26年路線価、全国平均は5年続けて上昇
2026年07月02日
―国税庁、都市居住や観光など需要強く
国税庁は26年分の路線価(1月1日時点、全国31・1万地点)を1日に発表した。標準宅地の全国平均は前年比2・9%上昇と5年続けて高まり、伸び率は今の算出方法に変えた10年以降で最大になった。住宅需要が強い都市部や国内外の旅行者が多い地方のリゾート地などに上昇地点が増加。東京都の路線価は9・4%上昇と全国平均の3倍を超える大きな伸びを示した。
全国平均は24年に2・3%、25年に2・7%と漸増し、伸び率は3年続けて過去最大を更新した。居住や観光などの不動産需要が強い東京、大阪、福岡、沖縄などで路線価が特に高まる傾向が続いた。最高路線価が前年実績を上回った都市の数は44(前年は35)と最多になったのに対し、横ばいは3(11)、下落は0(1)といずれも減った。下落した都市が一つもないのは91年度以来、35年ぶりのことだという。
最高額は㎡当たり5336万円の東京都中央区銀座5丁目(鳩居堂前)。41年続けて首位を保ち、伸び率も前年比11・0%上昇と大きい。次点は大阪市の御堂筋で1・5%上昇の2120万円。3位は横浜市の横浜駅西口バスターミナル前通りで2・3%上昇の1760万円。一方、上昇率が最大だったのは佐賀市の駅前中央通りで17・0%伸び、福岡を抜き34年ぶりに首位となった。佐賀駅南側に歩道広場が整備され人の行き来が活発になり、不動産需要が高まった。上昇率の次点以下にはJR盛岡駅前(13・0%上昇)、近鉄奈良駅前の大宮通り(12・6%上昇)などが付けた。
標準宅地の評価基準額の平均値では、上昇率が5%以上10%未満と特に高いのは東京、大阪、沖縄で、割合はそれぞれ9・4%、5・1%、6・6%だった。
全国の税務署ごとに最高路線価をみると、上昇率が最大なのは32・7%上昇の長野県白馬村で、3年連続で首位だ。次点以下には同県野沢温泉村(31・3%上昇)、北海道富良野市(28・0%上昇)、東京都台東区浅草(27・5%上昇)など有名観光地が並んだ。他方、下落率が全国で最も大きいのは能登半島地震で被災した石川県輪島市(8・6%下降)。北海道江差町(6・3%下降)や奈良県大淀町(5・9%下降)も大きく下げた。東京国税局管内のうち都内の最高路線価は前年と同じ48地点で上昇した。上昇率10%以上の地点数は34(前年27)、5%以上10%未満は9(14)などで、横ばいと下落は前年に続きゼロだった。
26年の路線価について業界団体のトップは次のようにコメントしている。
吉田淳一・不動産協会理事長 標準宅地の評価基準額の対前年変動率の全国平均は5年連続で上昇し、上昇率は前年よりも大きくなった。下落から横ばい・上昇へと転じた地域や下落率が縮小した地域が見られるなど、上昇基調が続いている。一方、国際情勢の不確実性や諸物価の高騰、金利の上昇傾向等により、経済の先行きの不透明感がある中、今後の地価動向について十分に注視していく必要がある。少子高齢化・人口減少や自然災害リスクの増大など様々な社会課題に直面している中で、これらの諸課題に立ち向かい、足元の経済状況に的確に対応し、投資拡大や生産性向上等により「強い経済」を実現していかなければならない。そのためには、企業による国内設備投資を促進するとともに、経済成長の基盤となる都市再生を着実に推進し、都市の国際競争力の強化や防災性能の向上、まちづくりにおけるDX・GXの促進、イノベーションの創出、多様なライフスタイルに対応した良質な住宅ストックの形成と豊かな住生活の実現、不動産市場の活性化を図っていくことが重要だ。
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 全国的な地価の上昇傾向が続いている。一方で、昨今の物価高や、石油と関連製品等の供給不安を背景とした建築費・資材価格の上昇懸念に加え、日本銀行が政策金利を1%に引き上げたことなど、住宅取得マインドに影響する要因は多岐にわたり、不動産市場は消費者にとって引き続き厳しい状況だ。全宅連は、国民の住宅取得支援や良質な住宅の供給・流通促進と地域経済の活性化へ、相続空き家の譲渡所得に係る3000万円特別控除の適用期限延長と要件緩和、取得費不明土地建物等の譲渡に係る取得費算定方法の見直し等、各種特例措置の適用期限延長や制度改善に取り組む。全宅連は、全国10万社の宅建協会所属会員が住生活サポーターとして消費者に選ばれるための施策実現を通じて、地域の笑顔・消費者の笑顔に貢献する。
中村裕昌・全日本不動産協会理事長 全国的に地価の底堅さが確認された。なかでも盛岡市、さいたま市、東京都、奈良市、佐賀市では、最高路線価の上昇率が10%を超え、駅前や中心市街地の利便性、商業集積、観光・交流需要の回復などが地価を押し上げた。人口動態や産業構造、再開発の進捗状況など、地域ごとの事情が路線価の動きに色濃く反映され、地域間格差の広がりとして真摯に受け止めなければならない。私たち宅地建物取引業者は、地価動向や路線価の変化を読み解き、住み替えや相続など人生の転機に不動産と向き合う方々の適切な判断を支える役割を担っている。国土交通省が掲げる「地域とくらしのパートナー」として、公的な価格情報と現場の実情をつなぎ、安心して次の一歩を踏み出せる環境づくりに努める。
(提供:日刊不動産経済通信)
