売買仲介、手数料と取扱高でリバブル首位
2026年05月25日
―仲介数は三井リアル、成約単価上昇が支え
不動産流通主要24社・グループにおける26年3月期(25年4月~26年3月)の売買仲介実績が出揃った。主要な都市部で物件価格の上昇が続いて成約単価が引き上がったことが支えとなり、手数料収入と取扱高は、主要な大手仲介会社・グループの多くで前期を上回る実績だった。また、仲介件数も過半数が前期比プラス。年間を通じた仲介市況の好調ぶりが鮮明に表れた。
中でも、取扱高の首位に加えて、手数料収入でも初の首位を獲得した東急リバブルは、リテールでは成約件数、手数料収入ともにエリアを問わず過去最高を更新する好業績という。「情報共有を軸とした社内連携強化」が生産性の向上につながった。また、ホールセールも10億円を上回る大口取引件数が25年度を通じて増加した。新規出店した店舗も好調で、2位だった成約件数の更なる増加に向け、今後も年間数店の出店を続ける方針だ。成約件数の首位を堅持し、手数料収入と取扱高は2位だった三井不動産リアルティも、成約単価が上昇する市況でリテール仲介が好調。成約件数は若干減少したが過去最高の取扱高につながった。AIの導入で営業業務に集中できる時間を増やす取り組みも行い、今後も仲介事業の拡大を狙っていく。
両社に続いて、手数料収入と仲介件数が3位の住友不動産ステップは、顧客ファーストを志向する取り組みと「ステップオークション」の浸透で、営業利益の過去最高を更新。上半期に続いて取扱高が3位に躍進した野村不動産ソリューションズは、都心や準都心エリアの市場拡大や富裕層の不動産ニーズ取り込みが進み、手数料収入や仲介件数も伸ばした。
大手4社に次ぐ、信託銀行系大手各社と三菱地所グループは、富裕層や事業法人、プロ投資家などによる旺盛な不動産需要を取り込んで手数料収入を伸長させた。3指標すべてでプラスだった三菱地所グループは、リテールでは宅建事業者との取引増加、ホールセールで大型案件獲得の促進が奏功したとみている。
◎中古マンション、都心で調整局面の見方
前年度は全国的に主要都市の中心部で物件価格の上昇が続いた一方で、ここ数年の市場を牽引してきた東京都心では変調がささやかれる。リテールでは、三井不動産リアルティの岡村光浩・取締役常務執行役員が「過熱感があった湾岸エリアなど局所で動きが鈍くなった」と話すほか、東急リバブルの小玉潤・取締役も「エリアなどの条件を緩和して物件を探す動きがみられた」とする。これまで、1億円台のどこかで売れ行きに壁ができると市場関係者の多くがみていたが、26年に入ってからは、その壁が少し引き下がった印象だ。インバウンドに関しても、中国本土系のニーズは25年秋口から減退したが、変わって台湾系による取得事例は増えたとの声もあった。
都心の中古マンション市場では2月以降に、金融庁が不動産業への融資増加を懸念する通達を出した影響で、近年参入した買取再販事業者などへの融資が厳しくなって撤退した例もあるという。直近では都心の中古マンションに関して「調整局面」とする見解が多いが、ライフステージに基づく実需層のニーズは底堅いとの指摘も聞こえる。今後も、金利動向や中東情勢、株高など多数の要素によって環境の不透明さは増しているが、26年度に入ってからも大手仲介会社では、消費者の反響が大きく下がって価格と市場が大きく崩れる可能性は低いとみているようだ。
ホールセールをみると、通年で企業の不動産利活用ニーズが強かった様子がうかがえる。本業の収益補完を目的とした取引や、オフィス立地改善や遊休資産活用に向けた取引で、活況が続いたとみられる。個人や一部事業者は金融機関の審査が厳しくなったことと対照的に、安定した企業や機関投資家への緩和的な融資姿勢は変わらず、相対的に優位だった模様だ。オフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスといった多様なアセットで活発に動いたと受け止められている。
26年に入って、大手仲介会社は共通して「相場の天井感が強い」とみる。東京カンテイの中古マンション価格動向でも、東京都心6区の平均価格が2月に37カ月ぶりの下落へ転じた一方、4月は3カ月ぶりに最高値を更新した。同社の髙橋雅之・上席主任研究員は「この後に下落トレンドか再上昇かは、イラン情勢や日経平均6万円突破といった状況が加味されていない現状では判断が難しい」と語る。
(提供:日刊不動産経済通信)
