープンエンドファンド」「クローズドエンドファンド」「海外不動産デット」への投資が多い。投資実行中のエリアは、「北米」が9割を上回ったほか「欧州」「アジア(除・日本)」「オセアニア」がいずれも70%前後だった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.19

    地価LOOK、7期連続で全地区上昇

    ─国交省、住宅地は「大濠」が高い上昇


    国土交通省は、25年第3四半期(7月1日~10月1日)の地価LOOKレポートを公表した。対象80地区の全てが上昇となった。全地区上昇は7期連続(住宅地は14期連続、商業地は7期連続)。変動区分(上昇・横ばい・下落)別では、「上昇(3~6%)」が5地区、「上昇(0~3%)」75地区だった。住宅地、商業地とも全体的に緩やかな上昇傾向が続いている。

    前回から区分が変動した地区はなかった。引き続き高い上昇(3~6%)を示したのは、商業地は東京・中央区「銀座中央」、新宿区「歌舞伎町」、中野区「中野駅周辺」、京都市「京都駅周辺」の4地区。住宅地は福岡市の「大濠」の1地区。

    住宅地は、利便性・住環境の優れた地区で分譲マンション需要が継続し、上昇している。建築コスト上昇の影響によって供給が減り、中古物件へ需要が流れる動きもみられる。住宅地22地区のうち、最も高い上昇区分「3~6%上昇」となった「大濠」は、富裕層による分譲マンション需要が強く、5期連続で「3~6%上昇」を維持した。大濠エリアでは高稼働を維持する賃貸マンションもみられる。素地の供給が極めて限定的であるため、市場に出された場合は激しい取得競争が予想されている。

    商業地は、再開発事業の進展と国内外からの観光客増加で店舗・ホテルが引き続き堅調であり、上昇傾向が続く。「中野駅周辺」は、中野サンプラザの再開発の白紙化の影響は地価にはみられず、2期連続で「3~6%上昇」の高い上昇となった。サンプラザの他にも、中野駅周辺は複数の再開発事業が同時進行中であることが地価上昇継続の要因となっている。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.19

    CBRE、東京の繁華街で店舗賃料最高

    シービーアールイー(CBRE)は、25年第3四半期(3Q、7~9月期)における全国の中心繁華街にある路面店舗の需給動向をまとめた。東京では銀座と渋谷の空室率が3期連続で0%(前期比増減なし)となった。表参道・原宿も0・4%(0・1㌽減)、新宿も1・4%(2・5㌽減)と空き区画は希少。一方で出店者は立地重視から変わりなく、中心エリアで10者が競合した事例もあったという。

    CBREによる想定成約賃料は、坪当たり平均で銀座が28万6000円(1・4%増)、表参道・原宿は24万8000円(2・2%増)で過去最高値を更新。渋谷も17万6000円(増減なし)で過去最高値を維持した。原宿では、神宮前交差点付近や原宿駅前などで従前の相場より高い賃料水準の契約や申し込み事例が複数あったという。近畿圏をみると、心斎橋の空室率0%(増減なし)が1年以上続いている。賃料は27万1000円(1・9%増)。京都は空室率2・4%(1・2㌽減)、賃料13万500円(3・6%増)。両エリアはともに、過去最高値の賃料となった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.18

    海外居住者のマンション転売率公表へ

    ─国交省の初調査、経済対策で継続に道筋


    国土交通省は、外国人など海外居住者の新築マンション取得率と短期転売率を11月下旬にも公表する。国として初の実態調査。国交省は従来から不動産価格の高騰に対し「投機的取引は好ましくない」との姿勢を示しており、調査結果を受け対策に動く可能性が高い。また、重要な調査として、21日閣議決定予定の経済対策ではこの調査の継続実施に道筋をつける。

    国交省は、法務省から提供された登記簿情報から住所が海外になっている所有者(日本人も含む)を抽出。直近の25年分も含め、過去5~6年程度の期間、取引の動きを追った。公表するのは「海外居住者の新築マンション取得率」と、新築取得から1年以内に売却した「短期転売率」。短期転売率は、海外居住者のみの転売率と、海外居住者に限定しない全体の転売率の両方を示す方針だ。

    調査着手を明らかにした25年5月時点では東京都のみ対象にしていたが、大幅に拡大した。首都圏・大阪圏・名古屋圏に加え、地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)も押さえた全国規模の調査となる。一部の都心自治体で短期転売率が著しく高くなっていることも把握している模様。

    調査は新築マンションの価格高騰対策を探る一環で行われた。国交省は、調査を今後も継続的かつ全国的に行う意向だ。21日に閣議決定が予定されている新たな総合経済対策には、「外国人等を含む不動産取引の動向把握等の強化に向け(略)、全国の土地・不動産取引等の実態調査・分析を行う」の文言が盛り込まれる。初調査は国交省職員により実施された。経済対策(補正予算)で予算をつけ、他の統計調査などと同様に、外部委託も活用した本格調査を継続する考えだ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.17

    CBRE、首都圏で圏央道の需要が最大

    シービーアールイー(CBRE)は、25年第3四半期(3Q、7~9月期)の大型マルチテナント型物流施設の需給動向をまとめた。首都圏の空室率は10・4%(前期比0・5㌽減)に低下した。

    空室率は、圏央道エリアで17・0%(1・7㌽減)と高水準が続くが、アパレルなどによる空室消化が進んで過去最大となる9・4万坪の新規需要があった。東京ベイエリアは5・0%(0・8㌽減)と4期連続の低下傾向。外環道エリアは4・9%(1・2㌽減)、国道16号エリアは9・3%(増減なし)。今後の新規供給は外環道エリアで多く圏央道は減少するため、首都圏では空室率の緩やかな低下を見込む。実質賃料は、首都圏で坪当たり4480円(0・0%減)。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.13

    住宅ローン減税、既存住宅の支援手厚く

    ─国交省、控除期間など「新築並み」検討


    国土交通省は、26年以降の住宅ローン減税で、既存住宅の扱いを手厚くする方針だ。減税効果に直結する借入限度額や控除期間で、既存住宅は新築と差をつけられている。国交省が見直しを進める住宅政策の羅針盤・住生活基本計画(26年3月閣議決定予定)では、ストック重視社会への転換を大きく打ち出す予定で、住宅税制も足並みをそろえる考え。

    住宅ローン減税は、年末のローン残高×0・7%を一定期間所得税額から控除する制度。新築・買取再販の場合、減税対象となる借入限度額は、長期優良住宅・低炭素住宅で4500万円(子育て・若者夫婦世帯5000万円)、ZEH水準住宅3500万円(同4500万円)、省エネ基準住宅3000万円(同4000万円)。既存住宅は、長期優良~省エネ住宅のいずれも3000万円で、子育て世帯等の優遇はない。減税期間も新築の最大13年に対し、既存は10年だ。国交省内では、既存住宅の借入限度額を新築に近付け、控除期間は13年と新築並みにする案が浮上している。

    同時に、制度全体の床面積要件を現行の50㎡(40㎡特例あり)から緩和する検討も進める。次期住生活基本計画では、従来掲げてきた住宅の面積水準を撤廃。新たに「40㎡程度を上回る住宅の供給・流通の推進」の文言を盛り込むことが検討されている。従来の面積水準はローン減税の床面積要件のベースになっていた。

    国交省幹部は「計画に書いたから(40㎡を)認めるというほど財務省は甘くはない」と慎重姿勢。既存住宅の拡充と床面積要件を、ともに来年以降の住宅ローン減税の「主戦場」とみなし、バランスを考慮しつつ調整する。11月下旬にも本格化する税制改正の議論を見据え、水面下での政府内調整も最終局面を迎える。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.13

    東急不、広域渋谷圏にアリーナ開発検討

    ―スポーツやコンサートなど受け皿必要


    東急不動産が渋谷を軸とする「広域渋谷圏」にプロスポーツの試合やコンサートなどのイベントを誘致できる多目的アリーナ施設の開発を検討していることが同社への取材で分かった。同圏域で複数の大規模開発が段階的に竣工するなか、欠けている要素の一つがアリーナ施設だという。現時点で事業化の可否を含め検討している段階だが、広域渋谷圏にアリーナ整備が必要との認識を社内で共有しているという。

    東急不は自社グループで「横浜アリーナ」(横浜市)や「IGアリーナ」(名古屋市)など大規模なアリーナ施設の管理業務を手掛けているが、自社で大型施設を開発した実績はない。バスケットボールBリーグのチーム「サンロッカーズ渋谷」が本拠地を渋谷から、トヨタ自動車らが東京・青海に開発した「トヨタアリーナ東京」に移転したこともあり、受け皿整備を急ぐ機運が高まったという。

    最近ではヒューリックも千葉市の千葉県立幕張海浜公園に収容人数2万人規模のアリーナ施設を開発する方針を表明した。同社が筆頭株主として運営に参画するBリーグ所属のプロバスケットボールチーム「アルティーリ千葉」のホームアリーナとするほか、音楽ライブや娯楽イベントなどで収益を得る想定だ。2030年の開業を目指している。一方、三井不動産と豊田通商、KDDIは8月、名古屋市港区に収容客数1万人規模の多目的アリーナ「(仮称)名古屋アリーナ」を着工した。27年秋の竣工、28年初頭の開業を目指す。完成後は豊田通商が持つプロバスケットボールBリーグのチームが本拠地として使うほか、音楽コンサートや展示会などの多様なイベントを開く。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.13

    三幸、都心オフィスの募集床20万坪台に

    三幸エステートは、全国主要都市における10月のオフィス需給動向をまとめた。東京都心5区の1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビルの空室率は1・38%(前月比0・07㌽減)だった。潜在空室率は2・79%(0・26㌽減)で、20年5月以来の2%台に入った。募集面積は、29万8044坪と20年4月以来の20万坪台まで減少。共益費込の募集賃料は、坪当たり3万1127円(54円減)だった。

    募集賃料は約2年ぶりで前月比が下落したが、上昇傾向は続いていると分析。新築ビルへの移転テナントによる二次空室は想定より少なく、都心部の主要エリアは品薄感が強まっているという。チーフアナリストの今関豊和氏は「足元のオフィス需要は活発な一方、26~28年の平均供給量は年11万坪と比較的低水準。大量供給が予定されていた29年も竣工が後ろ倒しの事例が複数あり、懸念されるほどの供給過剰にはならない」と今後を予測している。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.12

    自民、79条機関・外国人政策本部を設置

    ─マンション対策含むPT、政府提言へ


    自民党は11日、外国人政策本部(新藤義孝本部長)の初会合を開いた。本部下には、外国人によるマンション取引対策を議題に含む「安全保障と土地法制に関するプロジェクトチーム(PT)」など、3つのPTを設置する方針が決定した。

    政府の外国人政策の司令塔組織として「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が動き出し、26年1月をメドに方向性をまとめる予定。自民・外国人政策本部は、党則79条に基づき設置された、高市早苗総裁直属の特別機関。政府のとりまとめに議論の内容を反映させることを目指し、1月中旬までに提言を政府に提出する。提言には短期・中期・長期で取り組む内容を掲げる予定。

    3つのPTを設け、それぞれが並行または連動して議論を深める。具体的には、①在留資格審査の厳正な運用などをテーマとする「出入国・在留管理等の適正化・外国人受入れに関するPT」②国保や医療費、外免切替、民泊の適切な運営確保などをテーマとする「外国人制度の適正化等に関するPT」③マンション取引対策を含む「安全保障と土地法制に関するPT」─の3つ。必要に応じてPTに作業部会も設置する。

    安保・土地法制PTは、土地の適切な所有と利用のあり方、各種土地台帳における国籍把握を通じた透明性の向上、土地情報等の一元的データベース化による公開性、土地取得等のルールのあり方などもテーマとする方針。新藤本部長はマンション取引対策について、初会合時点では「具体策を話し合ったわけではない」と説明。「国民の皆さんが不安に思っていたり、お困りになっている事象もみえる。そういったことを含め、どうあるべきかとテーマの確認をした」と語った。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.12

    首都圏の中古M・戸建て成約価格は上昇

    ―東日本レインズ、東京都区部の伸び強い


    東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は11日、10月の不動産流通市場の動向を公表した。首都圏の中古マンションは平均で、成約㎡単価が85・35万円(前年同月比13・6%増)で66カ月連続で前年同月を上回った。成約価格は5325万円(12・4%増)と前年超えが12カ月続いた。成約件数は4222件(36・5%増)。在庫件数は4万3669件(4・8%減)となり、3カ月連続で前年より減少した。

    中古マンションをエリア別にみると、成約㎡単価が東京都区部のみ135・03万円(17・3%増)と前年より強く伸びた。他のエリアは神奈川県の横浜・川崎市の65・90万円(6・2%増)が5%以上の上昇だった一方で、東京・多摩の56・60万円(1・4%増)、千葉県の40・75万円(3・6%増)は若干の上昇、埼玉県の42・91万円(2・1%減)と横浜・川崎市を除く神奈川県他の43・05万円(1・2%減)が、前年割れ。成約件数は、全6エリアが大幅に増加した。

    中古戸建ては平均で、首都圏の成約価格が3801万円(0・6%増)と、ほぼ横ばいでも上昇に転じた。成約件数は1804件(53・7%増)で大幅に増加。在庫件数は2万3559件(3・9%増)で、増加幅は縮小したが38カ月連続の増加だった。

    中古戸建てのエリア別の成約価格は、東京都区部の6989万円(8・7%増)と、多摩の3838万円(1・0%増)、神奈川県他の3141万円(5・3%増)が前年から上昇傾向だった。横浜・川崎市の4543万円(0・9%減)をはじめ埼玉県の2384万円(2・5%減)、千葉県の2514万円(3・3%減)も前年を下回った。成約件数は6エリアすべてで、大幅に前年と比べて増加した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.12

    東急不ら、垂直式営農型太陽光発電竣工

    東急不動産と自然電力(福岡市)が帯広畜産大学(北海道帯広市)の実証フィールドに整備していた国内最大規模の垂直式営農型太陽光発電設備が近く完成する。発電の定格出力は743・04kW。発電と併行して小麦や小豆、牧草などを栽培する。現時点で実証研究段階だが、両者が共同出資したリエネ自然ファーム合同会社を通じ12月に同大への電力供給を始める。

    東急不は田畑にソーラーパネルを設置し、農業と太陽光発電を同時に行う「ソーラーシェアリング」(営農型太陽光発電)の実証実験を埼玉県東松山市で一昨年に始めた。今回完成する施設は地面に対して垂直にパネルを設置することで省スペース化を実現した。縦型のためモジュールが雪に覆われにくく、豪雪地域にも設置できるというメリットもある。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.12

    リート指数が3年ぶりに2000台回復

    東証リート指数の11日の終値が2016・37となり、22年11月1日の2001・51以来、3年ぶりに2000の大台を回復した。この日は全銘柄が上昇し、終値は前日比で26・83ポイント上がった。

    SMBC日興証券の鳥井裕史シニアアナリストは「オフィス・ホテルを中心に賃料が上がっている。リートが保有する物件も賃料増額ができていることによる増配期待が寄与した」と説明する。また投資家需給動向として、「昨年はJリート特化型の投資信託からの資金流出超過が大きかった。今年は資金流入が強くなり特化型投信が大きな買い手になっている」ことも挙げた。今後の見通しについては「物件の取得を進め増配の上積みを実現できるかどうかがテーマ。オフィスの賃料が上がるかも注目だ」と語った。一方で「金利が上がれば調整に入るだろう」とも指摘した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.10

    非居住者との不動産取引に源泉徴収義務

    ─国税庁、所有者の住所や金融機関に注意


    国税庁は、外国に住所がある非居住者や外国法人との不動産取引で発生する源泉徴収義務の周知を強化している。国内不動産の取引で所有者が非居住者や外国法人の場合、所有者が負担すべき所得税・復興特別所得税を、買主・借主が源泉徴収して納める義務がある。日本の不動産を所有する外国人が増えるなか、顧客がトラブルに巻き込まれないよう注意が必要だ。

    非居住者等の所得税の申告漏れを防ぐための措置。買主・借主は代金や賃料から税額分を差し引いて支払い(源泉徴収)、所轄の税務署に納税する。源泉徴収が必要なケースは次の通り。【売買】①買主が法人②買主が個人で購入不動産が自己または親族の居住用ではない③買主が個人で購入不動産が自己または親族の居住用かつ1億円超【賃貸】①借主が法人②借主は個人で不動産が自己または親族の居住用ではない。

    源泉徴収する税額は、売買は不動産譲受対価の10・21%、賃貸は賃料の20・42%。税務署への納付期限は、売買・賃貸とも譲受対価や賃料を支払った翌月10日まで。賃料は、支払いの都度納税する必要がある(年払いなら年1回納税、月払いなら毎月納税)。

    国税庁は不動産業者に対し、「不動産の所有者の住所が海外であったり、賃料などの支払先が海外の金融機関になっていたりする場合は、仲介相手に一言案内を」と呼びかける。国税庁は9月末に公式サイトに専用チラシを掲載。周知強化を目的に、10月下旬に国土交通省を通じて不動産業界に通知した。不動産業者が「源泉徴収義務ありの物件」と伝えることや、国税庁のチラシを提示することは差し支えない。無資格者が個別の税務相談に応じると税理士法違反になる。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.07

    東京都心ビル、需要支えに空室率が低下

    ―三菱UFJ信、駅周辺賃料は坪3万円超


    三菱UFJ信託銀行は、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区)で集計した基準階面積300坪以上の賃貸オフィスビルの需給動向をまとめた。8月時点の空室率は、募集ベースで3・40%、現空ベースで1・39%だった。この3カ月に限っても、それぞれ0・5㌽ほどの低下。旺盛な需要が下支えとなり、24年度以降は低下が持続している。また、都心の駅徒歩10分以内のビルで9月時点の賃料は、東京駅と京橋駅が坪当たり4万8000円と最高値。渋谷駅も坪4万1500円と高水準だった。

    他の都心駅周辺で賃料をみると、虎ノ門駅、神谷町駅は坪3万7500円、秋葉原駅や銀座駅で坪3万5000円、品川駅でも坪3万1000円と3万円を上回るエリアが多く、コロナ前の水準を上回る駅も珍しくない。一方で都心以外は、横浜駅が坪2万3000円、品川シーサイド駅が坪1万8000円と差が目立つ。同社テナントリーシング営業部では「人気が高いエリアでは、空き床を探すことも難しい。渋谷区に空室が出ても、最寄りは新宿区の駅といったこともある」と活況の手応え。相対的に賃料が割安で、一時は空室が多かった湾岸エリアも成約する模様だ。

    オフィスの最近の動向では、人的資本経営が浸透し、成長機会や人事配置、多様性の尊重など非金銭的報酬の重要性が高まった影響が出ていると分析。働き手の満足度向上、採用強化、コミュニケーション円滑化などが目的の移転が増加している模様だ。今後は、人的資本に関する情報発信が強まることも想定されるという。また、渋谷へのオフィス設置が多かった情報通信業界で、移転する際に渋谷周辺ではなく、西新宿や丸の内への拡張移転などの事例も増えたとする。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.07

    港区の空室率が20年6月以来の2%台に

    三鬼商事は6日、全国主要都市の10月時点でのオフィスビル市況を公表した。東京都心5区にある基準階面積100坪以上の主要な貸事務所ビルは、平均空室率が2・59%(前月比0・09㌽減)、共益費を原則含まない平均賃料は、坪当たり2万1261円(169円増)だった。区別の空室率は、4区が低下傾向だった。特に、港区は2・94%(0・13㌽減)と20年6月以来の2%台まで低下。賃料は2万1137円(237円増)で、21年10月以来の水準に上昇した。

    他の区の空室率は、千代田区のみ1・65%(0・04㌽増)とわずかに上昇。中央区は3・37%(0・28㌽減)、新宿区は3・03%(0・05㌽減)、渋谷区は2・04%(0・05㌽減)だった。賃料は、新宿区だけ1万8967円(42円減)と若干の下落。港区以外も中央区が1万9530円(203円増)、千代田区が2万2879円(140円増)と上昇。渋谷区は2万4251円(3円増)で、ほぼ横ばいだった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.06

    国内投資市場が四半期で過去最大2兆円

    ―CBRE、25年の累計は5兆円に迫る


    シービーアールイー(CBRE)は、25年第3四半期(3Q、7~9月期)における日本国内の事業用不動産の投資動向をまとめた。10億円以上が対象の事業用不動産への投資額は2兆920億円(前年同期比68%増)で、調査を開始した05年から四半期の金額で過去最大。100億円以上の大型取引は前年と比べて倍増した。25年の累計は、3Qまでに4兆9900億円と、24年通年の累計4兆9700億円を上回り、通年でも5兆円を超えることは確実な見通しだ。

    投資主体ごとの内訳は、国内投資家ではJリートが2730億円(27%減)と軟調。一方で、Jリート以外の国内投資家は、1兆1640億円(91%増)、海外投資家は6560億円(154%増)とそれぞれ前年より大幅に増加した。アセット別でみると、オフィス投資は8040億円と前年より2・6倍へと顕著に増加。「汐留シティセンター(持分44%)」の1301億円や「大阪堂島浜タワー」の1000億円といった超大型案件が複数あった。住宅も、3020億円(96%増)に増加し、GICがサムティから合計30棟・490億円を取得した事例を含めて、今後も企業が不動産を売却していく動きが続く見通しだ。また、Jリートは、取得額は2537億円(38%減)で、3000億円近い売却額に対して売り越しだった。

    CBREによる、投資家への期待利回りの調査で、オフィス、商業施設、賃貸マンションは前期から横ばい、首都圏湾岸のマルチテナント型物流施設と東京都心5区のホテルは、期待利回りが低下した。3カ月先や1年先でも投融資促進の意向がうかがえ、高市政権で金利が急上昇しない限りは、日本への投資家の投融資姿勢の悪化があっても限定的と想定できる模様だ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.05

    外国人による不動産取得、動き捕捉へ

    ─高市首相、閣僚に具体策の検討を指示


    政府は4日午前、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」の初会合を開いた。外国人の違法行為やルール逸脱への対策を講じる司令塔組織で、外国人による不動産取得のルールのあり方がテーマのひとつに入った。出席した高市早苗首相は、閣僚に所管分野での具体的取り組みを指示。国土交通大臣には、国外からの取得を含む「マンションの取引実態の早急な把握と結果の公表」が指示された。

    土地取得等のルールについて高市首相は、「(国民の)不安は、外国人による不動産保有の実態がよく分からないことにも起因している」として、外国人の不動産取得の動きを捕捉する対策を閣僚に指示した。

    具体的には、▽不動産の移転登記時、森林の取得の届出時の国籍把握の仕組み検討(法務・農林水産)▽外為法に基づき国外居住者による不動産取得について幅広く把握する仕組み検討(財務)▽国外からの取得を含めたマンションの取引実態の早急な把握と結果公表(国土交通)▽把握した国籍情報も取り込み、一元的なデータベースとして「不動産ベース・レジストリ」が機能するよう検討(法務・デジタル)▽外国人の土地取得等のルールのあり方を検討するため、安全保障の影響や国際約束との関係を精査(外国人共生担当、防衛、外務)。

    このほか民泊の適切な運営確保のための具体策検討も指示した。不法滞在者対策なども含め、全体としての方針を「総合的対応策」として26年1月にまとめる。首相指示を受け金子恭之・国交大臣は「マンションについて、まずは取引実態に関する調査結果を早急に取りまとめ、公表していく」と定例会見で発言した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.05

    全国M市場規模、過去最高の5・7兆円

    ―カンテイ、中古Mが4・5兆円に拡大


    東京カンテイは4日、25年第3四半期(7~9月、3Q)のマンション市場動向を公表した。新築マンションの供給量と中古マンションの流通戸数に、それぞれ平均戸当たり価格を乗じて算出した全国の新築・中古マンション市場規模は5兆7646億6400万円(前年同期比16・4%増)で、過去最高を更新した。内訳は新築マンションが1兆2511億7300万円(24・4%増)、中古マンションが4兆5134億9100万円(14・4%増)。

    中古マンションの市場規模は、4四半期連続で過去最高値を更新している。首都圏では、中古流通戸数は5万2317戸(3・1%減)と25年に入ってから減少傾向が続いている。一方で、平均坪単価は上昇が続いて、3Qには277・2万円(21・2%増)まで上昇しており、過去最大の市場規模につながった。他エリアでは、近畿圏の8179億300万円(8・6%増)や地方圏の5494億7900万円(5・0%増)も順調に拡大。中部圏のみ2269億5100万円(0・0%増)とほぼ横ばい。価格の伸び悩みなどの影響から市場規模に頭打ち感が出始めたという。

    新築マンションは、首都圏が7676億4700万円(32・2%増)と大幅に拡大した上に、近畿圏の2188億4100万円(18・1%増)と地方圏の1937億6900万円(20・1%増)も2割近い拡大だった。中部圏は709億1600万円(9・5%減)の前年割れだが、ここ数年続く700億円前後の水準は保っている。新築市場規模の拡大には、都心立地の物件で坪1000万円以上の住戸が増え、千代田区番町に坪3000万円以上となる高級レジデンスの供給されたことなどの影響と分析している。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.05

    23区9月マンション、平均1・3億円台

    不動産経済研究所は東京23区の9月の新築分譲マンションの需給動向を公表した。供給戸数は542戸と前年9月の614戸よりも減少。ただ平均価格は1億3764万円と前年同月実績を3千万円ほど上回った。初月契約率は53・3%と低調。多くの反響が集まることが多い1期販売の事例が3物件(79戸)と前年9月の7物件、267戸に比べて減ったことも契約率が振るわない要因のようだ。

    平均価格は今年5月以降、5カ月続けて1億円台に乗った。9月の供給戸数542戸の価格帯別内訳をみると、1億円台が227戸(前年同月201戸)、2億円台が85戸(27戸)、3億円以上は17戸(5戸)といずれも増えた。販売在庫は2030戸と、前月の2055戸よりもやや減った。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.04

    経済対策でフラット35融資限度額引上げ

    ─焦点の物価高対応策として検討進める


    高市早苗政権がまとめる初の経済対策に、「フラット35の融資限度額引上げ」を盛り込む方向で検討が進められていることが分かった。高市首相が重視する、足元の物価高への対応策のひとつとするため調整が進められている。実現すれば、フラット35の融資限度額が現在の8000万円になった05年以来、約20年ぶりの引上げとなる。

    高市首相は10月24日の所信表明演説で、「この内閣が最優先で取り組むことは物価高への対応」と語るとともに、閣僚に経済対策の策定を指示したことを明かした。近くまとめる経済対策でも物価高対応の部分は焦点となる。フラット35の融資限度額の引上げがその項目として検討されている背景には、止まらない住宅価格の高騰がある。近年大手行では住宅ローンの融資限度額の引上げが相次いでおり、上限を1億円以上としているケースも多い。フラット35も必要資金の増大に対応させる方向だ。経済対策では、金利の先行きが見通しにくい時代の到来に合わせて、固定金利型住宅ローンのメリット周知などによる「利用円滑化」も盛り込むことが検討されている。

    経済対策は、「生活の安全保障・物価高への対応」や「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」「防衛力と外交力の強化」が柱となる予定。フラット35関連以外では、「外国人等を含む不動産取引の調査・分析」を「生活の安全保障~」の柱のなかに盛り込む方針。このほか「省エネ性能の高い住宅に対する支援」を「危機管理投資~」の分野に位置付けることを検討している。

    高市政権は経済対策を11月中にもまとめ、裏付けとなる補正予算案の編成を急ぐ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2025.11.04

    三幸ら、都心ビル賃料が4年ぶりの水準

    三幸エステートとニッセイ基礎研究所は10月31日、成約賃料に基づくオフィス市況の指標「オフィスレント・インデックス」をまとめた。第3四半期(3Q、7~9月)の東京都心5区や周辺区で延床面積1万坪以上などの条件を満たすAクラスビルで、坪当たりの共益費を除く成約賃料は3万4082円(前期比3519円増)だった。21年3Q以来の3万4000円台まで回復した。空室率は1・3%(1・0㌽減)で、こちらは21年2Q以来の1%台。オフィス需要は活況で空室率の数値以上に品薄感が強いという。

    東京都心部におけるBクラスビルの賃料は、2万4225円(1934円増)となり、直近のピークとなる19年3Qを上回った。空室率は1・9%(0・3㌽減)で、20年4Q以来の1%台に突入した。Cクラスビルは、賃料が1万9501円(495円増)、空室率が2・4%(0・2㌽減)。賃料の緩やかな上昇傾向が続き、空室率も低下が3年間続いている。

    (提供/日刊不動産経済通信)