パート住宅ローン
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パートでも住宅ローンは組めるか?ペアローンやフラット35、審査についても解説

執筆者プロフィール

辻本 剛士
辻本剛士
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー1級

1984年8月3日生まれ、神戸・辻本FP合同会社代表。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。
https://kobe-okanesoudan.com/

ざっくり要約!

  • パートでも住宅ローンの申し込みはできるが、審査が通るのは難しい
  • パート勤務の方でも比較的利用しやすい住宅ローンは「フラット35」

パートで働いている方のなかには「パートでも住宅ローンは組めるのだろうか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。一般的に、パート勤務は正社員と比べて安定性が低いと判断されやすく、審査に通るのは難しいといわれています。

とはいえ、適切な準備や工夫をすれば、パートでも住宅ローンを組める可能性は十分にあります。

この記事では、パートの方が住宅ローン審査で不利になりやすい理由と、審査通過のために実践できる対策を解説します。パートでも利用できる住宅ローンについても紹介するため、住宅ローンを検討中のパートの方はぜひ参考にしてください。

パートでも住宅ローンを借りられる?

パートでも住宅ローンを借りられる?

パートで働いていても住宅ローンを借りられる可能性はゼロではありません。ただし、すべての方が利用できるわけではなく、審査に落ちてしまうケースも多いです。

ここからは、パート勤務の方が住宅ローン審査で厳しい評価を受けやすい理由をみていきます。

パートは住宅ローン審査が厳しい

パートでも住宅ローンの申し込みはできますが、審査を通るのは難しいといわれています。その背景には次のような理由が挙げられます。

  • 収入水準が少ないことが多い
  • 正社員に比べて収入が上がる機会が少ない
  • 雇用が安定していない

パート勤務の場合、勤務時間やシフトの関係で年間収入が正社員より低くなりやすく、さらに賞与が支給されないケースも少なくありません。

その結果、借入希望額に対して返済負担率が高くなりやすく、審査に不利となる可能性があります。

また、昇給の機会も限られており、正社員のように収入が増えるペースを期待しにくいのも現状です。

加えて、雇用の安定性が低いと見られやすい点も審査が厳しくなる要因のひとつといえるでしょう。例えば、企業が人員削減を行う際には、正社員よりもパートの方のほうが先に対象となる傾向があります。

申し込みできない住宅ローンもある

住宅ローンを組む際にはいくつかの条件が設けられており、要件を満たしていない場合は審査の申し込み自体ができない場合があります。

実際の申込要件は金融機関ごとに異なり「前年度の年収が300万円以上」や「正社員・契約社員であること」といった基準が設けられています。こうした場合、正社員や契約社員以外の申し込みを受け付けていないため、パートの方はそもそも対象外となってしまいます。

そのため、パートとして住宅ローンを検討する際は、まず申し込み可能な金融機関を把握することが欠かせません。

条件を踏まえて十分に情報収集しておきましょう。

パートのローン審査でチェックされるポイント

パートのローン審査でチェックされるポイント

ここからは、住宅ローンの審査でどのような点がチェックされるのかを整理していきます。重視される主な項目は以下のとおりです。

項目概要
完済時年齢高齢になるほど返済能力に不安があると見られる
借入時年齢借り入れを開始する年齢が若いほど返済期間を長く設定しやすい
年収年収が高いほど借入可能額も増えやすい
勤続年数勤務年数が長いほど収入の安定性が評価されやすい
返済負担率年収に対して返済額が占める割合が高すぎると生活への負担が大きいと判断される

これらに加えて個人信用情報もチェックされます。延滞や債務整理といった履歴が確認されれば、審査で不利になる可能性も高まるでしょう。

また、物件の評価額も審査項目のひとつです。

評価額が希望融資額よりも低い場合は、その差額分については自己資金で補う必要があり、希望通りの借入は難しくなります。

なお、審査基準は金融機関ごとで異なり、具体的な基準は公表されていません。そのため、最終的な審査結果は申し込んでみないと分からない点に注意が必要です。

パートが住宅ローン審査を通過するためにすべきこと5つ

パートが住宅ローン審査を通過するためにすべきこと5つ

パートの方が住宅ローン審査を通過するためには、あらかじめ取り組んでおきたいポイントがあります。ここでは、審査に有効とされる以下の5つ方法を紹介します。

  • 頭金を増やす
  • ほかの借入がある場合は返済する
  • 信用情報が傷つかないように注意する
  • 借入希望額を減らす
  • 夫婦ならペアローンや収入合算も検討する

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

頭金を増やす

住宅ローンの審査では、頭金をできるだけ多く準備しておくことが重要です。

頭金を多く用意できれば借入額を抑えられ、毎月の返済負担も軽減できます。

その結果、返済負担率が下がり、審査に通りやすくなります。

ほかにも頭金を準備することで以下のような効果が期待できるでしょう。

  • 金利が優遇されることがある
  • 総返済額を抑えられる
  • 計画的に貯金ができると評価される

まとまった頭金を入れることで、金利の優遇措置を受けられるケースがあり、利息の軽減効果が期待できます。また、頭金部分には利息がかからないため、総返済額の削減にもつながるでしょう。

なお、一般的に頭金は購入金額の20%程度が理想とされており、例えば3,000万円の物件であれば、600万円ほどの自己資金を準備しておくことが望ましいとされています。

きちんと頭金を準備するためにも、日頃から生活費の見直しや、収入アップにも取り組んでおきましょう。

ほかの借入がある場合は返済する

住宅ローン以外の借り入れが残っていると、返済に支障をきたすと判断され、審査で不利になる可能性があります。そのため、可能なものはできる限り事前に完済しておくことが重要です。

例えば以下のような借り入れがある場合は、なるべく住宅ローンの申し込み前に完済しておきましょう。

  • 自動車ローン
  • カードローン
  • キャッシング
  • 教育ローン

特に金利の高い借り入れは利息負担が大きいため、優先的に完済しておけば利息の軽減にもつながります。

信用情報が傷つかないように注意する

住宅ローン審査では必ず信用情報が確認されるため、信用に傷がつかないよう注意することが大切です。クレジットカードやキャッシングの返済で延滞があると、審査の通過は難しくなります。

また、意外と見落とされやすいのがスマートフォン本体の分割払いです。支払いが遅れたり滞納したりすると、信用情報機関に記録される可能性があるため注意しておきましょう。

信用情報には、これまでの借入履歴や返済状況、金融事故の有無などが記録されており、以下の3つの信用情報機関を通して金融機関が照会します。

  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター
  • シー・アイ・シー(CIC)

これらの機関には本人でも情報開示を請求でき、自身の登録状況を確認することが可能です。「過去に事故情報が登録されていないか」と不安な場合は、一度確認してみると安心です。

借入希望額を減らす

住宅ローンを組む際には、借入額を抑えることも重要です。借入額が少ないほど返済負担率が下がり、審査でも有利に働きます。反対に返済負担率が高いと「家計を圧迫する恐れがある」と判断され、審査に通りにくくなります。

返済負担率(返済比率)とは「年収に占める年間返済額の割合」のことで、一般的に25〜35%以内に抑えるのが望ましいとされています。

返済負担率の計算式は以下のとおりです。

【返済負担率の計算式】
年間のローン返済額 ÷ 年収 × 100

例えば、年収が300万円の方が年間返済額を150万円とした場合、返済負担率は50%に達します。これでは基準を大きく超えているため、審査に通過するのは難しくなるでしょう。

そこで借入額を減らして年間返済額を抑えることで、返済負担率を下げられ、審査を有利に進めていくことができます。

夫婦ならペアローンや収入合算も検討する

夫婦で共働きの場合は、それぞれが債務者となる「ペアローン」や、夫婦の収入を合算して審査を受ける「収入合算」という方法を利用できます。

どちらも合算した金額をもとに審査が行われるため、単独では難しいケースでも審査に通りやすくなります。

ペアローンと収入合算のメリット・デメリットを以下の表でまとめました。

メリットデメリット
ペアローン
  • 双方の収入を活用でき高額の借入が可能
  • 双方で団信に加入できる
  • 双方とも住宅ローン控除の対象
  • 事務手数料や登記費用が倍かかる
  • 片方が亡くなっても、もう一方の返済は続く
収入合算
  • 単独では難しい借入額にも届きやすい
  • ローン契約にかかる費用が1本で済む
  • 団信加入は原則主債務者のみ
  • 連帯保証型では住宅ローン控除の適用は主債務者のみ

パート収入がそこまで多くない場合は収入合算が向いているケースが多いです。パート収入を加えることで借入可能額を増やしつつ、契約は1本で済むため諸費用を抑えられます。

一方で、パート収入が比較的多い場合はペアローンを利用し、それぞれ住宅ローン控除を受けられる方がメリットになるケースもあります。どちらを選ぶかは、家庭の収入バランスや返済計画を考慮して慎重に判断しましょう。

パートでも借りられる可能性がある住宅ローン

パートでも借りられる可能性がある住宅ローン

パート勤務の方でも比較的利用しやすい住宅ローンとして知られているのが「フラット35」です。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱う長期固定金利のローンで、一般の銀行よりも審査条件がやや緩やかとされています。

フラット35の主な申込要件は以下のとおりです。

  • 申込時の年齢が満70歳未満であること
  • 日本国籍を持つ方、または永住許可・特別永住者であること

このように、一般的な金融機関と比べて申し込みのハードルが低く、一定以上の年収があれば雇用形態に関係なく申し込みが可能です。加えてフラット35の審査では、雇用形態よりも「返済負担率」が重視されており、その基準は以下のとおりです。

年収400万円未満400万円以上
基準返済負担率:30%以下返済負担率:35%以下
出典:【フラット35】ご利用条件|住宅金融支援機構

上記のように、年収が400万円未満の場合、返済負担率が30%以下であれば基準を満たすことになります。

とはいえ、審査はあくまで総合的に判断されます。そのため、フラット35であっても、信用情報の内容や、他の借り入れ状況によっては審査に落ちる可能性がある点を理解しておきましょう。

パートが住宅ローンを組む際の注意点

パートが住宅ローンを組む際の注意点

パートで住宅ローンを組む際には、あらかじめ気をつけておきたいポイントがいくつかあります。返済を長期的に続けていくためにも、以下のポイントをきちんと押さえておくことが大事です。

  • 余裕のある返済計画を立てる
  • 当面の生活費は確保しておく
  • 諸費用が発生することも考慮しておく

それぞれのポイントについて詳しくみていきます。

余裕のある返済計画を立てる

住宅ローンは長期間にわたって返済していくものです。

その間には予想外のことが起こる可能性もあるため、余裕を持った返済計画を立てておくことが大切です。

前述のとおり、返済負担率の目安は25〜35%以内が目安と紹介しました。しかし、資産状況や家族構成によっては、それよりも低く抑えた方が安心なケースもあります。こうした数値を参考にしつつ、自身の家計状況にあった返済プランを見つけてください。

その際は、ファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に相談するのも有効です。第三者の視点からアドバイスを受けることで、より現実的で安全な返済プランを提案してもらえるでしょう。

当面の生活費は確保しておく

頭金を多めに入れることで、住宅ローンの審査を有利に進められます。とはいえ、すべてを頭金に充ててしまうのは危険です。急な出費や予期せぬ出来事に備えて、当面の生活費は手元に残しておきましょう。

想定される急な出費として以下のようなものが挙げられます。

  • 医療費の負担
  • 車の修理や買い替え
  • 家電の故障
  • 転職や収入減少
  • 大学の入学金

手元に残すべき資金の目安は、生活費の半年分程度とされています。これだけあれば不測の事態にも対応しやすいでしょう。

例えば、毎月の生活費が30万円の家庭であれば、180万円程度は手元に確保しておくと安心です。

諸費用が発生することも考慮しておく

住宅ローンを利用する際は、物件の購入代金以外にもさまざまな諸費用が発生します。これらの費用は数十万円規模になることも多いため、あらかじめ考慮しておくことが大切です。

主な諸費用は以下のとおりです。

諸費用概要
ローン手数料金融機関に支払う住宅ローン契約にかかる手数料
ローン保証料保証会社に保証を依頼する場合に必要となる費用
印紙税住宅ローン契約書などの文書に貼付する印紙代
火災保険・地震保険購入した住宅に万一の災害が発生した際に備える保険料
登記費用所有権移転や抵当権設定など登記にかかる費用

こうした諸費用総額は、借入額の3〜8%程度が目安とされています。

例えば3,000万円の物件を購入する場合、90〜240万円程度の諸費用が必要になると考えておくとよいでしょう。

まとめ

パートで働いていても、住宅ローンを借りられる可能性はゼロではありません。ただし、収入水準の低さや雇用の不安定さから、審査が厳しくなるのが実情です。

そのような中でも比較的利用しやすいローンとして「フラット35」があります。雇用形態に関係なく申し込みができるため、候補として検討してみる価値があるでしょう。

また、住宅ローンは長期にわたる返済が前提となるため、余裕のある返済計画を立て、当面の生活費をきちんと確保しておくことが重要です。無理のない範囲で借り入れを行い、安心して返済を続けられるプランを選びましょう。

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この記事のポイント

パートで住宅ローンを組む際のポイントは?

パートの方が住宅ローン審査を通過するためには、あらかじめ取り組んでおきたいポイントがあります。

  • 頭金を増やす
  • ほかの借入がある場合は返済する
  • 信用情報が傷つかないように注意する
  • 借入希望額を減らす
  • 夫婦ならペアローンや収入合算も検討する

詳しくは「パートが住宅ローン審査を通過するためにすべきこと5つ」をご覧ください。

パートでも借りられる可能性がある住宅ローンは?

パート勤務の方でも比較的利用しやすい住宅ローンとして知られているのが「フラット35」です。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱う長期固定金利のローンで、一般の銀行よりも審査条件がやや緩やかとされています。

詳しくは「パートでも借りられる可能性がある住宅ローン」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

辻本 剛士

無理のない借入金額を把握するためには、自分だけで判断するのではなく、金融機関の住宅ローン窓口やファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することが大切です。専門家に相談することで、年収や支出状況、今後のライフイベントを踏まえた現実的なシミュレーションを行ってもらえるため、自分では気づきにくいリスクや改善点を見直すことができるでしょう。

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