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日銀が再びの利上げ!変動金利への影響と「未払利息」のリスク

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

近年、日銀は2024年3月のマイナス金利政策の解除以降、段階的に政策金利を引き上げており、2025年12月には3度目の追加利上げが実施され、政策金利は0.75%となりました。この影響により、2026年4月に各金融機関は変動金利を引き上げ、年1.0%を超える水準となっています。

多くの金融機関は、変動金利に5年ルール・125%ルールを設けているため、金利が上がっても毎月の返済額はすぐには変わりません。

しかし、返済額に占める利息の割合は増えて元金の減りは遅くなります。また、短期間で急激な金利上昇が起きる場合は「未払利息」が生じるリスクもあります。

日銀が追加利上げを実施!住宅ローン金利への影響は?

2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除した後、段階的な利上げが行われています。利上げが実施されたタイミングは以下の通りです。

  • 2024年3月:マイナス金利政策の解除
  • 2024年7月:政策金利を0.25%へ引き上げ
  • 2025年1月:政策金利を0.5%へ引き上げ
  • 2025年12月:政策金利を0.75%へ引き上げ

長らく続いた超低金利の時代が終了したことで、底値といわれた住宅ローン金利もじわじわと上昇し始めています。マイナス金利が解除された2024年3月から2026年4月までの住宅ローン金利は、以下の通りに推移しています。

住宅ローン金利の推移(2024年3月〜2026年4月)
※変動金利と固定期間選択型は三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行の平均値
※全期間固定金利型はフラット35(買取型・返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)の最低金利

変動金利と固定金利では引き上げられたタイミングや上昇幅に違いがあるものの、どちらも2年前と比べて上昇していることが見て取れます。

以下では各金利タイプの動向について解説します。

2026年4月に変動金利の平均は年1.0%超に

2025年12月に日銀が政策金利を0.75%に引き上げたことで、2026年4月時点で変動金利型住宅ローンは平均が年1.0%を超える水準にまで達しています。

都市銀行と主要ネット銀行の変動金利(新規借入・最優遇金利)は以下の通りです。

  • 三菱UFJ銀行:年0.945%
  • 三井住友銀行:年1.275%
  • みずほ銀行:年1.025%
  • りそな銀行:年0.950%
  • SBI新生銀行:年0.730%
  • PayPay銀行:年0.980%
  • auじぶん銀行:年0.930%※1
  • 住信SBIネット銀行:年0.95%※2
  • 楽天銀行:年1.378%

※1:50歳以下で一般団信(特約なし)付帯、物件価格の80%以下で借り入れる場合
※2:環境配慮型住宅(ZEH水準住宅、認定長期優良住宅、低炭素住宅など)を購入または物件価格の80%以下で借り入れの場合

マイナス金利政策が解除される前の変動金利は、年0.3〜0.4%前後で推移していましたが、段階的な利上げにより、現在では当時の3〜4倍程度の水準にまで引き上げられています。

変動金利が上昇しているのは、都市銀行や地方銀行などは政策金利と連動する「短期プライムレート※」を指標に基準金利(住宅ローンの定価にあたる部分)を決めているためです。
※金融機関が業績や財務状況が優良な企業に対して、期間1年以内の短期で貸し出す際に適用する最優遇金利

ネット銀行の多くは短期プライムレートを直接的な指標としていませんが、政策金利が上昇すると貸出資金を調達する際のコストが上昇するため、結果的に基準金利も引き上げられます。

固定金利も上昇傾向が続く

固定金利についても近年は少しずつ引き上げられています。これは、固定金利の指標となる長期金利(10年物国債の利回り)が上昇傾向にあるためです。

住宅金融支援機構の全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」は、2026年1月から最低金利が2%を超えており、2026年4月には年2.49%に達しました。
※買取型・融資比率9割以下・返済期間21〜35年の場合

民間金融機関が取り扱う固定金利についても、10年固定金利(固定期間選択型)は年3%前後、返済期間35年程度の全期間固定型は年3.5〜4%程度で推移しています。

返済額が変わらなくても安心できない?5年・125%ルールの注意点

多くの金融機関は、急激な金利上昇から家計を守るための仕組みとして、変動金利に「5年ルール」と「125%ルール」を設けています。

ここでは、5年ルールと125%ルールの基本的な仕組みや、変動金利型住宅ローンを借り入れる際に押さえておきたい「未払利息」のリスクについて解説します。

5年ルール・125%ルールとは何か

5年ルール・125%ルールは、変動金利で元利均等方式(毎月の返済額を一定にする返済方法)を選択した場合に適用されることがあるルールです。各ルールの内容は以下の通りです。

  • 5年ルール:変動金利が上下しても、毎月の返済額は5年間据え置かれる
  • 125%ルール:返済額の見直しの際、新しい返済額は従前の125%(1.25倍)を超えない5年ルールが適用される場合、金利が上昇しても毎月の返済額は変わりません。しかし、返済額に占める元金と利息の内訳は変動します。

5年ルールが適用される場合、金利が上昇しても毎月の返済額は変わりません。しかし、返済額に占める元金と利息の内訳は変動します。

金利が上昇すると、返済額に占める利息の割合が増える分、元金の減りが遅くなるため、支払う利息の総額と総返済額は増加します。

また、金利上昇から5年が経過した場合でも、見直し後の返済額は変更前の1.25倍を超えることはありません。たとえば、毎月の返済額が15万円の場合、見直し後の返済額は最大でも18万7,500円となります。

・「5年ルール・125%ルール」に関する記事はこちら
住宅ローンの5年ルールはどう計算される?金利が上昇するとどうなる?

「未払利息」が生じる可能性がある

5年ルールや125%ルールが適用されることで返済額が抑えられると、短期間で金利が急上昇したときに利息額が返済額を上回る場合があります。この返済額を超えた利息の部分を「未払利息」といいます。

たとえば、毎月の返済額が15万円であり、金利が急上昇して本来支払うべき利息が16万円になったとしましょう。金利の上昇時に5年ルールが適用されると返済額は15万円のままとなり、超過した1万円が未払利息となります。

未払利息が生じている間は元金が減らない状態となります。返済の最終回に未払利息と元金が残っていた場合は、原則としてそれらを一括で支払わなければなりません。

支払いをするために、貯蓄を取り崩したり、自宅を売却して資金を捻出したりせざるを得なくなる可能性があります。

そもそも5年ルールと125%ルールが適用されないこともある

変動金利を選んだとしても、5年ルールと125%ルールが必ず適用されるわけではありません。たとえば、以下のようなケースは対象外となります。

  • 5年ルール・125%ルールを採用していない金融機関(多くのネット銀行など)の変動金利型住宅ローンを選んだ
  • 返済方式を元金均等方式(毎月の返済額のうち元金の額が一定である返済方式)にした
  • 固定期間選択型の金利が固定される期間が終了した後、変動金利に移行した

5年ルールが適用されない場合、金利が上昇するとその次の見直しのタイミングで返済額が変更されます。また、125%ルールがないと金利が急上昇したときに、返済額が見直し前の1.25倍を超えるリスクがあります。

金利の上昇時も元金の返済を早く進めることができ、未払利息が発生する心配もない一方で、返済額がただちに増える可能性がある点には注意が必要です。

今後の金利はどうなる?2026年の追加利上げの見通し

2026年の追加利上げの見通し

変動金利を利用している方、あるいは今後利用しようと考えている方にとってもっとも気になるのは「今後も利上げは続くのか」ではないでしょうか。

ここでは、2026年4月現在の市場環境と日銀の政策方針などをもとに、利上げがいつ・どの程度進む可能性があるのかを考えていきます。

次の利上げは2026年4月・6月・7月のいずれかの見通し

日銀が金融政策決定会合を開催するのは、1月、3月、4月、6月、7月、9月、10月、12月の計8回です。このうち、専門家の間では4月、6月、7月のいずれかの会合で日銀は追加利上げを行い、政策金利を0.25%引き上げるという見方が有力です。

市場では、日銀が追加の利上げに踏み切るとの観測が強まったことで、足元の長期金利(10年物国債の利回り)は上昇しており、2026年4月には約2.4%を超えました。

背景にあるのが、イラン政府がホルムズ海峡を封鎖したことによる原油価格の高騰と円安による物価上昇です。

一般的に、原材料価格の高騰や自国の通貨安などによるインフレが続いている場合、中央銀行(日銀)はそれらを抑制するために政策金利を引き上げることがあります。

これに加えて、2026年の春闘では賃金の引き上げ率が全体で5%台と高水準であったことも、追加利上げの観測を強める要因となっています。

日銀の基本スタンス|実質金利はまだ低い

日銀総裁は、現在の実質金利が依然として低い水準にあるとの認識を示しています。実質金利とは、名目金利(金融機関が公表する預金やローンなどの金利)から物価上昇率を差し引いた値のことです。

そのため、日銀は経済・物価が見通しにしたがって推移する場合は、必要に応じて政策金利を段階的に引き上げ、金融緩和の度合いを調整するとしています。

一方で、具体的な利上げの時期は明言されていません。日銀は金融政策決定会合のたびに、その時点の経済指標や物価動向を踏まえて利上げの是非を判断するとしています。

日銀の植田総裁は3月19日の会合後の記者会見で「中東情勢の影響が出る前は、企業・家計ともに所得・支出の両面で堅調であり、政府の経済対策も成長にプラスに働く」と述べました。

そのため、中東情勢の動向が追加利上げのタイミングを左右する大きな要素の1つといえます。

4月7日にアメリカとイランは2週間の停戦協定に合意したことを受けて株価は上昇し、市場には安堵感が広がりました。このままイラン情勢が解決に向かっていき、景気に対する懸念も後退した場合、早ければ4月の会合で利上げが実施されるかもしれません。

しかし、根本的な解決にいたったわけではなくホルムズ海峡も完全には解放されてはいません。今後、情勢が悪化し株価が下がるような状況になれば、利上げの時期が後ずれする可能性があります。

変動金利の利用者が金利上昇や未払利息に対策する方法4選

日銀は、2026年4月現在も歴史的に見れば日本は低金利の環境にあり、時期を見計らって段階的に利上げをする姿勢を示しています。そのため、変動金利の住宅ローンを返済する方は、途中で金利が上昇することを想定し、必要に応じて対策を立てることが重要です。

具体的な対策方法は、以下の4つです。

  • 未払利息がどのような状況で起きるかを把握する
  • 繰り上げ返済の資金を計画的に貯める
  • 借り換えをする
  • 金利の動向と返済予定表をこまめに確認する

ここからは、変動金利でローンを組んでいる方が今日から始められる対策方法を紹介します。

1.未払利息がどのような状況で起きるかを把握する

未払利息は、短期間に金利が急激に上昇した場合に発生します。まずは、自身の借入額や金利、返済期間などの借入条件で、どのような場合に未払利息が発生するのかを把握するのがよいでしょう。

たとえば、借入額4,000万円、返済期間35年、借入金利1.0%、返済方式は元利均等方式、ボーナス払いなしの住宅ローンを借り入れるとしましょう。当初の返済額は11万2,914円です。

この場合、返済開始2年目(13か月目)から半年ごとに年0.5%ずつ金利が引き上げられると、43か月目に元金に充当される金額が0円となり、13,907円の未払利息が生じます。

つまり、未払利息が生じるのは、3年7か月という短期間に金利が3.0%も上昇するという、かなり極端なケースに限られます。現実的にこうした急激な金利上昇が起こるケースは限定的であるため、未払利息を過度に心配する必要はないでしょう。

しかし、将来の金利や経済情勢などを正確に予測することは難しく、未払利息が絶対に起こらないともいい切れません。

未払利息のリスクが気になる場合は、金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家に、どの程度の金利上昇で未払利息が発生するかを試算してもらうとよいでしょう。

2.繰り上げ返済の資金を計画的に貯める

繰り上げ返済とは、契約時に決めた返済とは別にまとまった金額を支払って元金に充当する返済方法です。繰り上げ返済により減少した元金に応じた利息が軽減されます。

返済途中で住宅ローンの金利が上昇したとき、繰り上げ返済をして元金を減らすことで利息の増加を抑えることができます。金利上昇や未払利息に対して不安があるときは、将来に備えて繰り上げ返済資金を計画的に準備するのも1つの方法です。

金利が上昇したときに繰り上げ返済をすべきかは慎重に検討しましょう。手元の資金を繰り上げ返済に充てず、投資信託などの金融商品で運用し、子どもの進学資金や老後資金などを準備するという選択肢もあります。

繰り上げ返済をすべきかどうかは、ローン金利と投資の期待利回りを比較して判断することもできます。たとえば、金利上昇後のローン金利が年1.5%、積み立てている投資信託の期待利回りが年4〜5%程度ある場合、繰り上げ返済をせずに運用を継続するのもよいでしょう。

3.借り換えをする

返済途中で借入金利が上昇することがわかったときは「より低金利の変動金利型住宅ローン」または「固定金利型の住宅ローン」に借り換えるという選択肢もあります。

現在よりも金利が低い変動金利型住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済負担が増加するのを抑える効果が期待できます。固定金利に借り換えると、その後の一定期間、あるいは完済するまで金利が上昇する心配がありません。

ただし、借り換えには事務手数料や登記費用といった諸費用がかかるため、本当にメリットがあるかどうかを事前に試算して確認することが大切です。

固定金利の場合、借入当初の金利は変動金利よりも高めに設定されています。また、返済が進み元金が減るほど、金利上昇の影響は小さくなっていきます。そのため、変動金利との差を超えるだけの金利上昇が、いつ起きる可能性があるのかをよく考えることが大切です。

借り換えをすべきか判断に迷う場合も、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。

4.金利の動向と返済予定表をこまめに確認する

住宅ローンの返済開始後も、インターネットのニュースサイトやテレビ番組、SNSなどで金利の動向を確認しましょう。

金融政策決定会合で決まった内容や長期金利(10年物国債の利回り)、海外情勢、物価の動向などを定期的に確認することで、金利が変わるタイミングを判断しやすくなります。繰り上げ返済や借り換えといった対処方法も慌てず検討しやすくなるでしょう。

また、借入先の金融機関から定期的に送付される返済予定表も必ず確認することをおすすめします。

返済予定表には、ローン残高・毎月の返済額・元金と利息の内訳が記載されているため、金利上昇がどのように影響するのかを具体的に把握できます。

まとめ

日銀の段階的な利上げにともない、変動金利型住宅ローンの金利は上昇傾向が続いています。5年ルール・125%ルールが適用されると返済額が急激に増える心配はありませんが、元金の割合が減って利息の割合が増加する点には注意が必要です。

また、可能性としては高くはありませんが、短期間で金利が急上昇して未払利息が発生し、返済の最終回でまとまった金額の支払いが必要となる場合もあります。

変動金利型住宅ローンを利用する場合は、金利の動向や返済予定表を定期的に確認し、必要に応じて繰り上げ返済や借り換えを検討することが大切です。

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