不動産情報ライブラリとは？ 不動産売買で賢く活用する方法

不動産の売買をする際には、相場や周辺施設、災害リスクなどさまざまなことを知っておく必要があります。従来まで、これらの正しい情報を調べることは容易ではありませんでしたが、2024年4月に国土交通省が運営開始した「不動産情報ライブラリ」により、誰でも簡単に不動産取引に関する情報が得られるようになりました。

この記事では、不動産情報ライブラリの使い方や活用方法などを紹介します。

不動産情報ライブラリとは？

「不動産情報ライブラリ」とは、国土交通省が運営するWebサービスです。不動産取引に役立つさまざまな情報が提供されています。

2024年4月運用開始

不動産情報ライブラリの運用がスタートしたのは、2024年4月と比較的最近のことです。2024年3月末に廃止となった「土地総合情報システム」が前身となっています。

不動産情報ライブラリには、不動産の取引情報に加え、公示地価や周辺施設、防災、都市計画などの情報も掲載されています。すべての情報は無料で閲覧でき、スマートフォンからのアクセスも可能です。

不動産取引の不透明性を解消

国土交通省は、円滑な不動産取引を促進するため「誰でも「簡単に」不動産に関するオープンデータを閲覧できるよう、不動産情報ライブラリを整備しています。これまでは、取引情報を調べるには土地総合情報システム、災害リスクを調べるにはハザードマップ……など、不動産取引に必要な情報を調べるのにさまざまなデータやサイトを閲覧しなければなりませんでした。

不動産取引に必要な情報が不動産情報ライブラリに一元化されたことで、使いやすく、利用価値が高いサイトといえるでしょう。

不動産情報ライブラリの使い方

不動産取引に関わるさまざまなデータを閲覧する方法は「地図から探す」「地域から探す」の2つに大別されます。

地図から探す

不動産情報ライブラリのトップページで「地図表示」というボタンをクリックすると、上記のような地図ページに遷移します。情報を調べたいエリアまで地図を拡大し、上段のカーソルメニューから価格情報や地形情報など調べたい情報を選択すると、地図上に情報が表示されます。複数の情報を重ねて表示することも可能です。

地域から探す

地域を選択していきながら調べたい場合は、トップページの「地域検索」をクリックしましょう。住所あるいは路線・駅名から調べたいエリアを絞っていけます。エリアを絞った後は、地図から探す場合と同様に、上段のカーソルメニューから調べたい情報を選択していきます。

不動産情報ライブラリでわかること

不動産情報ライブラリでは、不動産取引の際に参考になる価格や周辺施設などさまざまな情報が閲覧できます。

価格

不動産情報ライブラリで閲覧できる価格情報は、次の4つです。

国土交通省地価公示

地価公示とは、国土交通省の土地鑑定委員会が標準地の毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定して公示するものです。「公示地価＝取引価格」ではないものの、土地の価格の規準や指標となります。

・「公示地価」に関する記事はこちら 公示価格とは？評価方法や調べ方、基準地価との違いを解説

都道府県地価調査

都道府県地価調査とは、都道府県知事が毎年7月1日時点の標準価格を判定して公表するものです。「基準地価」ともいいます。地価公示と相互に補完する関係にあります。

・「基準地価」に関する記事はこちら 基準地価とは？公示価格との違いは？基準地価はどこで調べる？などをまとめました

不動産取引価格情報

国土交通省が実際に不動産取引した人を対象としたアンケート調査を実施し、収集されたデータから売買物件が特定できないよう加工したうえで、取引に関する情報として公表するものです。

成約価格情報

国土交通大臣指定の不動産流通機構が保有する不動産取引価格情報を、国土交通省が戸別の不動産取引が特定できないよう加工し、消費者向けに公表している情報です。

周辺施設

保育園や小中学校、医療機関、公園などの所在を表示します。

防災

洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域、津波浸水想定などを、地図上に色分けして表示します。

都市計画

都市計画区域や区域区分、用途地域などを、地図上に色分けして表示します。

・「都市計画」に関する記事はこちら 都市計画区域外とは？建ぺい率や用途地域との関連も紹介 ・「用途地域」に関する記事はこちら 第一種住居地域には何が建つ？利便性や住居環境のメリット・デメリットを解説 第二種住居地域はどんな場所？メリット・デメリットや第一種との相違点も解説

その他

不動産情報ライブラリでは、その他に地形や人口の情報も閲覧できます。

不動産情報ライブラリの活用方法

不動産情報ライブラリでは、価格情報に加え、災害リスクや周辺施設なども検索できることから、とくにこれから不動産売買を検討している方に役立つサービスです。

相場の把握

不動産を売る人や買う人にとって「相場」の把握は不可欠です。これまで公示地価や基準地価、取引情報などは別のサイトを見なければ調べられず、物件種別や知りたい情報によって使い分けなければなりませんでした。

しかし、不動産情報ライブラリには、公示地価や基準地価など土地の価格の規準となるデータや実際の取引情報も閲覧できるため、大体の相場感やその推移などを把握することができます。また、将来推計人口なども確認できるため、売買を検討しているエリアの将来性も推測できます。

・「相場」に関する記事はこちら 土地相場を路線価や地価から調べる方法と注意点　「一物五価」についても解説

購入エリアの検討に

不動産を購入するエリアを検討する際には、相場に加え、近隣の小中学校や医療機関、公園などの位置や数も気になるところなのではないでしょうか。また、災害リスクも必ず知っておくべき要素です。不動産情報ライブラリでは、これらのすべてが検索できるため、購入エリアの検討に役立つでしょう。

売り時の検討に

不動産を売る方は、周辺施設の情報などはすでに把握しているため不要かもしれませんが、災害リスクや都市計画は、売買価格に影響する要素です。また、人口推計からエリアの将来性も推測できるため、売り時の検討にも役立つでしょう。

まとめ

不動産情報ライブラリの登場によって、誰でも簡単に不動産取引に関する情報が得られるようになりました。ただし、情報の読み解き方によっては、誤認につながる可能性もあります。

たとえば、不動産情報ライブラリで閲覧できる価格については、規準や指標となる地価公示やエリアなどの詳細が特定できない成約情報などに限られるため、実際に不動産の売買を検討する場合には、引き続き不動産会社への相談が不可欠です。

売りたい物件・時期がお決まりの方はこちら

60秒で入力完了！売却査定を承ります。

不動産の売却可能額を査定する