ざっくり要約!
- 二世帯住宅のデメリットとして個々のプライバシーを守りにくい点が挙げられる
- 二世帯住宅の間取りはそれぞれの生活スタイルや家族の性格を踏まえて決めることが大切
「二世帯住宅はデメリットだらけ」といわれることがありますが、実際のところ本当なのでしょうか。二世帯住宅を建てる前に、不安材料は払拭しておきたいものです。
二世帯住宅を建ててから後悔したくない方のために、メリットとデメリットを解説し、失敗しないための対策も紹介します。
ぜひこの記事を参考にして、二世帯住宅の特徴や注意点を理解し、理想の暮らしを実現させましょう。
二世帯住宅がデメリットだらけといわれる理由6選

二世帯住宅がデメリットだらけといわれる、主な理由を6つ紹介します。
1.プライバシーを守りにくい
二世帯住宅のデメリットとして、個々のプライバシーを守りにくい点が挙げられます。
二世帯住宅は親世帯と子世帯が同じ住居で生活するため、行動や日常会話が筒抜けになることがあるからです。
プライバシーを気にして発言や行動を抑えてしまうと、ストレスを抱えることになりかねません。義家族との同居などで実の親子でない場合は、なおさらのことでしょう。
二世帯住宅にも種類がありますが、完全共有型や部分共有型など、共有スペースが多くなればなるほど、プライバシーは守りにくくなります。
できるかぎりプライバシーを守りたい場合は、セカンドリビングや専用の玄関を用意するなどして、気兼ねなく過ごせるような間取りにしましょう。
2.生活リズムのずれによるストレスがある
二世帯で同居する場合、親世帯と子世帯では生活リズムが異なる傾向があり、そのずれがストレスの原因になることがあります。
世帯同士の生活のサイクルが異なる場合、早く寝たい親世帯は寝付けず、子世帯は生活音を気にしながら過ごすことになるかもしれません。
例えば親世帯と子世帯で就寝や起床時間が違うと、お互いの安眠を妨害してしまうケースがあります。十分な睡眠時間を確保できないと、身体的な不調を引き起こすおそれがあり、軽視できません。
また、毎日帰宅時間が遅い、もしくは夜遅くまで勉強しているなどで就寝時間が遅い方は、休日ぐらいは昼頃まで寝ていたいと思うこともあるでしょう。そんな時に親世帯が朝早くから活動し、騒がしくて眠れなくなることも考えられます。
その場合、親世帯と子世帯を上下ではなく左右で分けるなどレイアウトを工夫することで、気になる生活音を軽減できることがあります。二世帯の間取りを検討する際は、生活のずれも想定して検討しましょう。
3.共用スペースを使いにくい
二世帯住宅の場合、共有スペースを使いにくいことがデメリットです。
完全分離型の二世帯住宅ではない場合、キッチンや浴室を共有して使うことが多く、使いたいタイミングで使えないということが起こりがちです。
朝の身支度する時間帯や、夜の入浴タイムはバッティングしやすく、洗面所や浴室を使うのに苦労することもあるでしょう。
「相手側ばかり使いときに使って、自分たちがいつも我慢している」と不満を感じながら暮らすことになると、二世帯住宅を建てたことを後悔するかもしれません。
洗面ボールが2つあるタイプの洗面台を選んだり、浴室以外にシャワールームを設けたりして工夫しましょう。
4.費用負担で揉めやすい
二世帯住宅は、費用負担のことで揉めやすくなります。
お金のことは実の親子間でも言い出しづらく、二世帯住宅の建築費や水道光熱費の負担割合を決めずに建築計画を進めてしまうと、後々トラブルになることがあります。
浴室やキッチンなどの設備が2つずつ必要になれば、その分建築コストは高くなります。
親が所有している土地に二世帯住宅を建てる場合は建築費だけで済みますが、土地を新たに購入する場合は土地代もかかります。
相手側が負担してくれるだろうと期待せず、資金計画を立てる際は建築コストだけでなく、月々かかる水道光熱費も含めて負担割合を決めておきましょう。
ちなみに水道光熱費の負担区分をはっきりさせたい場合は、メーターを2つけてそれぞれが支払うという方法があります。
・「二世帯住宅 費用」に関する記事はこちら
二世帯住宅のメリットは間取りの種類で変わる!費用を抑える5つのポイントも解説
5.相続で揉める可能性がある
二世帯住宅は相続が発生したときに、親族間で揉める可能性があります。
二世帯住宅が親と子の共有名義にしていた場合、親が亡くなって相続が発生したら、親の持ち分は相続の対象になるからです。
他に相続財産があれば、兄弟姉妹(相続人)で分け合うこともできます。例えば現金や株式を他の兄弟姉妹が相続し、自分は二世帯住宅の親の持ち分を相続する方法(現物分割)です。
しかし二世帯住宅しか財産がない場合、平等に遺産分割するためには、二世帯住宅を売却して現金で分割(換価分割)しなければなりません。
つまり、住む家を失うことになります。
もし兄弟姉妹が二世帯住宅の売却を望み、自分が住み続けることを主張すれば、トラブルに発展するおそれがあります。
二世帯住宅の親の持ち分に値する現金(代償金)を、他の相続人に支払う方法(代償分割)もありますが、その場合は多額のお金が必要になります。
二世帯住宅を建てる場合は、兄弟姉妹にも相談しておき、相続が発生した場合も想定しておくようにしてください。
6.将来売却することになっても売りにくい
二世帯住宅は一般的な住宅に比べて売るのが難しく、売却したくても買い手がつきにくいケースがあります。
二世帯住宅は、家族のライフスタイルや人数に合わせてオーダーメイドするため、ターゲット層が絞られるからです。
二世帯住宅には種類があり、親世帯と子世帯が独立している「完全分離型」、一部の設備や空間を共有している「部分共有型」、すべての設備を共有する「完全共有型」の3つに分かれます。
詳しくは、後半で解説します。
二世帯住宅の購入を検討している方も、それぞれ希望するタイプが異なるため、希望がピッタリ合致することは難しく、売却が長引く可能性があります。
二世帯住宅はデメリットばかりではない!メリット4選

二世帯住宅のデメリットについて解説してきましたが、もちろんメリットもあります。ここからは、二世帯住宅の主なメリットを紹介していきます。
2軒建てるより建築費を抑えられる
一般的な単世帯用の住宅に比べると、二世帯住宅は高額な費用がかかりますが、二軒建てるよりは建築費を抑えられるのが魅力です。
二世帯住宅は共有する設備や空間を増やすことで、建築費を抑えられます。
キッチンや浴室など、比較的単価の高い設備を共用にすることで、コストカットも可能です。
そのうえ親が所有する土地に二世帯住宅を建てるのであれば、新たに土地を購入する必要がなく、子世帯は土地代がかかりません。
二世帯住宅は親からの資金援助を受けやすいこともメリットで、子世帯にそれほど資金力がない場合でも、マイホームを実現しやすいでしょう。
子育て・家事・介護を分担できる
二世帯住宅は、家族で子育てや家事、介護を分担しやすいのがメリットです。
二世帯住宅は同じ屋根の下に暮らしているため、お互いをサポートしやすく、離れて暮らしているケースに比べて、頼まれた方もそれほど負担を感じずに済むでしょう。
子世帯が共働きの場合、親に子育てや家事のサポートをしてもらうことで、安心して仕事ができます。
両親のどちらかが要介護になった場合は、老老介護(高齢者の介護を高齢者がすること)になる可能性がありますが、二世帯住宅で暮らすことで介護の援助をしてもらいやすく、精神的な負担も軽くなるでしょう。
水道光熱費の基本料金が1軒分で済む
二世帯住宅は、水道や電気、ガスのメーターを1つにまとめることで、基本料金が1軒分で済みます。
長い目で見ると、大きな節約になるでしょう。
その他にも、サブスク型の動画配信サービスの月会費やネットスーパーの送料など、一緒に利用することで節約につながるものもあります。共同で利用した方が得なものは、積極的にまとめて利用しましょう。
ただし負担割合はあいまいにせず、しっかり決めておくことが大切です。
誰かがいることが多く防犯面で安心感がある
二世帯住宅は、防犯面で安心感を得られるのが魅力です。
二世帯住宅は住む人数が多く、単世帯に比べて留守にする時間が少なくなるため、空き巣や車上荒らしなどのリスクを軽減できます。
最近は高齢者の住まいを狙った強盗が増えていますが、二世帯住宅であることが分かれば、そもそもターゲットから外れるかもしれません。
二世帯住宅でデメリットだらけにならないための対策

二世帯住宅はデメリットが多いと言われますが、対策を講じることで解決できるケースが多いでしょう。
最後に、主な解決策を紹介します。
生活スタイルや家族の性格についてよく話し合う
二世帯住宅で快適に生活するためには間取りが重要になります。
それぞれの生活スタイルや家族の性格を踏まえて、間取りを決めるようにしましょう。
早起きなのか、夜更かしなのか、入浴時間は短いのか、長いのかなど、家族の生活スタイルや性格を理解しておくことで、一緒に生活しやすくなります。事前によく話し合っておきましょう。
そして相手を知ることで、自分と異なる生活サイクルや性格であったとしても、ストレスを感じにくくなるでしょう。
それぞれが大切にしていることをなるべく理解できるようにし、お互いを尊重できるような間取りにしましょう。
ルールを決めておく
お互いに気持ちよく生活するためには、ルールを決めておくことが大切です。
お金に関する取り決めや家事負担の割合のほか、守ってほしいことがあれば事前に話し合っておきましょう。
例えば以下のとおりです。
【費用負担の割合】
建築費・固定資産税などの税負担や、水道光熱費・食費・日用品などの費用負担の割合
【家事負担の割合】
料理や掃除、スーパーへの買い出しなどの担当区分や回数
【ルール例】
- 部屋に入るときはノックする
- 友人を家に呼ぶときは、事前に知らせる
- 21時以降は生活音に注意する
互いが暮らしやすい住宅の種類を選ぶ
二世帯住宅には種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。家族にとって暮らしやすいタイプはどれなのか、よく話し合って決めましょう。
タイプ別のメリット・デメリットを、以下のとおり表にまとめてみました。
| メリット | デメリット | |
| 完全分離型 | ・プライバシーを守りやすい ・ストレスを感じにくい | ・コストが高い ・コミュニケーションを取りにくい |
| 部分共有型 | ・家事を連携しやすい ・コストに応じて計画できる | ・プライバシーの確保が比較的難しい ・共有する空間や設備が多くなると、ストレスを感じやすくなる |
| 完全共有型 | ・コミュニケーションを取りやすい ・コストカットしやすい | ・プライバシーの確保が難しい ・ストレスを感じやすい ・共有する空間や設備が使いにくい |
家を建てる前に兄弟姉妹に相談する
二世帯住宅を建てる際は、相続時に揉めないように、事前に兄弟姉妹や親族にも相談しておきましょう。
その上で、親の介護が必要になった場合はどうするべきか、また両親が亡くなった後も自分は住み続けたいと思っているが、兄弟は売却を望むのかなど、相手の希望や意見を聞いておくことで、トラブルを防ぐことにつながります。
まとめ
二世帯住宅はデメリットが多いと言われることがありますが、費用面や防犯面などメリットも多く、事前に対策を講じることでデメリットを回避することも可能です。
家族の生活スタイルや性格に合わせて間取りやレイアウトを検討し、お互いが快適に暮らせる二世帯住宅を実現させましょう。
この記事のポイント
- 二世帯住宅のメリットは?
一般的な単世帯用の住宅に比べると、二世帯住宅は高額な費用がかかりますが、二軒建てるよりは建築費を抑えられるのが魅力です。
二世帯住宅は共有する設備や空間を増やすことで、建築費を抑えられます。キッチンや浴室など、比較的単価の高い設備を共用にすることで、コストカットも可能です。
そのうえ親が所有する土地に二世帯住宅を建てるのであれば、新たに土地を購入する必要がなく、子世帯は土地代がかかりません。詳しくは「二世帯住宅はデメリットばかりではない!メリット4選」をご覧ください。
- 二世帯住宅でデメリットだらけにならないための対策は?
二世帯住宅でデメリットだらけにならず、快適に生活するためには間取りが重要になります。
それぞれの生活スタイルや家族の性格を踏まえて、間取りを決めるようにしましょう。詳しくは「二世帯住宅でデメリットだらけにならないための対策」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
二世帯住宅を計画するうえで重要なのは、家族のライフスタイルや性格を理解し、お互いを尊重することです。そしてどちらかが我慢するのではなく、相手を思いやることが大切です。家族であっても、干渉されたくないと感じるタイミングはあります。プライベートな空間を確保するようにし、お互いが気持ちよく過ごせる空間づくりを目指しましょう。

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