中古マンション 価格 2026
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中古マンション価格は“過去最高”なのに売れない?掲載価格と成約価格に広がる2026年秋のギャップ

LIFULL HOME’Sが9月に公表した「LIFULL HOME’Sマーケットレポート2026年8月」によると、東京23区のファミリータイプ中古マンションの平均掲載価格は1億2,018万円となり、過去最高を更新しました。

一方で、東日本不動産流通機構が公表した8月の成約データでは、首都圏中古マンションの平均成約価格は前年同月比2.8%の下落で、4ヶ月連続のマイナスとなりました。成約件数は同10.5%減、在庫件数は同8.2%増と、売れ残り物件の積み上がりも同時に進んでいます。

掲載価格は最高値を更新しているにもかかわらず成約価格は下がり、在庫が増えているという3つの指標のずれは、何を意味しているのでしょうか。この記事では、2026年秋の中古マンション市場で起きている変化をデータから読み解いたうえで、売却を考えている方に向けて、売出価格の決め方における留意点を解説します。

掲載価格は過去最高、成約価格は4ヶ月連続の下落

まず、2026年8月のデータから、掲載価格や成約価格の推移を確認していきましょう。

東京23区のファミリータイプ掲載価格は1億2,018万円

中古マンション ファミリータイプ 平均価格
出典:LIFULLプレスリリース

LIFULL HOME’Sマーケットレポートによると、東京23区の掲載物件のうち、2DKや3LDKなどファミリータイプ中古マンションの8月の平均掲載価格は1億2,018万円で、前年同月比21.9%の上昇です。ワンルームや1LDKなどのシングルタイプも7,292万円と同20.6%上昇し、いずれも同レポートで過去最高を更新しました。

対して、ユーザーが実際に不動産会社へ問い合わせた物件の平均価格を指す「反響価格」は、東京23区ファミリータイプが7,481万円で、掲載価格との間には4,500万円を超える開きがあります。反響価格も前年同月比17.5%上昇しているものの、上昇率は掲載価格の21.9%に届いておらず、両者の開きは2025年8月より広がっています。

都区部の成約平米単価は76ヶ月ぶりに下落

東日本不動産流通機構によれば、首都圏中古マンションの新規登録平米単価は8月まで28ヶ月連続で上昇しており、ここ最近は前年同月比20〜30%の上昇が続いています。

一方、首都圏中古マンションの8月の平均成約価格は5,129万円で前年同月比2.8%下落し、4ヶ月連続で前年を下回りました。平均成約平米単価は81.60万円で同3.8%の下落となり、前月比でも3.1%下がっています。

エリア別では、東京都区部の成約平米単価が同0.3%の下落となりました。わずかな下げ幅ではあるものの、都区部の単価が前年を下回るのは2020年4月以来、76ヶ月ぶりのことです。

先のとおり、同じ東京23区の掲載価格はファミリータイプが前年同月比21.9%、シングルタイプが同20.6%と、いずれも2割前後上昇しています。売出価格も大幅に上昇するなか、成約平米単価だけが前年を割り込んだ形です。

首都圏 中古マンション平米単価 ワニの口
出典:東日本不動産流通機構

上図のとおり、2024年末頃までは成約価格と新規登録価格の単価はほぼ足並みが揃っていました。しかし、2025年以降は新規登録価格だけが顕著に上昇し、成約価格は横ばいから下落へ向かう形となり、2つの線は「ワニの口」のように開き始めています。

成約件数は10.5%減、在庫は6ヶ月連続の増加

東京都 中古マンション 成約件数 平米単価
出典:東日本不動産流通機構

下がっているのは成約価格だけではありません。8月の首都圏中古マンションの成約件数も3,180件で前年同月比10.5%減となり、5ヶ月連続で前年を下回りました。

減少幅は2桁に広がっています。とくに東京都区部は1,265件で同20.6%減と落ち込みが大きく、減少は8ヶ月連続です。

逆に、販売中の物件数は増加しています。新規登録件数は1万5,627件で同9.7%増と3ヶ月連続で増え、在庫件数も4万8,235件で同8.2%増となりました。在庫の増加は6ヶ月連続です。

「買い手が追いつかない」市場に変わりつつあるのか

掲載価格や売出価格が上がり続ける一方で成約価格が下がり、売れ残りが増えるという状況は、売り手と買い手の姿勢が乖離していることを示しています。この背景にどのような要因があるのかを見ていきましょう。

売主の「強気の姿勢」が続く

売出価格は、不動産会社の査定価格を参考にしつつ、最終的には売主が決めます。周辺で高い価格の売り出し事例が目に入れば、売主の希望価格もそれに引き上げられやすくなります。

東京都区部では、2025年まで長らく成約平米単価の顕著な上昇が続いており、その水準を前提にした強気の価格で売りに出される物件がいまだに多いものと考えられます。一方で、反響価格の上昇率が掲載価格の上昇率を下回っている点からは、買い手の関心が平均掲載価格より低い価格帯に集まっている様子が読み取れます。

売り手は強気の姿勢を崩さず、買い手の需要が追いつかないという状況が続けば、売り出された物件は成約に至らないまま在庫として積み上がっていきます。今の状況は、まさにこのずれが数字に表れたものといえそうです。

金利上昇で買い手の予算が伸びにくい

買い手側の事情として考えられるのが、金利の上昇です。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げたのに続き、9月の金融政策決定会合で1.25%程度への追加利上げを決めました。

1.25%という水準は1995年以来です。変動型の住宅ローン金利は短期プライムレートに連動するため、今後も多くの金融機関で適用金利の見直しが進む可能性があります。

金利が上がれば、同じ月々の返済額で借りられる金額は減ります。収入が大きく伸びていない世帯ほど購入できる価格の上限は上がりにくく、掲載価格の上昇に予算が追いつかない買い手が増えている可能性があります。

都区部で成約件数の落ち込みがとくに大きい背景には、価格水準がさらに一段上がったことで、住宅ローンを使って購入する実需層の手が届きにくくなっている事情があるものと推察されます。

掲載されている売出価格は「相場」ではない

マンション 掲載価格

掲載価格と成約価格のずれが大きい局面では、売出価格の見極めを誤りやすくなります。最後に、掲載価格を基準にしたときに起こりがちな落とし穴を3つの観点から整理します。

掲載価格は売主の希望価格であり、売れた価格ではない

ポータルサイトに掲載されている売出価格は、あくまで売主が「この金額で売りたい」と設定した希望価格であり、成約価格ではありません。買い手が付かなければ値下げされ、売れた物件はサイトから消えていくため、掲載価格の平均は「在庫」の価格が色濃く反映されます。

実際、今のように売出価格と成約価格の乖離が大きい時期は、ポータルサイトの掲載価格を「相場」と捉えてしまうのは危険です。平時であっても、売出価格と成約価格には5〜10%程度の差があるのが一般的です。

売却期間が長引くリスク

在庫が増えている局面では、条件が近いマンションや同じマンション内で複数の売り物が競合する可能性が高くなります。

高めの価格で売り出して反応を見てから値下げするという進め方は、相場が上昇している時期であれば正攻法ともいえる戦略です。しかし、買い手が慎重になっている今のような局面では、長く掲載されている物件や値下げを繰り返している物件が「物件そのものに問題があるのではないか」、あるいは「この先価格が下がるのではないか」と受け取られ、売れ残ってしまう可能性が高まります。

売出価格は競合在庫・直近の成約事例・販売期間から組み立てる

売出価格は、競合となる類似物件の掲載価格だけでなく、競合の数・販売状況や直近の成約事例、希望の販売期間を基に検討するようにしましょう。

自身の物件より条件が良い競合が多ければ、掲載価格を参考にするだけでは競争力が劣ります。また、実際に成約している金額とは乖離がある可能性があるため、直近の成約事例を見ることも非常に大切です。

2025年度の首都圏中古マンションの平均成約日数は「82.6日」でした。過去を見ても、おおむね70〜80日前後が平均です。もちろん条件や立地によっては当てはまらないケースもありますが、たとえば年内の売却を望むのであれば、競合物件や成約事例から推察する相場価格どおりに売り出しては、期限内の成約が難しい可能性があります。

逆に、半年程度の販売期間を取れるのであれば、相場より少し高めの価格から始めて反応を見るという選択肢もあります。ただ先のとおり、今のような時期はとくに相場から乖離した売出価格や値下げの履歴は買い手に警戒される材料にもなるため、様子を見る期間と下げ幅はあらかじめ決めておくことをおすすめします。

まとめ

売出価格は28ヶ月連続で上昇を続ける一方、都区部の成約平米単価は76ヶ月ぶりに下落し、両者はワニの口のように開き始めています。成約件数は2桁減、在庫は6ヶ月連続の増加と、これまでの上昇基調を前提とした強気の売出価格がそのまま通る局面ではなくなっています。

売出価格を決める際は、ポータルサイトの掲載価格だけではなく、競合となる物件の数や状況、直近の成約事例を踏まえた「実際に売れる価格」を把握しておくことが大切です。年内の売却を望むのであれば、平均成約日数が80日前後であることも踏まえ、成約データに基づく査定で、現在の市場で売れる価格を確認することから始めましょう。

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