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不動産売買で売主が準備すべき必要書類一覧!必要なタイミングやポイントを解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 不動産売買で売主が準備する書類は、査定・媒介契約・売買契約・引き渡しの段階ごとに異なる
  • 権利証は再発行できないが、紛失時は事前通知制度や司法書士による本人確認で対処できる
  • 登記簿上の住所・氏名が現在と異なる場合は、売却前に変更登記が必要

不動産売買では、査定から引き渡しまでの各段階でさまざまな書類が必要になります。多くは手元にあるものや即日取得できるものですが、なかには取得までに数週間かかる書類や有効期限が定められている書類もあります。

そこで本記事では、売主が準備すべき必要書類を段階別に整理したうえで、書類ごとの取得方法・所要日数・有効期限、権利証を紛失した場合の対処法までを解説します。ぜひ参考にしてください。

不動産売買で売主が準備すべき必要書類の全体像

不動産売買は「査定→媒介契約→売買契約→引き渡し(決済)」という流れで進み、段階ごとに必要な書類が変わります。まずは全体像をつかんでおきましょう。

時期必要な書類など
査定時・登記済権利証または登記識別情
・固定資産税納税通知書
・間取り図、測量図 など
媒介契約時・本人確認書類
・実印
・登記済権利証または登記識別情報
売買契約時・本人確認書類
・実印
・印鑑証明書
・登記済権利証または登記識別情報
・固定資産税評価証明書
・印紙税(収入印紙)
引き渡し時・登記済権利証または登記識別情報
・実印
・印鑑証明書
・抵当権抹消関連書類(住宅ローンが残っている場合)
・売却代金の振込先口座情報
・建築確認済証、検査済証
・付帯設備の取扱説明書
・物件の鍵 など

各書類は、不動産会社との契約や買主への所有権移転など、重要な手続きに不可欠なものです。それぞれの段階で必要な書類について、次章で詳しく見ていきましょう。

【段階別】必要書類一覧

売却活動の時系列に沿って、段階ごとの必要書類を解説します。

査定時に必要な書類

不動産会社に売却査定を依頼する際には、物件の状況を把握できる書類を用意しておくと、より精度の高い査定を受けられたり、その後の売却活動をスムーズに進めることができます。査定時にあると良い主な書類は、以下のとおりです。

書類等概要取得方法
登記済権利証または登記識別情報物件の所有者であることを証明する書類物件取得時に法務局から発行。再発行は不可
固定資産税納税通知書・課税明細書毎年支払う固定資産税額が記載された書類毎年4〜6月頃に市区町村から郵送される
間取り図物件の広さや部屋の配置物件の購入時に不動産会社から受け取る
測量図土地の正確な寸法がわかる図面法務局で写しを取得可能
建築確認済証、検査済証建物が建築基準法に適合していることを証明する書類物件の購入時に不動産会社から受け取る

これらの書類が手元になくても査定は可能ですが、たとえば登記済権利証(または登記識別情報)は物件の所有者を確認する重要な書類であり、固定資産税納税通知書は税額から物件の評価額を推測するのに役立ちます。

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媒介契約時に必要な書類

売却を依頼する不動産会社が決まり、媒介契約を結ぶ際には、本人確認と物件の所有者確認のための書類が必要です。媒介契約時に求められる主な書類は、以下のとおりです。

書類等概要取得方法
本人確認書類運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの身分証明書-
実印売主本人の実印。共有名義の場合は全員分が必要-
登記済権利証または登記識別情報物件の所有者であることを証明する書類物件取得時に法務局から発行。再発行は不可

媒介契約は、不動産の売却を依頼するための手続きです。法律上は認印でも契約可能ですが、トラブルを防ぐために実印を必須としている不動産会社も少なくありません。

また必須ではないものの、以下のような書類があると買主の安心材料となり、売却条件に好影響を与える可能性があります。

  • 住宅性能評価書
  • インスペクション(建物状況調査)の報告書
  • 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
  • リフォームや修繕の履歴がわかる資料
  • 管理に関する資料(マンションの場合)

いずれも物件の状態や管理状況を客観的に示せる書類です。手元にあるものは、査定の段階から不動産会社に共有しておきましょう。

売買契約時に必要な書類

購入希望者が見つかり、売却の条件がまとまると、買主と売買契約を締結します。この段階では、契約手続きと税金の支払いに必要な書類を用意します。

書類等概要取得方法
本人確認書類運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書–
実印・印鑑証明書売主本人の実印、印鑑証明書。共有名義の場合は全員分が必要印鑑証明書は市区町村の役所で取得
登記済権利証または登記識別情報物件の所有者であることを証明する書類。買主や司法書士が確認する物件取得時に法務局から発行。再発行は不可
固定資産税評価証明書固定資産税の基準となる評価額を証明する書類市区町村の役所または都税事務所で取得
仲介手数料の半金不動産会社に支払う仲介手数料の一部–
印紙税(収入印紙)売買契約書に貼付する印紙。契約金額によって税額が異なる郵便局や法務局などで購入。不動産会社が用意してくれることも

固定資産税評価証明書は、登録免許税の算出や買主と精算する固定資産税・都市計画税の日割り計算の基準として用います。仲介手数料は、半金を契約時、残りの半金を引渡時に請求されるケースが多いですが、不動産会社によって請求のタイミングは異なるためご注意ください。

また、売買契約書は課税文書にあたるため、契約金額に応じた収入印紙が必要です。一般的には、不動産会社が印紙を用意するケースが多く、売主は印紙代を現金で精算します。支払方法などは事前に不動産会社に確認しておくと良いでしょう。

引き渡し時に必要な書類

売買契約後、買主の住宅ローン審査などを終えると、物件の引き渡しと残代金の決済に進みます。このときに必要となる主な書類は、以下のとおりです。

書類名概要取得方法
登記済権利証または登記識別情報所有権移転登記に必要。司法書士に預ける物件取得時に法務局から発行。再発行は不可
実印・印鑑証明書登記手続きに使用。発行から3ヶ月以内のもの印鑑証明書は市区町村の役所で取得
抵当権抹消関連書類住宅ローンを完済し抵当権を抹消するための書類一式決済日の2~3週間前までに連絡し、金融機関から取り寄せる
売却代金の振込先口座情報通帳やキャッシュカードなど、金融機関名、支店名、口座番号がわかるもの–
建築確認済証、検査済証建物が建築基準法に適合していることを証明する書類物件の購入時に不動産会社から受け取る
付帯設備の取扱説明書・保証書エアコンや給湯器などの設備に関する書類一式–
物件の鍵玄関の鍵や宅配ボックスのカードキーなど、すべての鍵–

引き渡し日には、司法書士の立ち会いのもとで所有権移転登記の手続きを行います。そのため、登記に必要な書類は漏れなく揃えておく必要があります。

住宅ローンが残っている場合は、残代金の決済と同時に抵当権抹消登記も行います。借入先の金融機関へ決済日を伝え、抵当権抹消に必要な書類を取り寄せておきましょう。

このほか、物件の鍵や付帯設備の取扱説明書、建築確認済証などを買主に引き継ぎます。準備する書類は多岐にわたるため、不動産会社の担当者に確認しながら進めると安心です。

書類ごとの取得方法・所要日数・有効期限の早見表

必要書類のなかでもとくに注意したいのが、有効期限と取得までの日数です。印鑑証明書の有効期限は発行日から3ヶ月。抵当権抹消書類のように、取得まで数週間かかるものもあります。主な書類の取得実務を一覧にまとめました。

書類取得場所・入手方法費用の目安所要日数・有効期限
印鑑証明書市区町村の窓口、コンビニ交付(マイナンバーカードが必要)1通数百円即日取得可。有効期限は発行から3ヶ月
権利証(登記済証・登記識別情報)購入時に受領済み。再発行は不可−期限なし。早めに所在確認を
固定資産税評価証明書市区町村の窓口(東京23区は都税事務所)1通数百円即日取得可。最新年度のものが必要
抵当権抹消関連書類ローン借入先の金融機関−完済の申し出から受領まで1〜3週間程度

印鑑証明書

あらゆる場面で必要な印鑑証明書は、発行から3ヶ月以内のものが有効です。有効期限が切れることのないよう、必要な時期の直前に取得すると安心です。

ただし、売買契約から残代金決済までの期間は1〜2ヶ月程度が一般的なため、売買契約の直前に取得すれば、決済時も有効な場合があります。必要な通数をまとめて取得しておけば、取り直しの手間もかかりません。

市区町村の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニ交付も利用できます。

登記済権利証・登記識別情報

権利証は再発行ができません。紛失している場合は代替の手続きが必要になり、費用と時間がかかります。紛失時の対処法については、後ほど詳しく解説します。

売却を決めたら、まず所在を確認しておきましょう。

固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は、登記の際の登録免許税の算定などに使われる書類で、物件所在地の市区町村(東京23区は都税事務所)で取得できます。評価額は毎年4月頃に年度が切り替わるため、最新年度のものを用意しましょう。

抵当権抹消関連書類

住宅ローンが残っている物件は、残代金でローンを完済し、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取ります。完済の申し出から書類の受領まで1〜32週間程度かかるのが一般的で、金融機関によっては1ヶ月程度かかる場合があるため、決済日が決まったらすみやかに借入先へ連絡しましょう。

代理人に不動産売却を委託する際に必要な書類は?

不動産売買 委託 必要書類

遠方に住んでいたり、健康上の理由で立ち会えないなどの事情で代理人に売却手続きを委託する場合は、別途、委任状および代理人の本人確認書類などが必要です。

必要書類

代理人に委託する場合は、次の書類が必要です。

  • 委任状(売主本人の実印を押印)
  • 売主本人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 代理人の実印・印鑑証明書
  • 代理人の本人確認書類

委任状に押された実印と印鑑証明書によって、売主本人の意思で委任したことを証明します。

委任状に記載する内容

委任状は、売主本人が代理人に対して、どの範囲まで権限を委任したかを明確にするための法的な書類です。記載内容に不備があると無効と見なされる可能性もあるため、間違いのないように作成しなければなりません。

委任状には、主に以下の項目を記載します。

  • 代理人の氏名、住所
  • 委任する具体的な内容
  • 対象となる不動産の表示(所在地、地番、家屋番号など)
  • 委任状の作成年月日
  • 委任者(売主本人)の氏名、住所、実印の押印

委任する内容は「売買契約締結」「残代金受領」「所有権移転登記申請」など、具体的な行為を列挙することが大切です。「不動産売買に関する一切の権限」のような曖昧な表現を使わないようにしましょう。具体的に記載することで代理人が行える範囲が明確になり、後のトラブルを防ぐことになります。

委任状の書式には法的な決まりがなく、通常は不動産会社や司法書士が用意した書式を使用します。また、認印でも委任状は成立しますが、高額な取引であるため、実印を用いるのが一般的です。

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権利証・登記識別情報を紛失した場合の対処法は?

権利証を紛失していても、不動産の売却はできます。再発行はできないため、本人であることを別の方法で証明する次の3つの手続きのいずれかで対処します。

事前通知制度

事前通知制度は、法務局が売主本人宛てに本人限定受取郵便で通知を送り、期間内に申出をすることで本人確認とする制度です。費用はかかりませんが、期間内に手続きが完了しないと登記申請が却下されるため、決済と同時に登記を行う通常の売買では利用しにくい面があります。

司法書士による本人確認

司法書士が売主と面談し、本人確認情報を作成する方法です。手数料は5〜10万円程度かかりますが、決済当日までに準備を完了できるため、実務ではもっとも多く利用されています。

公証人による本人確認

公証役場で、公証人の面前で委任状などに署名し、認証を受ける方法です。費用は数千円程度と抑えられますが、売主本人が公証役場へ出向く必要があります。

どの方法をとるべきかは、状況に応じて司法書士や不動産会社に相談して決めましょう。

・「権利証(登記済証・登記識別情報)を紛失した場合の対処法」に関する記事はこちら
登記識別情報通知とは?紛失した場合の対処法を紹介【見本付き】

住所氏名変更登記が必要なケースとは?

登記簿上の情報と現在の住所・氏名が一致していないと、所有権移転登記ができません。変更登記には、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。申請から登記完了までには1〜2週間程度かかるため、売却を決めたら早めに登記簿の内容を確認しておきましょう。

結婚・離婚などにより氏名が変わった

結婚や離婚などで氏名が変わった場合は、氏名変更登記が必要です。変更の経緯を証明するため、戸籍謄本などを添付して申請します。

引っ越しにより住所が変わった

購入後に引っ越して住民票を移した場合は、住所変更登記が必要です。住民票(複数回転居している場合は戸籍の附票)で変更の経緯を証明します。

2026年4月より住所氏名変更登記が義務化

不動産登記法の改正により、2026年4月から住所氏名変更登記が義務化されました。住所や氏名の変更日から2年以内の申請が義務となり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象となります。

義務化より前の変更も対象で、この場合は施行日から2年以内に申請が必要です。売却の予定がなくても、該当する方は早めに手続きを済ませておきましょう。

義務化にあわせて「スマート変更登記」の運用も始まっています。あらかじめ氏名・住所・生年月日・メールアドレスなどの検索用情報を法務局に申し出ておくと、その後に住所などの変更があった際、法務局が職権で変更登記を行ってくれる仕組みです。申出も職権による登記も無料で、以後は自分で変更登記を申請する手間がかかりません。

まとめ

不動産売買の必要書類は、査定・媒介契約・売買契約・引き渡しの段階ごとに異なります。とくに注意したいのは、有効期限のある印鑑証明書と再発行できない権利証です。書類の準備に不安があれば、不動産会社に相談しながら進めるのが安心です。

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この記事のポイント

不動産売買で売主が準備する書類は?

査定・媒介契約・売買契約・引き渡しの段階ごとに異なり、実印・印鑑証明書・権利証などが代表的です。

詳しくは「【段階別】必要書類一覧」をご覧ください。

代理人に売却を委託する場合に必要な書類は?

委任状のほか、売主本人と代理人それぞれの印鑑証明書などが必要です。

詳しくは「代理人に不動産売却を委託する際に必要な書類は?」をご覧ください。

権利証を紛失した場合は?

権利証は再発行できませんが、事前通知制度や司法書士による本人確認情報の作成などで対処できます。

詳しくは「権利証・登記識別情報を紛失した場合の対処法は?」をご覧ください。

印鑑証明書の取得方法は?

市区町村の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニ交付でも取得できます。ただし、発行から3ヶ月以内という有効期限があるためご注意ください。

詳しくは「書類ごとの取得方法・所要日数・有効期限の早見表」をご覧ください。

住所変更登記が必要なケースは?

引っ越しや結婚・離婚などにより、登記簿上の住所・氏名が現在のものと異なる場合です。

詳しくは「住所氏名変更登記が必要なケースとは?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

必要書類のなかで、確認を後回しにすると厄介になりかねないのが権利証と登記簿です。権利証は再発行ができず、紛失時の対処には一定の時間がかかります。また、登記簿の住所・氏名が現在と異なれば、変更登記を経ないと売却できません。2026年4月からは住所氏名変更登記が義務化されています。相続した不動産も、相続登記をしなければ売却できません。相続登記も現在、義務化されています。売却を決めたら、まず権利証の所在と登記簿の内容を確認するようにしましょう。

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