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不動産売買の仲介手数料の相場は?

執筆者プロフィール

手塚裕之
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

エンタメ業界の管理職として12年勤務後、2018年12月からフリーライター活動を開始。税金、不動産、株式投資、クレジットカードなどお金に関する記事執筆・取材を行う。

ざっくり要約!

  • 不動産売買の仲介手数料の相場は、宅地建物取引業法で定められた上限相当額
  • 無料化や半額といった割引設定にとらわれず、高い営業力を持った不動産会社に仲介を依頼しよう

不動産売買の仲介を不動産会社に依頼する場合、仲介手数料を支払う必要があります。不動産売買にかかる費用の大部分を占めている仲介手数料について、どの程度の金額を支払わなければならないのか不安に感じる売主も多いのではないでしょうか?

この記事では、不動産売買にともなう仲介手数料の相場や金額の決め方について説明します。

仲介手数料とは不動産会社に支払う成功報酬

仲介手数料とは、不動産の売買に関わる手続きの代行を不動産会社に依頼する際に支払う報酬です。依頼主である売主・買主は売買が成立した場合の成功報酬として、仲介手数料を支払います。

不動産会社が担う仲介の役割は、物件の宣伝から売買相手の選定、契約手続き、引渡しといった手続き全てに対するサポートです。書類の作成や提出といった手続きの代行に留まらず、売主と買主の間の条件の調整や売買成立のためのアドバイスなど、サポートの範囲は多岐にわたります。

売主・買主どちらも支払う必要がある

仲介手数料は、不動産会社が売却・購入いずれかの仲介を請け負う場合において発生します。そのため不動産会社への仲介を依頼する場合には、売主・買主のどちらも仲介手数料を支払う必要があります。

仲介の依頼を受ける不動産会社は、依頼人からしか仲介手数料を受け取れません。売主から仲介を依頼されたA社が、買主の仲介を担当するB社との交渉の末に売買を成立させたとしても、A社が仲介手数料を受け取れるのは売主からのみです。

ただし、不動産会社が仲介を請け負える相手は売主・買主のいずれか一方のみに限定されません。仮にA社が仲介を請け負った売主・買主の間で売買契約が成立した場合には、A社は売主・買主の双方から仲介手数料を受け取れます。

仲介手数料を支払うタイミング

依頼主から不動産会社への仲介手数料の支払いは、売買契約成立時と物件の引渡し時の半額ずつとされるのが一般的です。

不動産会社は、売買契約成立時から仲介手数料の全額を請求する権利を有するため、物件を引き渡す前に一括で仲介手数料を請求できます。不動産会社からすれば、報酬を受け取らないまま長期間の対応を続けているため、少しでも早く報酬を受け取りたいという事情があります。一方の依頼主側の立場では、売買契約成立後も住宅ローンや登記の手続きといった対応が残っているため、業務が完遂するまでは全額を支払いたくないと考えるでしょう。

こうした双方の主張の落とし所として、協議の上で半額ずつの分割支払いとするケースが一般的とされており、行政法においても協議により支払い方法を決めることを推奨しています。

仲介手数料の相場

不動産売買の多くは、数百万~数億円といった高額での取引になります。仲介手数料も取引価格に比例するように金額が上昇しますが、宅地建物取引業法により上限額が定められているため、不動産会社から法外な金額を請求されることはありません。

仲介手数料の計算方法

不動産会社が請求できる仲介手数料の上限額は、以下の計算式で算出できます。

取引額仲介手数料の上限額
200万円以下の部分取引額×5%(+消費税)
200万円超え400万円以下の部分取引額×4%(+消費税)
400万円超えの部分取引額×3%(+消費税)

なお、取引物件の総額に応じていずれかの料率が適用されるわけではなく、取引額の金額帯それぞれに設定された料率が適用されます。

例1)取引価格300万円の不動産を売買した場合の仲介手数料の上限

200万円×5% + (300万円-200万円)×4% = 14万円(+消費税)

例2)取引価格1500万円の不動産を売買した場合の仲介手数料の上限

200万円×5% + (400万円-200万円)×4% + (1,500万円-400万円)×3% = 51万円(+消費税)

なお、400万円を超えると料率は一定になるため、400万円超の仲介手数料上限は、以下の速算式で求められます。

取引額×3%+6万円(+消費税)

【早見表】仲介手数料上限額

不動産の取引額ごとの仲介手数料上限は以下のとおりです。ご自身が売買を予定している物件の価格と照らし合わせ、資金計画にお役立てください。

売買価格仲介手数料
(+消費税)
計算式
500万円21万円
(+21,000円)
200万円×5%+200万円×4%+100万円×3%
(速算式:500万円×3%+6万円)
1,000万円36万円
(+36,000円)
200万円×5%+200万円×4%+600万円×3%
(速算式:1,000万円×3%+6万円)
2,000万円66万円
(+66,000円)
200万円×5%+200万円×4%+1,600万円×3%
(速算式:2,000万円×3%+6万円)
3,000万円96万円
(+96,000円)
200万円×5%+200万円×4%+2,600万円×3%
(速算式:3,000万円×3%+6万円)
4,000万円126万円
(+126,000円)
200万円×5%+200万円×4%+3,600万円×3%
(速算式:4,000万円×3%+6万円)
5,000万円156万円
(+156,000円)
200万円×5%+200万円×4%+4,600万円×3%
(速算式:5,000万円×3%+6万円)
6,000万円186万円
(+186,000円)
200万円×5%+200万円×4%+5,600万円×3%
(速算式:6,000万円×3%+6万円)
7,000万円216万円
(+216,000円)
200万円×5%+200万円×4%+6,600万円×3%
(速算式:7,000万円×3%+6万円)
8,000万円246万円
(+246,000円)
200万円×5%+200万円×4%+7,600万円×3%
(速算式:8,000万円×3%+6万円)
9,000万円276万円
(+276,000円)
200万円×5%+200万円×4%+8,600万円×3%
(速算式:9,000万円×3%+6万円)
1億円306万円
(+306,000円)
200万円×5%+200万円×4%+9,600万円×3%
(速算式:1億円×3%+6万円)
2億円606万円
(+606,000円)
200万円×5%+200万円×4%+1億9,600万円×3%
(速算式:2億円×3%+6万円)

なお、仲介手数料は不動産会社が提供するサービスへの対価であるため、消費税の課税対象です。課税対象ではない土地の売買に関する仲介手数料であっても課税されますので、費用を計算する際には注意しておきましょう。

低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例

400万円以下の不動産の売買に関する仲介手数料には、上記の上限設定の他に「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」が設けられています。

この特例は、400万円以下の空き家(低廉な空き家)の売買に関する仲介手数料の上限を、売主側に限り18万円(税別)に引き上げるというものです。この特例により、不動産会社は売主に対し、宅地建物取引業法で定められている仲介手数料の上限を超えた金額を請求できるようになります。

低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例と宅地建物取引業法における上限との差額は、以下のとおりです。

宅地建物取引業法上の上限特例との差額
200万円10万円(+消費税)8万円(+消費税)
300万円14万円(+消費税)4万円(+消費税)
400万円18万円(+消費税)0円

不動産の売買に必要な不動産会社の労力は、不動産の売買価格と比例するとは限りません。5,000万円の物件と300万円の物件それぞれの取引にかかる労力を比較したとき、山奥にある300万円の物件のほうが手間がかかるといったケースも珍しくないでしょう。

こうした低廉な空き家の売買において不動産会社が利益を確保できる仕組みは、空き家の積極的な取引に繋がり、空き家問題の解決に繋がると期待されています。

なお、この特例が適用できるのは売主側に対する仲介手数料に限られています。また、適用前には売主からの合意を得る必要がある点には注意が必要です。

仲介手数料を値切ることはできる?

仲介手数料は法律で上限は定められていますが、下限に対する制限はありません。そのため、不動産会社は上限までの範囲であれば自由に設定が可能であり、実際に上限よりも安い手数料に設定している会社も多くあります。しかし、仲介手数料が安いことが依頼者のメリットになるとは限りません。

3,000万円で売買される土地売却にかかる仲介手数料の上限は105.6万円ですが、半額の52.8万円で仲介を請け負う不動産会社があるとします。一見、上限よりも52.8万円得になるように見えますが、営業力が低く高い買取先を探せない不動産会社だった場合はどうでしょうか。本来は3,000万円で売れるはずの土地を2,900万円で売却されてしまった結果、仲介手数料の値引分よりも大きな損失を生んでしまうかもしれません。

同じようなケースは、仲介手数料を上限から値切った場合にも発生するおそれがあります。依頼主が交渉により仲介手数料を安く値切ると、不動産会社は利益が少なくなります。その結果、物件の売買相手を積極的に探す労力を使わなくなり、想定よりも取引に長い時間がかかったり、希望価格よりも安く売却・高く購入したりする場合も考えられます。

希望の売買を成立させてくれるパートナーと手を組むためにも、依頼主は仲介手数料の値引という目先の利益にとらわれず、営業力の高い不動産会社を探すのがオススメです。

仲介手数料の安さよりも不動産会社の実力を優先しよう

不動産売買の手続き代行を依頼した際の仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められています。仲介手数料は、不動産会社が仲介により得られる利益の大半を占めるため、一般的には上限額での請求を相場として考えても差し支えないでしょう。

一方、法的には下限はないため、無料化や半額といった割引を行う不動産会社もあります。しかし、営業力の弱さを仲介手数料の割引でごまかしているケースもあり、低額の不動産会社への仲介依頼が得に繋がるとは限りません。

仲介を依頼する不動産会社探しは、よい取引相手を見つけてくれる営業力の高さが重要なポイントです。ぜひ目先の仲介手数料の金額にとらわれず、理想的な売買を実現してくれる不動産会社への依頼を検討しましょう。

この記事のポイント

仲介手数料とは?

不動産の売買に関わるあらゆる手続きの代行を依頼する不動産会社に支払う報酬です。

詳しくは「仲介手数料とは不動産会社に支払う成功報酬」をご覧ください。

仲介手数料の相場は?

宅地建物取引業法で定められた上限が一般的な相場として考えられています。

詳しくは「仲介手数料の相場」をご覧ください。

仲介手数料は値引できる?

無料や半額といった設定をしている不動産会社もありますが、営業力が弱いおそれがあります。

詳しくは「仲介手数料を値切ることはできる?」をご覧ください。

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