マーケットレポート
マーケットレポート2026, 07
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金利上昇と不動産価格の関係〜固定金利上昇の影響は?~
住宅金融支援機構が6月1日に発表した長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の6月適用金利(最頻値)は、返済期間21年以上35年以下の最低金利が3.21%となり、現行制度となった2017年10月以降で初めて3%を超えました。上昇は3カ月連続で、前月比0.5ポイントと過去最大となっています。1月に初めて2%を超えて以降、急速な上昇が続いています。今回は、この金利上昇の背景と不動産市場への影響について見ていきます。
なぜ住宅ローン金利は上がっているのか
住宅ローンの固定金利は、主に長期金利(10年国債利回り)の影響を受けます。日本では長らく超低金利政策が続いていましたが、近年は物価上昇や金融政策の見直しを背景に、長期金利が上昇しています。
実際に、10年国債利回りは2024年初頭には0.7%台でしたが、2026年には2%台半ばまで上昇しています。この動きを受けて、フラット35をはじめとする長期固定型の住宅ローン金利も上昇傾向にあります。
10年国債利回りの推移
長期国債金利が上がると不動産価格は下がる?
一般的に、長期国債金利の上昇は不動産価格の下落要因とされています。投資家は不動産だけでなく、国債や株式などさまざまな投資先を比較しながら資金を配分しています。金利が低い局面では、安全資産である国債から得られる利回りが小さいため、より高い収益が期待できる不動産などへ資金が流れやすくなります。一方で、金利が上昇すると、それを基準として投資家が求める期待利回りも高くなります。その結果、不動産に求められる利回りも上昇し、理論上は不動産価格の下落要因になると考えられています。
投資家は何を見ているのか
不動産投資市場では、「イールドギャップ」という考え方がよく使われます。イールドギャップとは、不動産の利回りと長期金利との差を表したものです。例えば、不動産利回りが5%で、国債利回りが1%だった場合、イールドギャップは4%となります。不動産投資家は、空室リスクや災害リスク、修繕リスクなどを負うため、その分だけ国債などの安全資産よりも高い収益を求めます。つまり、イールドギャップが大きいほど、不動産投資の魅力は高いと考えられます。実物不動産の利回りを継続的に把握することは難しいため、市場全体の動向を示す指標として、ここでは不動産投資信託(J-REIT)の分配金利回りを用いて見ていきます。
J-REITと10年国債のイールドギャップ推移
近年のイールドギャップの推移を見ると、2024年後半以降、その差が縮小していることが分かります。
J-REITの予想分配金利回りは5%前後で推移している一方、10年国債利回りは2024年には1%未満だったものが、2026年には1.8%前後まで上昇しています。その結果、両者の差であるイールドギャップは4%前後から3%前後へと縮小しました。
投資家にとって、国債などの安全資産との利回り差が縮小していることから、不動産投資の相対的な魅力は以前より低下していると考えられます。
しかし、これはあくまで他の投資商品との比較における話です。実際の不動産市場では、賃料上昇への期待や供給不足、エリアの希少性なども価格形成に大きな影響を与えます。
実際には不動産価格は高止まりしている
ところが、実際の不動産市場を見ると、金利上昇だけでは説明できない動きも見られます。5月27日に公表された不動産投資家調査によると、東京城南エリアの賃貸住宅(ワンルーム)の期待利回りは、2025年(4月・10月調査)の3.7%から、2026年4月調査では3.6%に低下しました。
期待利回りが低下するということは、投資家が以前よりも低い利回りでも購入したいと考えていることを意味します。本来であれば、金利上昇によって期待利回りは上昇しやすくなりますが、実際にはその逆の動きが起きているのです。
賃貸住宅(ワンルーム)期待利回りの推移(東京・城南)
今後の住宅市場はどうなる?
住宅ローン金利の上昇は、購入者の負担増につながるため、市場にとって無視できない要素です。一方で、現時点では不動産価格を押し下げるほどの影響は限定的であり、特に人気エリアでは高い需要が続いています。
そのため、「金利が上がったから不動産価格は下がる」と単純に考えるのではなく、「金利上昇局面のなかで、不動産市場がどのように変化していくのか」を見ていくことが重要になりそうです。
- ご留意事項
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不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。 - 本マーケットレポートに掲載されている情報は、2026年7月1日時点公表分です。
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