壁芯とは
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壁芯とは?内法との違い・面積差・計算方法から税制の床面積要件まで解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 壁芯は壁の中心線、内法は壁の内側で囲んだ面積を指し、同じ住戸でも壁芯のほうが広くなる
  • 販売図面や広告の面積は壁芯、分譲マンションの登記簿面積は内法で、住宅ローン控除などの床面積要件は登記簿面積で判定される

住宅の専有面積の測り方はひとつではありません。壁の中心線で測る「壁芯」か、壁の内側で測る「内法」かによって、同じ住戸でも面積は異なります。壁芯と内法の違いは、部屋の広さの感覚だけでなく、住宅ローン控除をはじめとする税制優遇を受けられるかどうかにも関わってきます。

この記事では、壁芯と内法の定義と違いを早見表で整理したうえで、計算例や面積差の目安、自分の物件がどちらの面積で表示されているかを確認する方法、税制優遇の床面積要件がどちらで判定されるかを解説します。

壁芯・内法とは?

壁芯と内法は、どちらも建物の床面積を測るときの基準です。壁の厚みをどう扱うかが異なり、同じ住戸でも算出される面積が変わります。まずはそれぞれの意味を押さえておきましょう。

壁芯(へきしん・かべしん)とは

壁芯とは、壁の中心線で囲まれた部分を床面積とする測り方です。「へきしん」または「かべしん」と読み、壁芯で測った面積を壁芯面積と呼びます。

建築基準法では、建物の床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積と定められており、建築確認申請や設計図面はこの壁芯で計算されています。新築マンションのパンフレットや不動産広告、販売図面に記載されている専有面積も、原則として壁芯面積です。

壁の厚みの半分が面積に含まれるため、実際に使える広さより大きな数字になります。

内法(うちのり)とは

内法とは、壁の内側の線で囲まれた部分を床面積とする測り方です。「うちのり」と読み、内法で測った面積を内法面積と呼びます。壁や柱の厚みをまったく含まないため、実際に人が使える空間の広さに近い数字になります。

分譲マンションの専有部分は、不動産登記規則により壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の面積で登記すると定められています。そのため、登記事項証明書に記載されているマンションの床面積は内法面積です。登記簿面積と呼ばれることもあります。

【早見表】壁芯と内法の違い

壁芯と内法の違いを一覧にまとめると、次のようになります。

項目壁芯内法
読み方へきしん・かべしんうちのり
測り方の基準壁の厚みの中心線壁の内側の線
根拠法建築基準法不動産登記規則(区分建物の場合)
使われる場面建築確認申請、設計図面、新築パンフレット、販売図面、不動産広告 など分譲マンションの登記事項証明書、税制優遇の床面積判定 など
面積内法と比べて広い壁芯と比べて狭い

同じ住戸を測っても、壁芯面積のほうが内法面積より広くなります。広告で見た面積と登記簿の面積が食い違うのは、この測り方の違いによるものです。

壁芯面積の計算方法と具体例

壁芯面積は、壁の中心線で測った幅と奥行きを掛け合わせて求めます。設計図面の寸法は壁の中心線を基準に引かれているため、図面に書かれている数値は壁の内側の幅ではありません。

ここでは、図面の寸法から壁芯面積と内法面積を求める考え方と計算例を見ていきましょう。

計算の考え方

長方形の住戸で、周囲の壁の厚みがすべて同じとすれば、壁芯面積は、図面に書かれた間口と奥行きの寸法を掛け算するだけです。

壁芯面積 = 図面上の間口 × 図面上の奥行き

一方、内法面積は、図面の寸法から壁の厚みを引いた寸法を掛け合わせます。壁の中心線から内側の面までの距離は壁の厚みの半分です。それを左右の壁で差し引くと、間口は合計で壁の厚みの分だけ短くなります。奥行きも同じように、前後の壁で壁の厚みの分だけ短くなる計算です。

内法面積 =(図面上の間口 − 壁の厚み)×(図面上の奥行き − 壁の厚み)

図面の寸法が分からず、広告に載っている壁芯面積だけが手元にある場合は、住戸の外周の長さに壁の厚みの半分を掛けた数字を差し引けば、内法面積のおおよその値をつかめます。

内法面積 ≒ 壁芯面積 −(外周の長さ × 壁の厚み ÷ 2)

なお、住戸の中を仕切る間仕切り壁は、壁芯面積でも内法面積でもそのまま面積に含まれます。壁芯と内法の差を生むのは外壁や戸境壁など住戸の外周を囲む壁だけなので、部屋数が多くても間仕切りの分だけ差が広がることはありません。

70㎡の計算例

図面上の間口が7.0m、奥行きが10.0mの70㎡の住戸で、周囲の壁の厚みを20cmとして壁芯面積と内法面積を計算してみます。

壁芯面積:7.0m × 10.0m = 70.00㎡
内法面積:(7.0m − 0.2m)×(10.0m − 0.2m)= 6.8m × 9.8m = 66.64㎡

差は3.36㎡で、壁芯面積に対して約4.8%です。広告で専有面積70㎡と表示されている住戸でも、実際に使える広さは66㎡台ということになります。

図面の寸法が分からない場合でも、外周34m × 0.1m = 3.4㎡を壁芯面積から差し引けば、内法面積は約66.6㎡と見当をつけられます。

壁芯と内法の面積差はどれくらい?

壁芯と内法の面積差は、壁の厚みと住戸の形によって変わります。一般には5〜10%程度と言われており、鉄筋コンクリート造のマンションのように壁が厚い建物ほど、また面積が小さい住戸ほど、差分は大きくなる傾向にあります。

構造別の壁厚と差

壁芯面積と内法面積の差は、住戸を囲む壁の厚みによって生まれます。壁が厚いほど、また住戸の外周が長いほど差は大きくなります。

木造住宅の壁は柱の太さが基準になるため、厚みは10〜15cm程度が一般的です。一方、鉄筋コンクリート造のマンションは、隣の住戸との間を仕切る戸境壁が18〜25cm程度、外壁も15〜20cm程度と厚くなります。

さらに、鉄筋コンクリート造は柱が室内側に張り出すこともあり、木造住宅と比べて壁芯面積と内法面積の差分は大きくなりやすい傾向にあります。

とはいえ、壁の厚みを左右するのは構造だけではありません。近年は断熱材を厚くした省エネ住宅が増えており、耐震性や耐久性の観点から壁を厚くしている住宅もあります。同じ構造でも築年数や性能によって壁の厚みは変わるため、壁の厚さや壁芯と内法の差分はあくまで目安として捉えておきましょう。

ワンルームの場合

面積の小さい住戸ほど、面積に対する壁の長さの割合が大きくなるため、差の割合も大きくなります。

図面上の間口が4.0m、奥行きが6.25mの長方形のワンルームを例に考えてみましょう。周囲の壁の厚みを20cmとすると、壁の内側の面は中心線から10cm内側にあるため、内法の寸法は間口も奥行きも両側で合計20cm短くなります。

壁芯面積:4.0m × 6.25m = 25.00㎡
内法面積:(4.0m − 0.2m)×(6.25m − 0.2m)= 3.8m × 6.05m = 22.99㎡

差は2.01㎡で、壁芯面積に対して8%程度です。ワンルームや1Kのようなコンパクトな住戸では、壁芯と内法の差が1割前後になることも珍しくありません。

ファミリータイプの場合

面積が大きくなると、差の絶対値は増えても割合は小さくなります。先ほど計算した壁芯70㎡の住戸では、壁の厚みが同じ20cmでも差は約4.8%と、ワンルームの8%程度と比べて割合はかなり小さいものでした。

一方、鉄筋コンクリート造のマンションでは戸境壁が25cm程度になることも珍しくありません。同じ住戸で壁の厚みを25cmとして計算し直すと、次のようになります。

壁芯面積:7.0m × 10.0m = 70.00㎡
内法面積:(7.0m − 0.25m)×(10.0m − 0.25m)= 6.75m × 9.75m = 65.81㎡

差は4.19㎡で、壁芯面積に対して約6.0%です。壁が5cm厚くなるだけで差が1ポイント以上広がることからも、壁の厚みが面積差を左右することが分かります。

自分の物件がどちらの面積か確認する方法

壁芯面積 販売図面

検討している物件や所有している物件の面積が壁芯なのか内法なのかは、書類の種類を見れば判断できます。登記事項証明書と販売図面、それぞれの見方を押さえておきましょう。

登記事項証明書の見方

登記事項証明書は、法務局で取得できる登記簿の写しです。マンションの場合、表題部の「専有部分の建物の表示」という欄に床面積が記載されており、この数字が内法面積です。「3階部分 66.64」のように、階数と面積が並んで書かれています。

分譲マンションであれば、登記事項証明書の床面積は必ず内法で表示されています。広告や図面の面積より小さい数字になっていても、測り方が違うだけで誤りではありません。登記事項証明書は法務局の窓口のほか、オンラインでも請求できます。

販売図面・パンフレットの見方

不動産会社が作成する販売図面や新築マンションのパンフレットに記載されている専有面積は、原則として壁芯面積です。図面によっては「専有面積70.00㎡(壁芯)」のように明記されていることもあれば、注記に「面積は壁芯計算によるものです」と書かれていることもあります。

中古マンションの販売図面では、壁芯面積と並べて「登記簿面積66.64㎡」のように内法面積も記載されていることが少なくありません。両方の数字が載っていれば、大きいほうが壁芯、小さいほうが内法です。

売買契約の前に交付される重要事項説明書にも登記簿面積が記載されるので、税制優遇の要件を確認したいときは、そちらの数字を見るようにしましょう。

税制優遇の床面積要件まとめ

住宅の取得や所有に関わる税制優遇には、床面積の要件が設けられているものが多くあります。要件となる面積が壁芯なのか内法なのかを間違えると、受けられるはずの優遇を受けられない事態にもなりかねません。主な制度の床面積要件と、判定に使われる面積を整理します。

制度床面積の要件判定に使われる面積
住宅ローン控除40㎡以上合計所得金額1,000万円超の人と、子育て世帯等の借入限度額上乗せを利用する人は50㎡以上登記簿面積。マンションは内法
不動産取得税の軽減40㎡以上240㎡以下課税床面積。登記簿面積に共用部分の持分を加えた面積
登録免許税の軽減50㎡以上登記簿面積。マンションは内法
固定資産税の新築住宅減額40㎡以上240㎡以下課税床面積。登記簿面積に共用部分の持分を加えた面積
住宅取得等資金の贈与税非課税40㎡以上240㎡以下合計所得金額1,000万円超の人は50㎡以上登記簿面積。マンションは内法

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、年末のローン残高に応じて所得税などが控除される制度です。令和8年度税制改正で適用期限が2030年末の入居分まで延長され、床面積の要件は新築住宅・既存住宅ともに40㎡以上に緩和されました。

ただし、合計所得金額が1,000万円を超える人や、子育て世帯・若者夫婦世帯向けの借入限度額の上乗せを利用する人は、従来どおり50㎡以上が要件です。床面積は登記簿上の面積で判定されるため、マンションの場合は内法面積が基準になります。

不動産取得税・登録免許税

不動産取得税は、住宅を取得したときに一度だけ課される都道府県税です。床面積が40㎡以上240㎡以下の住宅であれば、課税標準から一定額が控除される軽減措置を受けられます。令和8年度税制改正で下限が50㎡から40㎡に緩和され、2026年4月1日以降に取得した住宅から適用されています。

床面積は、固定資産評価証明書に記載される課税床面積で判定されます。マンションの課税床面積は、登記簿面積に共用部分の持分を按分して加えた面積になるため、登記簿面積より大きな数字になります。

登録免許税は、所有権の移転登記や抵当権の設定登記にかかる国税です。床面積50㎡以上の住宅であれば税率が軽減され、この床面積は登記簿面積で判定されます。

固定資産税

新築住宅を取得すると、一定期間、建物の固定資産税が2分の1に減額される措置があります。要件は床面積40㎡以上240㎡以下で、こちらも令和8年度税制改正で下限が50㎡から40㎡に緩和されました。不動産取得税と同じく課税床面積で判定されます。

贈与税

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置は、父母や祖父母から住宅購入の資金を贈与された場合に、一定額まで贈与税がかからない制度です。床面積の要件は40㎡以上240㎡以下で、合計所得金額が1,000万円を超える場合は50㎡以上となります。こちらは登記簿面積で判定されます。

戸建ての壁芯・内法の扱い

ここまでの解説は主にマンションを想定したものですが、戸建てでは扱いが異なります。戸建ては登記簿上の床面積も壁芯で表示される点が、マンションとの大きな違いです。

不動産登記規則では、建物の床面積は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積を原則とし、区分建物に限って内側線で囲まれた部分の面積と定めています。区分建物とは、分譲マンションのように一棟の建物を区分して所有する建物のことです。

戸建ては区分建物にあたらないため、建築確認も登記も同じ壁芯で計算され、広告の面積と登記簿面積が一致します。そのため、戸建てでは壁芯と内法の差を気にする必要はほとんどありません。

ただし、登記簿面積が壁芯であるということは、実際に使える広さは登記簿面積よりも小さいということでもあります。マンションの内法面積と戸建ての登記簿面積を単純に比べると、戸建てのほうが実際以上に広く見えてしまう点には注意が必要です。

まとめ

壁芯は壁の中心線、内法は壁の内側で囲んだ面積を指し、同じ住戸でも壁芯面積のほうが広くなります。販売図面や広告に載っている面積は壁芯、分譲マンションの登記簿面積は内法で、その差は一般に5〜10%程度です。

住宅ローン控除をはじめとする税制優遇の床面積要件は登記簿面積で判定されるため、広告の面積だけを見て要件を満たしていると思い込むのは禁物です。物件を検討する際は、登記簿面積を確認したうえで、税制優遇の対象になるかどうかを見極めましょう。

この記事のポイント

壁芯とは?

壁芯とは、壁の厚みの中心線で囲まれた部分を床面積とする測り方で、「へきしん」または「かべしん」と読みます。建築確認申請や設計図面、販売図面や不動産広告の専有面積は壁芯で計算されています。

詳しくは「壁芯・内法とは?」をご覧ください。

内法とは?

内法とは、壁の内側の線で囲まれた部分を床面積とする測り方で、「うちのり」と読みます。壁や柱の厚みを含まないため実際に使える広さに近く、分譲マンションの登記簿面積は内法で表示されます。

詳しくは「壁芯・内法とは?」をご覧ください。

壁芯と内法どちらが広い?

壁の厚みの半分が面積に含まれる壁芯のほうが広く、内法は狭くなります。差は一般に5〜10%程度で、壁が厚い鉄筋コンクリート造のマンションや面積の小さい住戸ほど差の割合は大きくなります。

詳しくは「壁芯と内法の面積差はどれくらい?」をご覧ください。

マンションの広告の面積は壁芯と内法どちら?

販売図面や不動産広告、新築マンションのパンフレットに記載されている専有面積は、原則として壁芯です。分譲マンションの登記簿面積は内法のため、広告の面積より小さくなります。

詳しくは「自分の物件がどちらの面積か確認する方法」をご覧ください。

住宅ローン控除は壁芯と内法のどちらで判定?

住宅ローン控除の床面積要件は登記簿面積で判定されるため、分譲マンションでは内法面積が基準になります。壁芯では要件を満たしていても内法では下回るケースがあるので、境目に近い物件は登記簿面積で確認しましょう。

詳しくは「税制優遇の床面積要件まとめ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

壁芯と内法の違いは、物件の広さを比べるときにも、税制優遇の要件を確認するときにも関わってきます。特に住宅ローン控除の40㎡や50㎡といった境目に近い物件では、壁芯面積で判断して後から要件を満たしていなかったことが発覚するおそれがあります。販売図面に壁芯面積しか書かれていない場合は、不動産会社に登記簿面積を確認してください。面積の数字を見るときに「これはどちらの面積か」と一度立ち止まる習慣をつけておくと、思わぬ見落としを防げます。

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