住宅ローン,永住権,なし
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日本の永住権なしで住宅ローンは組める?条件や審査は?

執筆者プロフィール

辻本 剛士
辻本剛士
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー1級

1984年8月3日生まれ、神戸・辻本FP合同会社代表。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。
https://kobe-okanesoudan.com/

ざっくり要約!

  • 外国人でも日本で住宅ローンを組むことは可能だが、永住権の有無によって申込条件や審査の内容が異なる
  • 日本人の配偶者が保証人になる等の方法で、永住権がなくても日本で住宅ローンを組むことができる場合がある

日本で住宅を購入したいと考える外国人のなかには「永住権がないと住宅ローンは組めないのでは」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

実際のところ、永住権がなくても住宅ローンを組むことは可能です。しかし、永住権を持つ外国人に比べると、ローンを組むまでの条件が厳しく、実際に契約まで進むハードルは高くなります。

この記事では、永住権のない外国人が住宅ローンを組むのが難しい理由や、永住権がなくても融資を受けるための方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

外国人が住宅ローンを組む際は永住権の有無が重要

外国人が住宅ローンを組む際は永住権の有無が重要

外国人でも日本で住宅ローンを組むことは可能です。ただし、永住権の有無によって申込条件や審査の内容が大きく異なります。

永住権を持っている場合は、日本在住の日本人とほぼ同じ条件で融資を受けられます。

一方で、永住権を持っていない場合は、追加の条件を満たさなければなりません。そこでまずは、永住権の概要と審査基準について、以下で詳しく解説します。

そもそも永住権とは

永住権とは、日本への在留を希望する外国人が取得できる在留資格のひとつです。

この資格を取得すると、在留期間に制限がなくなり、更新手続きなしで日本に滞在を続けることが可能です。

よく混同されがちな言葉に「帰化」がありますが、これは日本国籍を取得することを指します。帰化すると外国籍ではなくなり、法的には日本人となるため、在留資格制度の対象外になります。

以下に、永住権と帰化の概要を簡単にまとめました。

項目永住権帰化
概要日本で無期限に滞在できる在留資格日本国籍を取得し、日本人となる制度
国籍外国籍のまま日本国籍に変更

永住権の審査は容易ではなく、原則として10年以上継続して日本に居住し、一定の審査基準を満たしていることが求められます。

次項では、永住許可を受けるための主な審査基準について解説します。

永住許可の審査基準

では、永住権の具体的な審査基準についてみてきましょう。
永住許可の審査基準は、以下の3つです。

(1)素行が善良であること
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

まず(1)は、法律を守り、社会的に非難されない生活を送っていることを指します。犯罪や反社会的勢力との関係がなく、罰金刑や懲役刑を受けていないことが求められます。

次の(2)は、公共の負担にならず、将来にわたって安定した生活ができることを意味します。継続的な収入や職業上の技能などが判断基準です。

最後の(3)は、社会や公衆衛生上に悪影響を及ぼさない生活を送っていることを指します。また、納税や年金保険料の納付など、公的義務を果たしていることも判断基準です。

なお、日本人や永住者・特別永住者の配偶者や子どもは、(1)および(2)の基準を満たす必要はありません。加えて、難民認定を受けている方は(2)の基準を満たす必要がないとされています。

永住権なしで住宅ローンを組むのが難しい理由

永住権なしで住宅ローンを組むのが難しい理由

永住権のない外国人は、以下の理由から住宅ローンを組むのが難しいとされています。

  • 返済期間中に帰国する可能性がある
  • 保証会社の保証が得にくい

それぞれの要因について詳しく解説します。

返済期間中に帰国する可能性がある

永住権の有無にかかわらず、外国人は将来的に母国へ帰る可能性があります。
もし融資を受けた後に帰国し、返済が滞ってしまった場合、金融機関側は債権を回収することが困難になります。

住宅を競売にかけるとしても、手続きには手間がかかるうえ、回収までに時間を要するケースも少なくありません。

そのため、返済期間中に帰国する可能性がある場合は、金融機関はリスクが高いと判断し、融資を控える傾向にあります。

保証会社の保証が得にくい

住宅ローンを借り入れる際には、原則として保証会社の保証をつける必要があります。しかし、永住権を持たない外国人は保証の対象外となるケースが多いです。

また、金融機関の多くは保証会社の保証がなければ住宅ローンの利用を認めていません。そのため、保証を受けられない外国人は、融資審査に進むことが難しくなります。

ただし、配偶者が日本人であれば保証人になってもらう、あるいは配偶者本人が住宅ローンを契約することで、融資を受けられる可能性があります。

永住権なしで住宅ローンを組むための方法

永住権なしで住宅ローンを組むための方法

一般的に、永住権を持たない外国人が日本で住宅ローンを組むのは容易ではありません。
しかし、条件を工夫したり、金融機関の選び方を変えたりすることで、融資を受けられる可能性があります。

ここでは、永住権がなくても住宅ローンを利用できる方法を3つ紹介します。

日本人の配偶者が保証人になる

金融機関によっては、以下のような配偶者が保証人になることで、住宅ローンの利用が認められる場合があります。

  • 日本人
  • 帰化して日本国籍を持っている人
  • 永住権を持つ外国人

保証人がいることで、借入者が帰国した場合でも返済の見込みが立つため、金融機関としても融資しやすくなります。

そのため、配偶者が上記のいずれかに該当する場合は、一度金融機関へ相談してみるとよいでしょう。ただし、その場合は保証人となる配偶者にも十分な収入や返済能力が求められる点に注意が必要です。

母国の銀行を利用する

母国の銀行が日本に支店を構えている場合、その銀行を通じて住宅ローンを組める可能性があります。

母国の銀行であれば、過去のローン履歴や信用情報を確認しやすく、借入者が帰国した後でも追跡や管理がしやすくなります。

一方で、日本に支店があるからといって、必ずしも個人向け住宅ローンを取り扱っているわけではありません。法人融資や為替取引のみを扱う支店も多いため、事前に住宅ローンの取り扱い有無を確認しておくことが大事です。

頭金を多めに用意する

外国人の場合でも自己資金を十分に用意し、頭金を多めに支払うことで、住宅ローンの審査に通りやすくなります。

頭金が多ければ借入金額を抑えられるため、金融機関としても返済不能リスクを軽減できます。

ただし、ローンを組むために多くの頭金を入れてしまうと、手元資金が大幅に目減りし、万が一の出費に対応しづらくなります。そのため、頭金を入れる際は、無理のない範囲で、貯蓄とのバランスを考えて設定することが大切です。

永住権の有無による住宅ローン審査の違い

永住権の有無による住宅ローン審査の違い

住宅ローンの審査内容は、永住権を持っているかどうかによって大きく異なります。

永住権を持つ場合は、日本人とほぼ同じ基準で審査されますが、永住権がない場合は追加の条件や審査項目が設けられるケースも多くなります。

以下で永住権の有無によってどのような違いが生じるのかを、審査項目ごとに詳しくみていきましょう。

永住権がある外国人

永住権を持っている場合は、日本人とほぼ同じ条件で住宅ローンを組むことができます。
そのため、審査の際に確認される内容も基本的には日本人と変わりません。

一般的にチェックされる項目は次のとおりです。

  • 安定した収入があるか
  • 勤続年数が一定以上あるか
  • 信用情報は問題ないか
  • 健康状態に問題なく団体信用生命保険に加入できるか
  • 日本語の理解度はあるか

大手企業に勤めている場合は安定した収入があると判断されやすく、審査上有利になる傾向にあります。また、勤続年数は3年以上を求められるケースが多いようです。

さらに、外国人の場合は契約手続きや書類確認の際に誤解や行き違いを防ぐためにも、日本語の理解度も重視されます。日本語の理解が不十分だとトラブルにつながるおそれがあり、その結果、審査に通りにくくなることもあります。

永住権がない外国人

一方で、永住権がない場合には、より多くの審査項目が追加されます。
主にチェックされる内容は以下のとおりです。

審査項目内容
勤続年数
  • 2年以上ないと審査に通らないことが一般的
  • 個人事業主の場合は営業年数が問われる
年齢
  • 借入時および完済時に年齢制限がある
  • 完済時年齢を80歳以下などに定めている金融機関が多い
年収
  • 前年度の年収が最低でも200万円以上必要
  • 通常は直近2~3年分の所得証明書や源泉徴収票の提出が求められる
健康状態
  • ほとんどの住宅ローンでは団体信用生命保険(団信)への加入が条件
証明書の有無
  • 身分証明書、外国人在留カード、源泉徴収票(または確定申告書)、納税証明書などが必要
返済負担率
  • 返済額が収入の30~35%を超えると審査に通りにくい
住居年数
  • 日本での居住年数が5年以上、または10年以上といった要件を設ける金融機関もある
日本語の理解度
  • 多くの金融機関は日本語で対応しているため、日本語が理解できない場合は申し込み自体を断られることもある

このように、永住権がない場合は審査のハードルが高くなる傾向があります。もし近いうちに永住権を取得できる見込みがある場合は、取得してから住宅ローンを申し込むのも選択肢のひとつです。

永住権のない外国人向け住宅ローンを扱う金融機関

永住権のない外国人向け住宅ローンを扱う金融機関

一部の金融機関では、永住権がなくても住宅ローンを利用することは可能です。
ただし、永住権を持たない外国人に対する融資条件は、金融機関によって異なります。

ここでは、永住権のない外国人向け住宅ローンを取り扱っている主な金融機関と、それぞれの融資条件について紹介します。

なお、これらの情報はすべて2025年10月時点のものとなりますので、最新情報については金融機関の公式サイトをチェックしてください。

SMBC信託銀行

SMBC信託銀行は、三井住友フィナンシャルグループ傘下の信託銀行です。

住宅ローンや不動産投資ローンなど幅広い金融サービスを展開しており、在留資格を有していれば、永住権のない外国人でも住宅ローンの申し込みが可能です。

【SMBC信託銀行の主な融資条件】

項目内容
対象者在留資格のある外国籍の方
対象年齢18歳以上
完済時の年齢満80歳の誕生日まで
年収1,000万円以上
団体信用生命保険への加入必要

出典:外国籍を保有している場合の主な借入れ条件を教えてください。|SMBC銀行

SBI新生銀行

SBI新生銀行では、永住権を持たない外国籍の方でも住宅ローンの申し込みが可能です。

ただし、申し込みには「日本人の配偶者」または「永住許可を持つ外国籍の配偶者」が連帯保証人になることが条件になります。

【SBI新生銀行の主な融資条件】

項目内容
対象者日本国籍または永住許可を有する配偶者が連帯保証人になれる方
対象年齢20歳以上
完済時の年齢満80歳まで
年収前年度の年収300万円以上の正社員または契約社員
団体信用生命保険への加入必要

出典:審査お申し込み|SBI新生銀行

イオン銀行

イオン銀行は、ネット銀行の利便性と店舗型銀行の安心感を兼ね備えたハイブリッド型の銀行です。在留資格を持つ外国籍の方であれば、永住権がなくても住宅ローンの申し込みが可能です。

ただし、申し込みの際には物件価格の20%以上の自己資金(頭金)が必要となります。

【イオン銀行の主な融資条件】

項目内容
対象者在留資格のある外国籍の方
対象年齢18歳以上
完済時の年齢満80歳まで
年収前年度年収100万円以上
団体信用生命保険への加入必要

出典:イオン銀行住宅ローン(永住権なし) 商品概要説明書|イオン銀行

スルガ銀行

スルガ銀行は、静岡県沼津市に本店を置く地方銀行で、外国人向けの住宅ローンプランを提供しています。

永住権を持たない外国籍の方でも、日本語の理解度が一定以上あれば申し込み可能です。

【スルガ銀行(外国人専用プラン)の主な融資条件】

項目内容
対象者日本語が理解できる外国籍の方
対象年齢18歳以上
完済時の年齢満85歳まで
年収安定した収入がある方(具体的な下限の定めなし)
団体信用生命保険への加入必要

出典:外国人のお客さま向け住宅ローン|スルガ銀行

まとめ

永住権がなくても日本で住宅ローンを組むことは可能です。

ただし、永住権を持つ方と比べると、申込条件や審査の基準は厳しく設定されています。とくに返済期間中の帰国リスクや保証会社の保証を受けにくいことから、金融機関はリスクが高いと判断し、融資を控える傾向にあります。

一方で、日本人の配偶者を保証人に立てる、母国の銀行を活用する、頭金を多く用意するなどの工夫をすることで、融資を受けやすくなるでしょう。十分な準備と条件が整えば、外国人の方でも住宅ローン契約は実現可能です。

日本での生活をより豊かにするためにも、自身に合った金融機関を選びながら、安心できる住まいづくりを進めていきましょう。

この記事のポイント

永住権なしで住宅ローンは組める?

外国人でも日本で住宅ローンを組むことは可能です。ただし、永住権の有無によって申込条件や審査の内容が大きく異なります。

永住権を持っている場合は、日本在住の日本人とほぼ同じ条件で融資を受けられます。

一方で、永住権を持っていない場合は、追加の条件を満たさなければなりません。

詳しくは「外国人が住宅ローンを組む際は永住権の有無が重要」をご覧ください。

永住権なしで住宅ローンを組むための方法は?

金融機関によっては、配偶者が日本人または帰化して日本国籍を持っている人、もしくは永住権を持つ外国人であり、その配偶者が保証人になることで、住宅ローンの利用が認められる場合があります。

詳しくは「永住権なしで住宅ローンを組むための方法」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

辻本 剛士

永住権がなくても、日本人の配偶者などを保証人とすることで、金融機関によっては住宅ローンを利用できる場合があります。ただし、保証人は万が一返済が滞った際に債務を引き継ぐ立場になるため、慎重な判断が欠かせません。契約前には、保証人となる家族の収入や今後の生活設計も含めて十分に確認しておくことが大切です。お互いの負担やリスクを理解し、将来の家計やライフプランを見据えながら、納得できる形で判断しましょう。

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