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家の売却に税金はかかる?控除特例や計算方法を解説!

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 家の売却でかかる税金は印紙税・消費税・登録免許税・譲渡所得税の4種類
  • 3,000万円特別控除や相続空き家の3,000万円特別控除などを適用すると譲渡所得税の税額を抑えることが可能
  • 不動産の売却によって譲渡所得が生じたときは、特例によって税額がゼロになる場合でも、売却した年の翌年に確定申告が必要

家の売却時には、印紙税や登録免許税などさまざまな税金が課税されます。なかでも、売却益にかかる「譲渡所得税」は高額になる場合があります。

一方、マイホームや相続した家を売却したときは、一定の要件を満たすと控除特例を適用して譲渡所得税を抑えることも可能です。

この記事では、家の売却でかかる税金の種類、譲渡所得の計算方法、控除特例などを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【早見表あり】家の売却にかかる税金は4種類

家の売却でかかる税金は、主に印紙税・消費税・登録免許税・譲渡所得税の4種類です。まずは、以下の表で各税金が誰に・いつ・いくらかかるのかを確認しましょう。

印紙税消費税登録免許税譲渡所得税
誰にかかるか不動産売買契約書を作成・保有する売主や買主仲介手数料や司法書士報酬などを支払う売主。事業用建物を売却する課税事業者一般的に抵当権抹消登記をする売主不動産の売却によって課税譲渡所得が生じた個人の売主
いつ払うか原則として売買契約書の作成時仲介手数料や司法書士報酬は各費用の支払時、建物の売却にかかる消費税は申告期限までに納付登記申請時または司法書士に依頼するとき売却した翌年の確定申告時
いくらかの目安契約金額に応じて数千円〜数万円程度建物の税抜価格や仲介手数料、司法書士報酬などの10%不動産1個につき1,000円課税譲渡所得の20.315%または39.63%

以下では、各税金の内容を解説します。

印紙税

印紙税は、書面の不動産売買契約書を作成した場合に課せられる税金です。電子契約のみで締結する場合、印紙税はかかりません。

税額は契約金額に応じて決まり、家が高く売れるほど印紙税も高額になります。不動産を売買する際の印紙税は以下の通りです。2027年3月31日までに作成される契約書は、軽減税率の対象です。なお、電子契約では紙の契約書を作成しないため、印紙税はかかりません。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円
引用:国税庁

たとえば、2024年8月31日に実家を5,000万円で売却する契約をしたときは、売買契約書に1万円の印紙を貼る必要があります。

消費税

個人がマイホームを売却する場合、売却代金そのものに消費税はかかりません。消費税が課されるのは、主に以下のサービスに対する費用です。

  • 仲介手数料
  • 住宅ローンの完済手数料
  • 司法書士報酬

仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料です。売却価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額です。
※売買価格800万円以下の低廉な空き家の上限額は33万円(税込)

家を売却する際に住宅ローンを完済する場合は、金融機関に消費税を含めて完済手数料を支払います。金額は、金融機関や契約内容、手続き方法などで異なります。無料の場合もあれば、3〜5万円程度かかることもあるため、売却の際は借入先の手数料を確認しましょう。

住宅ローンを完済した場合は、抵当権の抹消登記も必要です。抵当権抹消登記を司法書士に委託した際に支払う報酬は消費税が課されます。報酬額は司法書士事務所や手続きの難易度などで異なりますが、1万〜2万円程度が目安です。

登録免許税

売主側で主に発生するのは、住宅ローンを完済した際の抵当権抹消登記にともなう登録免許税です。

税額は不動産1件につき1,000円です。たとえば、土地と建物がそれぞれ1つずつ登記されている家を売却した場合、計2,000円の登録免許税がかかります。

譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税)

譲渡所得税は、家を売却したときに利益(譲渡所得)が生じた場合に課される税金です。内訳は、所得税・住民税・復興特別所得税の3種類です。

復興特別所得税の課税期間は、2026年度税制改正により2047年まで延長されました。2027年分から復興特別所得税率は2.1%から1.1%へ引き下げられます。あわせて、防衛特別所得税が1%の税率で課されます。

売却時にかかる税金のなかでも特に税額が高くなりやすく、数十万円から数百万円、あるいは1,000万円以上かかることもあります。計算方法や税率の詳細は、次章で詳しく解説します。

譲渡所得は「家を買った金額−売った金額」ではない

譲渡所得は売却益を指すものですが、単純に「売った金額」から「買った金額」を引いた差額ではありません。

購入と売却それぞれのタイミングで支払った税金や手数料と、経年劣化によって減少したと考えられる建物部分の価値も考慮して、譲渡所得を算出する必要があります。

以下では、譲渡所得の計算方法と税率を解説します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は、以下の計算式と各項目の定義に基づいて算出します。

  • 譲渡所得 = 総収入金額 − (取得費 + 譲渡費用)

計算式に登場する3項目の内容は、以下の通りです。

項目内容・定義
総収入金額家の売却によって得た金額。売却金額の他、固定資産税・都市計画税の精算金として受領した金額を含む
取得費購入代金や購入時の仲介手数料・印紙税など、家の取得にかかった費用から建物の減価償却費を控除した金額
譲渡費用売却時の仲介手数料・印紙税、解体費、立退料など、家を売るために直接かかった費用

取得費の計算式は、以下の通りです。

  • 取得費=購入代金+購入時の諸費用−建物の減価償却費

減価償却とは、経年によって価値が減っていく資産を複数年に分けて経費計上する会計上の手続きのことです。不動産のうち、土地は減価償却の対象ではありませんが、建物部分は対象となります。

自宅など、非業務用建物の償却費相当額の計算式は以下の通りです。

  • 償却費相当額=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数

経過年数の1年未満の端数は、6か月以上を1年とし、6か月未満を切り捨てます。住宅用建物の定額法償却率は、次の通りです。

構造非業務用業務用
耐用年数償却率耐用年数償却率
木造33年0.03122年0.046
鉄骨造4mm超51年0.02034年0.030
3mm超4mm以下40年0.02527年0.038
3mm以下28年0.03619年0.053
鉄筋コンクリート造70年0.01547年0.022

購入当時の売買契約書がないなど、家の取得額が不明な場合や証明できない場合は、売却価格の5%を概算取得費として譲渡所得を計算することも可能です。

・「譲渡所得の計算方法」に関する記事はこちら
譲渡所得の確定申告はいくらからするべき? 計算方法も詳しく解説

税率は家を所有していた期間によって異なる

譲渡所得税の税率は、所有期間が5年を超えているかどうかで異なります。詳細は以下の通りです。

区分所得税住民税復興特別所得税合計
5年以下(短期譲渡所得)30%9%0.63%39.63%
5年超(長期譲渡所得)15%5%0.315%20.315%
※表は2026年分までの内訳です。2027年分から復興特別所得税は短期0.33%、長期0.165%となります。防衛特別所得税は短期0.3%、長期0.15%です。合計税率は変わりません。

所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。取得日から売却日までの実際の期間で判定するのではない点に注意しましょう。

たとえば、2021年10月に取得した家を2026年11月に売却した場合、暦の上での経過期間は5年を超えています。しかし、2026年1月1日時点の所有期間は約4年3か月と5年以下のため、短期譲渡所得として約40%の税率で譲渡所得税が計算されます。

・「短期譲渡所得・長期譲渡所得」に関する記事はこちら
短期譲渡所得・長期譲渡所得の基礎知識!不動産売却で気をつけるべき点も

自宅・相続した家の売却で利用できる控除特例

家の売却で譲渡所得が生じた場合は、控除特例を適用することで売却時の譲渡所得税の負担を軽減できます。主な控除特例は以下の通りです。

  • 自宅の売却:3,000万円特別控除・10年超所有の軽減税率・買い換え特例
  • 相続した家の売却:相続空き家の3,000万円特別控除・取得費加算の特例

上記の特例を適用するためには、一定の要件を満たした上で、売却の翌年に確定申告が必要です。

自宅の売却

自宅を売却した売主が適用できる特例には以下のようなものがあります。

  • 3,000万円特別控除:所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例
  • 軽減税率の特例:課税譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が、所得税・復興特別所得税10.21%+住民税4%の合計14.21%に軽減される特例
  • 買い換え特例:譲渡所得への課税を買い換え先の家を売却するときまで繰り延べられる特例

3,000万円特別控除を適用できる場合、譲渡所得が3,000万円以下であれば譲渡所得税がかかりません。適用するためには、自身が住んでいた家であること、配偶者や親族などへの売却でないことなどの要件を満たす必要があります。

軽減税率の特例は、売却した年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合に適用できます。3,000万円の特別控除と併用することも可能です。

買い換え特例を適用すると、売却した年にまとまった税負担が生じないため、資金を買い換え先の購入に充てやすくなります。ただし、税金がなくなる制度ではなく課税を将来へ繰り延べる制度である点と、他の2種類の特例と併用できない点には注意しましょう。

・国税庁「マイホームを売ったときの特例
・国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例
・国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例

相続した実家の売却

相続した家を売却した相続人ができる主な特例は以下の通りです。

  • 相続空き家の3,000万円特別控除:被相続人(亡くなった人)が1人で住んでいた空き家を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例
  • 取得費加算の特例:相続した土地や建物を一定期間内に譲渡した場合に、すでに納めている相続税の一部を取得費に加算できる特例

相続空き家の3,000万円特別控除の主な要件は、1981年5月31日以前に建築された一戸建ての家屋(区分所有建物であるマンション等は対象外)であること、一定の耐震基準を満たすか取り壊して売却することなどです。亡くなった人が老人ホームに入居していた場合でも、一定の要件を満たせば適用できます。ただし、マンションなど区分所有物件は対象外です。

取得費加算の特例を適用すると、取得費が増える分だけ譲渡所得が下がるため、譲渡所得税を抑える効果が期待できます。なお、上記2つの特例は同じ家の売却については併用できません。

・「相続空き家の3,000万円特別控除」に関する記事はこちら
相続空き家に係る居住用財産の3,000万円特別控除の適用要件と取扱について

・国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
・国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

住んでいない家は税金が高くなる⁈空き家になってから「3年以内」を目安に売却すべき理由

マイホームや相続した実家の売却で譲渡所得が発生したとしても、控除特例によって税額を抑えたり、ゼロにしたりすることができます。しかし、各特例には適用期限があります。適用期限は特例ごとに定められていますが、いずれも自宅に住まなくなったり、相続したりしてから「3年」程度です。

たとえば、2026年11月まで住んでいた自宅の売却で3,000万円特別控除を適用させるには、3年後の年末、つまり2029年12月31日までに売却する必要があります。

家の売却には一定の期間がかかるため、住まなくなってから3年後の2029年11月に売却活動を始めたとしても、売れるころには適用期日を過ぎてしまっているおそれもあります。

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譲渡損失を損益通算・繰越控除できるケース

譲渡所得がマイナスになることを「譲渡損失」といいます。譲渡損失に対して譲渡所得税が課されることはありません。しかし、譲渡損失を給与などその他の所得と損益通算および繰越控除できる特例を適用することで、所得税を抑えられる可能性があります。

損益通算とは、家の売却で出た損失と給与などその他の所得を相殺することです。所得が減る分、税額を抑えられます。また、損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、売却翌年以後3年間にわたって繰り越して各年の所得から控除することが可能です。

ただし、譲渡損失を損益通算・繰越控除できるのは、以下2つのケースに限られます。

  • マイホームを買い換えたとき
  • 住宅ローン残高を下回る金額でマイホームを売却したとき

・国税庁「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
・国税庁「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき

【シミュレーション】家の売却で1,000万円高く売れたときの税金はいくら?

続いて、家が購入時より1,000万円高く売れたときの譲渡所得税を計算してみましょう。

今回は、取得費が判明している場合と、取得費が不明で概算取得費(売却価格の5%)を用いる場合の2パターンを試算します。

シミュレーション条件は、以下の通りです。

  • 売却した家:10年間所有し、住んだ木造一戸建て
  • 売却時期:住まなくなってからすぐ
  • 購入時の金額:3,500万円(土地2,000万円・建物1,500万円)
  • 購入にかかった費用:200万円
  • 売却時の金額:4,500万円
  • 売却にかかった費用:150万円

譲渡所得を計算

最初に、取得費を算出するための減価償却費を計算します。売却する家は、木造の居住用の一戸建てのため、償却率は「0.031」です。

  • 減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数
    =建物の取得価額1,500万円×0.9×償却率0.031×経過年数10年
    =418.5万円

減価償却費は「418.5万円」と計算できました。続いて、取得費を計算します。取得費は、購入金額に購入にかかった費用を足し、減価償却費を引いたものです。

  • 取得費=購入代金+購入時の諸費用−建物の減価償却費
    =購入代金3,500万円+購入時の諸費用200万円−減価償却費418.5万円
    =3,281.5万円

取得費は「3,281.5万円」と算出できました。

続いて、譲渡所得を計算します。譲渡所得の計算式と結果は以下の通りです。

  • 譲渡所得=総収入金額−(取得費+譲渡費用)
    =総収入金額4,500万円-(取得費3,281.5万円+譲渡費用150万円)
    =1,068.5万円

売却した家の譲渡所得は「1,068.5万円」と計算できました。

一方、取得費が不明で概算取得費を使う場合は、売却代金4,500万円×5%=225万円が取得費となるため、譲渡所得についても以下の通りに変化します。

  • 譲渡所得=総収入金額4,500万円-(概算取得費225万円+譲渡費用150万円)
    =4,125万円

取得費が判明している場合の譲渡所得は1,068.5万円ですが、概算取得費を使う場合は4,125万円となり、3,056.5万円の差が生じます。

3,000万円特別控除を適用した場合

取得費が判明している場合、譲渡所得は「1,068.5万円」と3,000万円以下のため、3,000万円特別控除を適用できると譲渡所得税はかかりません。ただし、税額がゼロになる場合でも、特例を利用するには売却した翌年に確定申告が必要です。

一方、概算取得費を使う場合の譲渡所得は「4,125万円」のため、3,000万円特別控除を適用しても、1,125万円の課税譲渡所得が生じます。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているため、この1,125万円は長期譲渡所得として20.315%の税率で譲渡所得税が計算されます。計算結果は以下の通りです。

  • 課税譲渡所得1,125万円×20.315%
    =約228.5万円

概算取得費を用いる場合、3,000万円特別控除を適用しても、200万円以上の譲渡所得税が生じる結果となりました。

控除特例が適用とならない場合の税額

控除特例が適用されない場合、取得費が判明している場合でも1,068.5万円の課税譲渡所得が発生します。税率は20.315%のため、譲渡所得税は以下の通りとなります。

  • 譲渡所得税=課税譲渡所得1,068.5万円×20.315%
    =約217.1万円

控除特例を適用できる場合と比較して手取り額は約217万円減る結果となりました。

概算取得費を使う場合は、課税譲渡所得4,125万円に対して課税されるため、税額はさらに増えます。

  • 概算取得費を用いた場合の譲渡所得税=課税譲渡所得4,125万円×20.315%
    =約838万円

取得費が判明している場合の約217.1万円と比較すると、税額は約620万円増えています。実際の取得費がわからず概算取得費を用いる場合は、譲渡所得と税額が増えやすい点には注意が必要です。

【早見表】譲渡所得税はいくら?

課税譲渡所得の額と所有期間に応じた税額の目安を、早見表にまとめました。表の金額は、3,000万円特別控除などの特別控除を適用した後の課税譲渡所得を前提としています。

ご自身の売却益に近い項目をチェックして、資金計画の確認にお役立てください。

所有期間5年以下の場合

売却した年の1月1日時点での所有期間が5年以下の場合、2026年分までの税率は所得税が30%・住民税が9%・復興特別所得税が0.63%です。

課税譲渡所得ごとの税額は次の通りです。

課税譲渡所得所得税(30%)住民税(9%)復興特別所得税(0.63%)納税額合計
500万円150万円45万円3万1,500円198万1,500円
1,000万円300万円90万円6万3,000円396万3,000円
1,500万円450万円135万円9万4,500円594万4,500円
2,000万円600万円180万円12万6,000円792万6,000円
2,500万円750万円225万円15万7,500円990万7,500円
3,000万円900万円270万円18万9,000円1,188万9,000円
3,500万円1,050万円315万円22万500円1,387万3,500円
4,000万円1,200万円360万円25万2,000円1,585万2,000円

所有期間5年超の場合

1月1日時点の所有期間が5年を超えている場合、2026年分までの税率は所得税が15%・住民税が5%・復興特別所得税が0.315%のため、課税譲渡所得ごとの税額は以下の通りとなります。

課税譲渡所得所得税(15%)住民税(5%)復興特別所得税(0.315%)納税額合計
500万円75万円25万円1万5,750円101万5,750円
1,000万円150万円50万円3万1,500円203万1,500円
1,500万円225万円75万円4万7,250円304万7,250円
2,000万円300万円100万円6万3,000円406万3,000円
2,500万円375万円125万円7万8,750円507万8,750円
3,000万円450万円150万円9万4,500円609万4,500円
3,500万円525万円175万円11万250円711万250円
4,000万円600万円200万円12万6,000円812万6,000円

【要否チェックリストあり】家の売却で譲渡所得が出た場合には確定申告を

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家の売却時に譲渡所得が生じたときや控除特例を適用する場合、確定申告が必要です。以下では、確定申告が必要なケースや申告時期、必要書類を解説します。

確定申告が必要なケース

確定申告の要否や申告が推奨されるケースは以下のとおりです。

要否等該当するケース
必要・譲渡所得が出た場合
・3,000万円特別控除などの特例を適用する場合(特例で税額が0円になるときも、適用には申告が必須)
不要・売却損が出ており、損失に関する特例も利用しない場合
推奨・売却損が出ており、一定の要件を満たせば「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」により、給与所得など他の所得と相殺して税負担を軽減できる場合

家の売却で確定申告が必要になるのは、原則として譲渡所得が生じたときです。3,000万円特別控除のような特例を適用した結果、納める税額が0円になる場合でも、特例の適用を受けるには確定申告をしなければなりません。

家の売却で損失(譲渡損失)が生じた場合は、原則として確定申告をする必要はありませんが、譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例の適用を受ける場合は必要です。

申告の時期

確定申告は、原則として家を売却した翌年の2月16日から3月15日までにします。期限が土日祝日にあたる場合は、翌平日に延長されます。

たとえば、2026年7月に家を売却した場合、申告期間は2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。確定申告の期間内に、申告書類の提出だけでなく原則として所得税と復興特別所得税の納税も済ませる必要があります。

期日までに申告と納税を済ませないと無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があるため、家の売却により譲渡所得が生じたときは期間内に手続きを済ませましょう。

確定申告に必要な書類

家を売却するときの確定申告で必要となる主な書類は以下の通りです。譲渡所得の内訳書(売却した不動産の情報や譲渡所得を記載する明細書)は、税務署から送付されるか国税庁のホームページで入手できます。

書類の内訳
申告書類・確定申告書第一表・二表
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
売却時の書類・家を売却したときの売買契約書
・仲介手数料や売主が負担した印紙税など譲渡費用が確認できる領収書
購入時の書類・家を購入したときの売買契約書・建築請負契約書
・購入時の仲介手数料や登記費用などが確認できる領収書
本人確認書類以下A.Bのいずれか
A.マイナンバーカードの表面と裏面のコピー
B.番号確認書類(通知カードなど)+身元確認書類(運転免許証など)
※e-Taxでは写しの添付は不要
その他給与所得者の場合は源泉徴収票

居住用財産を売却したときの控除特例を受ける場合は、上記の他にも登記事項証明書や戸籍の附票の写しなどの添付が必要になることがあります。

申告書類は、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で作成するのがおすすめです。画面の案内に従って項目を入力していくのみで申告書類を作成でき、譲渡所得や税額は自動で計算されます。

申告書類の提出方法

申告書類の準備ができたら、申告者は所轄の税務署に以下の3通りのいずれかの方法で提出します。

  • 窓口に持参する、または時間外収受箱へ投函する
  • 郵送する
  • e-Taxで電子申告をする

e-Taxは、申告書類の電子データをインターネット経由で送信するため、税務署への持参や郵送は不要です。

売却前から翌年の確定申告までの税金スケジュールは?

家を売却するときの税金は納めるタイミングが異なります。いつ・何を払うのかを理解すると、家を売却するときの資金計画を立てやすくなるでしょう。各税金を支払うタイミングは、次の通りです。

  • 売買契約時:書面の売買契約書を作成する場合は「印紙税」を納付
  • 家の引渡し時:住宅ローンの抵当権が残っている場合は、抵当権抹消登記の申請時に「登録免許税」を納付
  • 売却した翌年の2〜3月:確定申告とあわせて「所得税・復興特別所得税」を納付
  • 申告した年の6月ごろ:「住民税」を納付

所得税と復興特別所得税は確定申告の期間内に納めますが、住民税については売却した翌年の6月以降に納めます。住民税の納付方法は、給与などから天引きされる「特別徴収」と、納税通知書をもとに自身で納める「普通徴収」の2種類です。譲渡所得の確定申告をする際に選択します。

会社員や公務員などの給与所得者が特別徴収を選択すると、給与所得分と譲渡所得分を合算した住民税額が、6月から翌年5月まで毎月の給与から差し引かれます。

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まとめ

家の売却でかかる税金は印紙税・消費税・登録免許税・譲渡所得税の4種類です。このうち譲渡所得税は、控除特例を適用できると税負担を軽減できます。

しかし、どのような家を売却する場合でも、控除特例が適用になるわけではありません。売却のタイミングによって適用とならない場合もあります。各特例の適用要件を事前に確認したうえで、売却の時期や方法を検討しましょう。

この記事のポイント

家の売却にはどのような税金がかかりますか?

印紙税・消費税・登録免許税・譲渡所得税の4種類です。なかでも高額になりやすいのは、売却益(譲渡所得)が出た場合に課される譲渡所得税で、課税譲渡所得に対して20.315%または39.63%の税率がかかります。

詳しくは「【早見表あり】家の売却にかかる税金は4種類」をご覧ください。

譲渡所得はどのように計算しますか?

「売った金額−買った金額」ではなく、総収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。取得費は購入代金に購入時の諸費用を加え、建物の減価償却費を差し引いた金額です。購入額が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費とすることもできます。

詳しくは「譲渡所得は『家を買った金額−売った金額』ではない」をご覧ください。

家の売却にかかる税金を抑えられる特例はありますか?

自宅の売却では3,000万円特別控除や10年超所有の軽減税率の特例、買い換え特例、相続した家の売却では相続空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例を適用できる可能性があります。いずれも適用には要件を満たしたうえでの確定申告が必要です。

詳しくは「自宅・相続した家の売却で利用できる控除特例」をご覧ください。

家を売却したら必ず確定申告が必要ですか?

確定申告が必要なのは、譲渡所得が出た場合と控除特例を適用する場合です。特例で税額が0円になるときも申告は必須です。売却損が出た場合は原則不要ですが、損益通算・繰越控除の特例を使うなら申告が必要です。

詳しくは「【要否チェックリストあり】家の売却で譲渡所得が出た場合には確定申告を」をご覧ください。

家の売却にかかる税金はいつ払いますか?

印紙税は売買契約時、登録免許税は引渡し時の抵当権抹消登記の際に納めます。所得税・復興特別所得税は売却した翌年の確定申告時、住民税は申告した年の6月以降の納付です。

詳しくは「売却前から翌年の確定申告までの税金スケジュールは?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

品木 彰

家の売却を考え始めたら、まず購入時の売買契約書や領収書をよく探すことをおすすめします。書類が見当たらず取得費を証明できない場合、売却額の5%で概算取得費を計算することで、税額が大きく増える場合があるためです。

また、要件を満たしていないにもかかわらず特例を適用すると、本来より税額を少なく申告してしまい、加算税や延滞税の対象となる可能性があります。譲渡所得に関する確定申告の書類を作成する際は、必要に応じて税理士や最寄りの税務署などに相談のうえ、控除特例の適用要件に該当しているかどうかもよく確認しておきましょう。

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