マンション 売却価格 築年数 相関
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マンションの売却価格と築年数の相関は? 築年帯ごとの売却のコツを伝授

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • マンションの売却価格は、基本的に経年によって落ちていく
  • 成約に至る中古マンションの築年数は上昇傾向にある

マンションの売却価格は、基本的に築年数が古くなればなるほど落ちていきます。ただ毎年一律に価値を下げていくのではなく、価値が落ちやすい築年帯と価値が維持されやすい築年帯があります。

売却時期を検討する際は、こうした築年帯ごとの売却相場の傾向を知っておくと良いでしょう。この記事では、マンションの売却価格と築年数の相関や築年帯ごとの売却のコツなどを解説します。

マンションの売却相場は築年数が高いほど落ちる

首都圏中古マンション築年帯別成約平米単価(2024年)
東日本不動産流通機構のデータを参照に筆者作成

東日本不動産流通機構によれば、2024年に首都圏で成約した中古マンションのうち、最も平均成約平米単価が高かったのは「築0〜築5年」で、平均平米単価は「126.08万円/㎡」でした。最も低かった「築31年〜築35年」の平均平米単価は「40.54万円/㎡」。「築0〜築5年」の3分の1以下です。

中古マンションの売却相場(平均平米単価)は、基本的に築年数が高いほど低くなります。建物は経年によって劣化していくため「古いより新しいほうが良い」と考える方が多いことは容易に想像できます。

ただし、経年によって同じだけ価値を落としていくのではなく、価値の下落率には築年帯によって差があるようです。たとえば「築6年〜築10年」から「築11年〜築15年」にかけての下落率は9%と小さいですが「築26年〜築30年」から「築31年〜築35年」にかけては30%下落しています。

成約した中古マンションの4割以上が築30年以上

成約した中古マンションの4割以上が築30年以上
出典:東日本不動産流通機構

東日本不動産流通機構によれば、2025年3月に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は「26.58年」でした。平均成約築年数は、上図のとおり上昇傾向にあります。

首都圏中古マンション築年帯別構成比率(2024年)
東日本不動産流通機構のデータを参照に筆者作成

2024年に首都圏で成約した中古マンションの築年帯別構成比率を見ると、築41年〜が最も高く、築30年以上の中古マンションは4割以上を占めていることがわかります。築30年以上など高経年のマンションは売りにくいというイメージもあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。

マンションを売却するベストなタイミングは?

マンション 売却 タイミング

マンションを売却するベストなタイミングは、家庭の事情によって異なります。しかし、所有期間や築年帯が手残りや売却金額に影響する可能性があるため、次のポイントを認識しておきましょう。

所有期間が5年を超えてから

不動産価格指数(住宅)(令和7年1月分)季節調整値
出典:国土交通省

マンションの価格はここ数年、上昇し続けており、購入時より高くマンションが売れることも少なくありません。しかし、マンションの売却による譲渡所得(売却益)は、課税の対象となります。譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって以下のように異なります。

所有期間所得税住民税合計税率
短期譲渡所得5年以下30.63%9%39.63%
長期譲渡所得5年超15.315%5%20.315%

このように所有期間が5年以下か5年超かで税率が大きく異なるため、所有期間が5年を超えたタイミングで売却することで税額を抑えられることもあります。

ただし、マイホームの売却では「3,000万円特別控除の特例」が適用できるため、そもそも課税対象とならない場合があります。適用には一定の条件があるため、事前に条件や税金について調べたうえで売却時期を検討しましょう。

築20年まで

マンションの売却相場は経年によって落ちていきますが、先述のとおり、どの築年帯も一律に価値を落としていくわけではありません。

築20年までの5年ごとの減価率は10%前後ですが、築21年から築31年までの減価率は20%〜30%です。したがって、価値が大きく落ちる築20年より前に売却することで、高く売却できる可能性が高いといえます。

築31年以降

築21年から築31年まで大きく価値を落とした後、売却相場はほぼ横ばいになります。築31年以降は大きく減価しないことから、自分たちの都合も考慮しながらゆっくり売却を検討しやすい時期といえるでしょう。

ただし、高経年のマンションは立地や管理状態などの条件がシビアに見られやすい傾向にあります。これらの条件が悪いマンションは、早期売却も検討しましょう。

【築年帯別】マンションを売却するポイント

最後に、築年帯別にマンションを売却するポイントを見ていきましょう。

築5年前後

築5年前後の築浅のマンションは、新築マンションと比較されることも多くなります。とくに、近年は新築マンションの供給数が減少していることから、しばらく新築マンションが供給されていないエリアや逆に新築マンションの開発が進み、再注目されているエリアでは、高値売却に期待できます。

ただし、先述のとおり、所有期間が5年以下のマンションの譲渡所得税の税率は39.63%です。所有期間が5年を超えて売却する場合と比べて税額が高くなる可能性があるため、譲渡所得額や控除特例の適用可否などを考慮したうえで売却時期を検討しましょう。

築15年前後

中古マンションの平均築年数は20年を超えていることから、築15年前後というと、市場では比較的新しいマンションと認識されます。ただし、築15年にもなるとだいぶ使用感が出てきており、設備や内装材は交換時期を迎えているものもあるはずです。

とはいえ、売却前に劣化したものや不具合があるものを交換・修繕するかは慎重に検討する必要があります。それは、交換・修繕の費用をまかなえるだけ高く売れるとは限らないからです。

綺麗にしなければ売れないということはありません。まずは現状のまま不動産会社に相談し、売却前に交換・修繕するかどうかも含めて一緒に売却方法を検討していきましょう。

築25年前後

築25年前後は、現在、流通している中古マンションの平均的な築年数です。物件数も多いため、他の物件と差別化することで好条件で売れる可能性が高まると考えられます。

差別化する方法としては、次のような施策が挙げられます。

  • インスペクション
  • ホームステージング
  • ハウスクリーニング

施策との相性は、マンションの条件や競合の売り出し状況などにもよるため、不動産会社と相談しながら検討しましょう。

築35年前後

築35年前後というと多少の古さは否めませんが、成約した物件の築年帯別構成比率を見ると、築35年以上で成約したマンションの比率は3割以上と決して少なくありません。築35年前後のマンションは新耐震基準で建築されているため、リフォーム・リノベーションすれば十分、快適に住めるでしょう。

とはいえ、基本的に売主がリフォーム・リノベーションする必要はありません。築35年前後のマンションを購入する人の多くは、自ら改修することを前提にしているためです。買主の好みやライフスタイルに合わない改修をすることで、逆に売りにくくなってしまう可能性もあるため、基本的には現状のまま売ることを検討しましょう。

・「マンション売却前のリフォーム」に関する記事はこちら
中古マンション売却時にリフォームは必要?判断基準や費用を解説
・東急リバブルの「CGリフォーム」はこちら

旧耐震物件

1981年5月以前に建築確認申請したマンションは、旧耐震基準で建築されています。耐震診断や耐震補強工事をしていなければ耐震性に一定の不安があるため、新耐震基準で建てられたマンションと比べて売りにくいと言わざるを得ません。

とはいえ、立地や管理状態が良好であれば十分、売却可能です。立地などが優れていない場合は「買取」で売却することを検討してみましょう。買取とは、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。

・「マンション買取」に関する記事はこちら
マンションの買取とは?買取向きの物件と詳しい売却方法を徹底解説
・東急リバブルの不動産買取はこちら

まとめ

マンションは築年数が浅いほど高く売れやすいですが、どのような築年数であっても売却は可能です。近年は平均成約築年数が上昇傾向にあり、マンション全体の築年数も上昇し、高経年マンションも増えているため、築30年、築40年の古いマンションも条件や売り方次第では好条件で売ることもできるでしょう。

築年帯ごとに売却のコツは異なりますが、築年帯だけでは最適な売却方法を判断することはできません。マンションの条件や状態、競合物件動向なども考慮し、不動産会社とともにベストな売却時期や売却方法を検討しましょう。

この記事のポイント

マンションを売却するときの相場は?

中古マンションの売却相場(平均平米単価)は、基本的に築年数が高いほど低くなります。

詳しくは「マンションの売却相場は築年数が高いほど落ちる」をご覧ください。

成約したマンションの築年数はどのくらいが多いのでしょうか?

東日本不動産流通機構によれば、2025年3月に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は「26.58年」でした。

詳しくは「成約した中古マンションの4割以上が築30年以上」をご覧ください。

マンション売却のベストタイミングは?

マンションを売却するベストなタイミングは、家庭の事情によって異なります。しかし、所有期間や築年帯が手残りや売却金額に影響する可能性があるため「マンションを売却するベストなタイミングは?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

近年、中古マンション価格は著しく上昇しています。築年数が古いマンションも、予想を上回る金額で売れるかもしれません。一方で、金利は上昇傾向にあり、インフレが進む中、実質賃金がなかなか増えないこともあって、条件の良くないマンションの売れ行きは鈍化しているという声も聞かれます。築年数が古く、立地や管理状態が良好ではないマンションについては、早期売却も検討しましょう。

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