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土地売却にはどんな費用がかかる?税金を抑える特例も紹介

執筆者プロフィール

手塚裕之
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

エンタメ業界の管理職として12年勤務後、2018年12月からフリーライター活動を開始。税金、不動産、株式投資、クレジットカードなどお金に関する記事執筆・取材を行う。

ざっくり要約!

  • 土地の状態や売却条件によって、必要な費用は異なる
  • 売却する土地の条件によっては、譲渡所得から控除できる特例を適用できる

土地を売却しても、売買代金の全てが手元に残るわけではありません。どのような費用があり、どの程度の金額を支払わなければならないのでしょうか?

本記事では、土地の売却に必要な費用の種類と金額の目安を解説します。

土地売却にかかる費用一覧

土地を売却する際には、売主側にも負担する費用が発生します。売買契約に伴う税金など必ず発生する費用のほか、土地の状態や売却条件によって追加で発生する費用もありますので、売却前にはどのような費用が必要になるのか確認しておきましょう。

土地の売却にかかる費用は、以下の通りです。

費用項目金額
仲介手数料(売却額 × 3% + 6万円 ) + 消費税
司法書士報酬
※登記を司法書士に依頼する場合に限る
15,000円程度
住宅ローン繰上返済手数料0~3万円程度
測量費用10~100万円程度
家屋等の解体費用4~7万円/坪程度

また、土地の売却には税金もかかります。土地売却に伴い発生する税金は、以下の通りです。

税金項目税額
印紙税0~60万円
※契約書に記載する金額により変動
※令和6年3月31日までは軽減税率が適用
登録免許税(抵当権抹消登記)1,000円 ※不動産1件につき
所得税・住民税
※譲渡所得が出た場合に限る
所有期間5年以内:39.63%
所有期間5年超 :20.315%

土地売却で必ずかかる費用

土地を売却する際、特定の費用は必ず発生します。費用項目は多くありませんが多額になりやすいため、支払いに向けた準備が必要です。

仲介手数料

仲介手数料は、土地の売買の仲介をする不動産会社に支払う費用です。土地の売却が成立した際に発生する成功報酬であるため、複数の不動産会社に土地売却の仲介を依頼していた場合には、実際に売買契約を成立させた不動産会社にのみ支払います。

仲介手数料は法律により上限が決められているため、不動産会社には上限を超えた金額を支払う必要はありません。売却価格が400万円を超える場合の仲介手数料の上限は、以下の速算式で求められます。

400万円超の不動産の仲介手数料上限額=( 売却金額 × 3% + 6万円 ) + 消費税

ただし、仲介手数料に含まれる依頼内容は、物件の宣伝や売買手続きの代行等に限られます。売主が指定した特別な広告活動などに対しては、一般的に別料金が請求されます。

土地売却の仲介手数料はいくら?信頼できる不動産会社を選ぶには

印紙税

印紙税とは、印紙税法によって定められた課税文書の作成に対して課税される税金です。印紙税法で定める課税文書は契約書や領収書が対象であり、不動産の譲渡に関する契約書も含まれています。

印紙税の金額は、課税文書に記載された金額によって税額が決定します。なお、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成された契約書は、軽減税率の適用対象です。

不動産売買契約書における印紙税の税額は、以下の通りです。

契約金額本則税率軽減税率
10万円未満0円0円
10万円を超え 50万円以下のもの400円200円
50万円を超え 100万円以下のもの1千円500円
100万円を超え 500万円以下のもの2千円1千円
500万円を超え1千万円以下のもの1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの2万円1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

土地売却でかかる可能性のある費用

土地売却にかかる費用の中には、特定の条件を満たした場合のみ発生するものがあります。

抵当権抹消費用

抵当権とは、住宅ローンを融資する際に金融機関が家や土地を担保にする権利です。売却金額で住宅ローンを完済する場合は、土地の残代金決済時に抵当権抹消登記を行う必要があります。

抵当権抹消登記を行うには、不動産1件につき1,000円の登録免許税が課せられます。土地と建物は別々の不動産と見なされるため、戸建ての住宅なら合計2,000円の抵当権抹消費用が必要です。土地が二筆に分かれている場合は、さらに1件分の登録免許税が課せられます。

抵当権抹消登記の手続きは個人でも可能です。しかし、必要な書類の準備や手続きに不安が残るようなら、登記の専門家である司法書士に代行を依頼すると良いでしょう。依頼費用は15,000円前後〜が目安です。

住宅ローン繰上返済手数料

残債をゼロにする全額繰上返済を行う場合、一般的には1~3万円ほどの手数料がかかります。手続き方法によって割引金額が適用される金融機関もありますが、多くの場合、有料です。ただし、一部のネット銀行では住宅ローンの繰上返済手数料を無料に設定しています。

測量費用

土地の中には、境界が確定していない土地や正しく測量されていないケースもあります。売却時の測量は売主の義務ではないものの、土地を好条件に、トラブルなく売却するためには、売主負担による確定測量が求められます。一般的な宅地の測量の依頼先は土地家屋調査士ですが、仲介してくれる不動産会社を通して依頼することも可能です。

測量にかかる費用は40万円前後が一般的ですが、土地の形状や隣地の数、隣地所有者の属性などによってこの2倍ほどの金額になることもあります。

土地売却時の測量は義務?測量の流れや期間、費用を解説

家屋等の解体費用

土地を更地にして売却する際には、売却前に家屋を解体する必要があります。解体費用は建物の構造や建材によって変わり、頑丈な構造であるほど解体費用は高額です。

およその目安として、構造別の基礎単価×坪数で概算を算出できます。木造は1坪あたり4万円前後であり、最も解体にかかる費用が高額な鉄筋コンクリート造は、1坪あたり7万円ほどです。

ただし、家屋にアスベストが含有されている場合、撤去費用や調査費用は別途かかりますのでご注意ください。

所得税・住民税

土地の売却にともない発生した利益(譲渡所得)は、所得税および住民税の課税対象となります。譲渡所得は、以下の計算式で算出されます。

譲渡所得=土地の売却価格ー(土地の取得費用+譲渡費用)

なお、上記の計算の結果がマイナスとなった場合は、譲渡所得が発生していないとみなされ、所得税・住民税は発生しません。

所得税・住民税の税額は、土地を取得してから売却するまでの所有期間によって異なります。所有期間は5年を境に判断され、以下の税率が設定されます。

土地の所有期間税率
取得から5年以下
(短期譲渡所得)
所得税:30.63% ※復興特別所得税含む
住民税:9%
取得から5年超
長期譲渡所得
所得税:15.315% ※復興特別所得税含む
住民税:5%

土地売却の譲渡所得税を抑える控除特例

土地の売却益に対して課税される所得税・住民税を合わせて「譲渡所得税」と呼びます。高額になりがちな土地の売却益にかかる譲渡所得税は、特例による控除を受けることで減額できます。代表的な控除特例は以下の通りです。

状況特例
住んでいた土地を売却するときに利用できる税金控除特例居住用財産の3000万円特別控除
長期所有における軽減税率の特例
土地売却で譲渡損失が出たときに利用できる税金控除特例特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
相続した実家を売却するときに利用できる税金控除特例相続空き家の3000万円特別控除
取得費加算の特例
平成21年・平成22年に取得した土地を売却したときに利用できる税金控除特例1000万円の特別控除
収容などにより土地を売却したときに利用できる税金控除特例収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
収容等の場合の5000万円特別控除

土地を高く売るための費用も検討しよう

土地の売却には、さまざまな費用がかかります。仲介手数料や印紙税のように必ずかかる費用だけでなく、測量や解体など状況に応じて売却をスムーズに行うための費用など、その種類はさまざまです。

土地の売買は、人生において最も高額な取引のひとつ。買主も失敗を避けるため、手間暇をかけて理想の土地を探します。買主に選んでもらうためには、諸費用の削減ばかりを重視するのではなく、優秀な不動産会社とともに売却活動をすることが大切です。

この記事のポイント

土地の売却に必ず必要な費用は?

仲介手数料と印紙税です。

詳しくは「土地売却で必ずかかる費用」をご覧ください。

土地売却でかかる可能性のある費用は?

抵当権抹消費用や測量費用、解体費用などがかかる可能性があります。

詳しくは「土地売却でかかる可能性のある費用」をご覧ください。

譲渡所得税を抑えるためにはどんな特例がある?

「マイホーム特例」など、譲渡所得税に数千万円の控除を受けられる特例があります。

詳しくは「土地売却の譲渡所得税を抑える控除特例」をご覧ください。

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