レジリエンス住宅とは？ 災害に強い家にするために求められること

地震や台風、土砂災害など、私たちの生活を脅かす数々の災害。近年では、災害が頻発・激甚化していることから、住まいにも災害に耐えられる性能が求められています。

この記事では、災害に強い住宅として広がりを見せている「レジリエンス住宅」について解説。また、中古住宅のレジリエンス性能を上げるリフォームについても紹介します。

レジリエンス住宅とは？

レジリエンス住宅とは、災害時の被害を最小限に抑え、罹災後も生活を継続できる住まいを指します。

そもそも「レジリエンス」とは？

「レジリエンス（resilience）」とは、「回復力」「弾性」「復元力」を意味する言葉です。元々は物理学用語で「外部から圧力がかかった物質や物体が元に戻ろうとする力」を表します。

それが「あらゆる危機や困難を乗り越えて回復する力」という意味で、心理学や住宅、教育など幅広い分野で使われるようになりました。

住まいにおけるレジリエンス

住まいにおけるレジリエンスとは、自然災害や環境の変化など、あらゆる事象から家族の命と財産を守り、罹災後も安全かつ快適に暮らし続けられる性能を指します。

自然災害は地震を始め、台風や豪雨、最近では猛暑も災害と言われるようになりました。このような災害から住まいと家族を守るのはもちろんのこと、平時の快適性や安全性にも配慮されているのが「レジリエンス住宅」です。

レジリエンス住宅が普及している背景

近年、日本では様々な自然災害が頻繁に発生し、その規模も激甚化しています。地震においては、首都圏直下地震や南海トラフ地震など、規模が大きく発生確率も高い地震が予測されています。

また、大規模災害時には避難所が混雑し、衛生面や感染症のリスクから在宅避難が推奨されるケースも少なくありません。このような背景から、在宅避難を前提とした「レジリエンス住宅」に注目が集まっています。

・「自然災害」に関する記事はこちら 液状化現象はなぜ起こる？起こりやすい場所や事例、原因と対策を解説 床上浸水、床下浸水とは？火災保険でどこまでカバーできる？賃貸物件の補償は大家さん？ ハザードマップの見方を解説！種類や入手方法も確認して洪水や地震に備えよう

レジリエンス住宅に求められること

レジリエンス住宅に求められるのは、災害による衝撃や環境の変化に耐え、速やかに回復する性能です。また、被災後に生活を継続できることも重要な要素となります。

強靱性

レジリエンス住宅に求められる一つ目の要素は、災害による被害を最小限に抑える「強靱性」です。

具体的には、大規模地震に耐えられる耐震性、火災に備える耐火性、暴風にも耐えられる構造や屋根など、総合的な耐久性の高さが求められます。

回復力

二つ目の要素は、被災後できるだけ早く平時の生活に戻れる「回復力」です。災害に遭っても建物の損傷が抑えられ、ライフラインが維持されていれば、避難所に行かずに済みます。

自宅で普段通りに近い生活ができることも、レジリエンス住宅に求められる重要なポイントです。

快適性

住まいにおける快適性とは、外気温の影響を受けにくく、一年中快適な室温を維持できることを意味します。そのためには、建物が高気密・高断熱であることが重要です。

加えて、高気密・高断熱の住宅は、冷暖房費の削減を始め、ヒートショック症候群の予防など、健康面にもメリットをもたらします。

・「高気密高断熱住宅」の物件一覧はこちら ・「高気密・高断熱」に関する記事はこちら 高気密・高断熱の家に住む際のポイントは？エアコンの使い方も紹介

レジリエンス住宅に求められる具体的な性能や設備

レジリエンス住宅には家族と生活を守るため、さまざまな性能や設備が求められます。災害後も住める状態であることを始め、ライフラインが確保されていることも重要です。

耐震性

住宅の耐震性は、建築基準法で定められた「耐震基準」を満たすことが最低条件です。しかし、耐震基準は人命を守ることを目的とした基準です。災害後も生活を継続するためには、「耐震等級」にも注目すべきでしょう。

耐震等級は等級1～3まであり、等級1は現行の建築基準法の耐震基準相当、等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強度を有していることになります。レジリエンス住宅においては、最も耐震性能が高い「耐震等級3」が望ましいといえるでしょう。

・「耐震性」に関する記事はこちら 旧耐震と新耐震の違いは？地震発生時のリスクも解説 耐震等級は1・2・3でどれくらい違う？メリットや調べ方を紹介

断熱性

断熱性の高い住まいは、エネルギー消費量を抑えられるだけでなく、災害時にも役立ちます。停電でエアコンを使えない状況下でも、外気温の影響を受けにくいので、室温を一定に保ちやすくなります。

断熱性の高さは「断熱等性能等級」が指標となっており、現在、新築住宅は等級4以上が義務づけられています。2030年には最低基準が等級5に引き上げられる見込みで、レジリエンス住宅においては、等級6、または等級7を取得することが望ましいでしょう。

・「断熱性」に関する記事はこちら 断熱等級とは？ 省エネ基準と新設された等級5・6・7は何が違う？ 2025年4月省エネ基準適合義務化スタート！4号特例縮小の影響は？

発電・蓄電設備

被災後に生活を継続する上で欠かせないのが「電気」です。最低限の家電を使うためにも電力は欠かせません。

これからはエネルギーを消費するだけでなく、自らエネルギーを創り出す「創エネ」の仕組みを住まいに取り入れることが重要です。太陽光発電と蓄電池を備えれば、生活に必要な電力をある程度賄うことが可能になります。

・「太陽光発電」の物件一覧はこちら ・「太陽光発電」に関する記事はこちら 太陽光パネルが義務化される？設置するメリットや注意点、コストについて解説 ソーラーパネルとは？導入コストやランニングコスト、メリット・デメリットを解説

防犯性

レジリエンス住宅には、平時も家族が安心して生活するための防犯性を備えることも大切です。

不審者の侵入を防ぐ防犯ガラスや人感センサー付きの照明、防犯カメラなどを導入し、住まいの安全性を高めることが求められます。

・「防犯性」に関する記事はこちら プロに聞いた！防犯を考慮した家選びのコツ～空き巣や強盗対策～

リフォームで住まいの「防災力」を高めることも可能

レジリエンス住宅は新築住宅に限りません。既存の中古住宅であっても、リフォームによって住まいの「防災力」を上げることは可能です。

貯水設備

ライフラインで最も重要といえるのが「水」です。断水に備え、生活用水を確保できる設備を検討しておくと安心です。

「エコキュート」は、空気中の熱を利用してお湯を沸かす設備ですが、貯湯することができます。飲用にはできませんが、生活用水として断水時に活用が可能です。

他にも、家庭に設置できる貯水設備としては「雨水タンク」や「小型非常用貯水槽」などがあります。

・「エコキュート」を含む物件一覧はこちら ・「エコキュート」に関する記事はこちら 電気温水器とは？エコキュートとガス給湯器との違いを解説

太陽光発電や蓄電池の導入

太陽光発電や蓄電池を導入すると、昼間は太陽光で発電し、余剰電力は蓄電池に蓄えることができます。

このような自家発電システムがあることで、自宅の「防災力」は格段に上がり、災害時にも平時に近い生活を継続することが可能になります。

窓リフォーム

住宅の中で、最も熱の出入りが大きいのが「窓」です。断熱性を上げるリフォームの中でも、窓リフォームは比較的低コスト、短期間で行うことができます。

災害で停電すれば、エアコンや電気ストーブは基本的に使えません。窓の断熱性が向上すれば、外気温の影響を受けにくくなり、冷暖房を使えない状況下でも自宅で過ごしやすくなります。

・「窓」に関する記事はこちら 窓の種類にはどんなものがある？窓の名称、ガラス・サッシの種類も解説 断熱窓はDIYできる？リフォームの種類や費用、補助金も紹介

耐震補強リフォーム

中古住宅の場合は、現行の耐震基準を満たしていない可能性もあるので、まずは耐震診断を受けることが重要です。基準に満たない場合でも、耐震補強リフォームを行えば耐震性を上げることができます。

また、家具の転倒防止金具の取り付けや滑り止め、突っ張り棒の設置など、基本的な家具の転倒対策を行うことも大切です。

収納リフォーム

防災用品や備蓄品は意外と場所をとるため、一括管理できる場所があると便利です。玄関やリビングの一角に、防災用の収納スペースがあると良いでしょう。少なくとも、一週間分の水や食料、簡易トイレなどは備蓄しておくことをおすすめします。

・「収納」に関する記事はこちら 土間収納のメリット・デメリット！設置するときに検討すべきポイントも解説 押入れ収納はスペースの有効活用が重要！スッキリさせるコツや場所別の使い方を解説

まとめ

レジリエンス住宅とは、災害時にも速やかに回復し、生活を継続するための性能を備えた住まいです。災害を耐え抜く「強靭性」や「回復力」、平時に近い環境を維持できる「快適性」が求められます。

レジリエンス住宅は新築に限らず、中古住宅の「防災力」を上げることでも実現可能です。住まいに合わせた対策を講じ、災害に負けない暮らしを目指しましょう。

不動産購入なら東急リバブル

14日以内に登録された最新物件をご紹介！
マンション・一戸建て・土地の購入をご検討なら東急リバブルにご相談ください。

新着物件検索はこちら