ざっくり要約!
- 派遣社員は正社員に比べて金融機関の審査が厳しくなる傾向にあるものの、年収や勤続年数といった条件次第では住宅ローンを組むことも可能
- 雇用形態を問わずに申し込みができる「フラット35」の利用や、頭金を多めに準備するなどの対策をとることで住宅ローンを組みやすくなる
派遣社員は正社員と比べると住宅ローンの審査で不利になることが多いですが、その一方で雇用形態のみで融資の可否が判断されることもありません。
審査で見られるポイントを正しく理解し、必要に応じて対策をすることで住宅ローンを利用してマイホームを持てる可能性があります。
この記事では、派遣社員の方が住宅ローンを申し込む際に押さえておきたい審査項目や通過する可能性を高めるための対策方法などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
派遣社員は住宅ローン審査で不利になる?
派遣社員は住宅ローンの審査で不利になるケースが多いとされています。
法律で解雇が厳しく制限される正社員とは異なり、派遣社員は派遣契約の解除によって職を失うリスクがあり、収入の安定性が低いと判断されやすいためです。
一方、派遣社員であるからといって住宅ローンが絶対に組めないわけではありません。
金融機関は雇用形態だけでなく、年収や返済負担率(年収に占める年間返済総額の割合)、勤続年数などを踏まえて総合的に返済能力を判断します。
同じ派遣先で長く働き、年収が比較的安定している方などは、住宅ローンの審査に通る可能性はあります。
| ・「住宅ローン審査」に関する記事はこちら 住宅ローンの審査が通らない人の特徴は?通らない場合の対策も紹介 住宅ローンの本審査に落ちる確率はどれくらい? 落ちたらどうなるの? |
住宅ローンの基本条件と審査基準
住宅ローンの審査では、申し込みをした人がローンを完済できるだけの返済能力があるかどうかが確認されます。主な審査項目は以下の通りです。
- 年齢
- 収入・返済負担率
- 勤続先・勤続年数
- 他の借り入れ
年齢
ほとんどの住宅ローンには、申し込み時と完済時の年齢に制限が設けられています。申し込み時の年齢は18歳以上70歳未満、完済時は80歳未満などと定められるのが一般的です。
また、住宅ローンの返済期間は完済時の年齢から申込時の年齢を引いた期間が上限となります。たとえば、申込時の年齢が50歳、完済時の年齢制限が80歳までの場合、返済期間は原則として最長30年です。
一方、20代や30代などで住宅ローンを組む場合、返済期間を長くすることが可能です。住宅ローンの返済期間はこれまで最長35年が主流でしたが、近年は最長50年に設定できる金融機関も増えてきました。
| ・「50年住宅ローン」に関する記事はこちら 50年住宅ローンのメリット・デメリットは? 「やばい」って本当? |
収入・返済負担率(返済比率)
住宅ローンの審査では収入の安定性が重視されます。派遣社員の場合は、前年度の税込年収で収入の安定性が審査されるのが一般的です。
金融機関によっては住宅ローンの申し込み条件に前年度の税込年収が200万円以上や300万円以上などの要件を設けていることもあります。
また、年収に占める年間返済額の割合である「返済負担率(返済比率)」が金融機関の定める基準に収まっていることも審査に通過する要件の1つです。返済負担率の計算式は以下の通りです。
- 返済負担率:年間返済額 ÷ 年収 × 100
返済負担率の基準は金融機関によって異なりますが、一般的には30〜40%以内が目安です。
| ・「住宅ローンと年収の関係」に関する記事はこちら 住宅ローンは年収の何倍が理想なのか?借入可能額と返済可能額の違いとは ・「年収ごとの適切な住宅ローン借入額」に関する記事はこちら 年収400万円の適切な住宅ローン借入額はいくら?無理なく返済できる借入額を紹介 年収600万円の適正な住宅ローン借入額はいくら?無理なく返せる借入額を紹介 年収800万円の適正な住宅ローン借入額はいくら?頭金の目安と返済シミュレーションも紹介 |
勤務先・勤続年数
勤務先や勤続年数も申し込んだ人の収入の安定性を判定する際の重要な要素となります。
一般的には、同一の勤務先で3年以上働いた実績があれば、収入の安定性が高いと評価され、ローン審査に通過しやすくなるといわれています。
一方で、転職したばかりで勤続期間が短い場合や、頻繁に職場を変えている場合は、ローンの審査に不利になりやすいです。
国土交通省の調査によると、勤続年数を審査項目としている金融機関のうち約67%が1年以上の勤務が必要であると回答しました。
※出典:国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」
そのため、勤続年数が1年未満になると、住宅ローンの審査に通過することが著しく難しくなります。
他の借り入れ
住宅ローンの審査において、返済負担率を計算する際の年間返済額には他の借入額も含まれます。他の借入額に該当するのは、自動車ローンやカードローン、教育ローンだけでなく、奨学金、スマートフォンの分割払いなどです。
他の借り入れが多いと、住宅ローンで借りられる金額が減り、金融機関から提示される融資可能額が希望に満たなくなる可能性があります。
派遣社員に「フラット35」がおすすめな理由
派遣社員の方が住宅ローンを検討する際は、雇用形態に関わらず申し込める「フラット35」も選択肢に含めることをおすすめします。
ここでは、フラット35の基本的な商品内容や審査基準などについて詳しく解説します。
フラット35とは?
フラット35は、民間金融機関と独立行政法人「住宅金融支援機構」が共同で提供する住宅ローンです。
主な特徴は、借入時に返済終了までの金利と毎月の返済額が確定する「全期間固定金利型」である点です。
最長35年にわたって金利が変わらないため、途中で返済負担が増える心配がありません。借入時に毎月の返済額や返済総額が確定するため、返済計画が立てやすいというメリットもあります。
また、フラット35には質の高い住宅を取得する場合に利用できる「フラット35S」などの金利引下げプランが用意されています。
金利引下げプランを適用すると、返済開始から一定期間の金利が引き下げられて毎月の返済額を抑えることが可能です。
| ・「フラット35」に関する記事はこちら フラット35とは?メリットから手続きの流れまでわかりやすく解説 |
雇用形態が問われない
民間金融機関が独自に取り扱う住宅ローンは、申し込みが可能な雇用形態が「会社員や契約社員のみ」などと制限される場合があります。
一方、フラット35は年収に占めるすべての借入額の年間合計返済額(総返済負担率)が以下の基準に該当し、他の要件も満たしていれば雇用形態を問わず申し込むことができます。
- 年収400万円未満:年間返済額が年収の30%以下
- 年収400万円以上:年間返済額が年収の35%以下
フラット35であれば、派遣社員や契約社員、パート、アルバイトなどでも借り入れられる可能性があります。
その他の融資条件
フラット35を利用するためには、返済負担率の他にも以下のような要件を満たす必要があります。
| 要件 | |
|---|---|
| 申込要件(人) | 年齢:申込時に満70歳未満(親子リレー返済利用時は満70歳以上も可) 国籍:日本国籍、永住許可を受けている方、または特別永住者の方 |
| 資金使途 | 申し込んだ本人またはその親族が住む新築住宅の建設・購入資金、または中古住宅の購入資金 |
| 借入額 | 範囲:100万円以上8,000万円以下(1万円単位)、かつ建設費または購入価額以内(店舗や事務所などの非住宅部分は除く) |
| 借入期間 | 下限:15年(申込人等が満60歳以上の場合は10年) 上限:次の①②いずれか短い年数 ① 80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ) ② 35年 |
| 対象住宅 | 住宅金融支援機構が定める基準に適合する住宅 住宅の床面積が一戸建ては70㎡以上、マンションは30㎡以上 |
派遣社員が住宅ローン審査に通るための具体的対策・コツ

住宅ローンに申し込む際に、頭金を多く準備したり他の借り入れを返済したりすると審査に通過しやすくなります。
ここでは、派遣社員の方が住宅ローンの審査を受ける際に押さえておきたい5つの対策方法を解説します。
頭金を増やす
頭金を多く準備すると金融機関の融資審査に通過しやすくなります。住宅ローンの借入総額が減って年間の返済額が少なくなり、審査基準の1つである返済負担率を低く抑えられるためです。
また、まとまった資金を準備すると、金融機関から家計を適切に管理して貯蓄する能力が高いと評価され、審査にプラスの影響を与えられる可能性もあります。
住宅ローンを申し込む際は、少なくとも物件価格の2〜3割の頭金を準備しましょう。
| ・頭金なしで住宅ローンを組む場合に関する記事はこちら 頭金なしで住宅ローンを組むと後悔する? 適切な借入額の決め方とは? |
その他の借り入れを返済する
マイカーローンやカードローン、奨学金などを返済している場合は、住宅ローンの申し込み前に完済するか残高を減らすと良いでしょう。
他の借り入れを減らした場合も、年間総返済額が減って返済負担率が下がり、ローン審査に通過しやすくなるためです。住宅ローンの借入金額を増やせる可能性もあります。
なお、金融機関は住宅ローンの審査の際、個人信用情報機関に問い合わせて申し込んだ人の借入状況を確認します。
他の借り入れがあることを隠して申し込みをしても審査時に必ず発覚し、金融機関の印象を損ねてしまいかねないため、事実を正確に伝えることが大切です。
信用情報を良くする
信用情報機関に支払いや返済を長期にわたり延滞した履歴や債務整理の記録などが残っていると、返済能力が低いと評価されて審査に通過することが難しくなります。
とくに、信用情報機関に「異動」と呼ばれる情報が登録されていると、基本的に住宅ローンを組むことはできません。
クレジットカードやローンの支払い・返済に関する情報は、基本的には「契約が終了した日(完済日)」から起算して5年間が経過するまで信用情報機関に残り続けます。
住宅ローンの利用を考えているのであれば、クレジットカードやローンなどは確実に支払い、延滞・滞納の履歴を作らないことが大切です。
信用情報に不安がある場合は、CICやJICCといった信用情報機関に開示請求をして延滞や滞納の有無を確認すると良いでしょう。複数回の延滞をした履歴や異動の記録などがある場合は、それらが削除されるまで住宅ローンの申し込みを待つのも1つの方法です。
| ・「信用情報」に関する記事はこちら 住宅ローンで審査される信用情報とは? 調べられる内容と確認方法 |
ペアローンを組む
自身のみで住宅ローンを組むことが難しい場合、配偶者やパートナーと協力して「ペアローン」を利用するのも1つの方法です。
ペアローンとは、1つの物件に対して夫婦や親子などがそれぞれ主債務者として個別にローンを契約する方法のことです。2人分の収入を合わせて返済能力が審査されるため、1人で申し込むよりも希望する金額のローンを組みやすくなります。
ただし、ペアローンを組む場合、事務手数料や登記費用などの諸費用が2人分かかります。
また、病気や育休・産休などでどちらか一方が働けなくなって収入が減ると、返済負担が家計を圧迫しやすくなる点にも注意が必要です。
| ・「ペアローン」に関する記事はこちら ペアローンはデメリットが多い?後悔しないために知っておきたいこと 住宅ローンの収入合算とは?ペアローンの違いは?メリット・デメリットも紹介 |
常用型派遣として勤務する
派遣社員としての働き方の中でも「常用型派遣」を選ぶと住宅ローンの審査に通過しやすくなる可能性があります。
常用型派遣は、派遣会社に常時雇用されながら派遣先で働く形式です。派遣スタッフと人材派遣会社との間で無期限の雇用契約が結ばれるため、派遣先がない期間も給与が支払われるのが一般的です。
審査に通過する可能性を高めたい場合は、常用型派遣として一定期間働いたあとに住宅ローンを申し込むのも良いでしょう。
まとめ
雇用形態は審査項目の1つにすぎないため、派遣社員という理由だけで融資を断られることはありません。派遣社員であっても、同じ勤務先で長く働いており、一定の年収があれば融資を受けられる可能性は十分にあります。
民間金融機関の住宅ローン審査に通過することが難しいと感じる場合は、雇用形態を問わずに申し込める「フラット35」の利用を検討すると良いでしょう。
また「頭金を増やす」「他の借り入れを完済する」などで対策すると審査に通る可能性を高められます。住宅ローンを申し込む際は、自身の状況に応じた対策方法を検討すると良いでしょう。
この記事のポイント
- 派遣社員だと住宅ローンで不利になりますか?
派遣社員は住宅ローンの審査で不利になるケースが多いとされています。法律で解雇が厳しく制限される正社員とは異なり、派遣社員は派遣契約の解除によって職を失うリスクがあり、収入の安定性が低いと判断されやすいためです。
詳しくは「派遣社員は住宅ローン審査で不利になる?」をご覧ください。
- 派遣社員は「フラット35」が良いのでしょうか?
派遣社員の方が住宅ローンを検討する際は、雇用形態に関わらず申し込める「フラット35」も選択肢に含めることをおすすめします。
詳しくは「派遣社員に「フラット35」がおすすめな理由」をご覧ください。
- 派遣社員が住宅ローン審査に通りやすくなるコツはありますか?
住宅ローンに申し込む際に、頭金を多く準備したり他の借り入れを返済したりすると審査に通過しやすくなります。
詳しくは「派遣社員が住宅ローン審査に通るための具体的対策・コツ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
派遣社員の方が住宅ローンを組む場合は、今後のライフプランをもとに返済計画を入念に立てることが大切です。契約の終了や派遣先の変更などで収入が減少しても返済が続けられるように借入金額を抑え、不測の事態に備えて返済資金を計画的に貯めることをおすすめします。

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