修繕積立金返金
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マンション売却時に修繕積立金は返金される?滞納時の注意点も解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 修繕積立金とは、計画的な修繕や不測の事故等の特別の事由の費用に充てるために召集される金銭
  • 修繕積立金や管理費は、管理規約によって返金されないことが明記されていることが通常

マンションの修繕積立金は、売却時に管理組合から返金されることはありません。

ただし、先払いした部分に関しては買主との間で精算されることが一般的です。

精算はあくまでも買主との間で行う任意の金額調整行為であり、売主が管理組合から返金を受けることは原則ないというのが結論です。

修繕積立金だけでなく、今まで管理組合に対して支払った管理費や駐車場使用料についても同様の扱いとなります。

この記事では、「修繕積立金は返金されない」ことをテーマに解説しますので、ぜひ参考にしてください。

修繕積立金とは

修繕積立金とは

修繕積立金とは、計画的な修繕や不測の事故等の特別の事由の費用に充てるために召集される金銭のことです。

最初に修繕積立金の性質について解説します。

修繕積立金は大規模修繕に備えた資金

修繕積立金とは、以下のような特別な管理に要する経費に充当するために徴収される金銭のことです。

  • 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
  • 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
  • 共用部分等の変更
  • 建て替え等

修繕積立金と管理費の違い

修繕積立金は計画的に行う修繕など特別な管理に要する経費ですが、一方で管理費は共用部の日常的な維持・管理に充てるために徴収される金銭のことです。

管理人の人件費や、共用設備の保守点検費、水道光熱費、清掃費、備品費、通信費等に充当されます。

マンション売却時に修繕積立金・管理費が返金されない理由

マンション売却時に修繕積立金・管理費が返金されない理由

修繕積立金や管理費は、管理規約によって返金されないことが明記されていることが通常です。

第60条(管理費等の徴収)

出典:マンション標準管理規約(単棟型)|国土交通省

管理組合の資産のため

支払い済みの修繕積立金や管理費は、管理組合の財産となります。

マンション所有者とは関係のない、全く別の財産となるため、マンションを売ったとしても返金されることはありません。

返金される可能性がある2つのケース

修繕積立金は、原則として返金されませんが、例外的に返金されるケースもあります。

ここでは、例外的に修繕積立金が返金されるケースについて解説します。

売却時に先払いしている場合

返金ではありませんが、売却時は先払いした部分の修繕積立金および管理費は買主との間で精算することが一般的です。

精算とは、売主と買主との間で行う金額調整のことを指します。

管理費および修繕積立金は翌月分を当月に支払うことが通常です。

例えば、10月分の管理費および修繕積立金は、9月末に管理組合へ支払うことがあります。

ここで、マンションを売却して引渡日が10月1日だとした場合、マンションの所有権は10月1日から買主へ移転します。

そのため10月分の管理費および修繕積立金は、本来なら買主が支払うべきものですが、実際には10月分の管理費および修繕積立金は売主がすでに立て替えている状態であるため、買主との間で調整が必要となります。

仮に10月分の管理費および修繕積立金の合計金額が5万円、マンションの売買代金が5,000万円だとします。

売買で管理費および修繕積立金を精算すると、買主から5,005万円が支払われるということです。

管理組合が消滅する場合

建替え等により現存のマンション管理組合が消滅する場合には、理論上、修繕積立金が戻ってくる可能性もあります。

国土交通省が示すマンション標準管理規約によると、以下のような記述が存在します。

第32条十四号(管理組合の消滅時における残余財産の清算)

出典:マンション標準管理規約(単棟型)|国土交通省

上記の規定では、管理組合の消滅時に管理費や修繕積立金等が残っていれば清算によって修繕積立金が返金されると示されています。

ただし、現実的には管理組合に残っている修繕積立金等は、新たにマンションを建て替える際に設立される管理組合に建築資金として引き継がれることがよくあります。

そのため、管理規約に消滅時の規定があったとしても、現実的には修繕積立金は返金されないことが多いです。

修繕積立金以外で戻る可能性のあるお金

修繕積立金以外で戻る可能性のあるお金

マンションの売却時は、管理費および修繕積立金以外に戻ってくるお金があります。

具体的には以下の通りです。

  • 損害保険料の中途解約時の返戻金
  • 住宅ローンの保証料
  • 固定資産税および都市計画税

1つは、建物に付保している火災保険や地震保険等の損害保険料の中途解約時の返戻金です。

マンション売却時に保険会社に中途解約をすることを伝えると、残存期間分の保険料が戻ってきます。

2つ目は、住宅ローンの保証料です。

住宅ローンを組む際に保証料を支払っている場合には、住宅ローンの一括返済時に銀行が残存期間分の保証料を戻してくれます。

3つ目は、固定資産税および都市計画税です。

これは戻ってくるお金ではなく、引渡日以降の実質的な負担を買主に移転するために、売主と買主との間で行う精算金となります。

マンション売買時の固定資産税と都市計画税

固定資産税と都市計画税の納税義務者は1月1日時点の所有者であることから、1年間の途中で売却しても、その年の納税義務者は売主のままです。

しかしながら、引渡日以降も売主が固定資産税と都市計画税を負担することは合理的ではないため、引渡日以降の税金を買主が売主に渡すことで実質的に買主負担とします。

例えば、マンションの売買代金が5,000万円、引渡日以降の固定資産税と都市計画税が10万円、管理費および修繕積立金を精算金が5万円だとします。

買主から売主に支払われる金額は、精算金も含めて5,015万円(5,000万円+10万円+5万円)になります。

駐車場使用料や駐輪場代は戻ってこない

マンションの売却において先払いした駐車場使用料や駐輪場代は、買主との間で精算されないことが一般的です。

理由としては、買主が同じ駐車場や駐輪場を使うとは限らないからです。

駐車場使用料や駐輪場代は管理費および修繕積立金と同様に、管理組合の財産となります。

そのため、駐車場使用料や駐輪場代は、買主からも精算されず、管理組合からも返金されない金銭となります。

返金されないからと修繕積立金を滞納したときの影響

返金されないからと修繕積立金を滞納したときの影響

返金されないからといって、修繕積立金の滞納はNGです。

この章では、修繕積立金を滞納したときの影響について解説します。

資産価値が落ちる

修繕積立金や管理費を滞納している物件は、資産価値が落ちます。

滞納物件は、売却後に買主が滞納分を支払わなければならないため、理論上は以下のような価格となります。

滞納物件の価格 = 市場価格 - 修繕積立金等の滞納額

マンションを高く売りたいのであれば、滞納を解消しておくことが必須です。

売却時にハードルが上がる

前節で紹介した売却価格はあくまでも理論上の価格であり、滞納が存在する物件はなかなか売却しにくいのが実態です。

売却に時間もかかり、滞納額も膨らんでいくことから、実際には理論上の価格よりも資産価値が下がる懸念があります。

管理組合から督促を受ける

修繕積立金や管理費を滞納すると、管理組合から督促を受けます。

放置をしていると、最終的に物件が競売にかけられることもあります。

修繕積立金を滞納している場合の対処法

修繕積立金を滞納している場合の対処法

修繕積立金を滞納した場合は、早めに管理組合に相談することが適切です。

支払えない事情を説明し、今後は支払う意思があることをきちんと伝えていきます。

状況が改善するまで、一時的に支払いをストップさせてもらうか、もしくは減額した金額を少しずつ支払うか等の対応策を相談しながら決めていくことが適切です。

マンション売却は修繕積立金が上がる前がおすすめ

マンション売却は修繕積立金が上がる前がおすすめ

修繕積立金は、築年数が古くなると増額していくことが一般的です。

マンションは修繕積立金が安い方が売却しやすいため、修繕積立金が上がる前に売るのがおすすめです。

大規模修繕の前後

マンションの大規模修繕の前に売るか、後に売るかは意見が分かれるところです。

修繕積立金が不足しているマンションでは、大規模修繕を実施する前に修繕積立金が増額されてしまうケースがあります。

大幅に増額されるようであれば、大規模修繕の前に売ることも選択のひとつです。

一方で、大規模修繕の実施により特段の修繕積立金の増額がない場合には、大規模修繕後の方が売却しやすいといえます。

外観が綺麗になっていたり、エレベーターが刷新されたりしていれば、印象が良くなって売却もしやすいです。

段階的に上がる前

マンションの修繕積立金は、例えば5年ごとのように段階的に上がることが当初から計画されている場合があります。

上がるタイミングが分かっているのであれば、増額される前に売るのも適切です。

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まとめ

以上、修繕積立金の返金について解説してきました。
既に支払った修繕積立金は管理組合の財産となっているため、売却したときも管理組合から返金されることはありません。

修繕積立金は、売却時は先払いした分だけ買主との間で精算行為が行われることが多いです。
修繕積立金を滞納すると資産価値が落ちるだけでなく、売却のハードル自体も上がってしまいます。
売却する際は、修繕積立金の性質を理解したうえで取引を進めて頂ければと思います。

この記事のポイント

修繕積立金は返金されますか?

修繕積立金は、原則として返金されません。

支払い済みの修繕積立金や管理費は、マンションの管理組合の財産となります。

詳しくは「マンション売却時に修繕積立金・管理費が返金されない理由」をご覧ください。

修繕積立金以外に戻ってくる可能性のあるお金はありますか?

マンションの売却時には、損害保険料の中途解約時の返戻金、住宅ローンの保証料、固定資産税および都市計画税が戻ってくる可能性があります。

詳しくは「修繕積立金以外で戻る可能性のあるお金」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

インターネット上には「管理規約に修繕積立金が返還できない旨の記載がなければ交渉次第で返還できる」といった情報があるようですが、実際にはそのようなことはできません。修繕積立金は、管理規約で使途を限定した取り崩し方法が定められており、そもそも個々の組合員に個別に返還するといった利用方法はできないからです。
また、管理組合が規約を変更して組合員に修繕積立金を返金する改定も、否認された判例が存在します(東京地裁平成23年4月26日平22(ワ)36184号)。そのため、修繕積立金は管理組合から返金されることはほぼあり得ません。

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