“ここでしか聞けない話”不動産投資家が知っておきたい2022年税制改正編

  • 社外専門家と会計士の対談
公開日 2022.03.09

公認会計士が語る~令和4年度(2022年)税制改正大綱から、財産債務調書の提出対象の変更など不動産投資家に影響のある変更点を解説。

動画もくじ
00:47
冒頭ご挨拶
01:07
講師紹介
01:32
贈与の問題について
02:42
財産債務調書について
04:30
住宅資金贈与について
05:41
税制改正への伏線
07:13
今後の検討事項 ①金融課税について
08:17
今後の検討事項 ②金融課税について
08:52
締めのご挨拶

動画の要約

不動産投資家に影響のある税制改正

毎年12月に税制改正が行われるが、特に近年は、いわゆる富裕層への課税が強化されている。
とりわけ、贈与関連の税制改正については、富裕層の方への影響が大きいため、不動産投資に関連する点を含めて紹介する。

暦年贈与の見直しの有無

暦年贈与とは、贈与額が年110万円以下であれば、贈与税が非課税となる制度という仕組みを利用した贈与の方法のこと。 この仕組みを使えば、毎年4人に110万円ずつ贈与していくと、10年で4,400万円、20年で8,800万円もの金額が非課税となる。 前回の税制改正で、この暦年贈与は、問題があるということを指摘されていたが、今回の税制改正では変更はなかった。 しかし、継続して審議をしていくと記載されており、数年後の近い将来、変更があるものと考えられる。

令和4年度(2022年)税制改正大綱から、不動産投資家に影響のある変更点

財産債務調書の提出対象が拡大

財産債務調書とは、その年の各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産を有する場合、財産・債務の詳細を記載した書類。該当者は提出する必要がある。
この提出した書類の内容、前回提出していたが今回提出していない場合などに、お尋ねが来ることがあるなど、国が実務上、非常に力を入れているものとなっている。 しかし、今回の税制改正により、令和5年分以後、所得金額が2,000万円を超えていなくても、財産規模が10億円を超える場合も、 財産債務調書の提出対象に加えられた。

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例(住宅資金贈与の特例)の非課税限度額

非課税限度額は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、 住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした次に掲げる住宅用家屋の区分に応じ、それぞれ次に定める金額とする

  • 耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋・・・1,000万円
  • 上記以外の住宅用家屋・・・500万円

この金額は、年によって異なり、消費税の税率と密接に結びついている。 例えば、以前、消費税率が、8%から10%に引き上げられた時は、非課税限度額も一緒に上がったが、 その後は、消費税を引き上げた影響もだんだんと落ち着いてきたため、非課税限度額が下がってきている、という背景がある。

税制改正で変更されそうな税制は、事前に予測がつくこともある

税制改正で変更されそうな税制には、予兆があるものがある。
会計検査院という国の機関があるが、ここでは、税金の使い方に無駄がないかチェックをする以外にも、 税制の仕組みに違和感があるものはないかというチェックも行っている。 これにより、会計検査院から、違和感のある税制として指摘を受けたものが、数年後に変更されるというケースもある。 最近では、海外不動産の中古木造住宅の短期償却や、暦年贈与、住宅ローン控除の逆ざやの問題などが、指摘として挙げられている。 このような指摘から、実際に税制が変わるケースがあるため、会計検査院の指摘から、変更されそうな税制を予測することができる。

今後変更になると影響が出るもの

金融所得課税の強化

現行の税制では、株式の売却益や配当などは、分離課税となっており、約2割の課税で済むようになっている。 それに対して、国は改正しようという動きが出てきており、今後、厳しくなる改正がされることが予想される。

小規模企業の在り方について

相続対策や、事業承継、所得分散目的で作っている資産管理会社を対象としているのではないかと推察している。 こちらの変更についても、今後の動向が注目される。

解説者

大木 宣幸

大木国際会計事務所:代表
株式会社International CPA Firms:代表
日本公認会計士協会東京会:第二ブロックブロック長
日本公認会計士協会 東京会 豊島会 会長
日本公認会計士協会 税務業務部会東京分会 副分会長

世界BIG4の監査法人にて上場企業の監査に携わる。他にも国内外を問わず不動産売買に特化した会計・税金のコンサルティングやセミナーを実施。

※動画および本ページの内容は、公開日当時の法令等に基づいております。

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