ざっくり要約!
- 頭金なし・金利1%・元利均等・全期間固定で4,000万円の住宅ローンを35年で返済する場合、月々の返済額は約11万3,000円
- 頭金1000万円・金利1%・元利均等・全期間固定で4,000万円の住宅ローンを35年で返済する場合、月々の返済額は約8万5,000円
マイホームの購入を検討している方のなかには「本当に返済を続けられるのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンは金額や借入期間によって月々の返済額が大きく変わるため、事前に無理のない返済かどうかをシミュレーションしておくことが重要です。
この記事では、住宅ローンの具体的な返済額の比較はもちろん、返済方式や仕組み、月々の負担を軽減する方法についても解説します。無理のない返済計画を立てるための参考にしてください。
記事サマリー
4000万円の35年ローンを組む際に理解しておきたい金利・返済方式

4,000万円の住宅ローンを35年で返済する場合、設定する条件によって月々の返済額は変わってきます。
では、具体的にどのような条件によって返済額に差が生じるのでしょうか。
ここからは、ローン返済における基本的な仕組みとして「金利の種類」と「返済方法」についてみていきましょう。
固定金利と変動金利とは
住宅ローンの金利は、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。
固定金利は、返済期間中の金利が一定のまま変わらないタイプで「固定金利選択型」と「全期間固定型」の2種類に分けられます。金利が変わらないため、返済計画が立てやすいのが特徴です。
一方、変動金利は返済期間中に市場の金利動向に応じて利率が変わるタイプです。金利が下がれば返済額も抑えられますが、将来的に金利が上昇すれば返済負担が増えるリスクもあります。
以下がそれぞれの特徴やメリット・デメリットになります。
| 固定金利 | 変動金利 | |
| 金利の特徴 | 一定期間または完済まで金利が変わらない | 市場金利に応じて定期的に見直される |
| メリット |
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| デメリット |
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| 向いている人 | 長期的に安定した返済を希望する人 | 当面の返済負担を軽くしたい人 |
このように、それぞれの仕組みや特性を理解したうえで、自身のライフプランやリスク許容度に合った金利タイプを選ぶことが重要です。
元利均等返済と元金均等返済とは
住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。
元利均等返済は、月々の返済額が一定になる方法で、返済初期は利息の割合が大きく、徐々に元金の割合が増えていく仕組みです。家計管理がしやすく、多くの方に選ばれている返済方法です。
一方、元金均等返済は毎月の元金の返済額が一定で、これに加えて利息が加算される方式です。
初期の返済額は高くなりますが、返済が進むにつれて支払額が徐々に減っていくため、トータルの支払利息を抑えられます。
以下が双方の違いをまとめた比較表になります。
| 元利均等返済 | 元金均等返済 | |
| 特徴 | 毎月の返済額(元金+利息)が一定 | 毎月の元金の額が一定 |
| 初期の返済額 | 比較的低く安定している | 返済額が高めで負担が重く感じられることがある |
| 利息総額 | 多くなりやすい | 元利均等返済よりも少なく済む |
| 向いている人 | 家計の管理をしやすくしたい人 | 将来的に返済負担を軽くしたい人 |
このように、元利均等返済と元金均等返済では返済の仕組みが大きく異なります。具体的な返済額の差については、次項でシミュレーションを交えて詳しくみていきます。
【パターン別】4000万円の35年ローンの月々の返済額

住宅ローンの月々の返済額や最終的な総返済額は、金利の種類や返済方法によって大きく変わります。そのため、条件ごとの違いをあらかじめ把握しておくことが、無理のない資金計画を立てるうえで重要です。
ここでは、代表的なケースをいくつか取り上げ、シミュレーションを通じて月々の返済額がどのように変化するのかを確認していきます。
頭金なし・元利均等・全期間固定
まずは頭金を用意せずに4,000万円を「元利均等返済」で借りた場合の月々の返済額をみていきます。
借入条件は以下のとおりです。
【借入条件】
- 頭金:なし
- 借入額:4,000万円
- 金利:1%
- 返済期間:35年
- 返済方法:元利均等
【返済額の試算結果】
| 金額 | |
| 毎月の返済額 | 約11万3,000円 |
| 総返済額 | 約4,740万円 |
総返済額はおよそ4,740万円となり、約740万円が利息分という計算になります。
元利均等返済は月々の返済額が一定のため、家計管理がしやすい一方で、総返済額はやや多くなる傾向があります。
頭金なし・元金均等・全期間固定
続いては4,000万円を「元金均等返済」で借りた場合の月々の返済額をみていきます。
借入条件は以下のとおりです。
【借入条件】
- 頭金:なし
- 借入額:4,000万円
- 金利:1%
- 返済期間:35年
- 返済方法:元金均等
【返済額の試算結果】
| 金額 | |
| 毎月の返済額 | 約12万8,000円 |
| 総返済額 | 約4,700万円 |
このシミュレーションでは総返済額は約4,700万円となり、利息の負担は約700万円です。
元金均等返済は、返済初期の負担はやや大きいものの、トータルの支払利息を抑えられる点がメリットです。
無理のない返済が可能であれば、長期的にみて有利な返済方法ともいえるでしょう。
頭金1000万円・元利均等・全期間固定
3つ目は、4,000万円のうち1,000万円を頭金として支払い、残りの3,000万円を元利均等返済で借りた場合のシミュレーションです。頭金を入れることで借入額が減るため、月々の返済額や総返済額も軽減されます。
借入条件は以下のとおりです。
【借入条件】
- 頭金:1,000万円
- 借入額:3,000万円
- 金利:1%
- 返済期間:35年
返済方法:元利均等
【返済額の試算結果】
| 金額 | |
| 毎月の返済額 | 約8万5,000円 |
| 総返済額 | 約3,560万円 |
総返済額は約3,560万円となります。利息負担は約560万円という結果です。
まとまった頭金を用意できれば、月々の返済負担だけでなく総支払額も抑えられ、家計の安定につながります。
資金に余裕がある場合は、頭金の活用も有効な選択肢となるでしょう。
| ・「住宅ローンの月々の返済額」に関する記事はこちら 住宅ローンの月々の返済額はどのくらい?【シミュレーション付】 |
4000万円の35年ローンを組むときに意識すべきポイント

住宅ローンを組む際に「借りられるかどうか」だけでなく「きちんと返し続けられるか」を考えることが大切です。返済計画に無理があると、後々の生活を圧迫する要因になってしまいます。
ここでは、ローン契約をする前に知っておきたい3つのポイントについて解説していきます。
年収倍率
住宅ローンを検討する際に重要な指標のひとつが「年収倍率」です。
これは、住宅購入価格が年収の何倍に相当するかを示すもので、購入金額と年収とのバランスを客観的に判断するために使われます。
現在の年収倍率の全国平均はおおよそ7倍程度とされていますが、一般的に8倍を超えるとリスクが高まるとされています。
無理のない返済を目指すのであれば、年収倍率を5〜6倍程度に抑えると安心です。この水準であれば、金融機関としても無理のない返済とみなされ、融資も通りやすくなるでしょう。
たとえば、年収500万円の方が年収倍率6倍で住宅を購入する場合、購入価格は3,000万円となります。
以下に年収500万円に対する年収倍率ごとの住宅購入価格をまとめました。
| 年収倍率 | 購入価格の目安 |
| 5倍 | 2,500万円 |
| 7倍 | 3,500万円 |
| 10倍 | 5,000万円 |
住宅ローンは長期間にわたる契約となるため、将来の支出やライフプランを見据えた無理のない借入額を設定しましょう。
・「住宅ローン 年収」に関する記事はこちら
住宅ローンは年収の何倍が理想なのか?借入可能額と返済可能額の違いとは
出典:2023年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
返済負担率
住宅ローンを検討するうえで欠かせない指標のひとつが「返済負担率」です。
これは、年収に占める年間のローン返済額の割合を示すもので、無理のない返済計画を立てるうえでの重要な目安となります。
金融機関によって審査基準は異なりますが、一般的には以下のような独自基準が採用されていることが多いようです。
- 年収400万円未満:返済負担率30%以下
- 年収400万円以上:返済負担率35%以下
ただし、将来的な支出や生活の安定を考えると、返済負担率は20〜25%程度に抑えるのが理想的です。
また、金利が上昇すれば月々の返済額も増えるため、返済負担率も上がる点に注意が必要です。
なお、教育ローンや自動車ローンなどの他の借入がある場合は、それらの年間返済額もすべて合算して返済負担率を計算する必要があります。
教育資金・老後資金との兼ね合い
住宅ローンの返済金額を見積もる際には、毎月のローン返済額だけでなく、固定資産税や都市計画税、マンションの場合は修繕積立金や管理費などの維持費も含めて考える必要があります。
また、住宅の購入と並行して将来発生する教育資金や老後資金の準備についても視野に入れておくことが重要です。
たとえば、進学先によっては、子ども1人にかかる教育費が1,000万円を超えることも珍しくありません。とくに大学進学後は教育費の負担が大きくなる傾向にあります。
さらに、物価上昇が続くなか、老後に必要とされる生活費や医療費も増えていく可能性があるでしょう。これらの将来的な支出を見越したうえで、無理のない返済計画を立てることが、長期的に安定した暮らしを実現するためのポイントとなります。
| ・「年収400万円の適切な住宅ローン借入額」に関する記事はこちら 年収400万円の適切な住宅ローン借入額はいくら?無理なく返済できる借入額を紹介 ・「年収600万円の適切な住宅ローン借入額」に関する記事はこちら 年収600万円の適正な住宅ローン借入額はいくら?無理なく返せる借入額を紹介 ・「年収800万円の適切な住宅ローン借入額」に関する記事はこちら 年収800万円の適正な住宅ローン借入額はいくら?頭金の目安と返済シミュレーションも紹介 |
4000万円の35年ローンで利用できる収入合算・ペアローン

単独名義で住宅ローンを組むのが難しい場合でも、夫婦で協力することで借入可能額を増やす方法があります。代表的な手段として「収入合算」や「ペアローン」が挙げられます。
それぞれに特徴や注意点があるため、仕組みを理解したうえで選ぶことが大切です。
ここからは、「ペアローン」と「収入合算」の違いや活用方法について詳しく解説します。
ペアローンとは
ペアローンとは、夫婦や親子など2人がそれぞれ住宅ローンを契約し、合計で1つの物件を取得する仕組みです。
この場合、双方が主債務者となり、互いに相手の連帯保証人になることが一般的です。
ローン契約が2本になるため、それぞれが住宅ローン控除を受けられるほか、団体信用生命保険(団信)にも個別に加入することができます。
ペアローンのメリット・デメリットは以下のとおりです。
| ペアローンのメリット | ペアローンのデメリット |
|
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ペアローンは双方で住宅ローン減税を受けられるため、それぞれ安定した収入が今後も続く場合は有効な選択肢となるでしょう。
・「ペアローン」に関する記事はこちら
ペアローンはデメリットが多い?後悔しないために知っておきたいこと
収入合算とは
収入合算とは、夫婦や親子など複数人の収入を合算して住宅ローンの審査を受ける方法です。
この制度には「連帯保証型」と「連帯債務型」の2つのタイプがあります。
連帯保証型は、主債務者がローンの名義人となり、合算者は連帯保証人としての立場になります。
一方、連帯債務型では、合算者も主債務者と同等の債務を負い、ローンの契約当事者として扱われます。
いずれもローン契約は1本となるため、ペアローンに比べて契約手数料や登記費用といった諸費用を抑えやすいのが特徴です。
収入合算のメリット・デメリットは以下のとおりです。
| 収入合算のメリット | 収入合算のデメリット |
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収入合算は、とくに共働きで収入差がある夫婦に向いている方法です。
収入の多い方を主債務者、少ない方を連帯保証人とすることで、借入可能額を増やしながら、契約手続きや諸費用は1本分に抑えることができます。また、主債務者が住宅ローン控除や団信の対象になるため、制度の恩恵も効率よく受けられるでしょう。
・「連帯保証」に関する記事はこちら
住宅ローンの連帯債務と連帯保証はどう違う?ペアローンとの違いも解説
4000万円の35年ローンの月々の返済を減らすコツ

住宅ローンを組むと、長期間にわたって毎月の返済が続くため、いかに無理なく返済を続けられるかが重要なポイントになります。
ここでは、月々の返済負担を軽減するために実践できる2つの方法について解説します。
繰り上げ返済する
住宅ローンの返済負担を軽くする方法のひとつが「繰り上げ返済」です。
これは毎月の決まった返済とは別に、任意の金額を元金に対して前倒しで返済する方法です。元金が減れば、その後の利息負担も軽くなります。
繰り上げ返済には以下の2種類があります。
| 期間短縮型 | 毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする方法 |
| 返済額軽減型 | 返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす方法 |
毎月の返済負担を軽くしたい場合は「返済額軽減型」を選ぶのが効果的です。
以下は、実際に返済額軽減型で繰り上げ返済を行った場合のシミュレーション例です。
【シミュレーション条件】
- 借入額:4,000万円
- 借入期間:35年
- 返済済み期間:10年
- 返済方法:元利均等返済
- 金利:1.0%
- 繰り上げ返済方法:返済額軽減型
繰り上げ金額:500万円
【繰り上げ後の返済額の変化】
| 金額 | |
|---|---|
| 繰り上げ前の返済額 | 約11万3,000円 |
| 繰り上げ後の返済額 | 約9万4,000円 |
| 利息の軽減額 | 約65万円 |
このように、繰り上げ返済をすることで月々の負担を約2万円近く軽減することが可能です。ただし、金融機関によっては手数料が発生することもあるため、あらかじめ手数料の有無や条件を確認しておきましょう。
・「繰り上げ返済」に関する記事はこちら
住宅ローンの繰り上げ返済で得するワザを公開!注意点も解説
住宅ローン減税を適用する
住宅ローンの返済負担を軽減する制度として活用したいのが「住宅ローン減税」です。
この制度は、一定の要件を満たす住宅ローンを利用して、住宅を取得・新築・増改築した場合に適用されます。
年末時点のローン残高(上限5,000万円)の0.7%が、最大13年間にわたり所得税から控除される仕組みです。
たとえば、年末時点でローン残高が3,000万円ある場合、年間で最大21万円(3,000万円×0.7%)が所得税から差し引かれることになります。この制度をうまく活用すれば税負担が軽減され、結果的にローン返済の実質的な負担を抑えることが可能です。
ただし、制度を利用するには主に以下の条件を満たす必要があります。
【住宅ローン減税の主な適用要件】
- 床面積が50㎡以上(または40㎡以上)
- 合計所得が2,000万円以下(または1,000万円以下)
- 引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に居住を開始していること
- 返済期間が10年以上ある住宅ローンであること
- 中古住宅の場合は1982年1月1日以降に建築された住宅、または耐震基準に適合していること
住宅ローン減税を受ける場合は、初年度に確定申告を行う必要があります。2年目以降は勤務先の年末調整で自動的に処理されることが一般的です。
まとめ
住宅ローンは、金利や返済期間、返済方法の違いによって月々の返済額が大きく変わります。そのため、ローンを組む前には複数のパターンで返済シミュレーションを行い、無理のない計画を立てることが大切です。
その際には、年収倍率や返済負担率といった指標も参考にすると、より現実的な資金計画が立てやすくなります。住宅ローンは長期にわたる契約となるため、将来的な家計への影響も見据えた判断が欠かせません。
住宅購入が資産形成を圧迫することのないよう、必要に応じてファイナンシャルプランナーなど専門家の意見を取り入れるのも1つの方法です。
この記事のポイント
- 4000万円の35年ローンの月々の返済額はいくら?
頭金なし、金利1%、全期間固定金利、元利均等返済の場合、毎月の返済額は約11万3,000円、総返済額は約4,740万円となります。
詳しくは「【パターン別】4000万円の35年ローンの月々の返済額」をご覧ください。
- 4000万円の35年ローンの月々の返済を減らすコツは?
住宅ローンの返済負担を軽減する制度として活用したいのが「住宅ローン減税」です。
この制度は、一定の要件を満たす住宅ローンを利用して、住宅を取得・新築・増改築した場合に適用されます。
年末時点のローン残高(上限5,000万円)の0.7%が、最大13年間にわたり所得税から控除される仕組みです。
詳しくは「4000万円の35年ローンの月々の返済を減らすコツ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
物価上昇の影響で、住宅価格も年々上昇傾向にあります。こうしたなかでも、ペアローンや収入合算を利用することで、収入条件に合わない物件の購入が可能になる場合があります。
とはいえ、将来のライフスタイルや収入変動も見据えて、無理のない予算設定が大切です。どちらか一方の収入に依存するローンはリスクが高いため、夫婦でしっかり相談してバランスの取れた予算を決めましょう。

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