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家を高く売るためのコツ、注意点、事前準備やこんな場合はどうする?まで完全網羅!

ざっくり要約!

  • 家を売るためには、全体の流れや仕組み、費用について理解しましょう。
  • 日頃のメンテナンスを心がけ、広いネットワーク、販売活動の見える不動産会社に依頼しましょう。
  • 内覧の際は、整理・清掃はもちろんのこと、事前にご家族で話し合い、物件の魅力をしっかりとアピールしましょう。

大切に過ごしてきた思い出がつまった家を売却することになった場合、できるだけ高く売りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。この記事では、家を売るために最初にすべき事前準備、方法、売れやすいタイミング、必要なお金・書類、注意点、高く売るコツ、などについて見ていきたいと思います。家を高く売るために知っておきたい情報の完全版として、ぜひ参考になさってください。

記事サマリー

家を売るために最初にすべき事前準備

「転勤になったので、家を売って住替えたい」、「子どもたちが独立したので、コンパクトなマンションに住替えたい」など、家を売るという理由は人それぞれです。しかし、初めてという方が多く、何から手を付けていいのか分からない・・・というのが本音ではないでしょうか。

事前準備としてまず行っていただきたいのが、家を売却する目的をご家族で話し合うということ。中には売却する決心がついていない家族もいるかもしれません。家への思い入れは人それぞれという視点をもって話し合い、全員が納得する形で進めましょう。意思が固まったら、いつまでに売却したいのか、住替え先は同じタイミングで探すのか、なども決めておきます。ここを明確にしてから不動産会社に依頼しないと、販売期間などに影響がでる可能性があるので注意が必要です。

「どのくらいの価格で売却できるのか」というのも気になるポイントかと思いますが、まずは不動産のポータルサイトなどを使って同じような条件で検索をしてみましょう。この検索結果によって、現在どのくらいの価格で販売されているのかが確認できるので、おおよその相場が把握可能となります。

家を売却するメリットは、譲渡益がある場合は、特別控除などの特例、譲渡損失がある場合は、損益通算や繰越控除ができる特例があるという点。留意点としては、購入希望者が実際の家を見学(内見)しにくるので、その対応をしなくてはならないこと、引き渡しの時点で住替え先が決まっていないと、仮住まいを用意する必要があること、住替え先の住宅ローンの支払いが始まっても売却できない場合、売却する家の住宅ローンが残っているのであれば、ダブルローンになってしまうことなどがあげられます。

家を売る方法は?

一般的な売却としては仲介という方法があります。不動産会社への問い合わせから始まり、査定を経て、売却を依頼することを決めたら不動産会社と媒介契約を締結します。締結後は、家の売却につながるように、新聞の折込チラシやインターネットなどで広く売却活動を行い、購入希望者を募ります。反響が入ったら、購入希望者が内見として家を見学。何回かの内見を通じて条件が合致したら、いよいよ売買契約です。以降は、引き渡し日までに借入金の返済、抵当権の抹消手続きなどを行います。残代金を受取り、登記を申請したら、所有権移転登記に必要な書類と鍵を買主様に引き渡し、仲介手数料などの諸費用を支払ったら完了です。

このように様々なステップを踏む仲介では、残代金の受取りまでに約2~6カ月程度かかると考えておきましょう。仲介は、売却まで時間的に余裕がある方なら問題ありませんが、「すぐにでも売却して現金化したい」という方の場合は、必要なお金が期限までに用意できずに困ってしまうことにもなり兼ねません。ここで、「家はすぐには売却できないのか・・・」と諦めてしまうのではなく、買取という方法があるということをお伝えしたいと思います。買取は、販売活動を通じて購入希望者を募るのではなく、不動産会社が買主となる方法のこと。内見は不動産会社の担当者が1回するだけで済み、急に現金が必要になった場合でも安心と言えるでしょう。但し、担保が付いている物件は、抵当権抹消の手続きを行ってからでないと売却できません。いくら早めに現金化したいとなっても、担保がついている場合は、抹消の手続きだけでも2週間程度はかかるという点は覚えておきましょう。

確実に売却できるのであれば、なぜ買取りではなく仲介を選択する人がいるのか? と疑問に思う方もいらっしゃるかもしません。買取りで認識しておきたいのは、査定価格が仲介で提示される価格よりも一般的には若干低めに設定されるということ。仲介は、売却できないと販売活動中に価格の見直しをする場合も多いのですが、高く売却できる可能性もあるので、少しでも高く売りたい! という条件をお持ちの場合は仲介の方が適していると言えます。

住宅ローンが残っており、売却して他の資産を補てんしても完済できない場合は、任意売却という方法をとります。これは、債権者の同意を得て、差し押さえ解除や抵当権抹消をしてもらう任意の売却方法です。

これまでは、不動産会社が入って家を売却する方法をお伝えしてきましたが、不動産の個人売買はできないのか? と感じる方もいるかもしれません。結論からお伝えすると、不動産の個人売買は可能ですが、下記のようなリスクがある点は認識しておきましょう。

●取引におけるトラブルは、自分で解決する必要がある
●基本的に、契約書の作成や重要事項説明書の作成・交付義務などが個人にはないため、法律で守られていない


個人間の取引は、手続きに縛られていない分、権利関係が曖昧になってしまうこともあります。自分の代はいいかもしれませんが、子や孫の代になって、契約書などの記録が残っていない物件の権利関係を探るのは困難なことです。

個人間の不動産取引に法的な制限はありませんが、リスクを伴うことは間違いありません。不動産の取引を熟知している不動産会社に依頼するのが無難と言えるでしょう。

家が売れやすいタイミングとは?

レインズデータライブラリー マーケットデータ(公益財団法人 東日本不動産流通機構)によると、3月の成約件数が他の月に比べて若干ですが多くなっています。このことから、4月の新年度を迎える前に、家を購入して引っ越しを終わらせたいという層が多いことが伺えます。よく不動産会社の繁忙期は1~3月と言われていますが、そのことが実証されている結果とも言えるでしょう。

購入のタイミングで多いのがお子さまの成長です。入園、入学、新学期に間に合うように引っ越しをして、新しい生活を迎えるという方が多いのではないかと推測されます。

このことから考察すると、3月は家が売れやすいタイミングと言えます。この時期に向けて販売活動を進めていくことが賢明と考えられるでしょう。

2023年上半期の成約数の傾向として見られるのは、前年実績を下回っている状況が続いているという点です。一方成約価格については1~3月は首都圏全体で上昇、4~6月では、東京都区郡以外は上昇しているという状況です。

出典:レインズデータライブラリー マーケットデータ(公益財団法人 東日本不動産流通機構)

家を売る基本的な流れ

家を売る場合、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、ステップ別に解説していきます。依頼する不動産会社が決まったところから見ていきましょう。

STEP1 売却の相談

まずは不動産会社に訪問することになりますが、訪問前に準備しておきたいのは、“売りたい事情や希望条件を明確にしておく”ということです。

例えば、

●住替え先が決まっていて、1カ月後の◯月◯日までに支払いを済ませなければならない

●相続した実家を売却して兄弟で分けたいのだが、次男が早急に現金化したいと言っている

●空き家になっている実家を売却したい。売却時期にこだわりはないけれど、できるだけ高く売却したい


など、理由や優先したい事柄が具体的に分かるようにしておきます。こういった点を不動産会社に伝えることによって、希望にあった売却方法や希望の売却時期などを売主様と同じ目線になって提案してもらえます。これらを曖昧に伝えてしまうと、不動産会社も売主様の希望がはっきり分からないので、的確な判断ができません。初対面の人に包み隠さず話しをするというのは躊躇してしまうかもしれませんが、スムーズな売却のためにもしっかりと伝えるようにしましょう。

STEP2 売却不動産の調査・調査および販売方法のご提案

不動産会社の担当者が実際に家を調査・査定します。相談時に伝えていなかったことがあれば、この時点で伝えるようにしましょう。また、買主様が知っておくべき告知事項は包み隠さず伝えることが大切です。あとから査定価格に関わるような不備や説明不足だった部分が発覚すると、進行に大きく影響を与えてしまうことになってしまう可能性があります。

STEP3 媒介契約の締結

不動産会社へ依頼することを決めたら、媒介契約を締結します。なお、媒介契約には3つの種類があります。それぞれ契約内容が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

 複数不動産会社との
契約
売主自身が発見した相手との
取引
レインズへの
登録義務 
売主への
報告義務
専属専任媒介契約  × ×5営業日以内1回以上/1週間
専任媒介契約 × 〇7営業日以内1回以上/2週間
一般媒介契約 〇 〇義務なし義務なし

STEP4 不動産の各種販売活動

媒介契約を締結したら、販売活動に移ります。販売活動を通して広く購入希望者を募ることになります。方法としては、不動産のポータルサイトや不動産会社のウェブサイトなどに物件情報を掲載する、新聞に折込みチラシを入れる、物件を開放してオープンルームを開催するなどがあります。

これらの販売活動を通して内見希望者が現れたら、いよいよ内見対応です。家の中をじっくり見学してもらい、アピールポイントなどを伝えるようにしましょう。

STEP5 売買契約

売却条件の確認ができたら、売買契約を締結します。今一度不明点や心配なことについてはしっかりと確認し、納得した上で署名・捺印するようにしましょう。売主様が用意するものとしては、登記済証または登記識別情報、実印、印鑑証明書、固定資産税納付書、印紙代、本人確認書類などがあります。

STEP6 残置物撤去や引っ越し、抵当権抹消における事前準備等

物件内の残置物を整理し、不要なものは適切に処分します。さらに引っ越しの手続きと荷物の準備を整え、抵当権抹消に必要な書類や証明書を用意します。

STEP7 残金決済・引き渡し

残金の受け取りは、振り込み、小切手、現金から選択できますが抵当権の抹消をする口座に入金されるのが一般的です。所有権移転手続きが正式に完了し、買主から残金を受け取ったら、不動産登記の変更手続きを行います。この手続きには、登記官への書類提出や印鑑証明書の提供が含まれます。そして、手続きが確定したら残金を受け取り、最終的に鍵を渡して引渡しが完了となります。

家を売る際に必要になるお金

売却時にかかる主な諸費用や税金は、次のようなものです。

仲介手数料

売却には、広く販売活動をして購入希望者を募る仲介と、不動産会社が買主となる買取という方法があります。仲介手数料がかかるのは仲介で、買取の場合はかかりません。宅地建物取引業法により、仲介手数料の上限は売却価格×3%+6万円+消費税と定められています。

抵当権等の抹消費用・司法書士報酬

売却する家に住宅ローンなどの抵当権等がある場合は抹消手続きが必要となり、登録免許税がかかります。手続きを司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要となります。また、住所や氏名の変更がある場合には、変更手続きに伴う費用も発生することがあります。

引っ越し費用

今まで住んでいたご自宅を売却する場合、引っ越しのことも考えておかなければなりません。何社かに見積りをとるようにし、金額だけでなくサービス内容も比較するようにしましょう。また、不動産会社によっては引っ越し会社を紹介してくれるので、売却の相談と一緒に確認してみるのもいいでしょう。

不要品の処分費用(残置物撤去費用)

一戸建てを売却して引っ越す際は、廃棄処理量が多くなる傾向があります。大量であれば撤去業者に一括して依頼するという選択肢もありますが、その分残置物撤去費用がかかるという点は把握しておくようにしましょう。

解体費用

土地付きの一戸建てとして売却しようと考えていても、建物が古くてなかなか売却できないケースなどがあります。その場合は、取引条件により、解体費用を売主様が負担することがあるというのは認識しておきましょう。

エアコンを次の所有者に譲ろうと考えている方が多いのですが、古いものだとランニングコストが高くつくということで買主様はあまり欲しがりません。また、“まだ使えるから”と、長く使っていた家具などをリサイクルショップに出して引っ越し費用に・・・と思っていても、使い古したものはほぼ売れないと考えておきましょう。

測量費用

隣地との境界線や正確な土地面積を把握するために測量が必要であり、この際には測量費用が発生します。なお、測量費用は確定測量と仮測量の差額によっても影響を受け、また、隣地の数が多ければ多いほど、費用が増加することがあります。

登録免許税 ※建物、土地それぞれにかかります

登録免許税とは、所有権移転登記、抵当権抹消登記、住所変更登記といった登記をする際に発生する税金を総称したものです。所有権移転登記にかかる税金は買主様、抵当権抹消登記と住所変更登記にかかる税金は売主様が負担します。登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士に対して報酬が発生するという点は覚えておきましょう。

印紙税

売買契約書に貼付する印紙代のことです。印紙税は不動産の価格に応じて異なります。なお、租税特別措置法により、不動産の譲渡に関する契約書に添付する印紙税の税率は軽減されています。ただし、この軽減税率には期限が設定されており、期限が切れると通常の税率が適用されます。

契約金額本則税率   軽減税率  
10万円を超え 50万円以下のもの400円200円
50万円を超え 100万円以下のもの1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円  6万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円  16万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円  32万円
50億円を超えるもの60万円  48万円

譲渡所得税

購入時より高く売却できた場合にかかる税金です。所得税、住民税、復興特別所得税(「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」の成立に際し創設。徴収は2037年12月31日まで)に分かれており、税率は一戸建ての所有期間によって変わります。また、所得税、住民税は支払う時期が異なります。

譲渡所得税は、売却金額から売却する家の購入価格や購入時にかかった費用、売却時にかかった費用等を差し引いた金額に税率を乗じて算出します。税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年超か5年以下かによって異なります。売却した家が居住用財産であるなど、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除の特例が受けられますが、原則、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告の手続きをする必要があるので注意しましょう。

<所有期間による税率の違い>

●所有期間5年超の税率→所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%

●所有期間5年以下の税率→所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=39.63%

ちなみに、相続したばかりの不動産を売却する時に疑問に感じてしまいがちなのが、所有期間。相続したばかりなので5年以下に該当する、と思いがちですが、被相続人の所有期間を引き継ぐことになっています。

認識違いで後々慌てないように、税制や諸条件については事前に不動産会社や専門家に確認しておくといいでしょう。

家を売る際の必要書類

物件によって必要になってくる書類が異なりますが、一般的なのは下記のような書類です。いざというときに慌てないよう、事前に不動産会社に確認しておくことをお勧めします。

●土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報
いずれも土地や家の所有権を証明する書類

●印鑑証明書
印鑑を公的に認める書類

●固定資産税・都市計画税納税通知書
税額や納付時期などを納税者に知らせる文書

●建築確認通知書・検査済証
建築確認通知書は建築前に発行される書類。検査済証は建築完了時の検査後に発行される書類

●測量図・建物図面
測量図は、土地の実測結果を製図したもの、建物図面は建物の位置や形状等を製図した書類

●本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなどの公的な身分証明書

家を売る前から売った後までの注意点

長く住んでいると、その家について何でも把握していると勘違いしている人も多いようです。しかし、地盤や構造について聞いてみると正しく把握できていないという人もいます。また、買主様が知っておきたいと思われる情報などは、プラス面もマイナス面も洗い出しておき、ある程度理解しておくようにしましょう。

売却活動中の内見対応については、気を付けておきたい点がいくつかあります。内覧希望者を迎える際には、掃除や整理整頓、空気の入れ替えをしておくこと。また、第一印象となる玄関は靴を出しっぱなしにせず、すっきりとした状態にしておくといいでしょう。内見時には、質問対して答えるのはもちろんのこと、住んでいた人だからこそ提供できる情報も自ら伝えていきます。内見を経てより具体的に購入を検討できるように情報提供しておくというのが重要です。

売った後は、引き渡しまでのスケジュールを立てて、買主様に迷惑をかけないように進めるようにしましょう。また、家を売った場合に適用される特例を受けたい場合、売却で利益が発生した場合は、確定申告が必要です。確定申告期間は原則2月16日から3月15日と決まっているので、期間内に済ませるようにしましょう。

高く売るコツは?

家をできるだけ高く売却するには、いくつかのコツがあります。ここでは、代表的な3つをご紹介します。

日ごろからメンテナンスをしておく

築年数が同じでも、日ごろからメンテンナンスをしているかどうかで、その劣化具合は大きく変わってきます。家を購入したら、「いつかは売却するかもしれない」という考えを常に持って、手入れをまめに行っていきましょう。

広いネットワークがある不動産会社に依頼する

不動産会社によっても、値段が大きく変わってくるのが不動産売買です。絶対に高く売ってくれる不動産会社があるというわけではありませんが、できるだけ多くの人に売る家の存在を知ってもらい、多くの購入希望者から買主様を決めていくというのが、高く売る可能性が上がる要素のひとつと言えます。
そのためにも、全国にネットワークがあり、取り扱い物件数が多いような会社にお願いするのがポイント。さらに、過去の実績が多い会社もノウハウや経験値の面からお勧めしたい不動産会社と言えます。

内見で物件の魅力をアピールする

内見とはいわば家のプレゼンをする機会です。ここで、しっかりアピールできるのとできないのとでは、購入希望者の反応が変わってきます。ご家族で事前に話し合っておくと、多くの意見が集められるのでその分PRできるポイントも増えるのでお勧めです。

また、プレゼンというからには、メリットだけでなくデメリットと考えられる点も伝えることが必要です。物件の魅力とデメリットをしっかり伝えることは、購入希望者が全体像を把握し、適切な判断を下すために不可欠です。この情報は不動産会社とも共有しておきましょう。

このような家を売りたいときはどうする?

家を売却したいけれど、何か気になる点がある場合は「本当に売れるのか心配」と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。ここでは、いくつかの例をあげて、対処方法について見ていきましょう。

複数の相続人がいる中で家を売却したい場合

相続発生時から10カ月以内に、相続人や相続財産の確定だけでなく、相続税の申告・納付までを済ませる必要があります。人情として“49日までは、相続だの遺産だのと騒がずに故人を偲ぶ時間にしたい”という方も多いようですが、10カ月のうち約1カ月半を何もしないで過ごしてしまっては、結果的に慌てることになり、相続人同士で納得がいかないまま手続きをすることになってしまうかもしれません。

まずやっておきたいのは、代表者を決めるということ。人の意見というのは十人十色ですが、様々な手続きに相続人全員がついてきては一向に話がまとまりません。スムーズな売却のためにも、まずは代表者を決め、その人を中心に相続人内で遺産の分配について話し合い、全員の合意を得るようにしましょう。話し合いの際は、親族同士という安心感から自我が出てしまい、なかなか総意が得られないことがあります。そういった場合は、不動産会社の担当者などが同席し、専門的な視点から説明をしてもらうと、それぞれが感情的にならずに比較的スムーズに話がまとまることが期待できます。

代表者になった方の注意点としては、総意に従い手続きを進めていくようにするということ。あくまでも全員の代表なので自己都合で総意に反する判断をするのはNG行動です。また、手続き中に全員で決めていないことを決断しなければならないシーンが出てきた場合は、皆に意見を求めて方向性を決めるというのが無難でしょう。

また、10カ月のうちに様々な手続きを済ませなければなりませんが、代表者だけでなく全員が内容を把握しておくと安心です。

●3カ月以内に行うもの

  • 死亡届の提出:7日以内に提出
  • 遺言書の有無の確認:自筆の遺言書は、家庭裁判所で検認
  • 相続人の確定:被相続人の戸籍謄本を全て集める(出生から死亡時まで)
  • 相続財産の確定:金融機関へ残高証明書の発行依頼、不動産登記簿謄本、固定資産評価書などを集める

※相続を放棄する場合は、3カ月以内に家庭裁判所で手続きを済ませる

●4カ月以内に行うもの

  • 被相続人の準確定申告:亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得税を精算

●10カ月以内に行うもの

  • 遺産の分け方を決定:遺言書があればその内容を尊重。ない場合は、話し合って遺産分割協議書を作成
  • 相続税の申告・納付:被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に申告。特例を使って相続税がかからないケースでも申告は必要。納付は税務署でも金融機関でも可。

この後、分割した不動産の名義変更や移転登記などを行い、売却の手続きに入ります。相続した家を売却するには実はここが重要なポイント。名義変更をしていない家は売ることができないので、その点は認識しておくようにしましょう。

一般的には、司法書士より届いた各種書類に相続人全員が署名、捺印をして手続きが進んでいきます。相続人が相続税の申告に必要な書類は、自身の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などです。

相続人の間でもめてしまい、期限までに分割できなかった場合は特例が使えないという決まりがあります。しかし、10カ月以内にとりあえず法定相続分で分割するとして申告・納付をし、3年以内に話しがまとまれば特例の適用が受けられますので、そういった点も覚えておくといいかもしれません。

いずれにしても、相続が発生したらすぐに代表者を決めて、専門家のアドバイスを受けながらどんどん手続きをしていくことがスムーズに進める秘訣と言えます。

長期間空き家になっている物件

家は人が住まないと、劣化が進んでしまいます。よって、長い間空き家にしていると、購入希望者が現れにくいという可能性があります。中古と分かっていても、人間の心理としてはあまりきれいではない室内や外構を見た時点で、購入意欲がなくなってしまうもの。せっかく内見まで進んでも断られてしまうケースが多いのが現実です。

こういった家は、売却できるように販売活動を始める前にリフォームをしたり、リフォーム資金が不足している場合は初めから相場よりも大幅に販売価格を下げて売り出すなど、お金の面で持ち出しが増えたり妥協したりする必要が出てきます。

さらに、条件があまりよくないために、販売期間の長期化も考えられます。長い間売れない物件を抱えていることに、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。このようなケースでは、買取を選択するというのもひとつの手です。買取は、内見が不要なだけでなく、不動産会社が最初に取り決めた値段で直接買い取ってくれるので「いつ、いくらで売れるのだろう」という心配をする必要がありません。リフォームももちろん必要ありません。

仲介よりも金額は安くなる傾向にありますが、確実に売却したい場合は、買取を検討してみるといいでしょう。

築20年以上の家

一般的に築20年以上の家は、建物の価値がゼロに近いと言われています。しかし、築20年以上の家のニーズが全くないというわけではありません。安く手に入れ、自分たちらしくリフォームやリノベーションをして住みたいという方、土地の立地に魅力を感じて、土地のみを活用するつもりで購入する方など様々です。

しかし立地などによって、築20年以上の家が建っていることで、売却期間が長期化してしまうケースもあるでしょう。そういった場合は、「古家あり」と表記し、土地として販売するという方法もあります。更地にして売却するという選択肢もありますが、その場合の解体費用は売主様が持つことになるのが一般的です。

家を売る際によくある質問

Q 売却するために必要な諸経費にはどんなものがあるの?

A 主なところでは、仲介手数料や抵当権の抹消費用、契約書に貼付する印紙税などが必要となります。また、売却によって譲渡益が発生するケースでは、所得税等がかかる場合がございます。

詳細は、「住まいの税金-印紙税」、「住まいの税金-譲渡所得の基本的計算」をご確認ください。

Q 売却にかかわる税金なども教えてもらえるの?

A 制度の説明など、一般的な内容については営業担当者でもお答えすることが可能です。

個別ケースについての詳細なご相談は、各営業所にて、税理士による無料相談会を実施しております。こちらをご利用ください。
「税務・法律無料相談」開催日程 (※事前予約制となります)

Q 住みながら売却することはできるの?

A 可能です。実際にお住まいをご売却される方の多くが、住みながら売却をされています。ご購入希望のお客様をご案内する際にはご協力をお願いいたします。

Q 販売活動ってどのようなことをするの?

A 当社ネットワークを通じた登録顧客へのご紹介、ホームページや新聞折込チラシ・住宅情報誌への掲載、オープンハウスの開催、 周辺住宅へのご紹介、指定流通機構(レインズ)への登録、不動産業者等への紹介などを実施いたします。

詳細は「ご売却の手引き-ご売却物件の各種販売活動」をご覧ください。

Q どうしても一定期間内に売却したいが、何か良い方法はあるの?

A 当社では一定期間内にご売却が成立しなかった場合に、あらかじめ決めさせていただいた価格で当社が購入させていただく「リバブル売却保証システム」を用意しております。是非営業担当にご相談ください。

この記事のポイント

家を売りたいが何から始めればいい?

家を売る際には、一般的な売却のプロセスを理解し、手続きや売却期間などを知ることで、スムーズに進めることができます。売却の流れを把握することで、家を売る際に自信を持つことができるでしょう。

詳しくは「家を売る方法は?」をご覧ください。

家を売るにもお金がかかるの?

家を売る際には様々な費用がかかります。不動産手数料や登記手続き費用などが一般的です。

詳しくは「家を売る際に必要になるお金」をご覧ください。

家を売るときに必要な書類は?

家を売るときに必要な書類には、不動産の証明書、売買契約書、印鑑証明書などがあります。

詳しくは「家を売る際の必要書類」をご覧ください。

この記事の監修

藤澤祐衣

不動産オーナー向けの月刊新聞で、テナント紹介の記事や取材を担当。ほかにも地域のお店や商店街を、住む人目線で紹介する媒体発行にも携わっている。不動産系の協会が発行する冊子では編集やディレクターを務め、不動産分野での知識を広げている。

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