夫婦で住宅ローン
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夫婦で住宅ローンを組む場合のメリット・デメリットは?審査や控除についても解説

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 夫と妻がそれぞれ一定以上の勤労所得を得ている場合、夫もしくは妻が単独で住宅ローンを組み持ち家を購入するケースや夫婦でペアローンを組むケース、収入合算するケースなどがある
  • 夫婦ともに安定した収入があり、かつ将来においても住宅ローン返済が負担にならない程度の収入見込みがある場合、ペアローンや収入合算は有力な選択肢となる

今や1200万世帯を超える共働き世帯。住宅購入に際し「夫婦で住宅ローンを組むこと」は珍しいケースではなくなりつつあります。

また、「ペアローン」に代表されるように、住宅ローンの選択肢も増えています。ここ数年、夫婦でどのように住宅購入資金を分担し、どのような住宅ローンを組むべきか悩む人も増えたのではないでしょうか。

今回は、夫婦で組む住宅ローンについてパターン別に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

【比較表】ペアローン・連帯債務・連帯保証・単独ローンの違いは?

ペアローン・連帯債務・連帯保証・単独ローンの違い

夫婦で住宅ローンを組む方法は、大きく4種類に分かれます。誰が債務者になるか、住宅ローン控除を二人で使えるか、誰が団体信用生命保険に加入できるかなどさまざまな点が異なります。

住宅ローン控除とは、年末のローン残高の一定割合が所得税や住民税から差し引かれる減税制度のことです。

団体信用生命保険(団信)は、返済中に契約者が死亡・高度障害など万が一の事態に陥った際、保険金によって借入残高が全額完済される生命保険を指します。

各借入方法の主な特徴は以下の通りとなります。


単独ローンペアローン収入合算 (連帯債務型)収入合算 (連帯保証型)
契約本数1本2本1本1本
債務者夫または妻の一方夫と妻それぞれ夫と妻の両方(主債務者+連帯債務者)夫または妻の一方(もう一方は連帯保証人)
物件の所有権債務者の単独名義夫婦の共有名義夫婦の共有名義原則、主債務者の単独名義
住宅ローン控除債務者のみ適用夫婦それぞれ適用夫婦それぞれ適用主債務者のみ適用
団信加入債務者のみ夫婦それぞれ加入金融機関により異なる(主債務者のみの場合あり)主債務者のみ
諸費用1契約分2契約分1契約分1契約分

以下では、各借入方法のメリットやデメリット、向いている人について解説します。

単独で住宅ローンを組む

記事の冒頭で共働き世帯の推移について触れましたが、共働き世帯が増えたとはいえ、日本は諸外国に比べて男女の賃金格差が大きい国です。夫のほうが妻より収入が高い場合が多いのではないでしょうか。

夫婦間の収入差が大きい場合はやはり、世帯の大黒柱と呼べるどちらか一方が契約者となって単独で住宅ローンを組むほうが話はシンプルです。

この場合、住宅ローン契約が1本で済み、諸費用も抑えられます。契約者の万一の事態にも団体信用生命保険によりローン残債が弁済されるため、残された家族の暮らしの拠点であるマイホームは無事守られます。

デメリットは、ペアローンや夫婦合算を選んだ場合と比較して借り入れ可能な金額が下がることと契約者のみ住宅ローン控除が受けられることです。

・「団体信用生命保険」に関する記事はこちら
団信とは?住宅ローンとの関係や仕組みをわかりやすく解説

単独での住宅ローンが向いているケース

夫婦のどちらか一方が単独で住宅ローンを組むのに向いている代表例は、夫と妻の収入差が大きいケースです。あるいは、現状は夫婦共に同じくらいの年収であっても、将来夫婦のどちらかの働き方が変わることが想定される場合も単独ローンのほうがよいでしょう。

たとえば、妻が将来パート勤務で夫の扶養に入るかもしれない、第2子出産後に退職して専業主婦になる可能性があるなら、はじめから夫単独で住宅ローンを組むことをおすすめします。

ペアローンを活用する

ペアローンは購入物件に対して夫婦共同でローンを組む方法です。

夫と妻それぞれが独自のローン契約を持ち、互いに連帯保証人として保証し合う形式をとります。

双方の収入を合算してローンを組むため、単独ローンでは手が届かない物件も視野に入れられる可能性があります。また、住宅ローン控除も夫婦それぞれの借入額に応じて受けることができ、団信についても双方が加入可能です。

とはいえ、夫婦で長期ローンを組むことから、夫婦双方が安定した職に就いていること、金融機関の収入要件を満たすことが必要です。

ペアローンは住宅ローン契約を2本結ぶことになります。そのため、借入金額や借入期間、金利タイプなどを夫婦の事情に合わせてある程度柔軟に調整しやすいといえます。

ただし、事務手数料や登記費用などの諸費用が2本分かかる点には注意が必要です。またリスク要因として、あまり考えたくはありませんが「離婚に伴う物件取り扱いの困難さ」が挙げられます。

ペアローンと離婚は契約的に別物ですので、離婚後もそのままローン返済が続きます。夫婦どちらかが債務を引き受けるにしても金融機関の審査が必要になり、物件を売却して財産分与しようとしても販売が難しく、いずれも困難な対応が求められがちです。

ペアローンが向いているケース

夫婦ともに安定した収入があり、かつ、将来においても住宅ローン返済が負担にならない程度の収入見込みがある場合、ペアローンは有力な選択肢となり得ます。

ただ、これから妊娠・出産予定の世帯は要注意です。将来のキャリアプランのぶれは住宅ローンの破綻につながりやすいもの。出産後の職場復帰のしやすさなどを見定めたうえでペアローンを選ぶようにしましょう。

収入合算(連帯債務型)を利用する

収入合算(連帯債務型)は、夫婦の収入を合算して1つの住宅ローンを組む方法です。

一方が主たる債務者、もう一方が連帯債務者となり、夫婦ともに債務者となるため、持ち分割合などによって2人とも住宅ローン控除を受けることが可能になります。

ただし、このタイプの住宅ローン契約は夫婦連生型商品を除き、主たる債務者が団体信用生命保険に加入するため、連帯債務者の万一に備えて別途生命保険に追加加入するなど対応をとる必要があります。

夫婦連生型商品を選べる金融機関、あるいは全期間固定金利タイプにはなってしまいますが【フラット35】を検討してみるのも一案です。

収入合算(連帯債務型)が向いているケース

「住宅ローンは1つにまとめたいが、住宅ローン控除は夫婦で受けたい」という夫婦に向いています。ただ、長期にわたる、高額な借り入れを起こすことが想定されますので、審査を考えると一定程度以上の安定した収入が夫婦双方に求められます。

ペアローンもそうですが「夫婦で住宅ローン控除の恩恵にあずかる」ことを目的に、頭金なしで高額な借り入れを起こすことはおすすめできません。

将来の収入変動や物件価格の下落等に備え、住宅購入後も毎月貯蓄できる家計のゆとりを確保するようにしてください。

収入合算(連帯保証型)を利用する

収入合算(連帯保証型)は、夫婦の一方が債務者となり、もう一方が連帯保証人として組む住宅ローンです。

債務者が契約する住宅ローン1本ですので、団体信用生命保険への加入も債務者のみ、住宅ローン控除も債務者のみが受けられます。

収入合算(連帯保証型)が向いているケース

ひとりだけの収入では住宅ローン審査に通らないことが想定される場合によく利用されます。

夫婦のもう一方の収入を加えることで借入可能額が上がるため、安定した収入を持つ債務者とその連帯保証人として家計を補完的に支えるパートナーに向いています。

・「連帯債務」「連帯保証」に関する記事はこちら
住宅ローンの連帯債務と連帯保証はどう違う?ペアローンとの違いも解説

【世帯年収別】住宅ローン返済シミュレーション

ここで、夫と妻のどちらかが単独でローンを組む場合と夫婦で住宅ローンを組む場合とで借入金額や返済額はどのように変わるのかシミュレーションで確認してみましょう。

今回は、世帯年収900万・1,200万・1,500万円の3パターンで、単独ローンとペアローンの借入上限額と返済額を比較します。

借入上限額は、年収に占める年間返済額の割合を示す「返済負担率」と「審査金利」、「返済期間」などをもとに算出されます。返済負担率の基準は一般的に30〜35%程度です。審査金利については通常の住宅ローン金利よりも高い4%前後に設定されることが多いです。

毎月の返済額を試算する際の金利は2026年時点の水準を参考に、変動金利は年1.0%と固定金利は年2.5%で試算します。

これらの点を踏まえて、今回のシミュレーションでは以下の条件で試算します。

【シミュレーションの前提条件】

  • 返済期間:35年
  • 返済方式:元利均等返済(毎月の返済額が一定である返済方法)
  • 返済負担率:35%
  • 審査金利:約4%
  • ボーナス払い:なし
  • 返済額を計算する際の金利:変動金利は年1.0%・固定金利は年2.5%

以降では、世帯年収ごとに借入上限額と毎月の返済額をシミュレーションします。

世帯年収900万円

世帯年収900万円(夫の年収600万円+妻の年収300万円)を想定し、借入限度額や毎月の返済額をシミュレーションします。

前提条件をもとに単独ローンとペアローンの借入上限額を計算すると、結果は以下の通りとなりました。

【借入上限額の目安】

  • 単独ローン(夫のみ600万円):約3,950万円
  • ペアローン(夫婦合算900万円):約5,920万円

単独ローンとペアローンでは、借入上限額に約1,970万円の差が生じる結果となりました。ペアローンであれば、頭金も準備することで価格が6,000万円を超える物件の購入も視野に入れられる計算です。

続いて、変動金利(年1.0%)と固定金利(年2.5%)で単独ローンとペアローンそれぞれの毎月の返済額を試算します。結果は以下の通りです。

【単独ローン(借入額3,950万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約11.1万円約14.1万円約3万円
35年間の総返済額約4,683万円約5,931万円約1,248万円

【ペアローン(借入額5,920万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約16.7万円約21.2万円約4.5万円
35年間の総返済額約7,019万円約8,889万円約1,870万円

借入額3,950万円の単独ローンの場合、毎月の返済額は変動金利と固定金利のどちらも15万円以下です。返済月額の差は約3万円、35年間の総返済額の差は約1,248万円でした。

一方、借入額5,920万円のペアローンの場合、固定金利を選ぶと毎月の返済額は20万円を超えます。返済額の差は月額約4.5万円、総返済額の差は約1,870万円へと拡大する結果となりました。

借入額が大きくなるほど、金利タイプの違いが毎月の負担および総返済額に与える影響も大きくなることが見て取れます。

世帯年収1,200万円

次に、世帯年収1,200万円(夫の年収700万円+妻の年収500万円)を想定したシミュレーション結果を紹介します。返済負担率35%、審査金利4%、借入期間35年で試算した場合の借入上限額は以下の通りです。

【借入上限額の目安】

  • 単独ローン(夫のみ700万円):約4,600万円
  • ペアローン(夫婦合算1,200万円):約7,900万円

ペアローンを利用すると、単独ローンよりも約3,300万円多く借りることができる結果となりました。頭金を準備すると、価格が8,000万円を超える物件も検討できるでしょう。

続いて、変動金利(年1.0%)と固定金利(年2.5%)の返済額を試算します。結果は以下の通りです。

【単独ローン(借入4,600万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約13万円約16.4万円約3.4万円
35年間の総返済額約5,454万円約6,907万円約1,453万円

【ペアローン(借入7,900万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約22.3万円約28.2万円約5.9万円
35年間の総返済額約9,366万円約1億1,862万円約2,496万円

4,600万円の単独ローンを利用した場合、金利タイプによる月額の差は約3.4万円、総返済額の差は約1,453万円です。

一方、7,900万円のペアローンにおいては、月額の差は約5.9万円、総返済額の差は約2,500万円弱へと増加しました。特に固定金利は毎月の返済額が30万円弱、総返済額は1億円超となっています。

世帯年収1,500万円

最後に、世帯年収1,500万円(夫の年収800万円+妻の年収700万円)のケースで借入限度額と返済額のシミュレーションを行います。前提条件をもとに借入限度額を試算すると結果は以下の通りとなります。

【借入上限額の目安】

  • 単独ローン(夫のみ800万円):約5,260万円
  • ペアローン(夫婦合算1,500万円):約9,860万円

年収1,500万円の世帯がペアローンを利用すると、1億円に近い金額まで借り入れができる可能性があります。

この上限額をもとに、変動金利(年1.0%)と固定金利(年2.5%)を用いた毎月の返済額および総返済額を試算すると、以下のような結果となります。

【単独ローン(借入5,260万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約14.9万円約18.8万円約4万円
35年間の総返済額約6,236万円約7,898万円約1,662万円

【ペアローン(借入9,860万円)の返済シミュレーション】

項目変動金利(年1.0%)固定金利(年2.5%)差額(固定−変動)
毎月の返済額約27.8万円約35.2万円約7.4万円
35年間の総返済額約1億1,690万円約1億4,805万円約3,115万円

借入額5,260万円の単独ローンの場合、毎月の返済額は変動金利が15万円弱、固定金利が19万円弱となりました。金利タイプによる返済額の差は毎月約4万円、総返済額は約1,662万円です。

一方、借入額9,860万円のペアローンを利用すると、毎月の返済額は30万円前後に増加し、総返済額もどちらの金利タイプも1億円を超えています。返済額の差についても月額約7.4万円、総返済額は約3,115万円にまで増加しました。

夫婦で住宅ローンを組む際の審査条件と必要書類

夫婦で住宅ローンを組む際の審査条件と必要書類

続いて、夫婦で住宅ローンを組む場合の審査条件と必要書類をみていきましょう。

住宅ローンの審査条件

夫婦で住宅ローンを組む場合、夫と妻のそれぞれが審査され、金融機関の定める基準を満たしているか確認されます。主な審査項目は以下の通りです。

  • 借入時の年齢・完済時の年齢
  • 年収・返済負担率(年間の総返済額÷年収×100)
  • 勤続年数・雇用形態
  • 個人信用情報(指定信用情報機関に登録されているクレジットやローンの利用状況や契約状況)
  • 健康状態(団体信用生命保険の加入可否を判断するため)
  • 物件の担保評価(予想売却価格)

年収については、会社員や公務員などは税込年収(額面)、自営業やフリーランスは所得(売上から必要経費を差し引いた金額)で判定されます。

収入合算の場合、金融機関によっては合算できる方の年収を50%などに制限している場合もあるため、事前に申し込み先に規定を確認するとよいでしょう。

返済負担率の計算には、新たに申し込む住宅ローンの他にも、現在返済しているカードローンや自動車ローンなども含められます。審査に通過しやすくするために、既存の借り入れを完済したうえで住宅ローンの申し込みをするのも1つの方法です。

また、ペアローンや収入合算の審査では、夫婦それぞれの信用情報が照会されます。クレジットカードの支払いやローンの返済を長期にわたり延滞した履歴が信用情報機関に残されていると、審査が通らないリスクがあります。

審査に必要な書類一覧

住宅ローンの申込時に求められる書類は多岐にわたります。特に、ペアローンや収入合算を申し込む場合、本人確認書類や収入証明書類を夫婦2人分そろえる必要があるため、早めに準備を進めましょう。必要書類の例は以下の通りです。


必要書類
本人確認・基本情報に関する書類・運転免許証(表面・裏面)やマイナンバーカード(表面)など顔写真付き本人確認書類
・入居予定の世帯員全員が記載された住民票謄本(個人番号(マイナンバー)の記載がないもの)
・健康保険が確認できる資格確認書やマイナポータル出力帳票 など
収入証明書類・会社員・公務員など:直近1年分の源泉徴収票、直近1年分の住民税決定通知書または課税証明書
・自営業・フリーランスなど:直近3年分の確定申告書、直近3年分の納税証明書
物件関連書類・不動産売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・建築確認済証・検査済証(新築・建築中の場合)
・間取り図・パンフレット など 

金融機関や商品によって求められる書類は異なります。

住宅ローンの事前審査(仮審査)と本審査では必要書類が異なるため、事前に金融機関の公式Webサイトを参照するなどして、漏れのないように準備しましょう。

夫婦で住宅ローンを組むメリット・デメリット

夫婦で住宅ローンを組むメリット・デメリット

共働き世帯が利用できる住宅ローンには、種類ごとにメリットとデメリットがあります。以下で詳しく解説します。

単独で住宅ローンを組む場合

単独で住宅ローンを組む場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

単独でローンを組む場合、夫婦の一方の収入のみで住宅ローン審査されるため、シンプルで必要書類など手続きも比較的スムーズです。

将来的に離婚などの問題が発生した場合でも、不動産の売却など住宅ローンの整理はしやすいと思われます。

デメリット

夫婦のどちらか一方の収入で住宅ローンの借入限度が審査されるため、物件価格が高額になると購入が厳しくなるかもしれません。

契約予定者が転職した直後である、高収入だが不安定な場合など、審査に通らないリスクも収入合算ケースに比べると高いのではないでしょうか。

ペアローンの場合

ペアローンを組む場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

ペアローンを利用することで、夫婦の収入を合算できるため、より高額な物件を購入することが可能になります。

また、借入割合や借入期間、金利タイプなど世帯の働き方の実情に合わせた住宅ローンを設定できるため、収入状況の変化に合わせやすいといえるかもしれません。

加えて、夫婦のどちらも住宅ローン控除を受けられるため、減税効果を高められる他、団信にも双方が加入することも可能です。

デメリット

ペアローンは夫婦別々に2本の住宅ローンを組むことから事務手数料や登記費用などの諸費用がかさみます。

また、夫婦どちらかが死亡したとき、残されたほうの返済負担は基本的に残ります。世帯収入が減少する一方で、家事代行サービスや配食サービスなどの利用により、世帯の支出が増えることで、家計のやりくりが厳しくなるかもしれません。

さらに離婚時の物件売却やローンの整理(所有権移転やローンの一本化など)が難しい可能性があります。

収入合算(連帯債務型)の場合

収入合算(連帯債務型)を組む場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

収入合算(連帯債務型)では、夫婦の収入を合算することで、単独ローンに比べてより高い金額の借り入れが可能になります。

また、持ち分などによっては1本の住宅ローン契約でいながら夫婦共に住宅ローン控除の適用を受けることもできます。

デメリット

夫婦双方が連帯して債務を負うため、一方が支払い不能になった場合でも、他方が全額を返済する義務があります。

夫もしくは妻の万が一に備えて夫婦連生型ローンを選ぶ、生命保険の保障を手厚くするなどの対策も検討しましょう。

また、ペアローン同様離婚時の取り扱いが難しいことも頭の片隅に入れておいてください。

収入合算(連帯保証型)の場合

収入合算(連帯保証型)を組む場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

収入合算(連帯保証型)は、主たる債務者の収入だけでは借入が難しい場合に、連帯保証人の収入を加えることで借入が可能になります。

また、連帯保証人がいることで、ローンの審査が通りやすくなる場合があります。

デメリット

団体信用生命保険によって債務者の万一には備えられても、たとえば債務者ががんに罹患(りかん)して働けない状況に陥った場合など返済不能になった場合、毎月のローン返済がすぐ行き詰まる可能性があります。

【2026年】住宅ローン控除改正による影響

2025年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱には、住宅ローン控除は2026年1月1日から2030年12月31日まで5年間延長されるという内容が盛り込まれました。

改正後の住宅ローン控除についても、従来通り「年末時点のローン残高×控除率0.7%」で計算される金額が所得税と一部の住民税から控除されます。借入限度額(控除額を計算する際に対象となる借入額の上限)や控除期間などは以下をご覧ください。

【2026年】住宅ローン控除改正による影響
出典:(別紙1)令和8年度住宅税制改正概要|国土交通省

ペアローンや収入合算(連帯債務型)であれば、要件を満たすことで夫婦2人分の控除を受けられます。

また、改正後も子育て世帯(19歳未満の子を扶養する世帯)や若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)は借入限度額が高く設定されるため、より多くの減税を受けられる可能性があります。

中古住宅(既存住宅)については、省エネ性能の高い物件を対象に控除期間が10年から13年に延長され、長期優良住宅や低炭素住宅などは借入限度額も引き上げられました。

一方、2028年以降の入居分から、土砂災害特別警戒区域や浸水被害防止区域など災害レッドゾーンの新築住宅は住宅ローン控除の対象外となるなどの注意点もあります。

夫婦で住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合も、住宅ローン控除の制度内容や要件などについてよく理解することが大切です。不明点があるときは、不動産会社の担当者や最寄りの税務署などに問い合わせて確認しましょう。

【目的別】自分たちに合う住宅ローンの形は?

夫婦で住宅ローンを組む場合「借入額を増やしたい」「住宅ローン控除を最大限活用したい」「将来のリスクを抑えたい」といった何を重視するかで最適な借入方法は変わります。

ここでは目的別に、世帯に合った住宅ローンの形を検討するポイントを解説します。

できる限り借り入れ額を増やしたい

借入額をできるだけ増やしたい場合は、ペアローンが主な選択肢となります。夫婦それぞれの年収をもとに金融機関の審査を受けるため、単独ローンよりも借入上限を大きく引き上げられます。

収入合算(連帯債務型・連帯保証型)でも借入額を増やせる可能性はありますが、配偶者の年収のうち合算できる割合に上限を設ける金融機関も少なくありません。

配偶者の年収が全額反映されるとは限らないため、借入額をできる限り増やしたいときは、ペアローンを第一候補として検討するのがよいでしょう。

ただし、借入額を増やすほど、出産や育児休暇の取得、転職などで世帯収入が減ったときに返済が苦しくなりやすくなります。今後のライフプランも踏まえて、借入額は慎重に決めましょう。

最大限控除を受けたい

住宅ローン控除を夫婦2人で受けたいときは、ペアローンまたは収入合算(連帯債務型)を選ぶのがよいでしょう。収入合算(連帯保証型)や単独ローンは、主債務者しか住宅ローン控除を受けられないためです。

ただし、控除で差し引ける金額はその年に納めた所得税と翌年の住民税の一部(最大年97,500円)の合計が上限で、余った控除枠は消滅します。

また、住宅ローン控除には住宅の種類や世帯の区分ごとに借入限度額が定められており、その限度額を超えた分の借入額は控除の対象外となります。

最大限の控除を受けたい場合は、住宅売買専門の不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談し、住宅ローン控除の仕組みをよく理解することが大切です。

将来の不安が少ない組み方を選びたい

将来のリスクを抑えるには、単独ローンを利用するか、ペアローンや収入合算を選ぶ場合でも夫婦ともに無理のない範囲で借入額を設定することが重要です。

住宅ローンの返済期間は一般的に20年や30年など長期にわたります。その間には出産や子どもの進学、転職、退職などさまざまなライフイベントが起こり得るでしょう。

育休や退職、転職などで世帯収入が下がったときや、子どもの成長や物価の上昇などで毎月の支出が増えた場合でも、返済に支障が生じないような借入額を決めることが大切です。

とはいえ、世帯収入や今後のライフプランなどをもとに借入額を決めるためには専門知識が必要なため、住宅売買専門の不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談して決めるのがよいでしょう。

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まとめ

夫婦で住宅ローンを組む場合、ローン審査は夫婦の属性(職業や額面収入、信用情報など)をもとに行われます。

ペアローンや収入合算(連帯債務型・連帯保証型)を利用する場合、夫婦の収入を合算して審査が行われるため、高額な借入が可能になる反面、どちらか一方の信用情報に問題があった場合、審査が通らないことがあります。

住宅ローン控除についても、単独ローン、収入合算(連帯保証型)を除き、基本的に夫婦それぞれ控除を受けることができますが、控除ありきで無理な借入をしないようくれぐれもご注意ください。

ペアローンや収入合算など夫婦で住宅ローンを組む場合は、二人三脚で長期にわたって返済する覚悟が必要です。事前にしっかりと2人の今後のキャリアプラン・ライフプランを話し合い共有することをおすすめします。

この記事のポイント

夫婦で組む住宅ローンにはどんなパターンがある?

夫と妻がそれぞれ一定以上の勤労所得を得ている場合、夫もしくは妻が単独で住宅ローンを組み持ち家を購入するケースや夫婦でペアローンを組むケース、収入合算するケースなど住宅ローンにもさまざまなバリエーションが出てきます。

詳しくは「【比較表】ペアローン・連帯債務・連帯保証・単独ローンの違いは?」をご覧ください。

夫婦で住宅ローンを組むメリットは?

夫婦で組む住宅ローン(ペアローン)を利用することで、夫婦の収入を合算できるため、より高額な物件を購入することが可能になります。

また、借入割合や借入期間、金利タイプなど世帯の働き方の実情に合わせた住宅ローンを設定できるため、収入状況の変化に合わせやすいと言えるかもしれません。

詳しくは「夫婦で住宅ローンを組むメリット・デメリット」をご覧ください。

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