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住宅ローンは年収の何倍が目安?無理のない借入額と金利上昇リスクを解説

執筆者プロフィール

辻本 剛士
辻本剛士
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー1級

1984年8月3日生まれ、神戸・辻本FP合同会社代表。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。
https://kobe-okanesoudan.com/

ざっくり要約!

  • 年収500万円の場合、住宅ローンの借入額はその5〜7倍である2,500〜3,500万円程度が目安
  • 年収500万円で返済負担率が20〜25%の場合、年間返済額は100万〜125万円

住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍程度が一つの目安とされています。

住宅ローンには、金融機関が貸してくれる借入可能額と、無理なく返済できる借入額の2つの考え方があります。そして、その判断の目安となるのが年収倍率です。

本記事では、住宅ローンの目安となる年収倍率と、無理のない借入額をみていきます。直近の金利動向や借入時の注意点についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

【最新データ】住宅ローンの借入額は年収の何倍が一般的?

【最新データ】住宅ローンの借入額,年収の何倍

最初に、住宅金融支援機構の調査結果をもとに、年収倍率の目安や近年の傾向について解説します。

年収の5〜7倍が目安

住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍程度が一つの目安とされています。

たとえば、年収500万円であれば住宅ローンの借入額はその5〜7倍である2,500〜3,500万円程度が目安です。

では、実際にマイホームを購入した方は、年収の何倍の借り入れをしているのでしょうか。

住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの1種である「フラット35」を利用した人の世帯年収に対する所要資金(自己資金+借入金額)の倍率は下記の通りです。

土地付き注文住宅:7.5倍
マンション:7.0倍
建売住宅:6.7倍
中古マンション:5.5倍
中古戸建:5.3倍

出典:2024年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

土地付き注文住宅やマンションについては、年収倍率が7倍を超えています。一方、中古住宅の年収倍率は5.3〜5.5倍であり、新築住宅よりも低い結果となりました。

年収倍率を計算する際の所要資金には、住宅ローンの借入額だけでなく自己資金も含まれています。

しかし近年は、頭金をまったく入れない、あるいは入れても物件価格の1割程度である世帯も少なくありません。住宅金融支援機構の調査結果からも、住宅ローンの借入額は年収の5〜7倍が1つの目安といえるでしょう。

年収倍率が上昇傾向にある理由

住宅金融支援機構の調査によると、年収に対する借入額の倍率は下記のとおり、上昇傾向にあります。

2024年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
出典:2024年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

2024年の調査結果は前年に比べて横ばいまたは低下していますが、中長期的には上昇傾向にあることがわかります。

2014年の年収倍率は5倍弱〜6.5倍強でしたが、前述の通り2024年の調査結果は5.3〜7.5倍に増加しています。この背景には、建築資材の高騰や人件費の増加に加え、円安の影響で海外投資家からの需要が増加し、都市部を中心に地価が上昇していることが考えられるでしょう。

加えて、これまで低金利が続いたことにより住宅ローンの借入額が拡大し、年収倍率が上昇してきたことも要因の一つです。

住宅ローンの借入可能額と返済可能額の違い

住宅ローンの借入可能額と返済可能額の違い

住宅ローンの借入額を決める際は年収の倍率だけでなく「返済負担率」も考慮することが大切です。ここでは、返済負担率の計算方法や目安を解説します。

金融機関が貸してくれる借入限度額は返済負担率30~35%

返済負担率は、年収に対する年間のローン返済額の割合です。
計算式は以下の通りです。

  • 返済負担率=年間返済額 ÷ 年収

金融機関は、住宅ローンの審査をする際に返済負担率が一定値を上回っていないかを確認します。

多くの金融機関では、この返済負担率の上限を年収の30〜35%程度に設定しており、これが借入可能額を判断する一つの基準となります。

返済負担率の上限は、金融機関により多少の差はありますが、一般的には下記の通りです。

税込年収返済負担率の上限
〜250万円未満25%
250万〜400万円未満30%
400万円以上35%

たとえば、年収500万円の場合、返済負担率の上限は一般的に35%であるため、年間返済額が「500万円×35%=175万円」を超えるような借入は困難です。

住宅ローンの借入限度額は、返済負担率を用いて計算した年間返済額を、最長の返済年数で返済すると仮定し、「審査金利」を用いて計算します。

住宅ローンは0.5〜2.0%の金利で借り入れができますが、審査金利はそれよりも高い3〜4%程度に設定されるのが一般的です。

民間金融機関の住宅ローンは変動金利の取り扱いが多く、返済の途中で金利が上昇して返済負担が増えたとしても、完済できる見込みがあるかを審査するためです。

たとえば年収500万円、返済期間35年、審査金利4%、返済方法が元利均等方式(毎月の返済額を一定にする方式)の場合、借入上限額を計算すると3,290万円となります。

ただし、これはあくまで審査上の限界値であり、必ずしも無理なく返済できる水準とは一致していません。

無理なく返せる返済可能額は返済負担率20〜25%

返済負担率の上限を用いて算出した借入額は、あくまで「金融機関が融資してくれる最大の金額」です。

借入限度額いっぱいまで住宅ローンを組むと「子どもが成長して教育費が増えた」「転職して収入が減った」などの事柄が起きた際に返済が苦しくなる恐れがあります。

こうしたリスクを避けるためには、額面年収だけでなく「手取り年収」をもとに返済額を考えることも有効です。

額面年収とは、税金や社会保険料が差し引かれる前の年収を指します。一方で、手取り年収とは、それらを差し引いた後に手元に残った金額のことです。

額面年収ベースで返済負担率の上限近くまで借り入れると、手取りに対する返済負担は大きくなり、家計が圧迫されやすくなります。

そのため、返済途中で家計の収入や支出が変化しても対応できるよう、返済負担率は20〜25%程度に抑えることが一つの目安となります。手取りベースで考える場合は、20%前後に収めておくことで、より安定した返済計画を立てやすくなるでしょう。

たとえば、年収500万円で返済負担率が20〜25%の場合、年間返済額は100万〜125万円となります。

住宅金融支援機構の調査によると、返済負担率が15%超〜20%以内である割合は24.3%ともっとも多いことに加え、調査全体の半数以上が返済負担率20%以内となっています。

出典:【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】|住宅金融支援機構

安心な年収倍率は5倍前後

年収倍率をもとに、住宅ローンの理想的な借入額を検討すると5倍前後が目安です。

たとえば、年収500万円の場合は借入額の目安は最大2,500万円となります。

この金額を、返済期間35年、借入金利は年0.5%(変動)、返済方法は元利均等方式で借り入れると、毎月の返済額は約6.5万円、年間返済額は約77.9万円です。

返済負担率を計算すると「約77.9万円÷500万円≒約15.6%」となり、理想的な範囲内に収まります。

借入金利を年2.0%(固定)にした場合、毎月の返済額は約8.3万円、年間返済額は約99.4万円であり、返済負担率は約19.9%となります。

このように、返済負担率を20%前後に抑える水準から逆算すると、年収倍率は5倍前後が無理のない範囲といえます。

一方で、近年は住宅価格の上昇により、年収倍率を5倍以内に収めることが難しいケースも多いです。そのため、5倍を超える借入となる場合は、自己資金を多めに用意する、購入予算を見直す、家計の支出をスリム化するなどの工夫が求められます。

【年収別早見表】住宅ローン借入可能額・月々の返済額シミュレーション

【年収別早見表】住宅ローン借入可能額・月々の返済額シミュレーション

ここでは、年収別に「返済負担率20%(ゆとりあり)・25%(適正)・35%(厳しい)」の3パターンで、借入可能額と毎月の返済額の目安をみていきます。

なお、シミュレーションは「返済期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなし」で算出しています。

【変動金利(0.9%)の場合】
※各欄は「借入可能額/毎月の返済額」を示しています

年収20%(ゆとり)25%(適正)35%(厳しい)
300万円1,800万円 / 5.0万円2,250万円 / 6.3万円3,150万円 / 8.8万円
400万円2,400万円 / 6.7万円3,000万円 / 8.3万円4,200万円 / 11.7万円
500万円3,000万円 / 8.3万円3,750万円 / 10.4万円5,250万円 / 14.6万円
600万円3,600万円 / 10.0万円4,500万円 / 12.5万円6,300万円 / 17.5万円
800万円4,800万円 / 13.3万円6,000万円 / 16.7万円8,400万円 / 23.3万円
1000万円6,000万円 / 16.7万円7,500万円 / 20.8万円1億500万円 / 29.2万円

【固定金利(1.8%)の場合】
※各欄は「借入可能額/毎月の返済額」を示しています

年収20%(ゆとり)25%(適正)35%(厳しい)
300万円1,560万円 / 5.0万円1,960万円 / 6.3万円2,740万円 / 8.8万円
400万円2,090万円 / 6.7万円2,580万円 / 8.3万円3,640万円 / 11.7万円
500万円2,580万円 / 8.3万円3,240万円 / 10.4万円4,550万円 / 14.6万円
600万円3,110万円 / 10.0万円3,890万円 / 12.5万円5,450万円 / 17.5万円
800万円4,140万円 / 13.3万円5,200万円 / 16.7万円7,260万円 / 23.3万円
1000万円5,200万円 / 16.7万円6,480万円 / 20.8万円9,090万円 / 29.2万円

このように、同じ年収でも返済負担率の設定によって毎月の返済額には大きな差が生じます。また、返済負担率が高くなるほど、毎月の返済負担は重くなり、家計への影響も大きくなります。

たとえば、変動金利(0.9%)で試算すると、年収500万円・返済負担率35%の場合、借入可能額は約5,250万円、毎月の返済額は約14.6万円となります。手取り額から考えると負担が大きく、現実的には家計を圧迫する可能性が高い水準といえるでしょう。

住宅ローンの金利はどうなる?最新の動向解説

住宅ローンの金利,最新の動向解説

住宅ローンを検討するうえでは、借入額とあわせて金利の動向も確認しておくことが大事です。日本では長く低金利が続いていましたが、近年は穏やかな上昇局面に入っています。

ここでは、住宅ローン金利の最新動向と、金利が上昇した場合に家計へどのような影響があるかをみていきます。

住宅ローン金利は上昇傾向

近年、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。背景には、日本銀行による金融政策の転換があります。

日本では長らく低金利政策が続いていましたが、2024年3月にマイナス金利政策が解除され、その後は段階的に利上げが実施されてきました。実際に、2025年には政策金利が0.5%程度まで引き上げられ、さらに同年12月には0.75%程度へと追加利上げが行われています。

変動金利は政策金利に連動するため、2025年以降は見直しが進み、実際に金利上昇が反映され始めています。

今後も追加利上げの動きが想定されており、住宅ローン金利は緩やかな上昇が続く可能性があるでしょう。

金利が1%上昇した場合の変化

住宅ローンはわずかな金利の差でも、返済額に大きな影響を与えます。ここでは、金利が0.9%から1.9%に上昇した場合の変化をみていきます。

条件は以下のとおりです。

  • 借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • ボーナス払い:なし

現在の金利(0.9%)金利上昇後(1.9%)増加額
月々の返済額8万3,000円9万8,000円1万5,000円
総返済額3,500万円4,100万円600万円

このように、金利が1%上昇するだけでも、毎月の返済額は約1万5,000円増加し、総返済額では600万円以上の差が生じます。

毎月の負担増は小さく見えるかもしれませんが、長期間にわたることで家計への影響は大きくなります。特に変動金利を選択する場合は、将来的な金利上昇も踏まえた資金計画を立てることが重要です。

【シミュレーション】年収の5倍と7倍で住宅ローンの返済額はどれだけ変わる?

【シミュレーション】年収の5倍,7倍,住宅ローンの返済額

では、住宅ローンの借入額や返済額は年収の5倍と7倍でどれほど変わるのでしょうか。年収500万円と1,000万円のケースでシミュレーションしてみましょう。
共通の試算条件は以下の通りとします。

  • 返済期間:35年
  • 借入金利:年0.9%(変動金利)
  • 返済方法:元利均等方式(毎月の返済額が一定である方式)
  • ボーナス払い:なし


試算結果は以下の通りです。
・年収500万円の場合


年収の5倍年収の7倍
借入金額2,500万円3,500万円
毎月の返済額約6.9万円約9.7万円
年間返済額約82.8万円約116.4万円
返済負担率約16.6%約23.3%
総返済額約2,915.3万円約4,081.4万円

年収500万円の場合、手取りは月額約33万円となります。年収の5倍で借り入れた場合、毎月の返済額は約6万9,000円となるため、返済後に残る金額は約26万1,000円となり、生活費や貯蓄にも余裕を持たせやすい水準です。

一方で、年収の7倍まで借り入れを増やすと、毎月の返済額は約9万7,000万円となり、手取りから差し引いた残りは約23万円まで減少します。差額は月2万8,000円程度ですが、教育費や物価上昇が重なると家計への影響は小さくありません。

・年収1,000万円の場合


年収の5倍年収の7倍
借入金額5,000万円7,000万円
毎月の返済額約13.9万円約19.4万円
年間返済額約166.8万円約232.8万円
返済負担率約16.7%約23.3%
総返済額約5,830.6万円約8,162.9万円

年収1,000万円の場合、手取りは月額約66万円となります。年収の5倍であれば、返済後も約52万1000円が残るため、教育費や資産形成に資金を回しやすく、安定した家計を維持しやすいといえるでしょう。

一方で、年収の7倍まで借り入れると、毎月の返済額は約19万4,000円となり、残る金額は約46万6,000円まで減少します。生活自体は可能であるものの、支出が増えた場合の余裕は小さくなります。

今回は変動金利でシミュレーションをしていることから、返済途中で金利が上昇すると、返済負担率はさらに増えることになるでしょう。
返済負担の圧迫リスクを抑えたいのであれば、住宅ローンは年収の7倍まで借り入れるのではなく、5倍程度にとどめておいたほうが安心です。

住宅ローンの借入額を安全に増やすペアローンと収入合算

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住宅価格の上昇により、一人の年収では希望額に届かないケースも増えています。そのような場合は、夫婦の収入を合わせて借入額を増やす「ペアローン」や「収入合算(連帯保証・連帯債務)」も選択肢の一つです。

以下でそれぞれの仕組みについてくわしく解説します。

ペアローン

ペアローンとは、1つの住宅に対して夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約する方法です。夫婦それぞれが主たる債務者となり、互いに相手の連帯保証人となる仕組みです。

ペアローンのメリット・デメリットを以下の表にまとめました。

ペアローンのメリットペアローンのデメリット
・それぞれでローンを組むため借入可能額を増やしやすい
・夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できる
・住宅ローンが2本になるため、事務手数料等の諸費用がそれぞれ発生する
・一方が返済できなくなった場合、もう一方がその返済義務を負う

このように、ペアローンは借入額を増やしやすく、税制面でも有利といえます。

一方で、契約が2本になることで諸費用が増えるほか、収入減少などによって一方の返済が難しくなった場合には、もう一方に負担が集中する可能性があります。

収入合算

収入合算とは、夫婦の収入を合算して住宅ローンの審査を受ける方法です。

主に「連帯保証型」と「連帯債務型」の2つの形式があります。

連帯保証型は、夫婦のうち一方が債務者となり、もう一方が連帯保証人となる仕組みです。一方の連帯債務型は、一方が主たる債務者、もう一方が連帯債務者となり、どちらも返済義務を負うことになります。

それぞれの特徴は以下のとおりです。


収入合算
連帯保証連帯債務
特徴一方が主債務者、もう一方は連帯保証人一方が主債務者、もう一方は連帯債務者
メリット・借入可能額を増やしやすい
・ローン契約が1本で済む
・借入可能額を増やしやすい
・双方で住宅ローン控除が適用する
デメリット・連帯保証人は住宅ローン控除や団体信用生命保険の対象外となる・一方が返済不能となった場合、もう一方が全額の返済義務を負う
・取り扱う金融機関が限られる

連帯保証型は、契約が1本で済むため手続きや諸費用を抑えやすい点が特徴です。ただし、保証人となる側は住宅ローン控除や団体信用生命保険の対象外となる点に注意が必要です。

一方、連帯債務型は夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できるメリットがあります。ただし両者で返済義務を負うため、一方の収入が減少した場合にはもう一方の負担が大きくなる可能性があります。また、取り扱いのある金融機関が限られる点も理解しておく必要があるでしょう。

向いている人・向いていない人

ペアローンや収入合算は借入可能額を増やせる一方で、リスクも伴うため、向き不向きをきちんと理解しておく必要があります。

向いている人の特徴向いていない人の特徴
・今後も夫婦ともに収入が安定している
・共働きを前提にしている
・夫婦でローン控除などを活用したい
・将来的に収入減少の可能性がある
・出産や育児の影響が見込まれる
・収入が不安定
・返済計画に余裕がない

このように、ペアローンや収入合算は「夫婦双方の収入が維持されること」が前提となるため、将来の収入変動も踏まえたうえで無理のない借入額の設定が求められます。

一方で、出産や育児、転職などにより収入が減少する可能性がある場合は慎重に検討する必要があります。

利用にあたっての注意点

ペアローンや収入合算を利用するにあたって注意したいのが、離婚した場合の対応です。

住宅ローンが残っている状態で離婚することになると、財産分与やローンの名義整理が複雑になりやすく、簡単に解消できないケースもあります。

売却するにも残債の状況によっては自由に動けない場合があるため、事前にリスクを理解しておくことが重要です。

また、どちらか一方が病気やケガ、育児や転職などによって働けなくなった場合、想定していた収入を維持できず、返済が難しくなる可能性があります。

このように、借入額を増やせる仕組みである一方、将来の収入変動やライフイベントの影響を受けやすい点には十分注意が必要です。

住宅ローンの借入額を決めるうえでの注意点

住宅ローンの借入額,注意点

住宅ローンの借入額を決めるときは、年収に対する倍率や返済負担率に加えて以下の点も考慮すると良いでしょう。

ライフスタイルやライフプランも考慮する

同じ年収であっても、家族構成や年齢、住んでいるエリアなどで毎月の支出は異なります。

また、子どもの進学や転職、老後生活などのライフイベントが生じると、まとまった資金が必要になるとともに、家計の収支が変化するかもしれません。

住宅ローンの返済期間は一般的に20年や30年など長期にわたります。住宅ローンを組むときは、毎月の収入と支出、将来的に起こりうるライフイベントとそのときの必要資金も考え、無理のない返済計画を立てることが大切です。

借入額だけが返済額に関わるわけではない

住宅ローンの借入額が同じであっても、金利や返済期間などで返済額は大きく変わります。

たとえば、変動金利は固定金利よりも借入当初の金利が低いため、毎月の返済額を抑えることが可能です。しかし、将来的に金利が上昇すると、返済額が増加するリスクがあります。

返済期間を長くすると、毎月の返済額を減らせる一方で利息総額や総返済額は増えます。また、主な収入源が国からの年金となって世帯収入が下がったあとも返済が続き、生活が苦しくなるリスクも生じやすくなるでしょう。

借り入れた人が亡くなったときにローン残債が保障される「団体信用生命保険(団信)」によっても、毎月の返済額が変わることがあります。

団信に特約を付け、がんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)などにも備えられるようにすると、金利が年0.1〜0.2%程度上乗せになることがあるためです。

借入額に加え、金利や返済期間、団体信用生命保険の保障内容なども踏まえて、返済シミュレーションを活用し、住宅ローンの借入条件を慎重に検討しましょう。

住宅購入後に必要な維持費も計算しておく

住宅ローンを検討する際は、返済額だけで判断するのではなく、購入後にかかる維持費もあわせて考えておく必要があります。

住宅を所有すると、ローン以外にも以下のような費用が発生します。

費用項目内容
固定資産税不動産の所有者に毎年課される税金
都市計画税市街化区域内の不動産に課される税金
修繕積立金(マンション)将来の大規模修繕に備えて毎月積み立てる費用
管理費(マンション)共用部分の維持・管理にかかる費用
修繕費用(戸建て)外壁や屋根などのメンテナンス費用(将来的に発生)

これらの費用は毎月または毎年発生するものもあれば、修繕費用のように将来的にまとまった支出となるものもあります。ローンの返済額だけで返済負担率を計算していると、実際の支出は想定よりも大きくなり、家計が圧迫するおそれがあります。

住宅ローンの返済額に維持費を加えたうえで、無理のない水準に収まっているかを確認することが大切です。

他の借入があると借入可能額は下がる

住宅ローンの審査では、住宅ローン以外の借入も含めて返済負担率が計算されます。主な対象は以下の通りです。

  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • クレジットカードのキャッシング
  • カードローンなどの借入

これらの返済額も合算されるため、他の借入が多いほど住宅ローンとして借りられる金額は少なくなります。

たとえば、多額の自動車ローンが残っている場合、その分だけ返済負担率が高くなるため、希望する借入額に届かない可能性があります。

住宅ローンでより多くの金額を借りたい場合は、事前に他の借入を整理し、可能であれば完済しておくことが望ましいでしょう。

無理のない返済期間を設定する

住宅ローンを無理なく返済するためには、返済期間を調整することも有効です。

返済期間を短く設定すると、同じ借入額であっても月々の返済額は高くなり、家計への負担が大きくなります。一方で、返済期間を長く設定すれば毎月の返済額を抑えられ、生活費や貯蓄に余裕を持たせやすくなります。ただし、その分だけ利息の支払いが増えるため、総返済額は大きくなる点に注意が必要です。

近年は、35年を超える返済期間の商品も増えており、なかには最長50年の住宅ローンを取り扱う金融機関もあります。返済期間によって毎月の負担がどの程度変わるのか、具体的にみてみましょう。

【試算条件】

  • 借入額:3,000万円
  • 金利:0.9%(変動)
  • 返済方法:元利均等
  • ボーナス払い:なし

35年50年
月々の返済額8万3,000円6万2,000円
総返済額3,500万円3,730万円

このように、50年ローンにすると毎月の返済額は大きく下がり、家計に余裕を持たせやすくなります。

一方で、返済期間が長くなることで完済時の年齢が高くなりやすく、老後まで返済が続く可能性がある点には注意が必要です。また、長期間の返済となるため、将来の金利上昇や収入変動の影響も受けやすくなります

まとめ

住宅ローンは、金融機関が提示する借入可能額ではなく「無理なく返せる金額」を基準に考えることが重要です。返済負担率は30〜35%ではなく、20〜25%程度に抑えることで家計への負担を軽減しやすくなります。

また、年収倍率は5〜7倍が目安とされますが、生活の余裕を考えると5倍前後に収めることが一つの目安です。

さらに、金利の変動や維持費、将来のライフイベントなども含めて判断することで、長期的に安定した返済につながるでしょう。

住宅ローンは人生の大きな選択の一つですが、適切な基準で計画を立てれば無理のないマイホーム購入は十分に実現可能です。自身のライフプランに合った形で、納得のいく住まい選びを進めてください。

この記事のポイント

住宅ローンの借入額は年収の何倍が一般的?

住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍程度が一つの目安とされています。
たとえば、年収500万円であれば住宅ローンの借入額はその5〜7倍である2,500〜3,500万円程度が目安です。

詳しくは「【最新データ】住宅ローンの借入額は年収の何倍が一般的?」をご覧ください。

住宅ローンの借入額を増やす方法は?

住宅価格の上昇により、一人の年収では希望額に届かないケースも増えています。そのような場合は、夫婦の収入を合わせて借入額を増やす「ペアローン」や「収入合算(連帯保証・連帯債務)」も選択肢の一つです。

詳しくは「住宅ローンの借入額を安全に増やすペアローンと収入合算」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

辻本 剛士

返済負担率や年収倍率は一つの目安となりますが、毎月の支出状況によって適正な借入額は大きく変わります。たとえば、教育費や保険料、車の維持費などの支出が多い場合、同じ年収でも返済負担は重くなりやすいです。そのため、住宅ローンを検討する際は収入だけでなく、支出のバランスも踏まえて判断することが重要です。家計の見直しも含めて、FPなどの専門家に相談することも選択肢の一つでしょう。

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