ざっくり要約!
- ミックスローンとは、固定金利と変動金利を組み合わせて借りる住宅ローンのこと
- ミックスローンは全額変動金利と比較すると一定程度、金利上昇リスクを回避できる点がメリット
近年は住宅価格の高騰を背景に、住宅ローンを金利の低い変動金利だけで全額を組んでしまう人が増えてきました。
しかしながら、今後の金利上昇の可能性も踏まえると、全額変動金利で住宅ローンを組んでしまうことはリスクがあります。
そこで、おすすめしたいのが固定金利と変動金利を併せたミックスローンです。
ミックスローンは、変動金利と固定金利のそれぞれのメリットとデメリットを併せ持つバランスの取れたローンとなります。
この記事では、住宅ローンの「固定金利と変動金利のミックス」について解説します。
記事サマリー
固定金利と変動金利をミックスしたローンとは

ミックスローンとは、固定金利と変動金利を組み合わせて借りる住宅ローンのことです。
例えば全額5,000万円の借入金のうち、2,000万円を固定金利で組み、3,000万円を変動金利で組むといった借り方がミックスローンとなります。
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固定金利と変動金利の特徴と違い
固定金利とは、借入期間中の金利が固定されている金利のことです。
固定金利のメリットは、金利上昇リスクが避けられる点にあります。
デメリットは、一般的に変動金利よりも金利が高いという点です。
固定金利の金利は、借入期間が長いほど高くなる傾向があります。
変動金利とは、借入期間中に金利が変動する金利のことです。
変動金利のメリットは、一般的に固定金利よりも金利が低いという点です。
デメリットは、金利上昇リスクを負う点にあります。
| ・「住宅ローンの5年ルール」に関する記事はこちら 住宅ローンの5年ルールはどう計算される?金利が上昇するとどうなる? |
ミックスローンも住宅ローン控除の対象
住宅ローン控除とは、金融機関から返済期間が10年以上となる住宅ローンを借りて住宅を取得した場合、一定の期間に渡り所得税を節税できる制度のことです。
ミックスローンで借りても、それぞれのローンの借入期間が10年以上である場合は、住宅ローン控除を適用できます。
例えば、年末借入金残高が固定金利部分は1,000万円、変動金利部分は1,500万円の場合、2,500万円を前提に住宅ローン控除額が計算されます。
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ミックスローンの組み合わせ例
近年は、住宅価格が高騰し、かつ、固定金利と変動金利の差が開いてしまったことから、ミックスローンを組む人は少なくなってきました。
固定金利と変動金利をどのような組み合わせで組むかは、金利の状況によって傾向が異なります。
例えば、一時期、銀行によっては35年ローンでも固定金利が1.0%を下回っていた時期がありました。
このような固定金利が超低金利のときは、全額を固定金利で組む人も多かったです。
その後、固定金利が少しずつ上昇してくると、固定金利と変動金利をミックスして組む人が増えてきました。
例えば、固定金利を50%、変動金利を50%で組み、固定金利と変動金利のリスクを等分にする人も多かったです。
さらに近年は固定金利の上昇が進み、固定金利と変動金利の差が開いてきました。
加えて住宅価格も高騰していることから、高い金利である固定金利も組み合わせてしまうと、返済額が増えてしまうといった状況が続いています。
そのため、近年は金利上昇リスクを取ってでも変動金利で全額を組むことで、返済額を抑えている人も多いです。
ただし、全額変動金利で組むことは、今後の金利上昇の可能性を踏まえると、リスクが高いといえます。
近年のように固定金利が高い時期でも、固定金利をミックスして組むことには一定のメリットがあります。
例えば、固定金利:変動金利を3:7といった割合で組めば、変動金利の低い金利メリットを享受しつつ、一部を金利上昇リスクに備えることができるでしょう。
なお、ミックスローンではなく、ペアローンという方法もあります。夫婦でローンを組む際に一方は固定金利、もう一方は変動金利といった形で2本のローンを組むことにより、リスク分散が可能です。
| ・「ペアローン」に関する記事はこちら ペアローンはデメリットが多い?後悔しないために知っておきたいこと |
固定金利と変動金利のミックスローンのメリット

この章では、ミックスローンのメリットについて解説します。
金利変動リスクを軽減できる
ミックスローンを組むと、全額変動金利と比較すると一定程度、金利上昇リスクを回避できる点がメリットです。
もちろん変動金利の部分は金利上昇リスクを負いますが、固定金利の部分があることで全体としての金利上昇リスクが緩和されます。
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全額固定金利よりも返済額が小さくなる
ミックスローンは、全額固定金利よりも返済額を小さくできる点がメリットです。
確かに全額を固定金利にすると金利上昇リスクを回避できますが、固定金利は金利が高いことから毎月の返済額が大きくなってしまいます。
ミックスローンによって、返済額の負担を緩和することができます。
固定金利と変動金利のミックスローンのデメリット

この章では、ミックスローンのデメリットについて解説します。
全額変動金利よりも返済額が大きくなる
ミックスローンは、全額を変動金利にするよりも返済額が大きくなる点がデメリットです。
近年は固定金利が高いことから、ミックスローンによる返済額の上昇デメリットが顕著になってきています。
| ・「住宅ローンの手数料」に関する記事はこちら 住宅ローンの手数料とは?費用の相場や保証料との違いもあわせて解説 |
固定金利と変動金利の配分が難しい
ミックスローンは、固定金利と変動金利の配分が難しい点がデメリットです。
どのように配分するのがベストなのかは、金利の高さや、固定金利と変動金利との乖離、今後の金利上昇リスク等によって異なります。
ケース別・固定金利と変動金利のミックス割合の決め方

ケース別に見る固定と変動のミックス割合の決め方について解説します。
将来の金利上昇リスクが高い場合
将来の金利上層リスクが高い場合、固定金利を多めに組むことが適切です。
実際、35年ローンの固定金利が1%を下回っていた底値の時期は、今後金利が上がる可能性が高かったため、全額を固定金利で組む人も多くいました。
2024年3月以降、日銀がマイナス金利政策を解除したことから、近年はさらに金利が上昇する見込みが高まっています。
そのため、現在の固定金利が高いといっても、さらに金利が上がる可能性が高いことから一定程度は固定金利で組むことが望ましいです。
借入額が少ない場合
自己資金が多く、借入金が少ない場合は、元々の返済額が少ないことから固定金利を多めに組んで金利上昇のリスクヘッジをするといった考え方もあります。
近年、全額変動金利で組む人が多いのは、住宅価格が高く、借入金額が大きいことが理由です。
借入金額が少なければ、固定金利を多めに組んでも返済額の負担はそれほど大きくはならないため、ミックスローンのメリットが強まります。
バランスを重視したい場合
固定金利と変動金利は、どのような割合で組めばバランスを取れるかは、固定金利と変動金利の乖離の状況によって異なります。
近年は固定金利と変動金利の差が大きいため、必ずしも固定金利と変動金利を50%ずつに分けることがベストとは限りません。
昨今のように固定金利と変動金利の差が大きい場合には、固定金利:変動金利を4:6、3:7といった割合で調整していくことも適切な考え方です。
固定金利と変動金利のミックス割合別のシミュレーション

この章では、固定と変動のミックス割合別のシミュレーションを紹介します。
基本的な条件は以下の通りです。
- 借入総額:5,000万円
- 借入期間:35年
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス返済:なし
- 固定金利:2.7%(35年固定)
- 変動金利:0.5%
- 変動金利の条件:17年目まで0.5%のまま、18年目以降3.0%に上昇
※下記のシミュレーターを使用
https://loan.mamoris.jp/repayment_plural.asp
まず、全額固定または全額変動で借りた場合、変動金利が上昇しないと仮定したときの返済額は以下のようになります。
| 金利の種類 | 全額固定金利 | 全額変動金利 |
|---|---|---|
| 毎月返済額 | 18万4,152円 | 12万9,792円 |
| 総返済額 | 7734万3,648円 | 5451万2,740円 |
近年は固定金利と変動金利の差が大きいため、全額変動で仮に金利が上昇しないと仮定すると、返済額が大きく抑えられることがわかります。
| ・「住宅ローンの月々の返済額」に関する記事はこちら 住宅ローンの月々の返済額はどのくらい?【シミュレーション付】 |
固定金利:変動金利が5:5の場合の返済額
固定金利:変動金利が5:5の場合、つまり固定金利で2,500万円、変動金利で2,500万円を借りた場合のシミュレーションは、以下の通りです。
| 金利の種類 | 固定金利 | 変動金利 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 2,500万円 | 2,500万円 | 5,000万円 |
| 17年目までの毎月返済額 | 9万2,076円 | 6万4,896円 | 15万6,972円 |
| 18年目以降の毎月返済額 | 9万2,076円 | 8万378円 | 17万2,454円 |
| 総返済額 | 3867万1,659円 | 3060万474円 | 6927万2133円 |
固定金利:変動金利を5:5とすると、固定金利と変動金利のメリットとデメリットを等分に負担するため、バランス重視の人に適しています。
固定金利:変動金利が7:3の場合の返済額
固定金利:変動金利が7:3の場合、つまり固定金利で3,500万円、変動金利で1,500万円を借りた場合のシミュレーションは、以下の通りです。
| 金利の種類 | 固定金利 | 変動金利 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 3,500万円 | 1,500万円 | 5,000万円 |
| 17年目までの毎月返済額 | 12万8,906円 | 3万8,937円 | 16万7,843円 |
| 18年目以降の毎月返済額 | 12万8,906円 | 4万8,227円 | 17万7,133円 |
| 総返済額 | 5414万570円 | 1836万235円 | 7250万805円 |
固定金利:変動金利を7:3とすると、固定金利のメリットとデメリットが強まるため、金利上昇リスクを強く回避したい人に適しています。
固定金利:変動金利が3:7の場合の返済額
固定金利:変動金利が3:7の場合、つまり固定金利で1,500万円、変動金利で3,500万円を借りた場合のシミュレーションは、以下の通りです。
| 金利の種類 | 固定金利 | 変動金利 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 1,500万円 | 3,500万円 | 5,000万円 |
| 17年目までの毎月返済額 | 5万5,245円 | 9万854円 | 14万6,099円 |
| 18年目以降の毎月返済額 | 5万5,245円 | 11万2,530円 | 16万7,775円 |
| 総返済額 | 2320万3,015円 | 4284万815円 | 6604万3,830円 |
固定金利:変動金利を3:7とすると、変動金利のメリットとデメリットが強まるため、金利上昇リスクを取ってでも返済額を抑えたい人に適しています。
まとめ
以上、固定金利と変動金利のミックスについて解説してきました。
住宅ローンの金利には、大きく分けて固定金利と変動金利の2種類があります。
ミックスローンのメリットは、金利の上昇を部分的にリスクヘッジできる点です。
デメリットは、全額変動金利よりも返済額が大きくなる点が挙げられます。
固定金利と変動金利をどのようにミックスするかは、将来の金利上昇リスクや借入額等を加味して決定することが適切です。
住宅ローンの返済期間は長いため、将来のリスクも踏まえながら固定金利と変動金利を上手く組み合わせるために参考にして頂ければと思います。
この記事のポイント
- 固定金利と変動金利のミックスローンとは?
ミックスローンとは、固定金利と変動金利を組み合わせて借りる住宅ローンのことです。
例えば全額5,000万円の借入金のうち、2,000万円を固定金利で組み、3,000万円を変動金利で組むといった借り方がミックスローンとなります。
詳しくは「固定金利と変動金利をミックスしたローンとは」をご覧ください。
- 固定金利と変動金利のミックスローンのメリットは?
ミックスローンを組むと、全額変動金利と比較すると一定程度、金利上昇リスクを回避できる点がメリットです。
もちろん変動金利の部分は金利上昇リスクを負いますが、固定金利の部分があることで全体としての金利上昇リスクが緩和されます。
詳しくは「固定金利と変動金利のミックスローンのメリット」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
住宅ローンの返済方法は元利均等返済が主流ですが、一部の銀行では元金均等返済も取り扱っています。元利均等返済とは、毎月の元金と金利の合計額が一定となる返済方法、元金均等返済とは毎月の元金だけが一定となる返済方法のことです。
金利の上昇は、元金均等返済を選択することでもリスクヘッジができます。元金均等返済は金利が一定なら当初の返済額は大きいですが後半の返済額が減っていきます。そのため、仮に後半に金利が上がっても返済額の上昇を抑えられます。ミックス金利だけでなく、元金均等返済も検討する価値があるでしょう。

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