ざっくり要約!
- リフォーム一体型住宅ローンは、住宅購入資金とリフォームにかかる資金をまとめて借り入れできる住宅ローン
- リフォーム一体型住宅ローンを利用する際は、申し込みの時点で具体的な見積書や工事計画書を提出する必要がある
中古住宅の購入と同時にリフォームを検討している方の中には「リフォーム一体型住宅ローン」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。しかし「実際どのような仕組みなのかよく分からない」という方も少なくありません。
リフォーム一体型住宅ローンは、住宅購入費用とリフォーム費用をまとめて借りられるサービスです。しかし、利用するうえで注意すべきポイントがいくつかあります。
この記事では、リフォーム一体型住宅ローンの仕組みやメリット・デメリット、具体的な比較ポイントを解説します。これから中古住宅の購入を検討している方の参考になるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
記事サマリー
リフォーム一体型住宅ローンとは

リフォーム一体型住宅ローンとは、住宅購入資金とリフォームにかかる資金をまとめて借り入れできる住宅ローンのことです。
中古住宅を購入してリフォームする場合、通常であれば住宅ローンとリフォームローンを別々に組む必要があります。しかし、このローンを利用すれば両方の資金を一本化することが可能です。
例えば、中古住宅を購入してからキッチンや浴室、内装を一新したいと考えているとしましょう。この場合、リフォーム一体型ローンを利用することで資金をひとつにまとめられ、手続きや資金管理がしやすくなります。
近年では、リフォーム一体型住宅ローンに対応する金融機関が徐々に増えてきています。物価の上昇が続く中で、中古住宅を購入して自分好みにリフォームする暮らし方が広がりつつあります。こうした背景からも、時代のニーズに即した住宅ローン商品といえるでしょう。
| ・「リノベーションとリフォームの違い」に関する記事はこちら リノベーションとリフォームの違いを解説!費用相場からメリット、デメリットまで紹介 |
リフォーム一体型住宅ローンを組むメリット

リフォーム一体型住宅ローンは、金利や返済条件、手続きの面で多くのメリットがあります。
ここでは、リフォーム一体型住宅ローンを組むメリットを3つ紹介します。
リフォームローンより金利が低い
リフォーム一体型住宅ローンのメリットの1つに、一般的なリフォームローンと比べて金利が低めに設定されている点が挙げられます。
それぞれの金利相場は以下のとおりです。
| 金利の目安 | |
|---|---|
| リフォームローン | 年2〜5%程度 |
| リフォーム一体型住宅ローン | 年0.7〜3%程度 |
金利を低く抑えることができれば、その分毎月の返済額や総返済額の負担が少なくて済みます。
以下は、実際にリフォーム資金1,000万円を借り入れた場合のシミュレーションです。
【借入条件】
- 借入額:1,000万円
- 返済期間:20年
- リフォームローンの金利:4%
- リフォーム一体型ローンの金利:0.8%
- 返済方法:元利均等返済
| 毎月返済額 | 総返済額 | |
|---|---|---|
| リフォームローン | 6万598円 | 約1,454万円 |
| リフォーム一体型住宅ローン | 4万5,102円 | 約1,082万円 |
このように、金利差が3.2%変わると、支払総額に約370万円もの差が生じます。
特に、リフォームローンと比べて金利差が大きいため、一体型で借り入れができれば、総返済額の負担を抑えやすくなります。
リフォームローンより返済期間が長い
リフォーム一体型住宅ローンは、一般的なリフォームローンに比べて返済期間を長く設定できるのが特徴です。
通常、リフォームローンの返済期間は5〜20年ほどですが、リフォーム一体型住宅ローンは35年まで設定でき、なかには50年返済に対応している金融機関もあります。
返済期間が長ければ、毎月の返済額を抑えやすくなるため、子育て世帯など支出の多い家庭には有利な仕組みといえるでしょう。ただし、返済期間が延びることで利息の支払いが増え、結果的に総返済額が多くなる点には注意が必要です。
| ・「50年住宅ローンのメリット・デメリット」に関する記事はこちら 50年住宅ローンのメリット・デメリットは? 「やばい」って本当? |
ローンを一本化でき管理しやすい
リフォーム一体型住宅ローンは、住宅ローンとリフォームローンを一本化できる点もメリットの1つです。
別々にローンを組んだ場合、それぞれで審査や契約が必要となり、必要書類の準備や返済管理に手間がかかります。一方で、リフォーム一体型住宅ローンであれば、これらの手続きを一本化できるため、資金管理がしやすくなります。
また、事務手数料や保証料などの重複も避けられるため、トータルでかかる諸費用も抑えることが可能です。手続きや資金管理に時間をかけたくない方にとっては、活用しやすいサービスといえるでしょう。
リフォーム一体型住宅ローンを組むデメリット

一方で、リフォーム一体型住宅ローンには次のようなデメリットがあります。
- 早い段階で具体的な見積書・計画書が必要になる
- 審査が厳しい
- 融資実行までに時間がかかる傾向にある
- 抵当権設定が必要である
借入を検討する場合、これらのデメリットをきちんと理解しておく必要があります。それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
早い段階で具体的な見積書・計画書が必要になる
リフォーム一体型住宅ローンを利用する際は、申し込みの時点で具体的な見積書や工事計画書を提出する必要があります。
これは、ローン審査においてリフォーム内容の妥当性や費用の正確性を確認するためです。そのため、物件選びと同時にリフォーム内容の検討や業者との打ち合わせを進め、早い段階で必要書類を揃える必要があります。
例えば、間取り変更の有無、使用する素材、工事の期間や費用の内訳など、詳細な情報を資料としてまとめておくことで、金融機関からの理解や評価を得やすくなります。そのため、リフォームの内容がまだ曖昧な段階では申し込みが難しく、早めの準備が欠かせません。
審査が厳しい
リフォーム一体型住宅ローンは、リフォームローンと比較して低金利かつ長期間で借りられる反面、審査が厳しくなる傾向があります。
特に、リフォーム内容も審査対象となるため、計画や見積書が不十分だと、審査に通りにくくなる点に注意が必要です。
また、リフォーム費用を上乗せすることで借入額が増え、「返済比率」が高くなる点にも気をつけましょう。返済比率とは、手取り年収に対する年間返済額の割合で、一般的には20〜30%程度に抑えるのが望ましいとされています。
例えば、手取り年収が500万円、年間のローン返済額が120万円(毎月10万円)とした場合の返済比率は次のとおりです。
120万円÷500万円×100=24%
返済比率は24%となります。
あらかじめリフォーム費用を含めた返済計画を立て、無理のない返済比率に収まるか確認しておくと安心です。
融資実行までに時間がかかる傾向にある
リフォーム一体型住宅ローンは、一般的な住宅ローンに比べて、融資実行までの期間が長くなる傾向があります。これは、物件購入に関する審査だけでなく、リフォーム内容や費用に関する追加の審査も必要となるためです。
その結果、手続きの工程が多くなり、融資実行までに時間がかかってしまうことがあります。
場合によっては、審査が完了する前に、気に入っていた物件が他の購入希望者に売れてしまうリスクも考えられます。リフォーム一体型住宅ローンをスムーズに進めるためには、あらかじめリフォーム計画や必要書類の準備を済ませておくことが重要です。
抵当権設定が必要である
リフォーム一体型住宅ローンは住宅ローンの一種であるため、借入時には購入する物件に対して「抵当権の設定」が必要となります。
抵当権設定とは、万が一ローン返済が滞った場合に、金融機関がその物件を担保として差し押さえ、競売にかけることで貸付金の回収を図る権利のことです。つまり、返済不能となれば、自宅を手放さざるを得なくなります。
担保設定は住宅ローンにおいて一般的な仕組みです。返済計画を立てる際には、万が一返済が滞った場合のリスクについても事前に理解しておく必要があるでしょう。
| ・「抵当権」に関する記事はこちら 抵当権をわかりやすく解説!設定・抹消手続きの流れと不動産の売却方法 |
リフォーム一体型住宅ローン利用の流れ

ここからはリフォーム一体型住宅ローンを利用する際のおおまかな流れをみていきましょう。
以下が一般的な手順です。
- 中古住宅の候補を決める
- リフォーム計画を立て見積もりを取る
- ローンに申し込み仮審査を受ける
- 売買契約・工事契約を結ぶ
- 本審査を受ける
- 住宅ローン実行・物件引き渡し
- リフォーム着工
- リフォームローン実行
このように、リフォーム一体型住宅ローンでは、物件選びの初期段階からリフォーム内容の検討と資金計画を同時に進めていくことになります。
特に「3」の仮審査までに、申込先の金融機関をあらかじめ絞り込んでおく必要があるでしょう。
仮審査は複数の金融機関に同時に申し込むことも可能で、金利や条件を比較するうえで有効な手段となります。また、審査には多くの書類を求められるため、事前に準備をしておくと安心でしょう。
リフォーム一体型住宅ローン利用にあたっての注意点4つ

リフォーム一体型住宅ローンを利用するにあたっては、次の4つの注意点を押さえておく必要があります。
- 総支払額を確認する
- 申し込み要件をよく確かめる
- 諸経費も借入できるか確かめる
- 審査に通らなかった場合の対処を考えておく
それぞれのポイントを順にみていきましょう。
総支払額を確認する
リフォーム一体型住宅ローンを選ぶ際には、金利の低さだけに注目するのではなく、保証料や手数料を含めた総支払額を把握しておくことが重要です。
例えば、2,000万円を20年かけて返済する場合のシミュレーションをみてみましょう。
| A銀行 | B銀行 | |
|---|---|---|
| 金利 | 0.7% | 0.8% |
| 諸費用 | 60万円 | 20万円 |
| 総支払額 | 2,203万円 | 約2,184万円 |
この例では、金利だけを比較するとA銀行のほうが有利に見えますが、実際の総支払額で見るとB銀行のほうが20万円程度抑えられます。
加えて、繰り上げ返済を行う際に手数料がかかる金融機関もあるため、こうした手数料の有無も含めて比較検討することが大切です。
| ・「世帯年収1000万円の住宅ローン」に関する記事はこちら 世帯年収1000万円の住宅ローンはいくらが適切?目安や家族構成別の注意点も ・「頭金なしの住宅ローン」に関する記事はこちら 頭金なしで住宅ローンを組むと後悔する? 適切な借入額の決め方とは? |
申し込み要件をよく確かめる
リフォーム一体型住宅ローンを利用する際は、金融機関によって申し込み要件が異なるため、事前に内容を確認しておくことが大切です。
主な申し込み要件としては、以下のような項目が挙げられます。
- 完済時の年齢
- 雇用形態や年収
- 勤続年数
- 借入金額の上限・下限
- リフォーム内容
例えば「完済時の年齢」は、70~80歳までとされていることが多く、返済期間を設定する際の基準になります。他にも、勤続年数が短い方や自営業の方は審査が厳しくなることもあるため、自身の状況に合った金融機関を選ぶことがポイントです。
諸経費も借入できるか確かめる
リフォーム一体型住宅ローンを検討する際は、住宅購入やリフォーム費用だけでなく、諸経費も借入に含められるかを確認しておきましょう。
主な諸経費には以下のようなものがあります。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 火災保険料
- 印紙税
- 保証料
- 事務手数料
これらを合計すると数百万円以上のまとまった金額になることも少なくありません。もし、借入対象に含められない場合は、自己資金で用意するか、別途「諸費用ローン」を利用する必要があります。
ただし、諸費用ローンの金利は住宅ローンよりも高めに設定される傾向にあるため、毎月の返済負担が増える点に注意が必要です。また、借入総額が物件価格を超える「オーバーローン」になると、売却してもローンが残るおそれもあります。
| ・「諸費用」に関する記事はこちら 住宅購入にかかる諸費用ってどのぐらい? |
審査に通らなかった場合の対処を考えておく
リフォーム一体型住宅ローンは、物件購入費とリフォーム費用を合わせて借りるため、審査のハードルが高くなりやすい傾向にあります。そのため、万が一審査に通らなかった場合に備え、あらかじめ対処法を検討しておくことが重要です。
例えば、住宅ローンとリフォームローンをそれぞれ別に借りる方法や、自己資金を多めに準備して借入額を抑える方法が考えられます。
また、リフォーム内容によっては、自治体や国の補助金制度を活用するのも有効です。
例えば東京都千代田区では、木造住宅の耐震化促進助成制度として、耐震診断費用に対して最大20万円、耐震改修には最大120万円の補助が用意されています。ほかにも、断熱性能の向上やバリアフリー工事に関する補助金などが設けられている自治体もあります。
補助制度は地域によって内容や条件が異なるため、事前にお住まいの自治体で最新の制度を確認しておくとよいでしょう。
| ・「リフォーム補助金」に関する記事はこちら リフォーム補助金はいくらもらえる?申請するときの注意点や申請方法を解説 |
おすすめのリフォーム一体型住宅ローンと比較ポイント

リフォーム一体型住宅ローンは、金融機関によって金利や融資条件、対応範囲が異なります。ここでは、実際に取り扱いのある金融機関の中から、利用しやすいおすすめのローンを3つ紹介します。
- りそな銀行「リフォーム資金セット型」
- ARUHI「【フラット35】リノベ」
- イオン銀行「住宅ローン リフォーム資金一括借入」
それぞれの金利や返済期間などを順に解説します。
りそな銀行「リフォーム資金セット型」
| 当初固定金利(10年) | 2.345% |
| 全期間固定金利 | 2.90%(30年超35年以内) |
| 変動金利 | 0.64% |
| 融資額 | 50万円以上3億円以内(1万円単位) |
| 返済期間 | 1年以上40年以内(1年単位) |
| 諸経費の借入 | 可能 |
| 繰上返済手数料 | 一部繰り上げ返済:無料~ 全額繰り上げ返済:11,000円~ |
りそな銀行の「リフォーム資金セット型」の変動金利は、年0.64%と低く設定されており、月々の返済負担を抑えやすい点が特徴です。
大手金融機関としての安心感も得られ、はじめて住宅ローンを利用する方でも利用しやすい商品といえるでしょう。
また、分割融資に対応しているため、つなぎ融資を利用する必要がなく、手続きがシンプルに進められるのもメリットの1つです。さらに、平日夜間や土日にも店舗で相談ができる柔軟な対応体制も整っており、忙しい方でも相談しやすくなっています。
出典:りそな住宅ローン<リフォーム資金セット型>|りそな銀行
ARUHI「【フラット35】リノベ」
| 全期間固定金利(融資率9割超) | 借入期間(21年~35年):年1.98% |
| 融資額 | 100万円以上8,000万円以下 |
| 返済期間 | 15年以上35年以内 |
| 諸経費の借入 | 可能 |
| 繰上返済手数料 | 不要 |
ARUHIが取り扱う【フラット35】リノベは全期間固定金利型のリフォーム一体型住宅ローンです。
金利は業界でも低水準に設定されており「性能向上リノベーション」の条件を満たせば、5年間の金利優遇も受けられます。
また、一括での繰り上げ返済にかかる手数料が無料であることに加え、事前審査から本審査までの対応も迅速なため、スケジュールに余裕がない方にも適した商品といえるでしょう。
イオン銀行「住宅ローン リフォーム資金一括借入」
| 当初固定金利(10年) | 1.68% |
| 変動金利 | 0.78%~ |
| 融資額 | 200万円以上2億円以内(10万円単位) |
| 返済期間 | 1年以上50年以内(1カ月単位) |
| 諸経費の借入 | 可能 |
| 繰上返済手数料 | 一部繰上返済:無料 全額繰上返済:55,000円(税込) |
イオン銀行が提供する「住宅ローンリフォーム資金一括借入」は、ネット系銀行でありながら、全国のイオン店舗で対面相談ができる点が特徴です。
借入期間は最長50年まで対応しており、柔軟な返済計画を立てやすい仕組みとなっています。
また、借入期間中はイオングループでの買い物が5%割引になる特典もあり、日常的にイオンを利用する方には利便性の高い住宅ローンです。
さらに、住宅ローンにかかる諸費用のなかでも大きな割合を占める保証料が無料となっており、初期費用を抑えたい方にも適しているでしょう。
まとめ
リフォーム一体型住宅ローンとは、物件の購入費用とリフォーム費用をまとめて借りられる住宅ローンのことです。リフォームローンと比較して金利が低く、返済期間も長めに設定されているため、返済負担を抑えやすくなっています。
一方で、早い段階で具体的なリフォームの見積書や計画書を用意する必要があり、手続きに手間がかかる点には注意が必要です。また、借入額が大きくなる分、返済比率が上昇し、審査のハードルも高くなってしまいます。
リフォーム一体型住宅ローンは、りそな銀行・ARUHI・イオン銀行などで取り扱っており、金利やサービス内容は金融機関ごとに異なります。自身の資金計画や資産状況、働き方に合ったローンを選ぶことが、無理のない住まいづくりにつながるでしょう。
この記事のポイント
- リフォーム一体型住宅ローンとは?
リフォーム一体型住宅ローンとは、住宅購入資金とリフォームにかかる資金をまとめて借り入れできる住宅ローンのことです。
中古住宅を購入してリフォームする場合、通常であれば住宅ローンとリフォームローンを別々に組む必要があります。しかし、このローンを利用すれば両方の資金を一本化することが可能です。
詳しくは「リフォーム一体型住宅ローンとは」をご覧ください。
- リフォーム一体型住宅ローンのデメリットは?
リフォーム一体型住宅ローンには次のようなデメリットがあります。
- 早い段階で具体的な見積書・計画書が必要になる
- 審査が厳しい
- 融資実行までに時間がかかる傾向にある
- 抵当権設定が必要である
詳しくは「リフォーム一体型住宅ローンを組むデメリット」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合は中古物件の候補選びと並行して、リフォーム内容の検討や見積もりの取得、ローン申請の準備を進める必要があります。こうした多岐にわたる工程を円滑に進めるためには、住宅ローンとリフォームの両方に理解のある不動産会社との連携が大切です。
リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合の全体の流れを把握しながら、的確なサポートを行ってくれる信頼性の高い不動産会社を選ぶことが、安心して手続きを進めるためのポイントになります。

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