ざっくり要約!
- 戸建て賃貸経営とは、一戸建ての物件を貸して家賃収入を得る土地活用法のこと
- 物価高で建築費や住宅価格が高くなっている影響から、戸建て賃貸経営が注目を集めている
従来の賃貸経営の常識からすると、戸建て賃貸は最適な選択とは考えにくい活用方法でした。
しかしながら、昨今の建築費や家賃の上昇傾向を踏まえると、戸建て賃貸にも相応のメリットが出始めています。
戸建て賃貸は、なぜ今注目されており、どのようなメリットが顕在化しているのでしょうか。
この記事では、「戸建て賃貸経営」について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
戸建て賃貸経営とは?注目を集める背景も解説

戸建て賃貸経営とは、一戸建ての物件を貸して家賃収入を得る土地活用法のことです。
戸建て賃貸は、アパートに比べると収益物件としては非効率な側面があることから、土地活用ではあまり積極的な選択肢になり得ない存在でした。
しかしながら、最近では土地活用で戸建て賃貸経営を選択する人も増えています。
戸建て賃貸経営が注目を集める理由
戸建て賃貸経営が注目を集める理由としては、物価高で建築費や住宅価格が高くなっており、供給側と需要側の利害が合致するようになってきたからです。
供給側には、戸建て賃貸は建築費が抑えられるというメリットがあります。
戸建て賃貸はそもそもアパートよりも建物規模が小さいため、総額を抑えやすいです。
需要側には、ファミリー世帯が賃貸市場に流れているという事情があります。
近年は住宅価格が高騰しており、東京23区では新築ではなく中古マンションの平均価格が1億円台を突破しているという状況です。
住宅価格が高過ぎると、購入を諦めて賃貸を選択する人が増えます。
ファミリー世帯は一般的に賃貸よりも購入を選択する人が多いですが、賃貸も選択する人が増えてきたことから以前よりも戸建て賃貸は貸しやすくなってきました。
物価高騰を背景に、供給側も需要側も市場参加者が戸建て賃貸に流れるようになっており、戸建て賃貸は以前よりも注目を集め始めているといえます。
戸建て賃貸経営のメリット4選

この章では、戸建て賃貸経営のメリットについて解説します。
家賃が上昇している
戸建て賃貸のメリットとして、家賃が上昇しているという点が挙げられます。
以下に、直近3年間におけるアパートと戸建て賃貸の首都圏の月額平均家賃の推移を示します。
首都圏の月額平均家賃(単位:万円)
| 種類 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
| アパート | 6.5 | 6.6 | 6.8 |
| 戸建て賃貸 | 12.8 | 13.3 | 14.0 |
出典:年報マーケットウォッチ2024年・年度 表2 首都圏の賃貸|公益財団法人東日本不動産流通機構
アパートも戸建て賃貸も、いずれも家賃は上昇している状況です。
ただし、2022年から2024年にかけて、アパートは約4.6%の上昇に留まるのに対し、戸建て賃貸は約9.4%も上昇しています。
直近3年間においては、戸建て賃貸の方が約2倍の幅で家賃が上昇しており、上昇率は高いです。
戸建て賃貸の家賃の上昇率が高いのは、戸建て賃貸はファミリー世帯だけをターゲットにしているためです。
アパートにも3LDKのようなファミリー向けの間取りはありますが、ワンルームのような単身向けの間取りも多く存在します。
近年、住宅価格の高騰により賃貸需要が強まっているのは単身世帯ではなく、ファミリー世帯です。
ファミリー世帯は賃貸を選択する人が増えていることから、結果的にファミリー世帯だけをターゲットとしている戸建て賃貸は、家賃の上昇率が高くなっているのです。
初期投資額を抑えやすい
戸建て賃貸は、初期費用を抑えやすいという特徴があります。
戸建ては低層建築物であるため、木造や軽量鉄骨といった建築費単価の安い材料を選択しやすいです。
また、アパートに比べると延床面積が小さいことから、総額を抑えることもできます。
昨今のように建築費が極めて高騰している状況では、建物規模を小さくしてでも戸建て賃貸を選択するメリットが顕在化してきています。
長期入居が見込める
戸建て賃貸はファミリー世帯をターゲットとしているため、長期入居が見込める点がメリットです。
以下に、単身向けとファミリー向けの平均居住期間の違いを示します。
| 間取り | 単身向け | ファミリー向け |
| 平均居住期間 | 3年3カ月 | 5年3カ月 |
出典:日管協短観2023年度データ|公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
平均居住期間は、ファミリー向けの方が単身向けよりも約2年間長いことがわかります。
なぜ長期入居が貸主にとってメリットになるかというと、長期入居は貸主の支出を減らしてくれるからです。
入居者の入れ替え時には、貸主にはハウスクリーニング等の修繕費や、仲介手数料等の入居者募集費用が発生します。
借主の入居期間が短いとこれらの費用の支出頻度が上昇してしまうため、貸主の支出を抑えるには借主に長く入居してもらった方が良いのです。
戸建て賃貸はファミリー世帯をターゲットとしていることから、入居者の入れ替え頻度を抑えることができ、貸主の支出を自然と抑えられるようになっています。
売却しやすい
戸建て賃貸は、売却のメニューが豊富です。
具体的には借主が居る状態で収益物件として売るケースや、空き家にしてマイホーム目的で購入する人に売るケース、現在住んでいる借主に売るケースの3つが考えられます。
売却の選択肢が広いことから、いざというときに売却しやすいです。
アパートであれば、収益物件として売ることしか現実的な選択肢はありません。
収益物件は空室になれば売りにくいため、戸建て賃貸のように空き家になっても売りやすいという特徴は、アパートには生じにくいといえます。
戸建て賃貸経営のデメリット3選

この章では、戸建て賃貸経営のデメリットについて解説します。
投資効率がアパート経営より低い傾向にある
戸建て賃貸はファミリー世帯がターゲットとなることから、ワンルームアパートと比べると投資効率が落ちます。
住宅の賃料単価は間取りが小さいほど高くなるため、投資効率はワンルームも選択できるアパートの方が上げやすいです。
空室時に家賃収入がゼロ円となる
戸建て賃貸は、賃貸部分が1つの建物に1戸しかないため、空室時に家賃収入がゼロ円になるという大きなデメリットがあります。
借入金を組んで投資をしている場合、空室期間中は自腹で借入金を返済しなければならないということです。
借主がつきにくい
ファミリー向けの間取りは賃貸面積が大きく家賃の総額が高いため、ワンルームと比べると借主が見つけにくいです。
空室が長期化する懸念があり、1戸だけの戸建て賃貸ではリスクが高いといえます。
戸建て賃貸経営の収益性・利回りの目安

この章では、戸建て賃貸経営の収益性・利回りの目安について解説します。
利回りの相場
利回りにはいくつかの指標がありますが、ここでは最も簡単に求められる表面利回りを示します。
表面利回りの求め方は、以下の通りです。
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格
ここで、首都圏における戸建て賃貸の平均家賃と中古戸建て住宅の平均価格より、表面利回りを示します。
| 項目 | 数値 |
| 中古戸建て価格 | 3,939万円 |
| 年間家賃 | 168万円(月額14.0万円) |
| 表面利回り | 約4.3% |
出典:年報マーケットウォッチ2024年・年度|公益財団法人東日本不動産流通機構
上記の利回りは、投資額に土地価格も含む利回りです。
もともと土地を持っている人が建物投資だけを行った場合の利回りはもっと高くなり、立地や建築費によっては10%を超える場合もあります。
| ・「不動産投資利回りの計算方法」に関する記事はこちら 不動産投資の利回りの計算方法は?投資物件の判断ポイントも紹介 |
戸建て投資で資金を回収できる年数
投資回収期間を表面利回りの逆数と仮定した場合、利回りが4.3%であれば回収期間は約23年です。
もともと土地を持っている人が建物投資だけで表面利回りが10%の場合、回収期間は10年ということになります。
| ・「不動産投資の利回りの最低ライン」に関する記事はこちら 不動産投資の利回りの最低ラインはどれくらい? 理想や目安、考慮すべきポイントとは? |
戸建て賃貸経営で成功するためのポイント

この章では、戸建て賃貸経営で成功するためのポイントについて解説します。
土地選び
土地から購入する場合は、立地を重視することが重要です。
できれば駅から徒歩10分圏内で、土地単価の安い物件が理想となります。
| ・「土地探しを成功させるコツ」に関する記事はこちら 土地探しを成功させるコツとは?土地の探し方や流れとあわせて解説 |
定期メンテナンスの実施
中長期的に借主を確保するには、建物は定期的にメンテナンスをしていくことが必要です。
シロアリ防除対策や外壁塗装等を実施していくことが求められます。
| ・「外壁塗装の相場」に関する記事はこちら 外壁塗装の相場を解説!塗料ごとの特徴や耐用年数、施工すべきタイミングも紹介 |
アピールポイントで差別化
戸建て賃貸に限らず、人口減少社会における賃貸経営では入居者を確保するための差別化を行うことが成功のポイントです。
戸建ては、賃貸マンションに比べると総じてセキュリティが劣ります。
防犯カメラや人感センサー付きライト、カラーモニター付きインターフォン、玄関のダブルロック等のセキュリティ機能を充実させることが、アピールポイントとして効果的です。
建物を大きくし過ぎない
戸建て賃貸は延床面積が大きくなると、家賃の総額が高くなり、かつ家賃の単価も低くなります。
家賃の総額が高くなると借主が決まりにくくなり、また家賃の単価が低くなると投資効率も下がります。
借主を決めやすくし、かつ投資効率を上げるには、延床面積は80平米程度で抑え、大きくし過ぎないことがセオリーです。
まとめ
以上、戸建て賃貸経営について解説してきました。
近年は住宅価格が高騰しており、ファミリー世帯が売買市場から賃貸市場に流れ、ファミリー向け物件の家賃が上昇している傾向があります。
戸建て賃貸は、建築費が比較的抑えることができ、家賃も上がっていることからメリットが顕在化し始めた物件です。
ただし、単身向けに複数戸からなるアパートと比べると、投資効率が低い、空室時の悪影響が大きいといったデメリットが存在します。
戸建て賃貸を選ぶには、メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで選択して頂けると幸いです。
この記事のポイント
- 戸建て賃貸経営のメリットは?
戸建て賃貸はファミリー世帯をターゲットとしているため、長期入居が見込める点などがメリットとして挙げられます。
詳しくは「戸建て賃貸経営のメリット4選」をご覧ください。
- 戸建て賃貸経営のリスクは?
戸建て賃貸はファミリー世帯がターゲットとなることから、ワンルームアパートと比べると投資効率が落ちるというリスクがあります。
詳しくは「戸建て賃貸経営のデメリット3選」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
不動産鑑定士は土地の最も有効な使用方法を前提に資産価値を検討する職業であるため、専門職業家としては戸建て賃貸経営は正直おすすめしにくいです。しかしながら、昨今の物価上昇を踏まえると、戸建て賃貸もひとつの最適解になりつつあると感じます。
世界的にインフレが長期化傾向にあり、日本もこのままインフレが止まらない可能性は高いです。つまり、戸建て賃貸のメリットは今後も続く可能性があります。無理におすすめはしませんが、建築費を抑えて収益物件を建てたい人であれば、戸建て賃貸を選択しても良いのかもしれません。

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