ざっくり要約!
- 「残代金」とは、売買代金から手付金を差し引いた残りの金額のこと。残代金の授受・物件の引渡し・所有権移転登記の申請を同日に行う手続きを「決済」と呼ぶ
- 決済の所要時間は1〜1.5時間が目安。印鑑証明書の有効期限や抵当権抹消書類の手配など、決済をスムーズに終えるには事前準備が肝心
不動産売却の最終ステップとなるのが、残代金の授受と物件の引渡しを同日に行う「残代金決済」です。必要な書類と手続きさえ押さえておけば、残代金決済はスムーズに進みます。しかし、必要書類に1つでも不備があれば決済自体が延期になりかねません。
そこで本記事では、残代金の意味から決済当日の流れ、決済場所や司法書士の役割、必要なものと費用、事前準備のチェックリストまでを時系列で解説します。ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
不動産売買の「残代金(ざんだいきん)」とは?
不動産売買における「残代金」とは、不動産の売買代金から、売買契約時に授受された手付金を差し引いた残りの金額を指します。手付金は売買代金の5〜10%程度に設定されることが多いため、残代金は代金の9割前後というまとまった金額になります。たとえば5,000万円の物件で手付金が500万円なら、残代金は4,500万円です。
残代金の授受は、物件の引渡しおよび所有権移転登記の申請と同じ日に行われるのが一般的です。この一連の手続きは「決済」あるいは「残代金決済」と呼ばれます。
売買契約から決済までの期間は1〜2ヶ月程度が目安で、この間に買主は住宅ローンの本審査や金銭消費貸借契約を、売主は引越しや抵当権抹消の準備を進めることになります。ただし、売主がローンを完済しており、買主も融資を受けない場合は、売買契約と引渡しが同日になり、一括で売買代金が授受されることもあります。
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不動産売却における「決済」の流れは?
続いて、残代金決済の流れを見ていきましょう。
当日の流れ
決済当日の一般的な流れは、次のとおりです。
1. 売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士が決済場所に集合する
2. 司法書士が売主・買主の本人確認と登記に必要な書類の確認を行う
3. 買主の融資が実行され、残代金が売主の口座に振り込まれる
4. 売主が着金を確認する
5. 固定資産税・都市計画税や管理費などの精算金を授受する
6. 売主がローン残債を一括返済し、抵当権抹消の手続きを行う
7. 仲介手数料や司法書士報酬などの費用を支払う
8. 鍵と引継書類を買主に引き渡し、引渡完了の確認書に署名して終了。司法書士は同日中に法務局へ所有権移転の登記申請を行う
売主としては「本人確認→着金確認→精算→支払い→鍵の引渡し」という流れです。
決済の所要時間
決済の所要時間は1〜1.5時間が目安です。ただし、振込処理が混み合う月末や金曜日、大安などの吉日は着金確認までに時間がかかり、2時間程度を要することもあります。
着金確認や登記申請を当日中に確実に終えるため、決済は平日の午前中に設定されるのが一般的です。当日は時間に余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
残代金の受領方法
残代金は、売主名義の銀行口座への振込みで受領するのが原則です。数千万円単位の現金を持ち運ぶのは現実的でないため、現金での授受はほとんど行われません。着金が確認できた時点で売買代金の支払いが完了し、司法書士が登記書類を預かって申請へと進みます。
振込先には、住宅ローンの返済口座を指定するのが一般的です。着金した残代金からそのままローン残債を一括返済できるため、資金移動の手間がありません。
ただ近年は、決済のキャッシュレス化が進んでいます。キャッシュレス型の決済は、買主が自身の口座から、もしくは融資を受ける金融機関から直接、不動産会社の信託口座に残代金を振り込み、信託口座を経由して売主の口座へ送金されるという流れです。本人確認などを事前に済ませておくため、関係者が決済のために一堂に会する必要はなく、手続きがスムーズに進みます。
・東急リバブルの「キャッシュレス決済」
決済場所と司法書士の役割とは?
不動産売買の決済には、売主や買主、不動産会社に加え、司法書士が立ち会うのが通例です。ここでは決済の場所や司法書士の役割について解説します。
決済はどこで行われる?
決済場所は、買主が住宅ローンを借り入れる金融機関の応接室や会議室が一般的です。融資の実行と振込手続きをその場で行えるため、もっともスムーズに決済を進められます。買主が現金で購入する場合は、不動産会社の事務所や司法書士事務所で行われることもあります。
一方で、先のとおり、近年は関係者が一堂に会さず、事前の書類のやり取りと当日の振込確認で完結させる非対面型の決済が実施されるケースも増えつつあります。
司法書士の役割は?
司法書士は、代金の支払いと所有権の移転を確実に連動させる役割を担います。決済当日は売主・買主双方の本人確認と売却意思の確認を行ったうえで、所有権移転登記に必要な書類がすべてそろっているかをチェックします。
金融機関が融資を実行するのは、司法書士が「登記に問題なし」と判断してからです。決済後は、売主の抵当権抹消登記、買主への所有権移転登記、買主が新たにローンを組む場合の抵当権設定登記を同日中にまとめて申請します。
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不動産売却の決済時に必要なものと取得方法
決済当日に売主が用意すべきものは多岐にわたります。まずは一覧で全体を把握し、それぞれの取得方法と注意点を確認していきましょう。
| 書類など | 取得場所・入手方法 | 所要日数・有効期限などの目安 |
|---|---|---|
| 実印・印鑑証明書 | 市区町村の窓口、コンビニ交付(マイナンバーカード) | 即日取得可。発行後3ヶ月以内のものが必要 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど手元のもの | 有効期限内であることを確認 |
| 権利証(登記済証・登記識別情報) | 購入時に受領済み。再発行は不可 | 紛失時は代替手続きが必要なため早めに所在確認を |
| 銀行の通帳・キャッシュカード | 手元のもの | 着金確認とローン完済手続きに使用 |
| 抵当権抹消書類 | ローン借入先の金融機関 | 完済の申し出から書類受領まで1〜2週間程度かかるのが一般的 |
| 家の鍵 | 手元のもの(スペアキー含むすべて) | 引渡し当日までにすべて回収 |
| 買主に引き継ぐ書類 | 購入時・建築時の書類一式 | 見当たらない場合は不動産会社に早めに相談 |
実印および印鑑証明書
所有権移転登記の書類には実印での押印が必要で、その実印を証明する印鑑証明書もあわせて提出します。登記に使う印鑑証明書は発行後3ヶ月以内のものと定められているため、取得のタイミングには注意が必要です。
早く準備しすぎて期限切れになるケースもあるため、決済日から逆算して取得しましょう。マイナンバーカードがあればコンビニ交付も利用できます。
本人確認書類
不動産会社および司法書士による本人確認のため、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの本人確認書類を持参します。有効期限が切れていないか、事前に確認しておきましょう。
権利証(登記済証・登記識別情報)
「権利証」とも呼ばれる登記済証や登記識別情報は、物件の所有者であることを証明する書類です。権利証は再発行ができません。
紛失している場合は、司法書士による本人確認情報の作成など代替の手続きが必要になり、別途数万円〜10万円程度の費用と一定の時間がかかります。売却を決めたら、まず権利証の所在を確認しておきたいところです。
・「権利証(登記済証・登記識別情報)」に関する記事はこちら
登記識別情報通知とは?紛失した場合の対処法を紹介【見本付き】
銀行の通帳・キャッシュカード
残代金の着金確認とローン残債の一括返済手続きに使用します。振込先に指定した口座の通帳・キャッシュカード・届出印を持参しましょう。ネットバンキングで着金確認する場合も、完済手続きで必要になることがあるため一式そろえておくと安心です。
抵当権抹消書類
住宅ローンが残っている物件は、残代金でローンを完済し、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取ります。金融機関への完済の申し出は、決済日の1〜2週間前までなど各行所定の期限が設けられているのが通例です。
ただし、金融機関によっては抵当権抹消の準備に1ヶ月ほどかかることもあります。不動産会社の担当者がサポートしてくれるはずですが、事前に確認しておくようにしましょう。
家の鍵
玄関だけでなく、勝手口・窓・門扉・ポストなど、物件に関するすべての鍵を買主に引き渡します。スペアキーも含めて漏れなく回収しておきましょう。
買主に引き継ぐ書類
建築確認済証・検査済証、マンションであれば管理規約や長期修繕計画、設備の取扱説明書や保証書、境界確認書などを買主に引き継ぎます。物件によって引き継ぐべき書類は異なるため、事前に不動産会社とすり合わせておくと当日慌てずに済みます。
残代金を受領するだけではない!決済時に売主が支払う費用

決済日には買主から残代金を受け取るだけでなく、売主が支払うべき費用もあります。手元に残る金額を正しく見積もるために、当日支払う主な費用を確認しておきましょう。
仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料は、売買価格が400万円を超える場合「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限額となります。たとえば売買価格5,000万円なら、上限は171万6,000円(税込)です。
仲介手数料は、売買契約時と決済時に分けて不動産会社に支払うのが一般的ですが、一括で支払う方法など不動産会社によって異なるため、媒介契約の内容を確認しておきましょう。
・「仲介手数料」に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料はいくら?上限や支払うタイミングも解説
抵当権抹消費用
抵当権抹消登記には、登録免許税として不動産1個につき1,000円がかかります。土地と建物であわせて2,000円、土地が複数筆に分かれていればその分加算される計算です。
これに司法書士への報酬が加わり、総額で1万〜2万円程度が目安となります。
・「登録免許税」に関する記事はこちら
登録免許税の計算方法と支払時期を解説!軽減措置や事例もあわせて紹介
ローンの完済手数料
住宅ローンを一括返済する際は、金融機関所定の手数料(全額繰上返済手数料)がかかります。金額は金融機関や手続き方法によって無料〜3万円程度と幅があります。
インターネット手続きなら無料でも、窓口手続きでは3万円かかるといった料金体系も見られます。決済にともなう完済は窓口経由の手続きになるケースが多いため、事前に借入先へ金額を確認しておきましょう。
残代金決済の事前準備チェックリスト
決済書類などの不備は、最悪の場合、決済そのものの延期につながります。買主のローン実行日にも影響するため、遅くとも2週間前までには次の項目を確認しておきましょう。
| ✓ | チェック項目 |
| □ | 印鑑証明書を発行後3ヶ月以内の日付で取得した |
| □ | 借入先の金融機関に完済を申し出て、抵当権抹消書類の手配を済ませた |
| □ | 当日支払う費用の明細を確認した |
| □ | 家の鍵をスペアキーまで含めてすべてそろえた |
| □ | 買主に引き継ぐ書類を一式まとめた |
| □ | 引越しと室内の残置物撤去を引渡し日までに完了できるスケジュールで手配した |
不安な項目があれば、担当の不動産会社に早めに相談するようにしましょう。物件や状況によっては別途必要な書類や準備がある可能性もあるため、決済を前に改めて不動産会社と持ち物の最終確認を行っておくと安心です。
まとめ
不動産の残代金決済では、残代金の受領・ローン完済・登記・鍵の引渡しなどが行われます。売主は決済日に向け、印鑑証明書の取得や抵当権抹消書類の手配など準備を進める必要があります。段取りに迷ったら、経験豊富な不動産会社のサポートを受けながら進めるのが安心です。
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この記事のポイント
- 不動産売買における「残代金」とは?
不動産の売買代金から、売買契約時に授受された手付金を差し引いた残りの金額のことです。
詳しくは「不動産売買の『残代金(ざんだいきん)』とは?」をご覧ください。
- 不動産売買の残代金決済はどこで行われる?
買主が住宅ローンを借り入れる金融機関の応接室や会議室で行われるのが一般的です。
詳しくは「決済場所と司法書士の役割とは?」をご覧ください。
- 決済当日はどのくらい時間がかかる?
所要時間は1〜1.5時間が目安です。ただし、月末や金曜日など振込処理が混み合う日は、2時間程度かかるケースもあります。
詳しくは「不動産売却における『決済』の流れは?」をご覧ください。
- 残代金の受領方法は?
売主名義の銀行口座への振込みで受領するのが原則です。着金が確認できた時点で、売買代金の支払いが完了したことになります。
詳しくは「不動産売却における『決済』の流れは?」をご覧ください。
- 決済当日、売主は何を用意すればいい?
実印・印鑑証明書や権利証、抵当権抹消書類、家の鍵などが必要です。
詳しくは「不動産売却の決済時に必要なものと取得方法」をご覧ください。

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ライターからのワンポイントアドバイス
不動産の残代金決済は、書類がそろってさえいればスムーズに進みます。裏を返せば、権利証の紛失や印鑑証明書の期限切れといった不備が、決済の延期につながりかねません。売却を決めた時点で権利証や買主に引き継ぐ書類の所在を確認しておき、決済日が決まったら、印鑑証明書や抵当権抹消書類などは有効期限にも気をつけながら速やかに取得するようにしましょう。


