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家の買い替えの流れは? 買い替えの手順とベストなタイミングを解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。
https://x.com/sakuragirie

ざっくり要約!

  • 家の買い替えを検討したら、まず住宅ローンの残債額と査定額を確認しよう
  • 家を買い替える流れは「売り先行」「買い先行」に大別される

買い替えの流れは大きく「売り先行」と「買い先行」に分けられ、それぞれにメリットとデメリットがあります。売り先行は資金計画を立てやすい一方で仮住まい費用が発生する可能性があり、買い先行は新居をじっくり選べる反面、ダブルローンのリスクを伴います。

この記事では、家の買い替えを検討し始めた方に向けて、買い替えの基本的な流れや売り先行・買い先行の違い、ベストなタイミングや費用面の注意点を整理して解説します。

家の買い替えを検討したらまず何をするべき?

家の買い替えをスムーズに進めるために大切なのは「事前準備」です。家の買い替えを検討し始めたら、まずは次の3つを確認・整理しておきましょう。

住宅ローンの残債額の把握

住宅ローンが完済できるかどうかで、家を買い替える適切な流れは変わってきます。また残債は新居の予算にも影響してくるため、まずは住宅ローンの残債額を把握しておきましょう。

住宅ローンの残債額は、次の3つの方法で確認できます。

  • 契約時に発行された返済予定表を確認する
  • 毎年秋頃送られてくる残高証明書を確認する
  • 金融機関のアプリやマイページ、窓口で確認する

返済予定表はあくまで契約時の予定ですので、返済期間中に繰り上げ返済などをした場合は実態と異なるためご注意ください。

売却査定

住宅ローンが完済できるか、そして完済後にいくら手元に残るかは、家がいくらで売れるかにもよるところです。売却金額は実際に売れるまで確定しませんが、不動産会社に査定してもらうことで、売値に近い金額を把握できます。

新居の購入を先行する「買い先行」で買い替える場合も、売却金額によって予算が変わってくるため、必ず事前に売却査定をするようにしましょう。

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新居に求めることの整理

家の買い替えは売買のタイミングが難しく、場合によっては新居をじっくり選ぶ時間が確保できない可能性もあります。限られた時間の中で理想的な住まいを見つけるためには、あらかじめ新居に求めることを整理しておくことが大切です。

たとえば、立地や通勤時間、学校区などの生活環境、間取りや広さ、予算の上限といった優先順位を明確にしておけば、効率よく物件を比較・検討できます。希望条件を家族で共有しておくことで、内覧の際の判断もスムーズになり、短期間でも納得感のある選択につながるでしょう。

家の買い替えの流れ|売り先行・買い先行の違いとは?

家を買い替える流れは「売り先行」と「買い先行」の2つに大別されます。両者の違いやそれぞれに向いている人の特徴は、次のとおりです。

売り先行の流れ

「売り先行」とは、今住んでいる家を売ってから新居を購入する買い替え方法を指します。売り先行で家を買い替える流れは、次のとおりです。

  • 自宅の売却活動を開始する
  • 自宅の売買契約締結
  • 新居を探す
  • 新居の売買契約締結・住宅ローン手続き
  • 仮住まいへ引越し
  • 自宅の売却代金受領・引き渡し
  • 新居の引き渡し・引越し

自宅の引き渡し時期と新居の売買契約時期によって順番が多少前後することはありますが、「今住んでいる家を売ってから新居を買う」という流れは変わりません。

売り先行は、自宅の売却金額が決まってから新居を購入できるため資金計画を立てやすく、ローン返済が二重(ダブルローン)になることもありません。また、売却活動から買い替えが始まるため、十分に時間をかけて売却を進められる点も特徴のひとつです。

一方で、新居の引き渡しを受けるタイミングによっては、新居に引っ越す前に仮住まいに転居する必要性が出てきます。一時的に仮住まいに移るとなると、その分、仮住まい先の賃料や家具を一時的に保管するトランクルームの費用など、売買に伴う諸費用以外の費用がかかる可能性があります。

売り先行に向いている人

売り先行に向いているのは、次のような人です。

  • 今の家の住宅ローンを完済しなければ新居のローンが組めない
  • ダブルローンになることを避けたい
  • できる限り好条件で今の家を売りたい

売り先行は資金計画の見通しを立てやすく、落ち着いて売却活動を進められる点が大きなメリットです。そのため、資金計画をしっかり立てて新居を購入したい人や売却金額にこだわりたい人に適した買い替え方法といえるでしょう。

買い先行の流れ

「買い先行」は、新居を購入してから今の住まいを売却する買い替え方法です。買い替えの流れは、次のとおりです。

  1. 新居を探す
  2. 新居の売買契約締結・住宅ローン手続き
  3. 新居へ引越す
  4. 自宅の売却活動を開始する
  5. 自宅の売買契約締結
  6. 自宅の売却代金受領・自宅の引き渡し

こちらも引き渡しのタイミングなどによって多少順番が前後することはあるものの「新居を買ってから家を売る」という流れになります。

買い先行は、新居選びに時間をかけることができます。気に入った住まいを買い逃す心配がなく、仮住まい期間なく、新居に直接引っ越せます。転居後に自宅を売り出せば、内覧対応などの負担も軽減します。

ただし、今の住まいの住宅ローンが残っていて新居もローンを組んで購入する場合は、2つのローン返済が重複する期間が生じます。

買い先行に向いている人

買い先行に向いているのは、次のような人です。

  • 自宅の住宅ローンを完済している
  • ダブルローンに耐えられる
  • 時間をかけて新居を探したい

資金面に余裕がある人、あるいはダブルローンにも耐えられる人であれば、気に入った物件を逃さず確保でき、仮住まいを挟まずスムーズに住み替えられる買い先行が適しています。「買取」や「売却保証」といった手段で自宅を売ることで、ダブルローンの期間を避ける、あるいは短くすることも可能です。

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家の買い替えのベストなタイミングは?

家の買い替えでタイミング以外に押さえるべきポイント

買い替えを成功させるには、どのタイミングで動くかも大きなポイントです。築年数や市況、ライフステージの変化などを踏まえ、より良い条件で売却・購入できるタイミングを見極めましょう。

リフォームが不要な築年帯

築年数が浅いほど購入後のリフォーム費用を抑えられるため、戸建て・マンションを問わず築浅であるほど人気があります。築10年程度までであればそのまま居住できる状態の物件が多く、丁寧にお住まいであれば築15〜20年程度でもリフォームなしで暮らせる場合があります。

買主は、物件価格だけでなくリフォームを含めた「総額」で購入の可否を判断します。リフォームが不要なタイミングに売却すれば、好条件で売れやすくなります。

不動産の売れ行きが良い時期

市況も重要な判断材料となります。金利動向や住宅の需要、地域の再開発といった要因によって、不動産の売れやすさや相場は変わります。高く売れる時期は新居の相場も高いため必ずしも住み替えに適した時期とはいえませんが、不動産が高く売れれば住宅ローンを完済した後の手残りが多いため、新居の選択肢が広がりやすくなります。

ライフステージが変化したとき

ライフステージの変化に伴い、適した住まいの条件は変わっていきます。たとえば、子どもが生まれるとより広い住まいを求めるようになり、成長に合わせて通学しやすい立地への引っ越しを考えることもあります。

逆に子どもが独立したり自身が定年を迎えたりする時期には、コンパクトで管理しやすい家やバリアフリーに配慮した住まいを希望するケースも少なくありません。このようにライフステージに変化があるタイミングは、買い替えが検討されやすい時期です。

家の買い替えで抑えておくべきポイント

家の買い替えは、流れを理解し、タイミングさえ見誤らなければ成功するというわけではありません。売買にかかる諸費用や家の買い替えで利用できる制度なども、あらかじめ知っておきましょう。

1.必要な費用を理解する

家の買い替えには、家の購入代金以外にさまざまな費用がかかります。資金が足りなくなることのないよう、全体でどのくらいの費用がかかるのか試算しておきましょう。

ここでは、代表的な費用を紹介します。

仲介手数料不動産会社へ仲介を依頼して、成約に至った場合に支払う手数料。
自宅売却と新居購入時にかかり、物件価格が400万円超の場合は「物件価格×3%×6万円+消費税」で仲介手数料の上限額を計算できる。
印紙税売買契約書を作成する場合にかかる税金。契約書に収入印紙を貼って納税する。
2027年3月31日までは特例措置により、物件価格が1,000万円超5,000万円以下の場合は、税額が1万円に軽減される。
登録免許税登記する際にかかる税金。所有権移転登記は買主が負担するのが一般的。自宅の売却では、抵当権抹消登記や住所変更登記の際にかかる。登記の種類によって税率は異なる。
司法書士への報酬司法書士へ登記を依頼する際に、司法書士への報酬が発生する。
所有権移転登記は約5~10万円、抵当権抹消登記は約1.5~2万円が目安。
住宅ローン関連住宅ローンを借り入れる際には、事務手数料や保証料、印紙代がかかる。
住宅ローンを繰り上げ返済する際にも手数料がかかり、金融機関や返済方法によって異なる。
火災保険料住宅ローンを利用する場合、抵当権を設定する家について、金融機関から火災保険の加入を求められるのが一般的。
加入するタイプや補償内容、期間によって火災保険料は異なる。地震保険に加入する場合は、別途、保険料がかかる。
不動産取得税不動産を取得した際にかかる税金で、不動産を取得後半年から1年程度で都道府県から納税通知書が届く。
「固定資産税評価額×4%」で計算でき、2027年3月31日までは3%に軽減される。
譲渡所得税家の売却で、利益が発生した場合にかかる税金。
所有期間によって税率が異なり、マイホームで一定の要件を満たす場合は3,000万円の特別控除が使える。
引越し代引越し会社や時期、距離、プランによって異なり、仮住まいする場合は2回分かかる。

2.資金不足のときの対処法

資金が足りず自宅の住宅ローンを完済できないときや、買換えをスムーズに進めるための対処法として、2つの金融商品(融資)を紹介します。

住み替えローン

住み替えローンとは、新居を購入する際の住宅ローンに、自宅の住宅ローン残高を上乗せして借り入れできる金融商品です。
つまり自宅の住宅ローンを売買代金や自己資金で完済できなくても、あらたなローンと1本化することで自宅の抵当権を抹消でき、買換えが可能になります。
ただし、新居の担保評価以上の資金を借り入れることになるため、一般的な住宅ローンに比べて金利や保証料が高く、ローンの審査は厳しくなります。利用を検討する場合は、早めに金融機関へ相談するようにしてください。
また自宅の売却と新居購入のタイミングを合わせなければならず、自宅の抵当権抹消と新居への抵当権設定を同時におこなう必要があります。

つなぎ融資

自宅売却より先に新居購入する場合などで、新居の購入資金を一時的に借り入れしたいときは、つなぎ融資の利用を検討しましょう。

ただし、自宅売却後にその売却代金で完済することが条件で、住宅ローンに比べて金利や保証料は高いのが特徴です。

基本的には新居の購入時期は先になるものの、自宅の売却時期がほぼ決まっていて、数日後には自宅のローンを完済できる場合に利用するケースがほとんどです。

3.信頼できる不動産会社を選ぶ

買い先行と売り先行のどちらを選択する場合でも、資金計画やタイミングの見極めが難しく、買い替えの実績が豊富な担当者のアドバイスが欠かせません。

家の売却を検討する場合は、複数の不動産会社に相談し、信頼できると感じた担当者がいる不動産会社へ依頼するようにしてください。

買換えのスケジュールや資金計画を相談し、具体的かつ的確な提案をしてもらえるかどうかで判断するとよいでしょう。

まとめ

家を買い替える流れは「売り先行」と「買い先行」の2つに大別されます。どちらが適しているかは、ローン残債や資金力などによります。どちらの買い替え方法を選択するとしても、まずはローン残債と査定額を把握することが大切です。そのうえで資金計画を立て、タイミングを見極めながら買い替えを進めていきましょう。

この記事のポイント

買い先行の買い替えに向いている人は?

買い先行は新居選びに時間をかけることができ、見つかった時点で購入できるという特徴があり、自宅の住宅ローンを完済している人、もしくは資金的に余裕がある人が向いています。

詳しくは「買い先行の流れ」をご覧ください。

売り先行の買い替えに向いている人は?

売り先行は、自宅の売却価格が決まってから新居を購入できるので、資金計画を立てやすいのがメリットです。

そのため、住宅ローン残高が残っている人、買換えを堅実に進めたい人に向いています。

詳しくは「売り先行の流れ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

家の買換えで自宅売却と新居購入のタイミングを合わせることは難しく、買い先行もしくは売り先行で進めるのが一般的です。ただしどちらで進める場合でも、家計への負担を軽減するためにも、買いと売りのタイミングはなるべく合わせるようにしましょう。
たとえば買い先行の場合でも、自宅の売却準備は進めておくようにし、買取による売却も視野に入れておきましょう。また買換えが成功するかどうかは、資金計画とタイミングの見極めが重要になります。買換え実績が豊富な担当者を選ぶようにし、よく相談したうえで進めるようにしてください。

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