国交省、来春にも「不動産ID」試験運用
2026年08月31日
―概算要求に5億円、システム開発外注も
全国の土地や建物に共通の番号を付けて管理を合理化する「不動産ID」の検討が本格化してきた。国土交通省は27年度予算の概算要求に5億円を計上。承認されれば4月以降、東京都心などでIDの試験運用を始めるとともに、番号を振るシステムの開発を外注する。5月に設けた有識者らの勉強会での議論や試験運用で浮かんだ課題などを踏まえ、来年度に制度設計の検討に踏み込む。30年代早期の社会実装を目指す。
国内には不動産を重複なく特定する手段がなく、物件情報の照合に手間がかかるのが課題だ。全ての土地と建物にIDを振って管理すれば不動産の取引や価格査定のほか、災害対応や物流・運輸業の効率化、空き家解消など多様な利点が見込まれる。不動産の識別が容易になり、3D都市モデルを活用する「プラトー」や地理空間情報にAIを融合する「ジオAI」などDXの取り組みに弾みがつく。
IDの生成では日本郵便と連携。郵便番号と住所データ、位置情報を組み合わせ、建物ごとにIDを振り分けることを検討している。国交省は大都市だけでなく全国の行政や企業らに普及させたい考えだ。実用化する上で、区分所有ではない賃貸マンション住戸への付番や、施設解体後の番号更新など課題も残る。
5月に始めた「不動産IDのあり方に関する勉強会」(座長=田村幸太郎弁護士)では枠組みや活用方法などを非公開で協議してきた。今月24日の第3回ではIDの管理や生成の手法などを議論。10月上旬の次回で制度の方向性やデータ利用のあり方などを話し合い、12月の第5回で議論を取りまとめ、来年度以降の検討に生かす。不動産IDを定義する法律は現時点でないが、立法の必要性についても今後検討する。
(提供:日刊不動産経済通信)
