ざっくり要約!
- 2026年現在、中古マンションの売出価格(売値)と成約価格(買値)の乖離が広がっている
- 売却価格は立地や築年数などによって大きく変わるため、複数社への査定依頼で適正価格を把握し、価格交渉も見据えた売却戦略を立てることが大切
マンションの売却を検討するとき、まず気になるのが「いくらで売れるのか」ではないでしょうか。 マンション価格は十数年にわたって上昇しており、購入時を上回る金額で売却できるケースも少なくありません。
一方で、近年は売出価格(売値)と成約価格(買値)の乖離が広がっており、周辺の売出価格を鵜呑みにすると、実際に売れる水準より高すぎる価格設定になりかねません。またエリアによる価格動向の差も広がりつつあります。
この記事では、最新のデータをもとに、マンションの売値と買値の差額の実態や売却価格を左右する要素、少しでも高く売るためのコツを解説します。購入希望者から価格交渉を受けた際の応じ方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
マンションの売出価格(売値)と成約価格(買値)の差額はどれくらい?
マンションの売出価格(売値)と成約価格(買値)は近年、乖離が拡大傾向にあります。まずはデータから、両者にどれくらいの差があるのかを見ていきましょう。
【データで見る】首都圏マンション売却の売値と買値

東日本不動産流通機構によれば、2026年6月に成約した中古マンションの平均平米単価は「82.64万円/㎡」でした。一方で、同時期の新規登録物件の平均平米単価は「115.57万円/㎡」、在庫物件は「116.54万円/㎡」です。
新規登録物件とは新たに売り出された物件を指し、在庫物件は売れずに市場に出ている物件を指します。つまり、売主が「売りたい」と考えている価格(売値)と、買主が実際に「買っている」価格(買値)には、平米単価にして30万円以上、率にすると約3割もの開きがあるということです。
新規登録物件や在庫物件と成約物件は同一ではないため単純に比較はできないものの、売値と買値の「平均値」には大きな乖離が見られ、ワニの口のように拡大している状況にあることはまず理解しておきましょう。
売値と買値の差額が広がっている理由は?
売値と買値の乖離が広がっている背景として大きいのが、高価格帯の物件の売れ行きが鈍っていることです。近年はインフレが進み、住宅ローン金利が上昇傾向にあるなか、買主の予算はシビアになりつつあります。
これにより、成約物件のうち相対的に手が届きやすい価格帯の物件の比率が高くなり、強気の価格で売り出された高額物件は買い手がつかず、在庫として市場に残りやすくなっています。

とはいえ、金利上昇やインフレの影響は高価格帯の物件だけに影響するわけではありません。東京都区部の成約平米単価は74ヶ月連続で上昇していますが、東京都の多摩エリアや神奈川県、埼玉県、千葉県の成約単価はほぼ横ばいで推移しています。
マンション価格は十数年にわたり一貫して上昇を続けてきましたが、すべてのマンションが一律に上昇を続けているわけではありません。とくに売値と買値の乖離が大きい今のような市況下では、周辺エリアや競合となる物件の売出価格ばかりに目を向けるのではなく、実際に成約した価格を基に価格設定をすることが大切です。
マンションの売却価格に影響を与える4つの要素
売出価格を決める際には、周辺相場の把握が不可欠です。ただし、ひとつとして同じ物件はない以上、単純な比較はできません。同じマンション内や同じ広さの部屋であっても、価格には差がつきます。適正な価格設定をするためにも、何が価格を左右するのか、その要素を知っておきましょう。
1.立地条件
マンションの資産価値に最も影響するのが立地です。最寄り駅からの距離や沿線の利便性、都心へのアクセス、周辺の商業施設・教育施設・医療機関の充実度などが価格に直結します。
建物は基本的に経年によって価値が下がっていきますが、立地の価値は年数が経っても下がりにくく、再開発や新駅開業などによってむしろ上がることもあります。築年数が古くても駅近や都心部のマンションが高値で取引されるのは、立地の良さが評価されるためです。
2.築年数
| 築年帯 | 平均成約価格(万円) | 平均㎡単価(万円/㎡) | 前の築年帯からの単価下落率 |
|---|---|---|---|
| 築0〜5年 | 8,666 | 143.64 | ー |
| 築6〜10年 | 8,201 | 131.94 | ▲8.1% |
| 築11〜15年 | 7,335 | 114.11 | ▲13.5% |
| 築16〜20年 | 6,709 | 99.13 | ▲13.1% |
| 築21〜25年 | 6,075 | 86.10 | ▲13.1% |
| 築26〜30年 | 4,286 | 64.45 | ▲25.1% |
| 築31〜35年 | 2,638 | 44.14 | ▲31.5% |
| 築36〜40年 | 2,761 | 40.40 | ▲8.5% |
| 築41年〜 | 2,558 | 47.50 | +17.6% |
中古マンションの売却価格は、築年数が古くなるほど下落する傾向にあります。ただし、下落のペースは上記のように一律ではありません。首都圏の2025年の成約データを見ると、築20年までは5年ごとに8〜13%程度と比較的緩やかに下落し、築26〜35年にかけて下落幅が大きくなり、築36〜40年で底を打ち、築41年以降は単価が回復傾向にあります。
売却のタイミングを検討したり、相場を確認したりするうえでは、自身のマンションがどの築年帯にあるのかを把握しておくことが大切です。
・「築年数別の売却相場」に関する記事はこちら
【2026年最新】マンション売却相場は築年数でどう変わる?築年帯別の価格推移と売り時を解説
3.新築か中古か
新築マンションの価格には、分譲時の広告宣伝費やモデルルームの運営費などが上乗せされており、いわゆる「新築プレミアム」が含まれています。そのため、入居して中古になった時点で、新築時より1〜2割程度価格が下がるといわれてきました。
ただ近年は、新築価格の高騰と供給減少を背景に、築浅の中古マンションが新築の代替として高い需要を集めており、新築時と遜色ない価格、あるいは新築時を上回る価格で取引されるケースも見られます。
4.階数・方角・間取り
同じマンション内でも、住戸の条件によって価格には差がつきます。一般的に、高層階ほど評価が高く、眺望や部屋の向き、角部屋かどうかなども価格に影響します。
間取りについては、専有面積が同じでも、使い勝手の良い汎用性の高い間取りのほうが幅広い層から検討されやすく、売却価格も安定しやすい傾向にあります。こうした住戸条件の違いにより、同じマンション内でも数百万円の価格差がつくことも珍しくありません。
購入希望者からの価格交渉にはどう応じるべき?

売り出し後、購入希望者から「もう少し安くならないか」と価格交渉(指値)が入ることは珍しくありません。想定しておかないと、いざというときに慌てて判断を誤りかねないため、対応の基本を押さえておきましょう。
価格交渉は不動産市場の商慣習
中古住宅の取引では、購入申込みの際に価格交渉が行われるのが商慣習となっています。たとえば「4,280万円」で売り出されている物件に対して「4,200万円なら購入したい」といった端数調整の交渉は、ごく一般的なものです。
交渉が入ること自体はネガティブなことではなく、購入の意思が固まりつつあるサインとも捉えられます。あらかじめ交渉分を見込んだ価格設定をしておくのも、売却戦略のひとつです。
こちらから再交渉することも可能
購入希望者からの指値に、そのまま応じる必要はありません。たとえば、先方の希望額と売出価格の中間の金額を再提示する、いわゆる「カウンターオファー」も可能です。
また、交渉材料は価格だけではありません。引渡し時期を先方の希望に合わせる、設備をそのまま残すなど、条件面での歩み寄りを提案することで、値引き幅を抑えながら合意に至れることもあります。
状況を見ながら検討しよう
価格交渉に応じるかどうかは、売却活動の状況を踏まえて判断しましょう。問い合わせや内見が多く、他にも購入希望者が現れそうな状況であれば、無理に応じる必要はありません。逆に、反響が少ない状況で受けた申込みであれば、前向きに検討する余地があるでしょう。
競合物件の動向や売却の期限も考慮しながら、不動産会社の担当者と相談して判断することが大切です。

マンションを少しでも高い価格で売却する4つのコツ
最後に、マンションを少しでも高く売却するために押さえておきたい4つのコツを紹介します。
1.売却のベストタイミングを狙う
1年の中で中古マンションの成約が多いのは、4月からの新生活に向けて売買が活発になる2月・3月です。この需要を取り込むには、成約までの期間を逆算し、12〜1月頃までには売り出しておくのが理想的です。
また、手残りを増やすためには税制も理解しておく必要があります。マンションの売却益(譲渡所得)には税金がかかりますが、税率は所有期間によって以下のように異なります。
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
所有期間が5年を超えてから売却することで、税率を約半分に抑えられます。ただし、所有期間はマンションを売却した年の1月1日時点で判定されるためご注意ください。
なお、マイホームの売却では「3,000万円特別控除の特例」により、そもそも課税対象とならない場合もあります。適用条件を確認したうえで、売却時期を検討しましょう。
・「譲渡所得」に関する記事はこちら
短期譲渡所得・長期譲渡所得の基礎知識!不動産売却で気をつけるべき点も
・「3,000万円控除」に関する記事はこちら
マンション売却で活用可能! 3,000万円特別控除とは?
2.複数の不動産会社に査定を依頼する
売却価格の土台となるのが、売り出し時の価格設定です。適正価格を把握するために、査定は必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。
注意したいのは「査定額=売れる金額」ではないという点です。高い査定額を提示する会社が良い会社とは限りません。査定額の根拠となる成約事例を確認し、納得のいく説明をしてくれる会社を選ぶことが、結果的に高値売却への近道となります。
・「売却査定」に関する記事はこちら
マンション査定はどこを見る?注意点と売却に向けた手順を解説
マンションは査定だけで売却しなくてもOK?査定方法や注意点を解説
3.物件の魅力を高める
同じ物件でも、見せ方次第で購入希望者の印象は大きく変わります。内見前に整理・清掃を徹底することはもちろん、水回りなどの汚れが気になる場合はハウスクリーニングも検討しましょう。また、モデルルームのように空間を演出するホームステージングも、売却期間の短縮や売値UPに期待できる施策のひとつです。
さらに、インスペクション(建物状況調査)も競合物件と差別化できる要素になり得ます。専門家が建物の劣化状況や不具合の有無を調査することで、購入希望者に安心材料を提供できます。
・「ハウスクリーニング」に関する記事はこちら
ハウスクリーニングの相場はいくら?水回りから一戸建てにかかる費用まで紹介
・「ホームステージング」に関する記事はこちら
ホームステージングとは?メリットや売却への効果、自分で行うポイントも解説
・「インスペクション」に関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説
4.東急リバブルのサポートを活用する
不動産会社の売却サポートを活用するのも有効です。たとえば東急リバブルでは、建物や設備の不具合を保証する「リバブルあんしん仲介保証」や「水まわりブライトニング」、お部屋を彩る「ルームデコレーション」など充実した売却サポートサービスを用意しています。
こうしたサービスは、購入検討者の安心につながるだけでなく、競合物件との差別化にもなります。売却の相談や査定の際に、利用できるサービスをあわせて確認してみましょう。
・東急リバブルの売却サービス一覧

まとめ
マンションの売却価格は、市況に加え、立地や築年数、住戸条件によって大きく変わります。マンション価格は十数年にわたって上昇しているものの、売値と買値の乖離は広がっており、相場の把握は難しくなっています。
こうした時期こそ適正価格を把握したうえで、価格交渉まで見据えた戦略を立てて売却を進めることが大切です。まずは、ご自身のマンションが現在いくらで売れるのか、正確な相場を把握することから始めてみましょう。
この記事のポイント
- マンションの売出価格と成約価格はどれくらい違いますか?
首都圏では、成約物件の平均平米単価に対して新規登録・在庫物件の平均平米単価が3割ほど高く、両者の乖離が広がっています。強気の売出価格を鵜呑みにせず、成約価格を基準に相場を判断することが大切です。
詳しくは「マンションの売出価格(売値)と買値の差額はどれくらい?」をご覧ください。
- マンションの売却価格はどのような要素で決まりますか?
立地条件や築年数、階数、方角、間取りなどが大きく影響します。
詳しくは「マンションの売却価格に影響を与える4つの要素」をご覧ください。
- 購入希望者から値引きを求められたら応じるべきですか?
価格交渉は中古住宅取引の商慣習ですが、必ず応じなければならないわけではありません。こちらから再交渉することも可能です。反響や競合物件の状況を見ながら判断しましょう。
詳しくは「購入希望者からの価格交渉にはどう応じるべき?」をご覧ください。
- マンションを少しでも高く売るにはどうすればよいですか?
売却のベストタイミングを狙う、物件の魅力を高めるなど、いくつかのコツがあります。
詳しくは「マンションを少しでも高い価格で売却する4つのコツ」をご覧ください。
- マンションの売り時はいつですか?
マンション売却の好機として、成約が多い2〜3月や譲渡所得税の税率が下がる所有期間5年超のタイミングが挙げられます。
詳しくは「マンションを少しでも高い価格で売却する4つのコツ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
中古マンション価格は長らく上昇してきましたが、2026年に入り、成約価格が下落に転じる月も見られるようになりました。エリアや物件条件による二極化も進んでいます。「まだ上がるはず」と強気の価格に固執すると、かえって売り時を逃してしまうかもしれません。売却を決めたら、直近の成約事例に基づく適正価格で売り出し、市場の反応を見ながら柔軟に判断することをおすすめします。


