不動産買取 注意点
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不動産買取の注意点は?よくあるトラブルや対処法まとめ

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 不動産買取は不動産会社が直接買主になるため早く確実に売れる一方、価格は仲介相場の7〜9割程度になるのが一般的
  • 査定後の減額や想定外の費用請求といったトラブルを避けるには、複数社の査定を比較し、契約書の費用負担や引き渡し条件を確認したうえで、実績のある信頼できる業者に依頼することが大切

不動産の売却には、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つの方法があります。買取は早く確実に現金化できるのが魅力ですが、仲介とは仕組みが違うため、知らずに進めると価格や契約の面で思わぬ不利益を被ることもあります。

この記事では、不動産買取で失敗しないための注意点を7つに整理したうえで、実際に起こりやすいトラブルとその回避策、悪質な買取業者を見分けるポイント、信頼できる業者の選び方を解説します。

不動産買取で失敗しないための7つの注意点

不動産買取は、不動産会社が買主になるため、仲介にはない特徴と注意点があります。価格の仕組みから契約の決まりごとまで、事前に押さえておきたい7つのポイントを順に見ていきましょう。

1. 買取価格は仲介相場の7〜9割程度になるのが一般的

買取の最大の注意点は、買取価格が仲介で売る場合の相場より安くなりやすいことです。買取価格は仲介相場の7〜9割程度になるのが一般的で、物件の状態や立地によってはそれ以下になることもあります。

安くなる理由は、不動産会社が買い取った物件をリフォームやリノベーションしたうえで再販し、その差額で利益を出すという買取再販業の仕組みにあります。その反面、仲介による売却と異なり、買主を探す期間が不要で仲介手数料もかからず、内見対応や値下げ交渉の手間もありません。

2. 即時買取と買取保証の違いを理解する

不動産買取には、大きく分けて「即時買取」と「売却保証(買取保証)」の2つの方式があります。

即時買取は、不動産会社が提示した買取価格に合意後、すぐに売買契約を結んで不動産を引き渡す方式です。早ければ数週間で現金化でき、住み替えの資金を急いで用意したい場合や相続した物件を早く処分したい場合などに向いています。

対して、売却保証は一定期間は仲介で買主を探し、期限までに売れなければあらかじめ取り決めた価格で不動産会社が買い取る方式です。まずは市場価格での売却を目指せるため、即時買取より高く売れる可能性がある一方、売却までに一定の時間がかかります。期限までに売れないリスクに備えつつ、少しでも高く売りたい場合に向いています。

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3. 住宅ローン残債を確認する

住宅ローンが残っている物件を売却するには、引き渡しまでにローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。買取価格がローン残債を上回っていれば売却代金で完済できますが、買取価格のほうが低いオーバーローンの状態では、不足分を自己資金で補わなければ売却できません。

買取は仲介より価格が安くなる分、オーバーローンになりやすい点に注意が必要です。金融機関から残高証明を取り寄せ、契約前に買取価格から諸費用を差し引いた手取りで完済できるかどうか必ず確認しておきましょう。

不足分を用意できない場合は、住み替えローンの利用や金融機関の同意を得て売却する「任意売却」といった方法を検討することになります。

4. 買取でも税金や諸費用がかかる

買取は仲介手数料がかからないため費用が安いと思われがちですが、税金や登記費用などは仲介と同じようにかかります。主な費用をまとめると次のようになります。

費用の種類内容と目安
印紙税売買契約書に貼る収入印紙。契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら1万円(軽減措置適用時)
抵当権抹消の登記費用登録免許税は不動産1件につき1,000円。司法書士に依頼する場合は報酬が別途1〜2万円程度
譲渡所得税・住民税売却益が出た場合に課税。居住用なら3,000万円特別控除などの特例あり
測量費用境界が確定していない土地や戸建てで必要になることがある。数十万円かかることも
残置物の処分費用家具や家電を残す場合、処分費用を買取価格から差し引かれたり、別途請求されたりすることがある

測量費用や残置物の処分費用については、買取業者が負担してくれることもあります。ただし、業者が手配する場合はその費用が買取価格から差し引かれる形になることが多く、自身で測量会社や処分業者を手配するより割高になるのが通例です。

5. 契約後の「クーリングオフ」は原則不可

不動産取引のクーリングオフは、宅地建物取引業者が売主となって一般の買主に売る場合に、買主を守るために設けられた制度です。買取では不動産会社が買主、個人が売主という立場になるため、売主である個人にクーリングオフは適用されません。

売買契約を結んだあとに「やはり売るのをやめたい」と思っても、無条件で契約を解除することはできません。契約書に手付解除の定めがあれば、受け取った手付金の倍額を返すことで解除できる場合もありますが、相手方が引き渡しの準備など契約の履行に着手した後は、それも難しくなります。

買取は契約から引き渡しまでの期間が短いため、後戻りできる余地も小さいと考えておくべきでしょう。

6. 買取業者によって得意な物件種別が異なる

買取業者は、それぞれ得意とする物件の種類や地域があります。マンションの買い取りと再販を専門にしている買取業者もあれば、戸建てや土地に強い業者、投資用物件を中心に扱う業者もあります。

得意分野の物件であれば、再販のノウハウがある分、高い買取価格を提示される可能性もありますが、不得意な物件だとリスクを見込んで価格が低くなったり、そもそも買い取ってもらえないこともあります。

7. 買取できない物件もある

不動産会社は買い取った物件を再販することで利益を得るため、再販の見込みが立たない物件は買取を断られることがあります。建築基準法に適合していない違法建築や道路に接していないため建て替えができない再建築不可の土地、地盤や擁壁に問題がある物件、極端に交通の便が悪い立地の物件などがその例です。

また、事故や事件があった物件や境界が確定できない土地、権利関係が複雑な共有物件なども、買取に消極的な会社が多くなります。こうした物件でも専門に扱う買取業者はあるため、1社に断られたからといって諦める必要はありませんが、通常の物件より買取価格は低くなることを覚悟しておきましょう。

・「再建築不可物件」に関する記事はこちら
再建築不可物件は売却が難しい?詳細とメリット・デメリットを解説

不動産買取でよくあるトラブル事例と回避策

不動産買取 トラブル事例

買取は仲介より手続きが単純な分、トラブルが少ないと思われがちですが、価格や費用をめぐる問題は少なくありません。ここでは、よくあるトラブル事例とそれぞれの回避策を紹介します。

相場よりも極端に安い金額で買い取られた

買取価格は仲介相場の7〜9割程度が目安ですが、買取業者によっては半額近い価格が提示されることもあります。1社だけの査定で売却を決めてしまうと、後から相場を知って大幅に安く売ったことに気づいても取り返しがつきません。

回避策は、複数の会社に査定を依頼して価格を比較することです。あわせて、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や不動産ポータルサイトで周辺の成約価格や売り出し価格を調べ、仲介で売った場合の相場を自分でも把握しておきましょう。相場を知っていれば、提示された買取価格が妥当かどうかを判断できます。

査定時より買取価格を下げられる

最初の査定では高い価格を提示しておきながら、現地調査や契約直前の段階で「建物の傷みが想定より大きい」などの理由をつけて大幅な減額を求めてくる可能性もゼロではありません。すでに引っ越しの準備を進めていたり、住み替え先の契約を済ませていたりすると、減額を受け入れざるを得なくなるおそれもあります。

簡易査定と詳細な調査・査定の後で価格が変わること自体は珍しくありませんが、根拠のない大幅な減額は悪質です。査定の段階で、現地調査後に価格が変わる可能性や変わる場合の理由を確認しておきましょう。

想定外の費用を請求された

残置物の処分費用や測量費用、ハウスクリーニング費用など、想定外の費用を契約時や引き渡し時に請求される可能性もあります。単に行き違いから生じることもあれば、あえて説明を省いて後から請求してくる悪質なケースもありますが、いずれにしても手取りが想定より減ってしまう点は同じです。

契約時点で、売主が負担しなければならない費用や契約不適合責任の扱いは必ず確認しておくようにしましょう。

小切手での支払いを要求された

買取金額の支払い方法についても留意しておきましょう。小切手は換金までに時間がかかるうえ、種類や記載事項、振出人の口座残高などによっては、代金を受け取れないリスクがあります。

また電子化に伴い、紙の手形・小切手は廃止に向かっています。全国銀行協会は2026年度末までに電子交換所での手形・小切手の交換枚数をゼロにする目標を掲げ、2027年3月末で交換を廃止することを決めています。これに先立って小切手の受け入れを終了する金融機関も出ており、今後は受け取った小切手を自分の銀行で現金化できない事態も考えられます。

売主に比較や検討の時間を与えないのは、他社と比べられると不利になることを自覚しているか、自社や担当者のノルマを優先しているため不動産の売買代金の決済は、銀行振込が原則です。小切手での支払いを提案された場合は、基本的には応じず、理由を確認したうえで振込に変更してもらいましょう。決済方法は契約書に明記してもらい、振込先と入金確認の手順を事前に打ち合わせておくと安心です。

悪質な不動産買取業者を見分ける5つのポイント

不動産買取業者の多くは誠実に営業していますが、残念ながら、中には売主の知識不足につけ込む悪質な業者もあります。契約前に次の5つの点を確認するようにしましょう。

1.相場より極端に高い査定額を提示してくる

買取は再販を前提にした取引のため、相場を大きく上回る価格で買い取れる合理的な理由はほとんどありません。

それでも他社より明らかに高い査定額を提示してくる業者は、まず契約を取り付けて、後から理由をつけて減額しようとしている可能性があります。飛び抜けて高い査定額には、その根拠を必ず確認し、明確な説明がなければ警戒すべきでしょう。

2.契約を急かし、考える時間を与えない

「今日中に決めてもらえればこの価格で」「今月中なら諸費用もこちらで負担する」などと期限を切って即決を迫る業者にも注意が必要です。

売主に比較や検討の時間を与えないのは、他社と比べられると不利になることを自覚しているか、自社や担当者のノルマを優先しているためと考えられます。

3.査定額の根拠や費用の内訳を説明しない

査定額がどのように算出されたのか、買取価格からどのような費用が差し引かれるのかを明確にしない業者は避けたほうが無難です。

誠実な会社であれば、周辺の取引事例や物件の状態をどう評価したかなど、査定額の根拠を分かりやすく説明してくれます。売主が負担する費用の内訳についても、こちらから尋ねるまでもなく、契約前の段階で自ら示してくれるものです。

4.宅地建物取引業の免許番号が確認できない

不動産の売買を業として行うには宅地建物取引業の免許が必要で、免許を持つ会社は名刺やウェブサイト、事務所に免許番号を表示しています。免許番号が見当たらない、尋ねても答えないという場合は、無免許営業の可能性があります。

免許番号は国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で照会でき、行政処分の履歴も確認できます。免許番号のカッコ内の数字は更新回数を表し、数字が大きいほど営業年数が長いことを示します。

5.担当者の対応に誠実さがない

質問しても回答がなかなか返ってこなかったり、説明が曖昧で言うことが毎回変わったりする担当者には注意が必要です。こちらの事情を聞かないまま話を進めようとする姿勢も、契約後のトラブルにつながりやすい兆候といえます。

少しでも不安を感じたら、契約を急がず、他社の対応と比べてみるなど一度立ち止まって判断することをおすすめします。

トラブルを避けるための不動産買取業者の選び方

不動産買取における注意点やトラブルの多くは、依頼先の選び方で防げます。買取を検討する際に押さえておきたい業者選びのポイントを3つにまとめます。

複数社に査定を依頼し比較する

買取価格は業者によって異なるため、1社の査定だけで決めるのは避けましょう。

複数社に査定を依頼し、価格だけでなく、査定額の根拠や費用の負担区分、引き渡しまでのスケジュール、担当者の対応まで含めて比較することが大切です。複数の査定額を並べれば相場感がつかめ、極端に高い、あるいは安い提示にも気づきやすくなります。

買取実績が豊富で信頼できる大手企業を選ぶ

買取実績が多い会社は、物件の評価や再販のノウハウが蓄積されているため、適正な価格が提示されやすく、契約後の減額や追加費用といったトラブルも起こりにくい傾向にあります。とくに大手の不動産会社は、コンプライアンスの体制が整っており、契約書の内容や決済の手続きも標準化されています。

また、仲介と買取の両方を手がける会社であれば、即時買取か売却保証か、あるいは仲介で売るべきかなど、売主の事情に合わせて提案してもらえます。買取ありきではなく、売却方法そのものから相談できる会社を選ぶことが納得のいく売却につながります。

契約書の内容を隅々まで確認する

売買契約書の内容は買取業者に任せきりにせず、自分でもよく確認するようにしましょう。とくに見ておきたいのは、買取価格と決済方法、引き渡しの時期と条件、残置物や測量などの費用負担、契約不適合責任の免責範囲、手付解除の条件です。

分からない箇所は契約前に質問し、口頭で聞いた内容が契約書に反映されているかを確かめてください。買取の場合、宅地建物取引士による重要事項説明は義務づけられていませんが、信頼できる会社であれば求めれば契約内容を丁寧に説明してくれるはずです。

・「売買契約」に関する記事はこちら
不動産の売買契約とは?簡単にわかりやすく解説!

注意点を認識し、信頼できる業者に買い取ってもらおう

不動産買取は、早く確実に売却できる一方で、価格が仲介相場より安くなるという特徴があります。ローン残債や諸費用を確認し、即時買取と買取保証のどちらが自分の事情に合うかを見極めたうえで進めることが大切です。

査定後の減額や想定外の費用請求といったトラブルは、複数社の査定を比較し、契約書の内容を確認することで多くを防げます。東急リバブルでは、仲介と買取の両方をお取り扱いしており、お客様の状況に合わせた売却方法をご提案しています。買取をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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この記事のポイント

不動産買取の注意点は?

買取価格が仲介相場の7〜9割程度になることや、税金や登記費用などの諸費用がかかることなどが主な注意点です。

詳しくは「不動産買取で失敗しないための7つの注意点」をご覧ください。

即時買取と買取保証の違いは?

即時買取は提示価格で合意すればすぐに売買契約を結んで現金化できる方式で、買取保証は一定期間仲介で買主を探し、売れなければ取り決めた価格で買い取ってもらう方式です。早さを優先するなら即時買取、少しでも高く売りたいなら買取保証が向いています。

詳しくは「不動産買取で失敗しないための7つの注意点」をご覧ください。

不動産買取でよくあるトラブルは?

査定時より買取価格を減額される、残置物の処分費用や測量費用を後から請求される、などのトラブルが代表的です。契約前に減額の可能性や費用の負担区分、決済方法を書面で確認しておくことで多くのトラブルは防げます。

詳しくは「不動産買取でよくあるトラブル事例と回避策」をご覧ください。

悪質な買取業者の見分け方は?

相場より極端に高い査定額を提示したり、契約を急かしてくるような買取業者には注意が必要です。

詳しくは「悪質な不動産買取業者を見分ける5つのポイント」をご覧ください。

信頼できる買取業者の選び方は?

複数社に査定を依頼して価格と根拠を比較し、買取実績が豊富で仲介と買取の両方から提案できる会社を選ぶのが基本です。契約書の費用負担や引き渡し条件、契約不適合責任の免責範囲などもよく確認しましょう。

詳しくは「トラブルを避けるための不動産買取業者の選び方」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

買取を検討する方の多くは、早く売りたい事情を抱えています。ただ、急いでいるときほど、目の前の提示額に飛びつきたくなるものです。買取価格は会社によって数百万円の差が出ることも珍しくないので、どんなに急いでいても複数社の査定を並べる時間だけは確保してください。そのうえで、価格の根拠と費用の負担区分を説明できる会社を選べば、大きな失敗は避けられます。早さと納得は両立できます。

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