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2025年の新築補助金制度まとめ!条件や注意点、併用の可否を解説

執筆者プロフィール

辻本 剛士
辻本剛士
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー1級

1984年8月3日生まれ、神戸・辻本FP合同会社代表。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。
https://kobe-okanesoudan.com/

ざっくり要約!

  • 2025年度の新築住宅補助金として主に「子育てグリーン住宅支援事業」と「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業(ZEH支援事業)」「給湯省エネ2025事業」がある
  • 新築補助金の申請は建築主本人ではなく、建築事業者が代行する必要がある

これから新築住宅を建設しようと考えている方のなかには「補助金がもらえるらしい」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、一定の要件を満たすことで、国から補助金を受けられる制度がいくつか用意されています。

新築住宅の建築には、土地の取得費や建設費、各種手数料など多くの費用がかかります。少しでも費用の負担を軽減するために、補助金の活用は非常に有効な手段といえるでしょう。

本記事では、2025年度に実施されている主な新築向けの補助金制度を紹介します。あわせて補助金を申請する際の注意点や手続きのポイントも解説しますので、これから新築住宅を建てる予定の方にとって参考になる内容です。

ぜひ最後までご覧ください。

2025年度の新築住宅補助金事業|子育てグリーン住宅支援事業

2025年度の新築住宅補助金事業|子育てグリーン住宅支援事業

2025年度の新築住宅補助金として、まず紹介したいのが「子育てグリーン住宅支援事業」です。こちらは以前の「子育てエコホーム支援事業」の後継にあたる制度で、内容の一部が見直され、新しい要素も追加されています。

今回の制度で注目すべき変更点のひとつが「GX志向型住宅」が新たに補助対象として追加されたことです。

また、引き続き「長期優良住宅」や「ZEH水準住宅」も補助の対象となっており、それぞれの基準や補助内容についてきちんと把握しておくことが大切です。

以下は、対象となる世帯や住宅の種類、補助額の一覧になります。

対象世帯対象住宅補助額
全世帯GX志向型住宅最大160万円/戸
子育て世帯
若者夫婦世帯
長期優良住宅最大100万円/戸
ZEH水準住宅最大60万円/戸

それぞれの住宅タイプごとに詳しく解説していきます。

GX志向型住宅

GX志向型住宅の「GX」とは「グリーントランスフォーメーション」の略で、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を目指す取り組みに基づいた住宅です。

このGX志向型住宅は、従来のZEH水準住宅よりも高い省エネ性能を持ち、より環境負荷の少ない暮らしを実現することを目的としています。

また、GX志向型住宅は世帯の年齢や属性を問わず、すべての新築住宅取得者が補助対象となる点も大きな特徴です。

ここでは、GX志向型住宅の要件や補助内容について詳しくみていきましょう。

GX志向型住宅の条件

GX志向型住宅として補助金の対象になるためには、国や自治体が定める基準をすべて満たす必要があります。

具体的な条件は以下の4つです。

  • 断熱等性能等級が6以上
  • 再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率が35%以上
  • 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率が戸建て100%、共同住宅は75%以上
  • 高度エネルギーマネジメントの導入

断熱等性能等級は、住宅の断熱性を示す国の指標で、1〜7の段階があり、数字が大きいほど性能が高いことを表します。GX志向型住宅では、上から2番目の「等級6」以上が必要です。

また、一次エネルギーとは原油や石炭、天然ガスなどの未加工のエネルギーのことで、GX志向型住宅ではこれらの消費量を35%以上削減する必要があります。

このように、GX志向型住宅は高い断熱性に加え、省エネ性能やエネルギー管理体制など、複数の基準を満たすことが求められます。なお、寒冷地や日照時間の少ない地域などでは、一部の要件について緩和措置が設けられている場合もあります。

補助金の対象者と補助額

GX志向型住宅に対する補助金の対象者や床面積の要件、補助額の詳細等は次のように定められています。

内容
対象者
  • 注文住宅の新築:建築主
  • 新築分譲住宅の購入:購入者
  • 賃貸住宅の新築:建築主かつ賃貸オーナー
対象住宅の床面積50㎡以上240㎡以下
対象世帯すべての世帯
主な除外要件一部対象外地域あり(詳細は国・自治体の指定による)
補助額最大160万円/戸

この制度では、世帯の年齢に関係なく申請できるのが特徴です。補助金額も最大160万円と高額であり、建築コストの軽減に役立つでしょう。

長期優良住宅

「長期優良住宅」とは、長く安心して住み続けられることを目的に、国が認定している住宅のことです。

建物の性能や管理体制に関して一定の基準を満たす必要があり、行政の審査を経て認定される仕組みです。

この制度は2009年から始まり、地震に強く、環境にも配慮された住宅の普及を目指しています。

2025年度の補助金制度においても、長期優良住宅は対象となっており、所定の条件をクリアすることで補助を受けられます。

ここからは長期優良住宅として認定されるための必要な条件や、補助金の対象者・補助額について詳しくみていきましょう。

長期優良住宅の条件

長期優良住宅として認定を受けるためには、所定の性能基準を満たす必要があります。主な条件は以下のとおりです。

  • 断熱等性能等級:5以上
  • 一次エネルギー消費量等級:6以上

このほかにも住戸面積が一定以上であることや、劣化対策等級の基準を満たすこと、良好な居住環境を確保することなど、構造・設備・管理面にわたる複数の条件をクリアしなければなりません。

これらの基準を満たすことで、長期間にわたって安心・快適に住み続けられる住宅として「長期優良住宅」の認定を受けることができます。

補助金の対象者と補助額

長期優良住宅に対する補助金は、対象となる世帯や住宅の条件があらかじめ定められています。以下は主な要件と補助内容の一覧です。

内容
対象者
  • 注文住宅の新築:建築主
  • 新築分譲住宅の購入:購入者
  • 賃貸住宅の新築:建築主かつ賃貸オーナー
対象住宅の床面積50㎡以上240㎡以下
対象世帯
  • 子育て世帯(18歳未満の子どもがいる世帯)
  • 若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)
主な除外要件一部対象外地域あり(詳細は国・自治体の指定による)
補助額80万円/戸
※古家の解体を伴う場合は100万円

この制度では、子育て世帯や若者夫婦世帯といった次世代を担う世帯が対象となっており、将来を見据えた住まいづくりを後押しする内容となっています。

補助額は最大100万円で、住宅取得時の経済的負担を軽減できるでしょう。

ZEH水準住宅

ZEH水準住宅とは「Net Zero Energy House」の略称で、消費エネルギーをできるだけ抑えた省エネ性能の高い住宅を指します。

断熱性能を高めるとともに、冷暖房や給湯などに高機能な設備を取り入れることで、省エネと快適さを両立できる点が特徴です。

ここからは、ZEH水準住宅の認定に必要な条件と、補助金の対象者・金額について詳しくみていきます。

ZEH水準住宅の条件

ZEH水準住宅として認定を受けるには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 断熱等性能等級:5以上
  • 再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率:20%以上

ZEH水準住宅は、後述する「ZEH(ゼッチ)」とは異なり、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備がなくても基準を満たすことができます。そのため、省エネ性能を備えた住宅を目指しつつ、初期コストを抑えたい方に適しています。

なお、2024年以降、住宅ローン控除は省エネ基準に適合した住宅に限られるようになりました。

ZEH水準住宅に該当すれば、借入限度額は最大4,500万円となり、税制面での優遇がさらに広がります。

補助金の対象者と補助額

ZEH水準住宅に対する補助金は、対象となる世帯や住宅の条件が細かく定められています。

以下に、主な要件と補助内容をまとめました。

内容
対象者
  • 注文住宅の新築:建築主
  • 新築分譲住宅の購入:購入者
  • 賃貸住宅の新築:建築主かつ賃貸オーナー
対象住宅の床面積50㎡以上240㎡以下
対象世帯
  • 子育て世帯(18歳未満の子どもがいる世帯)
  • 若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)
主な除外要件一部対象外地域あり(詳細は国・自治体の指定による)
補助額40万円/戸
※古家の解体を伴う場合は60万円

古家の解体を伴う場合には補助額が加算されるため、建て替えを検討している方にとっても活用しやすい内容となっています。

出典:事業概要|子育てグリーン住宅支援事業
住宅ローン減税|国土交通省

2025年新築補助金支援事業|戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業

2025年新築補助金支援事業|戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業

2025年度も「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の普及を目的とした補助金制度が継続されます。

この事業は、家庭のエネルギー消費を抑える高い省エネ性能を備えた住宅である「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の新築を支援する制度です。すべての世帯が対象であり、年齢や家族構成による制限はありません。

補助額は住宅の性能に応じて以下のように設定されています。

  • ZEH:55万円/戸
  • ZEH+:90万円/戸

なお、この制度は「子育てグリーン住宅支援事業」との併用ができないため、どちらがより自身にとって有利かを比較して選ぶことが大切です。

次項でそれぞれ補助対象となる「ZEH」と「ZEH+」の具体的な条件について解説していきます。

ZEHの条件

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)として認定を受けるためには、以下のような基準を満たす必要があります。

  • 地域ごとに定められた断熱性能(断熱等性能等級5以上)
  • 一般住宅と比較して一次エネルギー消費量を20%以上削減
  • 太陽光発電の搭載
  • 再生可能エネルギーによる創エネを加味した一次エネルギー消費量の削減率が100%以上

なお、ZEHには要件が異なる区分として「Nearly ZEH」や「ZEH Oriented」といった種類も存在します。

これらは再エネ設備の導入が難しい地域や建物形状に配慮した区分で、それぞれ基準が異なります。

ZEH+の条件

ZEH+(ゼッチ・プラス)は、標準的なZEHよりもさらに高い省エネ性能と先進的な設備を備えた住宅です。認定を受けるには以下の条件を満たす必要があります。

  • 地域区分に応じた断熱性能(断熱等性能等級5以上)
  • 一般住宅と比較して25%以上の一次エネルギー消費量の削減
  • 太陽光発電の搭載
  • 再生可能エネルギーを加味した一次エネルギー消費量削減率が100%以上
  • ZEH+の選択要件のうち、2項目以上を満たすこと

選択要件については以下の3つのなかから、少なくとも2つを導入する必要があります。

  • 断熱性能のさらなる向上
  • 高度エネルギーマネジメント
  • 電気自動車(EV)対応設備

また、立地や日照条件により要件の一部が緩和される「Nearly ZEH+」という区分もあり、太陽光発電の設置が難しいケースなどにも対応可能です。

出典:令和6年度のZEH補助金について|一般社団法人環境共創イニシアチブ

2025年新築補助金支援事業|給湯省エネ2025事業

2025年新築補助金支援事業|給湯省エネ2025事業

高効率な給湯器を導入することで、国から補助金を受けられる「給湯省エネ2025事業」が実施されています。正式名称は「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」です。

この制度は、日本政府が省エネ住宅の普及を推進する一環として、エネルギー効率の高い給湯設備の導入を支援するものです。

この制度は以下の給湯機器を導入した際に適用されます。

  • エコキュート(ヒートポンプ給湯機)
  • ハイブリッド給湯機
  • エネファーム(家庭用燃料電池)

給湯省エネ2025事業では、導入する機器の種類や性能に応じて、最大20万円の補助が受けられます。補助金額は導入される機器で基本額が決まり、性能ごとで一定額が加算される仕組みです。

エコキュートハイブリット給湯器エネファーム
補助額基本額6万円/台基本額8万円/台基本額16万円/台
A10万円/台A or B13万円/台
B12万円/台C20万円/台
A&B13万円/台A&B15万円/台


A:昼間の余剰再エネ電気を活用でき、インターネットに接続可能な機種
B:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ない機種、またはおひさまエコキュート
C:ネットワークに接続可能で、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有する機種

加えて電気温水器を撤去する場合は、以下の補助額が加算されます。

蓄熱暖房機電気温水器
加算額8万円/台4万円/台

給湯省エネ2025事業で補助金を受け取るには、次の条件を満たす必要があります。

  • 国に登録された事業者が申請を行うこと
  • 対象となる高効率給湯器を導入すること
  • 補助対象者が自宅の所有者であること

なお、中古住宅を購入した時点で、すでに対象機器が設置されている場合は補助の対象外となる点に注意が必要です。

新築補助金の申請方法と手続期間

新築補助金の申請方法と手続期間

新築補助金の申請は、建築主本人ではなく、建築事業者が代行する必要があります。

そのため、補助金を利用したい場合は、対応可能な業者を選ぶことが重要です。

手続きは「交付申請の予約」と「交付申請」の2段階に分かれており、いずれも予算の上限に達し次第、受付終了となります。例年、10〜11月ごろに上限に達することが多いため、早めの申請が望ましいでしょう。

なお「子育てグリーン住宅支援事業」と「ZEH支援事業」は原則併用できません。

建築プランや世帯の状況に応じて、どちらが有利かを慎重に選ぶ必要があります。

例えば、GX志向型住宅に該当する場合は、子育てグリーン住宅支援事業の方が、より多くの補助金を受けられる可能性があります。

新築補助金を申請する際の注意点

新築補助金を申請する際の注意点

新築補助金は、住宅取得時の負担を軽減できる貴重な制度ですが、スムーズに受け取るためには以下の点に気をつける必要があります。

  • 早めに情報収集し申請する
  • 信頼できる業者を選ぶ

それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。

早めに情報収集し申請する

補助金制度は、事業予算の上限に達すると受付が終了し、申請しても交付されない可能性があります。

特に国の補助金は人気が高く、例年、申請が集中する時期には早期に予算枠が埋まってしまうことも珍しくありません。

そのため、できるだけ早い段階で制度の情報を収集し、スケジュールや必要書類を事前に把握しておくことが重要です。建築計画とあわせて補助金の申請スケジュールも含めて、計画的に準備を進めましょう。

信頼できる業者を選ぶ

新築補助金を最大限に活用するためには、高い省エネ性能を実現できる住宅メーカーや工務店を選ぶことが重要です。

特に、ZEHやZEH+、GX志向型住宅などの高性能住宅に対応するには、一定以上の技術力や経験が求められます。

そのため、1社だけに絞らず、複数の業者に相談しながら以下のポイントを比較検討するようにしましょう。

  • 省エネ性能の高い住宅を提案・実現できる技術力があるか
  • 同様の補助金申請やZEH実績が十分にあるか
  • 最適なプランを柔軟に提案できるか

また、補助金の申請は原則として業者側が代行しますが、その際に代行費用がかかる場合があります。トラブルを避けるためにも、あらかじめ申請手数料の有無や金額を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

2025年度の新築住宅補助金としては「子育てグリーン住宅支援事業」「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業(ZEH支援事業)」「給湯省エネ2025事業」が主に活用されています。

補助額はそれぞれ、以下のとおりです。

  • 子育てグリーン住宅支援事業:最大160万円/戸
  • ZEH支援事業(ZEH+):最大90万円/戸
  • 給湯省エネ2025事業:最大20万円/台

これらの制度は併用できない場合があるため、建築プランや世帯の状況に応じて、どの制度が有利かを慎重に選ぶことが大事です。

また、補助金の申請は事業予算の上限に達すると受付が終了してしまうので、申請が遅れると補助を受けられない可能性があります。そのため、早めに情報を収集し、計画的に準備を進めていくようにしましょう。

この記事のポイント

子育てグリーン住宅支援事業の対象となるのはどんな住宅?

子育てグリーン住宅支援事業の対象となるのは「GX志向型住宅」「長期優良住宅」「ZEH水準住宅」です。

詳しくは「2025年度の新築住宅補助金事業|子育てグリーン住宅支援事業」をご覧ください。

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業の対象となるのはどんな住宅?

補助対象となるのは「ZEH」と「ZEH+」の具体的な条件を満たした住宅です。

詳しくは「2025年新築補助金支援事業|戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

辻本 剛士

住宅関連の補助金制度を活用する場合、住宅性能が高いほど受けられる補助金額が大きくなります。しかし、性能を上げることで建築コストや初期投資が増えることも事実です。
補助金を目的に無理な仕様にするのではなく、無理のない資金計画のなかで判断することが重要です。補助金はあくまでプラスαと捉え、家計全体を見通したうえで納得できる選択をしていきましょう。

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