ざっくり要約!
- ALC造とは、軽量気泡コンクリートのパネルを外壁や床に使った建物のこと。多くは鉄骨造の骨組みにALCパネルを取り付けた構造で、耐火性・断熱性に優れ軽い
- 防音性は木造や軽量鉄骨造より高いがRC造には及ばず、とくに上階の足音は伝わりやすい。水を吸いやすいため塗装やシーリングの定期的なメンテナンスが前提
物件情報を見ていると、構造の欄に「ALC造」や「鉄骨造(ALC)」といった表記を目にすることがあります。RC造や木造に比べてなじみが薄く、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ALC造の仕組みとメリット・デメリットを整理したうえで、RC造・鉄骨造・木造との違いや耐用年数、メンテナンス方法などについて解説します。ALC造の物件を選ぶときのチェックポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
記事サマリー
ALC造とは
ALC造とは、ALCパネルを外壁や床、屋根などに使った建物のことです。ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の頭文字を取ったもので、日本語では「軽量気泡コンクリート」と呼ばれます。珪石やセメント、石灰、発泡剤などを原料に、高温高圧の蒸気で養生して作られ、内部に無数の細かい気泡を含んでいるのが特徴です。
ALCは建物の骨組みそのものではなく、骨組みに取り付ける建材です。建築基準法上の構造区分にALC造という分類はなく、多くは鉄骨造の柱と梁にALCパネルを取り付けた建物を指します。
不動産広告では「鉄骨造」「S造(ALC)」などと表記されることもあります。ALCパネルはJIS規格で寸法や品質が定められた工場生産品で、厚さ75mm以上の厚形パネルは主に鉄骨造や鉄筋コンクリート造の耐火建築物に、厚さ35〜50mmの薄形パネルは木造や鉄骨造に使われています。
ALCの比重は一般的なコンクリートの4分の1ほどしかなく、水に浮くほど軽い一方で、コンクリートの仲間なので燃えにくく、気泡があるため断熱性にも優れています。こうした性質から、アパートやマンションの外壁のほか、倉庫や工場、店舗など幅広い建物に使われています。
「#S造(鉄骨造)」の物件一覧はこちら
ALC造のメリット
ALCは軽くて燃えにくく、熱を伝えにくい素材です。こうした特性は、そのまま建物のメリットとして住み心地や安全面にも寄与します。
耐火
ALCはコンクリートと同じ無機質の材料でできているため燃えず、火災時に有毒ガスを出すこともありません。ALCパネルは厚さや仕様に応じて建築基準法の耐火構造として認められており、鉄骨造の建物でも外壁にALCパネルを使うことで耐火建築物の要件を満たしやすくなります。
・「耐火構造」に関する記事はこちら
省令準耐火構造とは? 準耐火構造との違いをわかりやすく解説
軽量・耐震
ALCは先のとおり、非常に軽い建材です。建物全体が軽いほど、地震のときに建物にかかる力も小さくなります。地震の揺れによる力は建物の重さに比例するため、同じ骨組みでも外壁が軽いほど耐震面で有利になります。
また、ALCパネルは骨組みに対して一定の余裕を持たせて取り付けられており、地震で建物が変形してもパネル自体が揺れに追従して割れにくい工法が採用されています。建物の重量が軽いことで基礎や地盤への負担も低減するため、建築コストの面でもメリットがあります。
断熱・調湿
ALCの熱伝導率は0.17W/m・Kで、一般的なコンクリートの10分の1ほどしかありません。夏は外の熱が室内に伝わりにくく、冬は室内の暖かさが逃げにくいため、冷暖房の効率が上がり光熱費を抑えやすくなります。
加えて、ALCは表面の細かい気孔を通じて湿気を吸ったり吐いたりする性質があり、室内の湿度変化をやわらげる効果に期待できます。
ALC造のデメリット
優れた特性を持つ一方で、ALC造には注意しておきたい弱点もあります。
水に弱い
ALCの最大の弱点は、気泡を含む構造のために水を吸いやすいことです。ALCパネルそのものには防水性がなく、雨水を吸い込んだまま放置すると内部の鉄筋が錆びたり、寒冷地では吸った水が凍って膨張し、表面が剥がれる凍害が起きる可能性があります。
そのため、外壁に使われるALCパネルは必ず表面を塗装で保護し、パネル同士の継ぎ目はシーリング材で埋めて雨水の侵入を防ぎます。裏を返せば、塗装やシーリングが劣化すれば防水性が失われるということでもあり、定期的なメンテナンスが不可欠です。
高コスト
ALCパネルは、木造や鉄骨造でよく使われる窯業系サイディングなどの外壁材と比べると材料費が高く、パネルが重いため施工にも専用の金物や技術が必要です。外壁材単体で見れば、ALCは比較的コストのかかる部類に入ります。
とはいえ、鉄骨造にALCパネルを組み合わせた建物は、RC造と比べれば工期が短く建築費も抑えられるのが一般的です。ALC造のコストが高いのは、あくまで同じ鉄骨造や木造の中でサイディングなどと比べたときの話と考えておくとよいでしょう。
設計自由度が低い
ALCパネルは幅600mm程度、長さ最大6m程度の規格品で、現場で自由に成形することができません。曲面の壁や複雑な形状の外壁には向かず、パネルの寸法に合わせて建物の形が決まる面があります。外観がシンプルな箱型になりやすいのはこのためです。
また、パネルには規格上の厚さがあるため、間取りの工夫で壁を薄くするといった調整もしにくくなります。デザイン性の高い建物や個性的な外観を求める場合には、ALC造は選びにくい面があります。
ALC造の防音性は実際どうなのか?
ALC造で懸念されることが多いのが防音性です。結論から言えば、ALC造の防音性は木造や軽量鉄骨造より高く、RC造より低いというのが実態です。ここでは、床と壁に分けて数値で見ていきます。
床衝撃音の遮音等級
上階の足音や物を落とした音は床衝撃音と呼ばれ、遮音等級のL値で表されます。数字が小さいほど音が伝わりにくく、集合住宅の重量床衝撃音については、L-50が1級、L-55が2級、L-60・L-65が3級とされています。
RC造は厚いコンクリートスラブが床になるため、L-50〜L-55程度が一般的です。一方、ALC造の床は軽いALCパネルが下地になるため、特別な対策がなければL-60〜65程度にとどまります。
界壁・外壁の遮音性
隣の部屋との間の壁や外壁については、透過損失という数値、単位はdB(デシベル)で遮音性を比較できます。壁を通り抜けるときに音がどれだけ減るかを表す値で、大きいほど遮音性が高いことを示します。
厚さ100mmのALCパネル単体の平均透過損失は35dBで、両面にモルタルを塗った状態で39dB程度です。これに対して、ALCパネルの内側に空気層を設けて石膏ボードを張ると42dB程度、空気層にグラスウールを入れると48dB程度まで向上します。
実際の集合住宅の界壁は、ALCパネルの両側に石膏ボードを張った構成が多いため、40dB台半ばの遮音性が確保されているものが一般的といえるでしょう。一方、RC造の界壁は厚さ150〜180mmのコンクリート壁が基本で、平均透過損失は50dB前後となります。
話し声や生活音であれば、ALC造でも隣室の音が気になることは少ない水準ですが、テレビの音量や楽器の音など大きめの音については、RC造のほうが聞こえにくいのは確かです。
うるさい?の実態
「ALC造はうるさい」という評判は、RC造と比べた場合には当たっている面があります。とくに上階からの足音のような重量床衝撃音は、RC造より10程度遮音等級が劣るため、上に小さな子どものいる家族が住んでいれば生活音を感じやすいでしょう。
一方で、木造や軽量鉄骨造と比べればALC造の遮音性は高く、隣室の話し声やテレビの音が筒抜けになるような心配はほとんどありません。同じ鉄骨造でも、外壁がサイディングやガルバリウム鋼板の物件に比べると、ALCパネルの厚みの分だけ外からの騒音も入りにくくなります。
体感の音は構造だけでなく、部屋の位置や周囲の環境にも大きく左右されます。ALC造の物件で静けさを重視するなら、上階のない最上階や隣室が片側だけの角部屋を選んだり、寝室が隣室の水回りと接していない間取りを選ぶといったことも検討してみましょう。
・「RC・鉄骨造の防音性」に関する記事はこちら
鉄筋造(RC造)と鉄骨造はどっちが防音性が高い?違いや調べ方を紹介
【比較表】ALC造とRC・鉄骨・木造の違い

ALC造をRC造、ALC以外の鉄骨造、木造と比べると、それぞれの位置づけがはっきりします。主な項目を一覧にまとめました。
| 項目 | ALC造(鉄骨造+ALC) | RC造 | 鉄骨造(サイディング等) | 木造 |
|---|---|---|---|---|
| 防音性 | 中程度。木造・軽量鉄骨より高くRCより低い | 高い | ALC造より低い | 低い |
| 耐火性 | 高い。ALCは不燃材で耐火構造に対応 | 高い | 外壁材による | 低い |
| 断熱性 | 高い。ALC単体で高い断熱性を持つ | 低い。断熱材で補う必要がある | 断熱材の仕様による | 断熱材の仕様による |
| 耐震性 | 軽量で骨組みへの負担が小さい | 重量が大きいが強度は高い | 骨組みの仕様による | 工法・築年数による |
| 建築費 | RCより安く木造より高い | 高い | ALC造よりやや安い | 安い |
| 工期 | 比較的短い | 長い | 短い | 短い |
| 法定耐用年数(住宅) | 骨組みの鉄骨の厚さにより19〜34年 | 47年 | 骨組みの鉄骨の厚さにより19〜34年 | 22年 |
| 家賃の傾向 | RCより割安 | 最も高い | ALC造と同程度かやや安い | 最も安い |
ALC造とRC造どちらを選ぶ?
ALC造とRC造で迷ったときは、何を優先するか考えてみましょう。遮音性や建物の重厚感を最優先するのであれば、RC造が向いています。上階の足音が気になりやすい方や楽器を演奏する方、在宅で仕事をする時間が長い方などは、多少家賃や建築価格が高くてもRC造を選んだほうが満足度は高いでしょう。
一方、家賃や価格を抑えたい、断熱性の高い部屋で光熱費を節約したい、耐火性は確保しつつ選択肢を広げたいという方には、ALC造が有力な候補になります。同じ立地・築年数であれば、ALC造のほうがRC造より家賃や価格は割安な傾向にあり、最上階や角部屋を選べば防音面の弱点もある程度補えます。静けさを取るか価格を取るかという軸で考えてみましょう。
ALC造の耐用年数とメンテナンス
ALC造の建物を長持ちさせるには、何より水を防ぐことが大切です。ここでは、ALC造の耐用年数とメンテナンス方法を見ていきましょう。
法定耐用年数
法定耐用年数は税法上の減価償却の年数で、ALC造の場合は骨組みである鉄骨の厚さで決まります。鉄骨の厚さが4mmを超える重量鉄骨造は34年、3mm超4mm以下は27年、3mm以下の軽量鉄骨造は19年です。RC造の47年や木造の22年と並べると、重量鉄骨造のALC造は木造より長く、RC造より短い位置づけになります。
ただし、法定耐用年数は建物が使えなくなる年数ではありません。ALCパネル自体は適切に防水管理されていれば長期間性能を保ち、鉄骨の骨組みも錆を防いでいれば数十年にわたって使い続けられます。実際の寿命を左右するのは、法定耐用年数よりも、次に述べる塗装やシーリングの維持管理が計画的に行われてきたかどうかです。
ALC協会によれば、適切な使用条件のもとに、定期的なメンテナンスを施した場合は、50年を超える長期使用も可能とされています。
塗装・シーリング周期
ALCパネルの表面を守っている塗装は、紫外線や風雨で少しずつ劣化します。塗料の種類にもよりますが、10〜15年程度を目安に塗り替えが必要です。塗装が劣化してくると、表面を触ると白い粉がつくチョーキングや細かなひび割れが見られるようになります。
パネル同士の継ぎ目を埋めているシーリング材は塗装よりも劣化が早く、10年前後で硬化やひび割れ、剥離が起こります。シーリングが切れると継ぎ目から雨水が侵入し、ALCパネルが水を吸って劣化する原因になるため、塗装と同じタイミングか、それより前に打ち替えるのが一般的です。
ALCパネルは継ぎ目の数が多いため、シーリングの管理がメンテナンスの要になります。賃貸物件であればこうした修繕はオーナー側の責任ですが、分譲マンションや戸建てを購入する場合は、長期修繕計画や過去の修繕履歴で塗装とシーリングの更新時期を確認しておきましょう。
ALC造の中古住宅の選び方・内見チェックリスト
ALC造の物件を検討する際に、内見や資料で確認しておきたいポイントを整理します。
まず確認したいのは、外壁の状態です。塗装のチョーキングやひび割れ、継ぎ目のシーリングの切れや剥がれがないか、外壁を近くで見てみましょう。雨だれの跡や苔が目立つ場合は、防水性能が落ちているサインです。マンションであれば、長期修繕計画と修繕履歴から外壁塗装とシーリング打ち替えの時期を確認することをおすすめします。
次に、防音面です。可能であれば平日の夜や休日など、周囲の住民が在宅している時間帯に内見し、実際の音を確かめてみましょう。上下階の間取りを確認し、自分の寝室の上が隣戸のリビングや水回りになっていないかも見ておきたいところです。
構造の表記も確認しておきましょう。不動産広告で「鉄骨造」とだけ書かれている場合、外壁がALCなのかサイディングなのかは分かりません。重量鉄骨か軽量鉄骨かによって耐用年数や遮音性の目安も変わるため、気になる場合は不動産会社に確認するのが確実です。
このほか、ALC造は断熱性が高い一方で、窓の性能が低いと結露や暑さ寒さの原因になります。サッシが複層ガラス(ペアガラス)かどうか、換気設備が整っているかも合わせて見ておくと、入居後の快適性を判断しやすくなります。
・「ペアガラス」に関する記事はこちら
ペアガラスってどういうガラス?メリット・デメリットや注意点を解説
・「換気システム」に関する記事はこちら
24時間換気システムとは?気になる電気代や種類による違いを解説
| 確認する場面 | チェック項目 |
|---|---|
| 外壁の状態 | □ 塗装の表面を触って白い粉がつかないか |
| □ 外壁にひび割れや欠けがないか | |
| □ パネルの継ぎ目のシーリングに切れ・剥がれ・硬化がないか | |
| □ 雨だれの跡や苔、黒ずみが目立たないか | |
| 修繕の履歴 | □ 外壁塗装とシーリング打ち替えの時期 |
| □ 次回の外壁修繕がいつ予定されているか | |
| 防音 | □ 最上階や角部屋など、上階・隣室が少ない位置か |
| □ 寝室の上や隣が他の住戸のリビングや水回りになっていないか | |
| □ 周囲の住民が在宅している時間帯に内見して音を確かめられるか | |
| 構造の表記 | □ 「鉄骨造」表記の場合、外壁がALCなのかサイディングなのか |
| □ 重量鉄骨造か軽量鉄骨造か | |
| 断熱・窓まわり | □ サッシが複層ガラスか |
| □ 窓枠やサッシまわりに結露の跡やカビがないか | |
| □ 換気設備が整っているか |
まとめ
ALC造は、軽量気泡コンクリートのパネルを使った建物で、耐火性と断熱性に優れ、軽さによる耐震面の利点もあります。防音性は木造や軽量鉄骨造より高い一方、RC造には及ばず、とくに上階の足音は伝わりやすいのが弱点です。
物件選びでは、静けさを最優先するならRC造、価格や断熱性を重視するならALC造という軸で考えつつ、最上階や角部屋を選ぶことで防音面の差を補えます。外壁の塗装とシーリングが計画的に維持されているかどうかも、長く安心して住むための大切な確認ポイントです。
「#S造(鉄骨造)」の物件一覧はこちら
この記事のポイント
- ALC造とは?
ALC造とは、軽量気泡コンクリートと呼ばれるALCパネルを外壁や床に使った建物のことです。建築基準法上の構造区分ではなく、多くは鉄骨造の骨組みにALCパネルを取り付けた建物を指し、軽くて耐火性や断熱性に優れているのが特徴です。
詳しくは「ALC造とは」をご覧ください。
- ALC造とRC造の違いは?
RC造は鉄筋とコンクリートで建物全体を一体に造るのに対し、ALC造は鉄骨の骨組みに軽量のALCパネルを取り付けて造ります。RC造は防音性と重厚感で勝り、ALC造は断熱性や建築費、工期の面で優れています。
詳しくは「【比較表】ALC造とRC・鉄骨・木造の違い」をご覧ください。
- ALC造はうるさいって本当?
RC造と比べると遮音性は低く、とくに上階の足音などの重量床衝撃音は伝わりやすい傾向にあります。一方で木造や軽量鉄骨造より遮音性は高く、最上階や角部屋を選べば体感の差はかなり抑えられます。
詳しくは「ALC造の防音性は実際どうなのか?」をご覧ください。
- ALC造の法定耐用年数は?
ALC造は構造上は鉄骨造にあたるため、法定耐用年数は骨組みの鉄骨の厚さで決まり、4mm超の重量鉄骨造で34年、3mm超4мm以下で27年、3mm以下の軽量鉄骨造で19年です。これは減価償却上の年数であり、塗装やシーリングを適切に維持すれば建物はさらに長く使えます。
詳しくは「ALC造の耐用年数とメンテナンス」をご覧ください。
- ALC造とRC造どちらを選ぶべき?
静けさや重厚感を最優先するならRC造、家賃や価格、断熱性を重視するならALC造が向いています。同じ条件ならALC造のほうが割安な傾向にあり、最上階や角部屋を選ぶことで防音面の弱点も補えます。
詳しくは「【比較表】ALC造とRC・鉄骨・木造の違い」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
ALC造かRC造かという構造の違いは、住み心地に影響します。ただし、実際の暮らしで感じる音や温度は、構造以上に部屋の位置や周囲の住民、窓の性能によって変わるものです。ALC造の物件でも、最上階の角部屋で上下左右に音源が少なければ、RC造の中住戸より静かに感じることは珍しくありません。構造の名前だけで候補から外すのではなく、その部屋がどんな位置にあり、どんな人が周りに住んでいるのかまで含めて判断してみてください。

不動産購入なら東急リバブル
14日以内に登録された最新物件をご紹介!
マンション・一戸建て・土地の購入をご検討なら東急リバブルにご相談ください。
新着物件検索はこちら

