街づくりはハードに加え、ソフトが重要
2026年07月15日
―田中・東急不社長、分譲Mの価値向上へ
東急不動産は広域渋谷圏などの街づくりで、ハード面に加えてソフト面にも力を入れる。住宅事業は量より質を追い求め、競争力の高い商品を手掛けていく。4月に社長に就任した田中辰明氏が専門紙の共同インタビューに応じ、事業戦略などを語った。
―就任の抱負を。
田中氏 東急不動産ホールディングスが昨年、2030年までの中期経営計画を策定したので、この達成に向けて事業会社の東急不動産として取り組んでいく。中計策定に取り組んでいた2年前とは事業環境が変化しているので、そこにしっかりと適応していく。
―足元の事業環境をどう捉えているか。
田中氏 工事費や金利の上昇傾向をきちんと認識して取り組む必要がある。建築費であれば上昇を前提に事業を組み立てる。商品の差別化が重要で、より競争力の高い案件に取り組んでいく。住宅ローン金利に関しては、足元で大きな影響が出ているわけではなく、分譲マンションは各物件とも好調に推移している。今後の更なる金利上昇など注視は必要だが、子育て世帯を中心に住宅ローン減税などの政策が手当てされているので、需給の大きな崩れや購入意欲の減退などは起きないだろう。金利のある世界になったので、事業期間への意識をより高め、事業スケジュールにリスクがないか事前に見極めることが重要だ。
―住宅事業の戦略は。
田中氏 分譲マンションの供給量は年間1200~1500戸程度で、量よりも質を重視している。住んだ後も価値を維持・向上できる競争力の高い商品を作っていく必要がある。ハード面ももちろん大切だが、ソフト面・管理も重要なので、商品企画の初期の段階から東急コミュニティーにも入ってもらい検討をしている。管理しやすい、修繕しやすいマンションを作ることが将来的にコストを抑えることにつながる。再開発事業も取り組みにより一定のパイプラインができているので、今後も積極的に取り組んでいく。ニーズが多様化しているので、賃貸マンションではペットとの共生や防音など、多様なニーズに対応した商品作りを進めている。
―再生可能エネルギーの事業について。
田中氏 当社は再生可能エネルギーの発電事業に積極的に取り組み、発電量を拡大してきた。先般、北海道石狩市に再エネで稼働するデータセンターを竣工させた。今後は再エネ事業単体ではなく、データセンターのように他の事業を組み合わせた展開で価値を高めていきたい。
―海外事業の展望を。
田中氏 これまでに北米やアジアで取り組んできて、アジアの一部を除いては、現地企業と組んだ投資案件がほとんどだった。インドネシアでは住宅と商業、サービスアパートメントの複合開発などを手掛け、日本での開発ノウハウを生かした開発事業も徐々にできるようになってきたので、今後も増やしていきたい。
―今後の注力事業は。
田中氏 まずは広域渋谷圏の価値を高めていく。働く人と訪れる人、住む人が融合しているのが、渋谷の魅力・強みになっている。更なる価値向上へ、ソフト面でコンテンツ作りに注力する。渋谷には宿泊施設が足りていない。再開発などでホテル床を生み出すのも一つの手法だが、既存物件をリノベーションして、ベッド数の確保や、ホテルの価値向上などに取り組むことも必要だ。
(提供:日刊不動産経済通信)
