2026年 基準地価
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2026年基準地価、5年連続の上昇。伸びは一服も都心から郊外へ上昇が波及

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

国土交通省は9月15日、2026年の都道府県地価調査(基準地価)を公表しました。全用途の全国平均は前年比+1.5%で、上昇は5年連続です。ただし上昇率は前年と同じ+1.5%にとどまり、2022年から続いてきた上昇幅の拡大は止まりました。

とはいえ、地価の動きが落ち着いたわけではありません。東京圏では上昇幅が拡大し、都心部の高騰が周辺区や郊外へ広がっています。一方で名古屋圏や地方四市では前年に続いて伸びが鈍り、建築費の高騰や金利の上昇が地価の勢いに差をつけ始めています。

基準地価とは?

基準地価とは、各都道府県が毎年7月1日時点の基準地について、1㎡あたりの価格を調査して公表するものです。土地取引の目安になるほか、地方公共団体などが用地を買収する際の価格算定の規準としても使われます。1月1日時点の地価をもとに3月に公表される「公示地価」と見比べれば、半年ごとの地価の動きを追うこともできます。


公示地価基準地価
調査主体国土交通省土地鑑定委員会都道府県
調査地点都市計画区域内の標準地が原則都市計画区域外も含む基準地
鑑定方法2人以上の鑑定士が鑑定1人以上の鑑定士が鑑定
評価時期1月1日7月1日
発表時期3月中旬〜下旬9月中旬〜下旬

全国平均は5年連続の上昇も、上昇幅拡大はストップ

2026年の基準地価は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも全国平均で5年連続の上昇となりました。商業地は上昇幅が拡大したものの、全用途平均と住宅地は前年と同じ上昇率にとどまっています。

2026年基準地価 全国の地価動向

全用途平均

 2022年2023年2024年2025年2026年
全国0.31.01.41.51.5
三大都市圏1.42.73.94.34.4
 東京圏1.53.14.65.35.4
 大阪圏0.71.82.93.43.6
 名古屋圏1.82.62.92.11.9
地方圏▲0.20.30.40.40.4
 地方四市6.78.16.85.34.1
 その他▲0.40.00.20.20.2
(単位:%)

住宅地

 2022年2023年2024年2025年2026年
全国0.10.70.91.01.0
三大都市圏1.02.23.03.23.2
 東京圏1.22.63.63.94.0
 大阪圏0.41.11.72.22.3
 名古屋圏1.62.22.51.71.5
地方圏▲0.20.10.10.10.1
 地方四市6.67.55.64.12.9
 その他▲0.5▲0.2▲0.10.00.0
(単位:%)

商業地

 2022年2023年2024年2025年2026年
全国0.51.52.42.82.9
三大都市圏1.94.06.27.27.4
 東京圏2.04.37.08.78.9
 大阪圏1.53.66.06.46.8
 名古屋圏2.33.43.82.82.7
地方圏▲0.10.50.91.00.9
 地方四市6.99.08.77.36.0
 その他▲0.50.10.50.60.7
(単位:%)

三大都市圏では、東京圏・大阪圏がけん引する形で全用途平均・商業地の上昇幅が拡大しました。対照的に名古屋圏は2年連続で上昇幅が縮小し、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)も住宅地・商業地ともに上昇率は縮小傾向にあります。地方四市の伸びが鈍ったことで、地方圏の商業地は上昇に転じて以来、初めて上昇幅が縮小しました。

全国的に見れば上昇基調は続いているものの、上昇率の拡大が止まった背景には、建築費の高騰や金利上昇の影響があるものと見られます。都心部のように旺盛な需要が価格を押し上げるエリアと需要の伸びが建築コストの上昇に追いつかないエリアとで、地価の動きに差がつき始めています。

変動率上位はリゾート地と東京都心。半導体進出エリアは一歩後退

2026年 基準地価 スキーリゾート

住宅地の変動率上位10地点は、北海道富良野市や長野県白馬村・野沢温泉村といったスキーリゾートが上位を占めました。商業地でも白馬村・野沢温泉村が1位・2位に入り、浅草や中野など東京23区の地点が10位までの半数以上を占めています。

2026年基準地価 変動率上位ランキング(全国)

住宅地

順位基準地番号都道府県基準地の所在地2026年基準地
価格/㎡
変動率(%)
※かっこ内は2025年の変動率
1富良野-3北海道富良野市北の峰町1981番6268,10032.0(27.1)
2白馬-2長野県北安曇郡白馬村大字北城字大道上5921番17,60031.3(14.5)
3白馬-3長野県北安曇郡白馬村大字北城12319番18,00031.1(16.9)
4野沢温泉-1長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷字湯沢9669番130,70021.8(17.8)
5つくば-36茨城県つくば市みどりの東39番990,00019.0(19.6)
6品川-8東京都品川区北品川五丁目628番2外1,960,00018.8(15.4)
7宮古島-11沖縄県宮古島市下地字上地ツーガ家502番628,50018.8(18.8)
8港-9東京都港区芝浦四丁目1番342,600,00018.7(14.1)
9流山-4千葉県流山市東初石3丁目103番82203,00018.7(17.9)
10妙高-8新潟県妙高市大字関川字山柘谷内2275番87外7,70018.5(12.1)

昨年はトップ10のうち7地点を北海道と沖縄県が占めていましたが、今年は本州のスキーリゾートが台頭しました。いずれも国内外のスキー客に人気が高く、別荘やコンドミニアム、従業員向け住宅などの需要が地価を押し上げています。

注目したいのは、東京都の品川区北品川と港区芝浦がランクインしていることです。上昇「率」のランキングは地価の低い地点が有利になりやすく、都心部が上位に入るには相応の上がり幅を要します。品川区北品川は東京圏の住宅地で最大の上昇率でもあり、都心のマンション需要の強さを象徴しているといえるでしょう。

商業地

順位基準地番号都道府県基準地の所在地2026年基準地
価格/㎡
変動率(%)
※かっこ内は2025年の変動率
1白馬5-1長野県北安曇郡白馬村大字北城字平河6366番2外32,00035.6(14.6)
2野沢温泉5-1長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷字湯沢9577番2外50,80027.0(24.2)
3台東5-1東京都台東区浅草一丁目17番94,900,00026.9(27.4)
4白馬5-2長野県北安曇郡白馬村大字北城字新田3020番837外85,00025.9(29.3)
5千歳5-2北海道千歳市末広2丁目122番2外内194,00025.2(31.4)
6台東5-17東京都台東区西浅草二丁目66番23,600,00025.0(25.2)
6中野5-11東京都中野区中野五丁目21番76,000,00025.0(22.1)
8台東5-6東京都台東区浅草五丁目77番151,060,00024.1(21.8)
9新宿5-18東京都新宿区西早稲田二丁目660番4外3,220,00023.8(23.8)
10台東5-5東京都台東区駒形一丁目5番52,370,00023.4(18.5)

昨年は半導体企業ラピダスが進出した北海道千歳市がトップ3を独占していましたが、今年は白馬村・野沢温泉村に首位の座を譲り、千歳市は5位に後退しました。上昇率は25.2%と依然として高い水準にあるものの、前年の31.4%からは縮小しており、上昇の勢いはやや落ち着きつつあります。

3位以下には浅草や駒形など台東区の地点が4つ入ったほか、再開発が進む中野や西早稲田もランクインしました。

・「再開発」に関する記事はこちら
日本各地で進む再開発。東京・大阪の注目エリア

【関東圏】2026年住宅地・商業地 基準地価変動率

関東圏では、商業地で下落した県がなくなり、住宅地の下落は群馬県のみとなりました。長年下落が続いていた北関東でも、地価の底打ち感が強まっています。

住宅地

 2022年2023年2024年2025年2026年
全国0.10.70.91.01.0
東京都1.53.04.65.65.8
神奈川県0.82.13.23.33.1
千葉県1.02.53.23.33.4
埼玉県0.81.51.61.51.6
茨城県0.00.30.71.21.3
栃木県▲0.7▲0.5▲0.4▲0.30.0
群馬県▲1.1▲0.9▲0.5▲0.4▲0.2
(単位:%)

商業地

 2022年2023年2024年2025年2026年
全国0.51.52.42.82.9
東京都2.04.58.411.211.4
神奈川県1.94.36.27.07.2
千葉県2.03.75.04.85.1
埼玉県1.02.02.73.03.3
茨城県0.30.61.41.81.9
栃木県▲0.8▲0.6▲0.4▲0.30.3
群馬県▲0.8▲0.40.20.60.9
(単位:%)

東京都の住宅地は5.8%の上昇で、都道府県別の上昇率では12年ぶりに全国トップに立ちました。商業地の11.4%も全国トップで、住宅地・商業地の両方で東京都が首位となっています。神奈川県の住宅地は上昇幅がやや縮小したものの、千葉県・埼玉県は住宅地・商業地ともに上昇幅が拡大しました。

北関東では、栃木県の住宅地が長年続いた下落から横ばいに転じ、商業地は下落からプラスに転じました。群馬県も住宅地の下落幅が縮小し、商業地は3年連続の上昇です。茨城県はつくばエクスプレス沿線が引き続きけん引しており、つくば市の地点は住宅地の全国ランキングで5位に入っています。

【首都圏】2026年住宅地・商業地 基準地価変動率

首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)は、すべての都県で住宅地・商業地ともに地価が上昇しました。都県ごとに見ていくと、都心の上昇が周辺へ広がる動きと、上昇が及ばないエリアとの差が浮かび上がります。

東京都

   住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
区部8.38.713.213.3
多摩地区3.53.55.35.6
(単位:%)

東京都の基準地価は、区部の住宅地が8.7%と上昇幅を広げ、23区すべてで上昇しました。区部の住宅地上昇率トップは港区の16.3%で、台東区の15.6%、文京区の13.8%が続きます。

商業地の区部における上昇率は13.3%で、こちらも23区すべてで上昇しています。上昇率トップは、全国でも高い上昇率を誇る浅草を擁する台東区の19.6%です。北区・荒川区が16.9%で続きます。都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の上昇率は14.8%から13.5%に縮小した一方、それ以外の18区は12.3%から13.3%に拡大しました。都心の地価高騰が周辺区へ波及していることがうかがえます。

区部で住宅地・商業地ともに上昇が続く背景には、旺盛な住宅需要とオフィス需要があります。都心5区のオフィスビル(基準階面積100坪以上)空室率は2026年6月に1.99%と、約6年ぶりに1%台まで低下しました。また、2026年上半期の東京都区部の新築マンション平均価格は1億4,249万円と、供給戸数が減るなかで前年同期比9.1%上昇しています。こうしたマンション用地との競合も、商業地・住宅地の地価を押し上げる要因になっています。

多摩地区では、住宅地・商業地ともに国立市が上昇率トップとなり、住宅地が7.5%、商業地が9.6%と多摩地区の平均を大きく上回りました。住宅地では国分寺市の7.0%、立川市の5.6%が続き、商業地も立川市の9.2%、三鷹市・国分寺市の8.9%が上位に入っています。
国立駅や立川駅など中央線の主要駅周辺で再開発が進んでおり、沿線の地価を押し上げています。

神奈川県

   住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
横浜市3.43.38.18.5
川崎市4.44.39.29.1
相模原市3.33.26.46.4
その他の市3.12.85.45.5
(単位:%)

神奈川県は、住宅地の上昇率が県全体で3.3%から3.1%に縮小した一方、商業地は7.0%から7.2%に拡大しました。政令市3市は住宅地・商業地ともにすべての区で上昇していますが、住宅地の上昇率は28区のうち16区で縮小しており、住宅地の勢いはやや落ち着いています。

商業地は横浜市中区の関内駅周辺が引き続き強く、羽衣町の地点が21.2%と県内トップの上昇率でした。駅前の再開発への期待に加え、低層階を商業用途、上層階をマンションとして利用できる立地への需要が地価を押し上げています。鎌倉市の商業地も11.5%と高く、鎌倉駅周辺では観光客の増加による店舗需要が続いています。

住宅地は、大和市が5.6%と県内トップで、葉山町・箱根町が5.3%で続きます。箱根町は個人の別荘需要に加え、貸別荘などへの宿泊需要の広がりが地価上昇につながっており、リゾート地の地価上昇は神奈川県内にも及んでいます。

千葉県

   住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
東京圏4.84.86.56.8
地方圏▲0.4▲0.40.10.2
※東京圏:千葉市中央区、千葉市花見川区、千葉市稲毛区、千葉市若葉区、千葉市緑区、千葉市美浜区、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、野田市、成田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、君津市、富津市、浦安市、四街道市、袖ケ浦市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、栄町
※地方圏:銚子市、館山市、茂原市、東金市、旭市、勝浦市、鴨川市、八街市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、大網白里市、神崎町、多古町、東庄町、九十九里町、芝山町、横芝光町、一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町

千葉県では、東京圏の上昇と地方圏の下落という構図が続いています。東京圏の住宅地は4.8%の上昇で、30市区町のうち28市区町が上昇しました。市区町村別の上昇率は流山市が13.3%で県内トップ、松戸市が8.9%、鎌ケ谷市が7.6%と続き、いずれも都内に直結する路線の沿線です。

流山市の地点は全国の住宅地ランキングでも9位に入り、県内の上位3地点はすべて流山市が占めました。つくばエクスプレス沿線の流山おおたかの森周辺の人気が市内全域に広がり、商業地でも流山市が10.7%と県内トップの上昇率です。

一方、地方圏の住宅地は▲0.4%と下落が続いており、銚子市が▲3.2%で県内最大の下落率でした。地方圏の中でも、サーフィンで人気の一宮町は住宅地が2.3%、商業地が5.4%上昇と堅調で、館山市や八街市は横ばい・下落から上昇に転じるなど底打ちの兆しが見えるエリアもあります。

埼玉県

   住宅地 商業地 
2025年2026年2025年2026年
県全体1.51.63.03.3
さいたま市2.22.94.96.2
川口市4.44.19.99.7
戸田市5.56.29.810.1
(単位:%)

埼玉県の基準地価は、住宅地が1.6%、商業地が3.3%の上昇で、ともに5年連続のプラスです。住宅地・商業地ともに上昇幅は前年から拡大しましたが、一都三県の中では引き続き最も上昇率が小さくなっています。上昇した住宅地の地点数は394地点から406地点に増え、上昇が県内に少しずつ広がっています。

上昇をけん引しているのは、主に京浜東北線沿線の川口市・蕨市・戸田市と再開発が進むさいたま市の浦和駅・大宮駅周辺です。都心のマンション価格が高騰するなかで、都内に出やすく価格が比較的手頃な県南部へ需要が流れており、商業地ではマンション用地と競合する駅前立地の上昇が目立ちます。

一方で、県北部や秩父地域など都心から離れたエリアでは下落が続く市町村が残っており、千葉県と同様、東京都に隣接する南部との格差が広がっています。

まとめ

2026年の基準地価で特徴的だったのは、上昇の裾野が外縁部に広がってきた点です。東京圏では都心5区の商業地の上昇幅が縮小する一方で、北区・荒川区といった周辺区や、国立市、流山市、戸田市といった近郊都市の駅周辺が上昇率を高めました。都心の価格高騰を受けて、需要が外側へ動いていることが地価にも表れています。同時に、白馬村や富良野市のようなリゾート地が3割を超える上昇を記録し、インバウンド需要が地価に与える影響の大きさも改めて示されました。

ただし、同じ首都圏でも千葉県の地方圏や埼玉県北部のように下落が続くエリアは残っており、地価の動きは一様ではありません。売り時・買い時の判断や物件選びの際には、全国平均や都県平均の数字だけでなく、路線や駅単位でエリアごとの動向を見極めることが大切です。

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